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第二章
第24話 ぷるるんプリン③
☆遅くなり、申し訳ございませんm(_ _)m。
「さて、次は 生クリームを作ろう!」
私はそう言いながら、【インベントリ】に繋がっている鞄から、牛乳、無塩バター、砂糖を取り出して、調理机に並べた。
もちろん、魔道ミキサーも準備万端である。やる気いっぱいのジョウが、私の背後に控えている……そんなに、気張らなくてもいいんだけどな。
私は計量魔道具の上に、耐熱皿を載せた。耐熱皿の重さ+バター100gを計算すればいいよね。
風袋《ふうたい》引きの機能や操作があれば、計量時に、めっちゃ便利なんだけどねえ。
「クリームは、サンドイッチに挟んでも美味しいけど、プリンに添えても美味しいんだよね」
「なに!? それも馳走してくれるのか?」
「フルーツサンドイッチで、クリームを使い切れなかったらね?」
「くうぅ!? 悩むぞ! たっぷり生クリームで挟まれたフルーツサンドイッチか。それとも、甘みと辛味に混ざる濃厚な味が添えられたプリンアラモードか!? ああぁ……」
「そんなに落ち込むこと? いつでも作れるんだから、そこまで食い意地張る必要ないでしょ?」
「なっ!? そういうことではない! 長き刻を生きた吾輩が、時を忘れ、味に溺れ楽しむ至高の宝だぞ!? 気にするなということが無理なのだ!」
「大袈裟か!?」
「大袈裟ではない!吾輩のっ!」
「はいはい。それより、これの出番だよ……どっこらしょ!」
と言いながら、【インベントリ】に通じる鞄から、魔道化したレンジを取り出す。
(言い方がババくさい)
(お黙りっ!)
私の賛同を得られなかった腹いせか?余計な念話を送ってくるようジョウを叱責しつつ、私は手は動かす。
魔道レンジの時間を一分に設定し、スタートを押した。
『チンッ!』
一分なんて、すぐに来る。魔道レンジの終了の合図に、他の料理人の面々からの視線がちらほら突き刺さる。
(こっちにない魔道具だからね。注目を集めるのも仕方ないよね)
私はそんな事を思いながら、耐熱皿を取り出し、そそくさと、魔道レンジを【インベントリ】の鞄へ仕舞い込んだ。
(次は、牛乳をちょっとずつ流し込みながら、魔道ミキサーを使うんだけど……)
(吾輩の出番だな!?)
(まだ材料も少ないから、弱で混ぜてね? 魔道ミキサーが、容器に当たらないようにね?)
(うむ! 分かった!)
魔道ミキサーを容器に近づけると、飛沫《しぶき》が飛んでくるんだよ。要注意!
(……ぬぬぬ!? 凍てつく水よ!)
私は新しいボールの容器へ、四属性の水を極限まで冷やすイメージをした。氷は出来ないけど、冷水でクリームを冷やすことは出来そう。
(んふ♪ 魔法は、イメージが正義!)
にんまりと微笑んだ私を、ジョウが怪しげに見ていた。
(なに、わけが分からぬことを言っておる……牛乳を入れ終えたぞ。次はどうすればいい?)
ジョウの念話を聞き、私が耐熱皿のバターを見れば、無事に乳化していた。
「おっ!? 上手に出来てるじゃん! 後は、この氷を入れたボールに水を入れたこの上に、この耐熱皿を置く。とろっとした感じになるまで、泡立ててね」
「承知した」
私は、ジョウの作業を横目で見ながらも、引き続き、調薬釜にプリンの材料、皿の順番で投入していく。
これをもう一回繰り返さなきゃいけないからね。
―――ピーッ!?
先ほどと同じく、調理が終了したことを知らせる音が響いた時、今度はジョウだけでなく、厨房の料理人たちの視線を掻っ攫った。それほどの圧が、こちらへ向けられたのだ。
(視線だけで人を◯せるとは、よく言ったものだよ……ぷるぷる)
(全く……軟弱者め)
ジョウが溜め息を吐きながら、私に威圧避けの結界を張ってくれた。
(ありがとう、ジョウ)
(これぐらい……礼は、フルーツサンドイッチ+一個でかまわん)
(そこは、『造作もない』で済ますんじゃないんかい!?)
内心でずっこけながら、突っ込みをかます。そんな漫才を熟しながらも、私は身体はちゃんと動かす。
―――二度目の『ピーッ』という音に、蓋を開け、銀盤にプリンを乗せるという作業を繰り返す。
(後始末をしている師匠たちにも、差し入れしたほうがいいよね? 勝手に甘味を食べていたことを知られた時の怒りが、目に浮かぶよう……)
(そうだな。確か、余りが出るだろう?それを、吾輩の眷属に持って行かせよう)
(大丈夫かな? ジョウと違って、空を泳ぐじゃん? あの子。一応、冷蔵ものだからね)
(吾輩が成長しているように、眷属も成長しておる。以前見た犬かきよりも、スピードは上がっておるぞ?)
