【書籍発売中!】神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!

一ノ蔵(いちのくら)

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第一章

第八十六話 ロレンツォの覚悟②

✧いつもご覧下さり、ありがとうございます。
昨日投稿した第八十五話の内容が間違っており、新しく差し替えました🙇申し訳ありませんが、再読をお願い致します。


「…ふぅ~。その製紙業を辺境伯へ譲渡する話と、ウルシア様が賛同する話は、どこで繋がるさね?」

 眼鏡を外し、眉間をもみもみするジョハンナさんも、さすがに予想は出来なかったみたい。

「ミディの療養院で治療を受けた人たちで、治療費の支払いが難しい人は、契約魔法で就労するにしても、療養院の規模が8床では、契約魔法者が仕事に溢れる人も遠からず出るはずです。そんな人たちに、辺境伯家直営の職業斡旋所を創設、又は委託施設として、療養院の隣、又は建物内の一部を借りられないか?と考えた次第です」
「辺境伯家直営の職業斡旋所…」
「勿論、ミディの治療費回収が目的の仕事斡旋ですから、療養院内にあることが望ましいです。それに、製紙業の機密事項に関わりますから、契約魔法にそれらの事項を盛り込んだ上乗せは必須です。製紙作業は、かなりの重労働で、人手が要りますからね。治療費の支払いとしては、三割を徴収及び天引きとします。その徴収金を、私の口座に振り込んで頂ければ、記録としてギルドに残りますので、ミディの借金残高計算も楽々です。一度、ミディの債権をウルシア様に移行する話がありましたが、無しにしてもいいですか?ウルシア様」
『勿論よ。ただ、この話が現実で終結されればね。私としては、なにも問題ないように思えるけど、ロレンツォたちはどうかしら?』
「わっ、私ですか!?」

 ウルシア様から、不意に話を振られたロレンツォは、慌てた。だが直ぐに持ち直し、私を真っ直ぐに見つめた。

「正直、まだ不確定要素の大きな話で、直ぐには返事を致しかねますが、この場にある紙が全ての答えなのでしょう。一度、商業ギルドに問い合わせしたいと思います」
『そうね。新たな製紙業ともなれば、全土を揺るがしかねない騒ぎになるかもしれないし、ロレンツォが慎重になるのも分かるわ。でも……ミオちゃんは既にその紙を使った【商品券】という新商法を、商業ギルドと取り組んでるわよ?』
「んなぁ!?」
 領主としての返答に満足気に頷くウルシアだったが、ニンマリと笑った極悪顔でとんでもない事を宣った。私は思わず、驚きの声を上げてしまったジャマイカ。

「……その【商品券】とはなんだい?ミオ」

 いや、それはウルシア様に聞くやつやろ!?例え、情報源が私にあるとしても!提供者は、あっち!
 私は必死に首を左右に振り、不利益や、やましい事はないアピールをする。

 ただでさえ療養院の話題で立て込んでるのに、要らぬ話題を増やすんじゃない!どうせ、ロレンツォ様が商業ギルドに問い合わせたらわかることなのだ。それなのに、なぜ今なのさ!?

 ウルシア様を睨めば、彼女はなんで睨まれたのか分かっておらず、首を傾げている。

『だって【商品券】の商法なんて、この世界にはない新商法なのよ?サミュエルの所の商業ギルドは近々説明会をするみたいだけど、そこで提携店を募る事も話すみたいよ。どう見ても、混乱は避けられないわよ。この地の支配者に便宜を図ってもらうためにも、詳細は話しておいたほうがいいでしょ?』
 と、ミオの脳内に直接響くウルシア様の念話。

(確かにそうだけど…これは、根回し的な?)
(そうだな。確かにウルシア様の言う通り、備えは必要だろう。特に貪欲な奴ほど無駄な足掻きをするからな)

 昔から『備えあれば憂いなし』と言うしね。万が一なにか起こっても、冷静に対処出来る人員が増えるのは心強いしね。

「商品券の詳細は後ほど。ウルシア様が仰るように、商品券の素材に新紙が使われるのも本当です。ただ、こちらの製紙技術の確立が決まるまで、商業ギルドの当面の取引相手は私です」

 まだロレンツォ様が、製紙事業をやると決まったわけではないが、その前提で話を伝える私。

「…そうか。製紙技術についても、商業ギルドに問い合わせるからね。その時、ギルドに同時に問い合わせるとしよう」

 根回しと言ってもこの場で言えることなんて限られてる。私の濁した言い方に合点が行ったロレンツォ様は、私の意思を汲み取り頷いてくれた。ありがたや。

 商品券はともかく、祭りは楽しみが多い方がいいからね。特に、療養後初のお出かけの予定を立てているミディには、あまり知られたくない。今まで闘病で苦しんできた分、目一杯楽しんで欲しいものである。


『貴方は、どう考えているかしら?ジョハンナ』
 取り敢えず、一息ついたロレンツォ様は横に置き、次はジョハンナさんを見たウルシア様。

「そうさね……療養院内の一部に、仕事斡旋所を開くのはかまわないが、仕事斡旋の名前はどうにかならないかい?辺境伯が身内贔屓をしていると悪評を立てる輩もいるだろうからね。貴族は足元を掬われるのが一番面倒くさい。だが、ミディの借金返済の為に考えられた制度だ。患者の治療費返済は外せない。ふむ……今後の治療費返済の相談というていの相談室を、療養院内にかまえようじゃないか」

 少しの思巡の後、ジョハンナは我が意を得たりとばかりに掌と拳を打ち合わせた。

「それでその相談室勤務に、辺境伯家から適任者を出向させるのはどうだい?」
『いい考えだと思うわ!今回は私の我儘なのだし、ミディちゃんの療養院内の相談室に出向する者の身分の鑑定を探られないためにも、協力者のロレンツォには、褒美の探索の絶対防御の玉を渡しておくわね』
「え?……うわっ!?」
 掌を合わせなにかを生み出したウルシア様は、軽い調子で、それ・・をロレンツォに放った・・・。それを上手くキャッチしたロレンツォ様は、今頃、ドクドクと脈打つ心臓を押さえていた。顔色も悪い。(生きた心地がしなかっただろうな…)と、彼に思わず合掌する私。
 何故か彼に睨まれたが、流れ弾は御免被る。私はサッと視線を外した。そんな彼を、哀れみの色を込めた視線で見遣るジョハンナさん。

 因みに、ミディとサミュエルさんは当事者なのに、すっごく影が薄かった。

「ところで……滑舌が良くなってないかい?ミオ」
「…おぉ?思い返してみれば、確かに!」

 そんな大人しいサミュエルさんからの申し出に、色々と思い返してみれば。

『身体に魂が馴染んだかしら?』
(急に!?こういうのは、徐々にとかじゃないの?)
『ミオちゃんが気付いてないだけで、そういう兆候はあったんじゃないかしら?』

 だから、そのニマニマをやめなさいよ。ついでに、ちゃん付けも!

(やれやれ…療養院の相談室とやらは、結局誰が担当するのだ。しかし、商業ギルドの職員から製紙事業について聞かねば、準備もなにも始まらんか)

 ムキィーとなる私に呆れるジョウだったが、今後を見据え、独り言ちるのだった。

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