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14話
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「おはよう。美樹。」
陽花は、リビングの空いた庭側の窓のカーテンの向こうに何かを思い浮かべるように立っていた。
「ど、どうしたんだ?なんで、こんな早くに...」
「陽花ね、美樹に感謝したいの。」
「感謝?...なんだよそれ。」
僕は困惑を隠しきれない。寝癖をつけたままリビングで足を硬直させていた。
「美樹、陽花と一緒にいてくれてありがとう。
陽花にいろんなことを教えてくれて、ありがとう。
いつも陽花に優しくしてくれて、ありがとう。」
「?!...なんだよ。お別れみたいじゃん!親と連絡取れただけだよな?学校でまた会えるんだろ?!」
陽花は質問に答えずに、僕を見て笑った。僕はそんな陽花を見て、無意識に涙がでた。
「美樹、本当に、いっぱいいっぱい、
ありがとう。
自分に自信を持って、これからも、陽花がいなくても、美樹は大丈夫だよ。」
そして、風でカーテンが陽花を覆った。次にカーテンの向こうが見えたときには、
陽花はいなかった。
ただ、そこには、萎れた一輪のシロツメクサが落ちていた。
リビングが静まり返る。
僕は落ちたシロツメクサを拾って窓を閉めた。そして閉めた窓に写った僕は、泣いて笑っていた。
朝、目が覚める。頭の上の目覚ましを止め、はを磨き、朝ごはんを食べ、着替えて沢山の花に水をやり、駅へ向かう。
『よぉ!美樹!』
「あ、おはよう。」
『お前、こないだの小テストどうだった?』
友達とこんな他愛ない会話をして学校に行く日々。
僕は、一輪の花に沢山のものを貰った。自分に自信がついた。
この先、高校を卒業して、友達と別れ、大学に行って、就職して、結婚して、もしかすると子供も出来るかも知れない。そして年を取っていく。
典型的な人生だろう。でも、僕は彼女に貰ったものを胸に、出来ることはやって、音楽を作って、子供が出来たとき、僕の高二の夏の話をしたい。
普通とは、少し違う人生も悪くないかも知れない。
その日、庭で見つけた、四つ葉のクローバーを見て、少し嬉しくなっていた。
(完)
陽花は、リビングの空いた庭側の窓のカーテンの向こうに何かを思い浮かべるように立っていた。
「ど、どうしたんだ?なんで、こんな早くに...」
「陽花ね、美樹に感謝したいの。」
「感謝?...なんだよそれ。」
僕は困惑を隠しきれない。寝癖をつけたままリビングで足を硬直させていた。
「美樹、陽花と一緒にいてくれてありがとう。
陽花にいろんなことを教えてくれて、ありがとう。
いつも陽花に優しくしてくれて、ありがとう。」
「?!...なんだよ。お別れみたいじゃん!親と連絡取れただけだよな?学校でまた会えるんだろ?!」
陽花は質問に答えずに、僕を見て笑った。僕はそんな陽花を見て、無意識に涙がでた。
「美樹、本当に、いっぱいいっぱい、
ありがとう。
自分に自信を持って、これからも、陽花がいなくても、美樹は大丈夫だよ。」
そして、風でカーテンが陽花を覆った。次にカーテンの向こうが見えたときには、
陽花はいなかった。
ただ、そこには、萎れた一輪のシロツメクサが落ちていた。
リビングが静まり返る。
僕は落ちたシロツメクサを拾って窓を閉めた。そして閉めた窓に写った僕は、泣いて笑っていた。
朝、目が覚める。頭の上の目覚ましを止め、はを磨き、朝ごはんを食べ、着替えて沢山の花に水をやり、駅へ向かう。
『よぉ!美樹!』
「あ、おはよう。」
『お前、こないだの小テストどうだった?』
友達とこんな他愛ない会話をして学校に行く日々。
僕は、一輪の花に沢山のものを貰った。自分に自信がついた。
この先、高校を卒業して、友達と別れ、大学に行って、就職して、結婚して、もしかすると子供も出来るかも知れない。そして年を取っていく。
典型的な人生だろう。でも、僕は彼女に貰ったものを胸に、出来ることはやって、音楽を作って、子供が出来たとき、僕の高二の夏の話をしたい。
普通とは、少し違う人生も悪くないかも知れない。
その日、庭で見つけた、四つ葉のクローバーを見て、少し嬉しくなっていた。
(完)
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