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第9話 ギルドにて依頼をこなす

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僕は二人を連れて、部屋を出た。
宿を出ると日が昇り始めていて、街全体が明るくなり始めている。
街の外には人影はない。
僕は、アリシアと手を繋ぎ、イリアスと共にギルドに向かった。
ギルドに入ると、いつもの様に受付嬢の所に向かう。
昨日の事があったせいで、少し気まずかったけど、そこは気にしない様にしておいた。

「何か仕事ありますか?」

僕は笑顔で言う。
受付嬢も笑顔になった。
この人の笑顔好きだな。
癒されるわ。
そして、依頼票を渡され確認していると、後ろから声を掛けられた。
振り向くと、イケメン冒険者が立っていた。
確か、名前はアルスだっけ?
ゲームにもいたよな。
確かモブキャラで変な依頼ばかりしてくる奴だ。
アルスは、僕達に近づくと話しかけてくる。
アリシアが不安げな表情をした。
僕は、アリシアの頭を撫でて落ち着かせる。
イリアスが何故か不機嫌そうにしている。
何なんだ?

「君達は、昨日この街に来たばかりだろ。そんな新人の君達に、お勧めの依頼があるんだが、一緒に行かないか?」

ああ、あれか。
やっぱり来たか。
でも、これは断らないとダメだろう。

「すいません。今日はちょっと用事があるんです」
「え? それは残念だ。じゃあまた今度誘わせてもらうよ」
「はい。その時はよろしくお願いします」

僕は頭を下げた。
すると、イリアスが何か言いたそうにしてる。
目配せすると、首を振った。

「では失礼するよ」
「ありがとうございました」

アルスが離れていく。
すると、イリアスが小声で話し掛けて来た

「あいつ、何か嫌な感じがする」
「どういう意味だ?」
「うまく言えないんだけど、何か企んでるような気がするんだ」

……ふむ。
確かに、そうかもしれない。
ゲームでもあいつの依頼はクソなのばかりだ。
ゴブリン100体倒しても金貨1枚とか。
バカらしい。

「まあ、今は深く考えない方がいいと思うぞ」

僕はイリアスの肩に手を置いた。

「分かった……」

渋々納得してくれたようだ。

「ね、イリアスばかり触らないで私も触って」

アリシアが横に来て、上目遣いに見上げてくる。
胸を強調してきた。
うーん。
どうしようかな。
とりあえず、頭を撫でておくか。
よしよし……。
すると、イリアは満足そうな顔をしながら僕に抱きついて来た。
なんか、可愛いな。
このまま、ずっとこうしていたい気分だ。
まあ、とりあえず、仕事だ。
僕は掲示板に貼ってある依頼書を見た。
どれがいいかな?
薬草採取か、それとも魔物討伐かな? うーん……。
迷うところだけど……。
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