ぼくらの国防大作戦

坂ノ内 佐吉

文字の大きさ
41 / 44
第十章

Chapter.41 Mission Completed

しおりを挟む
 任務完了

 夜7時、周人と幸来紗は酒を持参して、智成と美智のマンションを訪ねた。
「いらっしゃい、お二人さん」智成が玄関に出迎える。
「やったな!」「ああ」智成の呼びかけに周人が答えると、二人はハグをする。
「幸来紗ちゃんもお疲れ様!」「うん、みんなもね」幸来紗も智成と軽くハグをした。
 周人と幸来紗が中に入ると、美智は幸来紗に駆け寄り、強くハグをした。
「幸来紗―! 私たちやったよ! みんなで成功させたんだよ!」
「そうだね! やったね!」
 美智は、次第に号泣してくると、幸来紗も泣き始める。
「周人くんもお疲れ様。いろいろありがとう」美智と周人も軽くハグをする。
 四人がリビングに入ると、すでに坂広が待っていた。
「ご無沙汰です。お先していました」坂広は笑顔で椅子から立ち上がる。
「坂広くん。わざわざ来てくれたんだ!」周人は嬉しそうに声をかける。
「もちろんです。こんなめでたい日に会わないわけにはいきませんよ。華怜も連れてきたかったんですけど、友杏の世話があるから」
「坂広くん。ありがとうね」幸来紗も微笑みかける。
「坂広くん。サプライズがあるよ」美智は急に坂広に詰め寄る。
「もしかして…… 年上友杏……?」
「そう、そのもしかして。当たり!」
 突然、玄関のドアが勢いよく開いた。
「みんなー! おめでとう! 任務完了だよ!」
「ゆってぃも来てくれたよ!」
「友杏さん!」周人と幸来紗、智成も声を上げ、友杏に抱きつく。
「みんな、ありがとう! やったね!」
 四人の後ろでは、坂広が眺めている。
「おー、パパ! もう来てたんだね!」
「久しぶり、友杏。遠くからわざわざありがとう」
「こんな日にじっとしてられないよ! すぐに家を飛び出して新幹線ですっ飛んで来たよ!」友杏は興奮気味でそう言うと、坂広の耳元に口を近づけてささやく。
「パパ、後でサプライズがあるよ」

 6人は、リビングに座り、ビールをグラスに注ぎ合いあうと、友杏が立ち上がる。
「みんな、このLSJ計画を立案したものとして、私が乾杯の音頭をとろうと思う!」
友杏は、5人の注目を集める。
「ゆってぃ。すでに酔っぱらってんじゃない?」美智は疑って訊く。
「ちょっとねー。新幹線でひとりで祝杯をあげちゃった…… まあ、いいから聞いて。……私が、2024年にタイムスリップしてから7年が経った。私は思い出す。周人、智成、そして美智の3人を金で釣って、LSJに巻き込んだことを。そうだ、3人ともお金、全額返してくてありがとね」
「当然だよ!」智成が返す。
「インドへの旅を経て、のちに、LSJ計画の最大のキーパーソンとなる幸来紗ちゃんが加勢。予想外の展開でパパにも手伝ってもらい、あと、あの総理秘書官のつっ……」
「月川さんだよ!」幸来紗が教える。
「そう、総理秘書官の月川さんの協力を得て、私たちは、岸部利蔵内閣総理大臣を説得することに成功。沖縄を奪還、九州事変を回避させ、さらには東京への核ミサイル攻撃までも回避させるという偉業を達成することができました。そして今日! 予定より1年以上も早く戦争を終結させたのです! これらの功績で、おそらく200万人以上の命を救うことができたと推測され、これらはひとえに皆々様の努力のたわものであります!」
「友杏さん。相当飲んできてるでしょ」智成が周人にささやく。
 幸来紗は真剣に聞き、その横では、美智がひーひー泣いて聞いている。
「私はここにいる仲間の協力を得ることができ、無事、任務を遂行させることができ、本当に幸せです。そして、私のタイムトラベルへの冒険を許してくれた、未来のパパとママにも感謝の意を表します。本当にありがとう!」
「俺のことか……」坂広がつぶやく。
「それでは、皆さん、グラスをお持ちください」
「終戦万歳! ミッション、コンプリーティッド! 乾杯!」
「かんぱーい!!」
 6人はグラスを合わせると、ふたたび軽くハグをし合った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

日本国破産?そんなことはない、財政拡大・ICTを駆使して再生プロジェクトだ!

黄昏人
SF
日本国政府の借金は1010兆円あり、GDP550兆円の約2倍でやばいと言いますね。でも所有している金融性の資産(固定資産控除)を除くとその借金は560兆円です。また、日本国の子会社である日銀が460兆円の国債、すなわち日本政府の借金を背負っています。まあ、言ってみれば奥さんに借りているようなもので、その国債の利子は結局日本政府に返ってきます。え、それなら別にやばくないじゃん、と思うでしょう。 でもやっぱりやばいのよね。政府の予算(2018年度)では98兆円の予算のうち収入は64兆円たらずで、34兆円がまた借金なのです。だから、今はあまりやばくないけど、このままいけばドボンになると思うな。 この物語は、このドツボに嵌まったような日本の財政をどうするか、中身のない頭で考えてみたものです。だから、異世界も超能力も出てきませんし、超天才も出現しません。でも、大変にボジティブなものにするつもりですので、楽しんで頂ければ幸いです。

【総集編】未来予測短編集

Grisly
SF
❤️⭐️お願いします。未来はこうなる! 当たったら恐ろしい、未来予測達。 SF短編小説。ショートショート集。 これだけ出せば 1つは当たるかも知れません笑

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

偽夫婦お家騒動始末記

紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】 故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。 紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。 隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。 江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。 そして、拾った陰間、紫音の正体は。 活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...