(……それなら、保冷剤もあるから大丈夫だね)
冷蔵庫へしまわれるプリンに、生唾を飲み込む音が聞こえたが、ここは聞こえないふりが賢明である。これは、君たちの雇用主である伯爵一家と我々の分である。
コッコの卵や牛乳が貴重じゃなければ、もっと作ったんだけどね。
生クリーム作りを終えたら、後は早かった。苺・キウイ・バナナのフルーツをカットし、クリームを塗ったパンに挟み、馴染ませるだけ。
その間に私たちがやったことは、ジョウの眷属を生み出し、彼が運ぶリュックの中に、プリンが崩れないように、バックに詰め込む作業だった。
「いいか!? スピードが大事だ! 早く、素早く抜くのだぞ!?」
「……へいへい」
私に軟弱者呼ばわりした割に、毛を抜かれる痛みが嫌いなのは変わらずか。まるで、注射を怖が……いや、あれは大人になっても嫌かな、うん。
『では!吾輩は、エイルしゃまへ配達に行って参りましゅ!』
「ああ、頼んだぞ」
ジョウの眷属が背中に背負ったリュックには、保冷剤(ミオの自宅にあったもの)を入れ、崩れることがないように固定された、差し入れ用のプリン(余ったやつ)が入っていた。
ジョウは成長したと言っていたけど、大きさに変化は見られない。安定のプリチーな可愛さである。
本人は至って真面目なんだけどね。堂々とした気配は以前と変わらず、短足も以前と変わらず。
『えっさえっさ!えっさえっさ!』
彼は胸を張って、窓から出発。
空を漕いで進んでいった……多少速くなっか? 兎にも角にも、彼は旅立った。私は首を傾げながらも、彼を見送ったのだった。
「ねえねえ、早く食べようよお!?」
その後ろでは、待ちかねていた留守番組が、雛鳥の如く、甘味を求める声を上げていた。
♢
「……おおぉ。これがミオ様手作りのの新たな甘味!」
砂糖の塊ではない喉越しが良すぎる柔らかな食べ物は、最初は甘いだけなのに、底にある甘辛いソースが更に甘さを際立たせるのだ。しかも残念なことに、味は残るが、甘味はすぐに消えてなくなってしまうという悲しい現実。
涙を流して味わう父の姿に、
「父様だけずるい! 僕も欲しい!」
「私も欲しいです! 旦那様!」
「母様もずるい! 私も~!?」
と、ミオの自室と同じような光景が、ダナン邸宅のサロンのティータイムでも、繰り広げられていたらしい。 By 使用人
「さて、次は 生クリームを作ろう!」
私はそう言いながら、【インベントリ】に繋がっている鞄から、牛乳、無塩バター、砂糖を取り出して、調理机に並べた。
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私は計量魔道具の上に、耐熱皿を載せた。耐熱皿の重さ+バター100gを計算すればいいよね。
風袋《ふうたい》引きの機能や操作があれば、計量時に、めっちゃ便利なんだけどねえ。
「クリームは、サンドイッチに挟んでも美味しいけど、プリンに添えても美味しいんだよね」
「なに!? それも馳走してくれるのか?」
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「そんなに落ち込むこと? いつでも作れるんだから、そこまで食い意地張る必要ないでしょ?」
「なっ!? そういうことではない! 長き刻を生きた吾輩が、時を忘れ、味に溺れ楽しむ至高の宝だぞ!? 気にするなということが無理なのだ!」
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「はいはい。それより、これの出番だよ……どっこらしょ!」
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(こっちにない魔道具だからね。注目を集めるのも仕方ないよね)
私はそんな事を思いながら、耐熱皿を取り出し、そそくさと、魔道レンジを【インベントリ】の鞄へ仕舞い込んだ。
(次は、牛乳をちょっとずつ流し込みながら、魔道ミキサーを使うんだけど……)
(吾輩の出番だな!?)
(まだ材料も少ないから、弱で混ぜてね? 魔道ミキサーが、容器に当たらないようにね?)
(うむ! 分かった!)
魔道ミキサーを容器に近づけると、飛沫《しぶき》が飛んでくるんだよ。要注意!
(……ぬぬぬ!? 凍てつく水よ!)
私は新しいボールの容器へ、四属性の水を極限まで冷やすイメージをした。氷は出来ないけど、冷水でクリームを冷やすことは出来そう。
(んふ♪ 魔法は、イメージが正義!)
にんまりと微笑んだ私を、ジョウが怪しげに見ていた。
(なに、わけが分からぬことを言っておる……牛乳を入れ終えたぞ。次はどうすればいい?)
ジョウの念話を聞き、私が耐熱皿のバターを見れば、無事に乳化していた。
「おっ!? 上手に出来てるじゃん! 後は、この氷を入れたボールに水を入れたこの上に、この耐熱皿を置く。とろっとした感じになるまで、泡立ててね」
「承知した」
私は、ジョウの作業を横目で見ながらも、引き続き、調薬釜にプリンの材料、皿の順番で投入していく。
これをもう一回繰り返さなきゃいけないからね。
―――ピーッ!?
先ほどと同じく、調理が終了したことを知らせる音が響いた時、今度はジョウだけでなく、厨房の料理人たちの視線を掻っ攫った。それほどの圧が、こちらへ向けられたのだ。
(視線だけで人を◯せるとは、よく言ったものだよ……ぷるぷる)
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ジョウが溜め息を吐きながら、私に威圧避けの結界を張ってくれた。
(ありがとう、ジョウ)
(これぐらい……礼は、フルーツサンドイッチ+一個でかまわん)
(そこは、『造作もない』で済ますんじゃないんかい!?)
内心でずっこけながら、突っ込みをかます。そんな漫才を熟しながらも、私は身体はちゃんと動かす。
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(後始末をしている師匠たちにも、差し入れしたほうがいいよね? 勝手に甘味を食べていたことを知られた時の怒りが、目に浮かぶよう……)
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(吾輩が成長しているように、眷属も成長しておる。以前見た犬かきよりも、スピードは上がっておるぞ?)
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生クリーム作りを終えたら、後は早かった。苺・キウイ・バナナのフルーツをカットし、クリームを塗ったパンに挟み、馴染ませるだけ。
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