SFの世界に移転した病弱の少年がチート能力で異世界を救う ー未来からの招待状ー

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第1話 新天地の生活

1-5 イチイの家

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 レンガ造りの建物や木々が並んでいる広い道を歩いていると、イチイが古びた一軒家を指し示した。
 
「ここが私の家よ。お金がなくて綺麗な家に住めなくてごめんね」
 
「心配しないでいいよ。僕はどこでも大丈夫だよ」
 
「ありがとう」
 
 イチイは玄関扉を開け、僕を招待してくれた。白色の肌触りがいい絨毯や新品のように綺麗に磨かれている内装が特徴的な家だ。
 
「お邪魔します」
 
「ここはナギくんの家だから遠慮しなくていいよ」
 
 泥まみれの靴を脱ぐと、棒読みのような音声を発しながら白色の人間型のロボットが僕の目の前に現れた。
 
「ナギさん、はじめまして。私はお手伝いロボットのアルファです。よろしくお願いします」
 
「よろしくね、アルファ」
 
「何かお手伝いできることがあれば、お気軽にお呼びください。イチイさんもお帰りなさい」
 
「ただいま、アルファ。ねえ、今すぐナギくんの着替えの用意やお風呂の準備もできる? それが終わったら食事の準備もしてくれる?」
 
「承知しました。今すぐ準備します。少々お待ち下さい」
 
 アルファはイチイに軽くお辞儀をし、駆け足で立ち去った。
 
「これが近未来のAIなのか!」
 
 僕は独り言を呟くと、イチイは目をキラキラと輝かせながらアルファについて楽しそうに語ってくれた。
 
「凄いでしょう! これも最近政府から1家庭に1台貰えたのよ。掃除や洗濯、料理などの家事全般を自動的にやってくれる最新型のAIなのよ」
 
「もしかしてこの家は全てアルファが綺麗にしてくれたのか?」
 
「そうよ! 食器洗いから水拭き、ゴミ捨てを自動的に私の指示なしでやってくれるのよ。最近、私は家事を一切やっていないわよ。まるでご主人様に何でも尽くすメイドみたいな存在だわ」
 
「こんなロボットは僕の次元にはいなかったなあ。1人でも快適に暮らせる便利な世界でいいなあ」
 
「そうね。でもアルファには感情を制御する機能がないから、家では話し相手が誰もいなくて寂しいわ。インターネットを介した電話やチャットで寂しさを紛らわすことができるけど、相手の時間を考慮しないといけないし、私の心を常に支えてくれるロボットはまだ開発されないかなあ」
 
 僕は無意識にイチイの手を包み込むように優しく握ってしまった。
 
「そんなロボットはいらないよ。僕が一生懸命にイチイを支えてあげるから安心してよ」
 
 イチイは顔を赤らめながら、恥ずかしそうに微笑していた。
 
「ありがとう、ナギくんはいつも優しいね。そうね、私にはナギくんがいるんだった」
 
 イチイが僕の手を握り返すと、着替えを持ってきてくれたアルファがやって来た。
 
「こちらがナギさんの着替えです。脱衣所まで案内します」
 
「ありがとう、着替えてくるね」
 
「うん、先にお風呂に入っていいよ」
 
「じゃあそうするよ」
 
 僕はイチイと別れ、アルファに脱衣所まで案内してくれた。そこで適温に温められていたお風呂に浸かってから、アルファが用意してくれた服に着替えた。灰色のジャケットと白色のカットソー、黒色のボトムという無難なファッションを提供してくれた。
 
 脱衣所から出てイチイが待っているリビングに向かうと、2人掛けの青色のソファーで腰を掛けながら明るい表情で僕を手招きしてくれた。僕の右隣に座っているイチイは赤色と白色を基調としたチェック柄のセーラー服、茶色のロングヘアー、真紅に輝く明るい瞳、身長が160センチのCカップのスリムな体型が特徴的だ。
 
「お風呂はどうだった? 気持ちよかった?」
 
「うん、適温で最高だったよ」
 
「それなら良かった。もうすぐアルファによる料理が完成するから、しばらくここで休もう」
 
「そうだね、……」
 
 すると突然、僕の体に異変が発生した。この次元にまだ適応できていないのか、急にどっと疲れが出て、目の前が真っ暗になりイチイに向かって体が倒れてしまった。
 
 イチイの声が聞こえず、意識を失っているとき、心の中のミルテから優しくて温かい声で僕を励ましてくれた。
 
「奈木様、初日から大変な出来事が発生してしまいましたが、キクニナガ王国のために全力を尽くして頂きまして、ありがとうございます。これからも奈木様のご活躍に期待しております。私も奈木様のために支援させていただきますので、これからも宜しくおねがいします」
 
 数時間後、僕はイチイと一緒に寝ていたベッドで目を覚ますと、じっと僕を見つめていたイチイが嬉しそうな表情をしながらギュッと力を込めて抱いてきた。
 
「ナギくん! 目を覚ましてくれて良かった! 本当に怖かったわよ!」
 
「心配を掛けてごめん。今日の疲れで倒れてしまったと思う」
 
「しょうがないよ、ナギくんにとっては全く新しいことだらけの1日だもの。今日は何もせず、ゆっくり休んだほうがいいわ。私と一緒に寝ましょう」
 
「僕を気遣ってくれてありがとう」
 
「もちろんよ、ナギくんがいない世界なんて私は嫌よ。これからもナギくんのために色々と頑張るから、今後もよろしくね」
 
「こちらこそよろしく、イチイ」
 
「おやすみなさい、ナギくん。いい夢を」
 
「おやすみ。イチイ」
 
 僕達は手を繋ぎながら一緒のベッドで熟睡した。イチイの寝顔は安心して楽しそうな表情だった。
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