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テレビ画面に
しおりを挟む――これは私が中学生の時の話である。
同じクラスに涌井さんという同級生がいた。アニメが大好きで、当時はやっていた猫耳の男の子がセーラー服の女の子と物の怪を対峙するというマンガの話でよく盛り上がっていた。
放課後になるともう一人の友人である木村さんと一緒に、趣味の話や、今週の週刊漫画の話題について楽しい時間を過ごしていた。
季節は冬の終わりで、もうすぐ学年が変わるね、と話していた頃だったと思う。
春休みの宿題面倒くさいね、という話の延長線上で、再放送の話になった。当時は夕方ごろになると、地方では流れなかった東京系の番組が、再放送として放映されていたのである。
涌井さんも木村さんもその再放送の中の、「世にも面白い話」という番組がとても好きで、私は小難しかったのであまり見なかったが、それぞれにあの回は良かったねというような話をしていた。
そんな折、涌井さんが「そういえば」と話を切り出した。
「うちにも心霊写真が何枚かあるんだよね」
と。
「心霊写真?」
と私が尋ねると、涌井さんはうーんと一つ唸って、「明日持ってこようか」と私の方を見た。
本物の心霊写真を同級生が持っているなんてすごい、と木村さんと興奮しながら頷いて、その日は帰った。
――翌日の放課後。
涌井さんが約束通り心霊写真を持ってきた。
随分古いもののようで、涌井さんが弟さんと一緒に移っているという。場所は家のリビングで、ちょうどプロレス技をかけあっている風景だった。
何の変哲もないその写真。
コーナーに置かれたブラウン管の後ろには窓があり、明るい日差しが入っているからまだ日の出ている時間だということが分かった。
小学校低学年のおかっぱの女の子が、丸坊主の保育園くらいの男の子の首に手を回す格好で、ちょうど今から引き倒そうとしている写真だった。
「いったいどこに映ってるの?」
一見するだけではまるきりわからず、木村さんと顔を見合わせて尋ねれば、涌井さんがブラウン管の画面を指差した。
「ここ」
「あ」
私と木村さんは同時に声を上げた。
電気を落とされている真っ黒なテレビ画面に、目をひん剥いてカメラの方を睨みつける、大きな顔の女の子の顔が映り込んでいた。
写真に気づいたのはごくごく最近だというが、お滝上げをすべきかどうか家族の間では物議をかもしているという。というのも、既に写真が撮られて随分経つし、画面に映っている涌井さんも弟さんも何事もなく過ごしているのだという。
「じゃあ。ずっと持っておくの?」
木村さんが問えば、涌井さんは歯切れが悪い言葉で「それが」と切り出した。
「この写真、なんだか顔が変わってるみたいなんだよね。どう見えた?」
木村さんが「え」と呟く。私は「嘘でしょ」と写真に視線を落とす。
写真に写る顔は明らかにこちらを睨んでいる。
「私は笑ってるように見えるけど」
木村さんの言葉に涌井さんが同意する。
「うちのお父さんも笑ってるように見えたって言ってたんだよね」
涌井さんのお父さんは、一年前に自己で他界していた。
私はその日、涌井さんたちと別れて神社に寄って帰った。
そして十年経っているが、私は無事で、涌井さん達は中学卒業後、期間を開けてそれぞれ事故で亡くなったのだという。
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