ボッチの高校生が異世界の少女にスカウトされて悪夢を救う魔道士に転職 -ナイトメア・ハンター-

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第1章 光と悪夢

第7話 混沌の世界を駆け抜けろ(上)

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 個人部屋のベッドで寝ていた俺は何度も目を覚ましてしまった。俺は1人しか救えることができなかったのに、いきなり大勢の住人を一斉に救えることができるだろうか。不安と恐怖に押し潰されているとアメリアが入室した。
 
「ごめんね、東条くん。どうしても伝えことがあって来たの。今は時間ある?」
 
「大丈夫だ、椅子に座ってくれ」
 
「ありがとう」
 
 俺とアメリアはガラス製の椅子に座った。アメリアはやる気に満ち溢れていた表情をしていた。
 
「東条くんにこれをあげるわ。光の魔法を強化するネックレスよ」
 
「ありがとう、綺麗な星型の宝石だね」
 
 ダイヤモンドのように光り輝く星型の宝石が装飾されたネックレスを受け取って首にかけた。すると体の芯から温まり、今日の戦闘で使い切ってしまった魔力が回復するような感覚だった。
 
「これは魔導学校の師匠から卒業祝いに貰った光の魔法のネックレスよ。これを身につければ光の魔法が増大されるはずよ。今は黒魔術師と対等に戦える東条くんに必要だわ。大切に使ってね」
 
「俺が貰っていいのか?」
 
「もちろんよ、今までのお礼とこれからの期待を込めて差し上げるわ。だから今後も私のために力を貸してね」
 
「もちろんだ。俺は絶対にアメリアを守り抜く」
 
「ありがとう、本当に東条くんは格好良くて素敵だね」
 
アメリアは俺にネックレスを渡すと立ち上がり、俺に握手を求めた。
 
「今日は私もやったことがない大人数の治療だけど、私と東条くんがいれば必ず成功できるはずよ。一緒に頑張ろうね」
 
「ああ、やってやる」
 
 俺とアメリアは握手を交わしてからアメリアは部屋を出ていった。アメリアのお陰なのか不安が消え、ぐっすりとベッドで体を休めた。


 
 午後11時40分、エミリーに起こされて広間に向かうと30人の住民が集められた。ベッドの上で寝ている住民は赤ん坊のように泣き叫びながら悪夢の恐怖と戦っていた。今日も俺たちが悪夢を救うと誓いながら拳を握った。
 
 エミリーは俺とアメリアとフレイにそれぞれ強く抱きしめてから部屋を立ち去った。
 
「死なないでくださいね。東条さん、アメリアさん、フレイさん」
 
「大丈夫だ、俺が守ってやる」
 
「ええ、東条くんが入れば平気だわ」
 
「夢を与えるために戦ってくるよ。エミリーさんは私たちの無事を祈ってね」
 
 エミリーが部屋から出ると俺たちは作戦会議をし始めた。今回は広間には20人の魔道士と騎士が円を囲むように警備している。
 
「今回は魔道士や騎士の皆さんに黒魔術師との戦闘を任せて私たちは光の魔法を唱えるわよ。東条くん、フレイさん、この作戦でいいわね」
 
「もちろんだ、だが今回は30人の治療だ。強大な魔力が必要だな、フレイも大丈夫だよな?」
 
「大丈夫よ、今日のために魔法学校で技を磨いてきたわ」
 
 俺たちは手を握って戦う覚悟を決めた。
 
 
 
 午前0時、俺たちは一斉に光の魔法を放った。全ての魔力を開放させるように全身に力を入れて放射した光は太陽のように目を瞑るほど眩しかった。白色の光の集合体が30人に届くと悲鳴が徐々に静かになっていった。これなら大勢の悪夢を救えると希望を持って手に力を込めた。
 
 しかし光の魔法を唱えると黒魔術師を呼び寄せるリスクが発生する。そのため今日も黒魔術師がガラスに向けて黒い球体を爆発させてきた。
 
 広間を覆っている全てのガラスは砂のように粉々に砕け、大勢の黒魔術師が広間に侵入してきた。20人の魔道士とメイドは魔法を唱えようとしたが、その瞬間に黒魔術師が黒い球体で彼らに発射し命中させた。20人の魔道士と騎士は痛みに耐えきれず一瞬で倒れてしまった。
 
 残されたのは俺とアメリアとフレイだけだった。俺は光の魔法を中断させて黒魔術師に向き合った。今回は20人の黒魔術師が俺を睨みつけていた。
 
「東条郁人、15歳。アメリア、14歳。エミリー、13歳。フレイ、16歳。君たちは我らの悪夢の世界を乱す邪悪な存在だ。今日こそ君たちには消えてもらおう」
 
「お前らが邪悪な存在だろ! 住民の人生を返せ!」
 
「それはできない。我らには世界から光をなくして暗闇に染める使命がある。反抗するならばここで死んでもらおう」
 
「アメリアとフレイには手を出すな、俺1人で戦う! かかってこい!」
 
 俺は右手に光を帯びた大剣を出現させて両手で構えた。アメリアに貰ったペンダントは虹色に輝き、体から大量の魔力が溢れ出し大剣が白色の光に包まれた。俺はアメリアに感謝しつつ、最大限まで魔力を集中させた。
 
 5人ほどの黒魔術師が槍を出現させて俺に向けて投げつけると同時に、俺は大出力の光源を帯びた衝撃波を放った。衝撃波は槍を真っ二つに砕き、光は黒魔術師を包み込んだ。その後、5人の黒魔術師が灰となって消えたことを確認した。
 
 だが残りの黒魔術師は15人ではなかった。徐々に黒魔術師が増え続け、広間には25人の黒魔術師が俺に狙いを定めて剣や槍を握っていた。俺は大剣を捨てて右手に槍、左手にハンドガンを出現させた。勢いよく白色に発光する槍で黒魔術師の腹を貫き、ハンドガンで光を圧縮させた弾を発射した。光の攻撃は黒魔術師に有効であり、1人ずつハンドガンで弱らせながら槍でトドメを刺した。
 
 しかしこの作戦では埒が明かない。俺の魔力が尽きるのが先だろう。現在時刻は午前1時30分。俺は午前5時まで耐えられるだろうか。アメリアやフレイに助けを求めることも正しい選択肢だが、莫大な光の魔法を使用し続けている彼女らにも戦闘で使用できる魔力は少ないだろう。ここは俺とソフィーの力で耐えきるしかない。
 
 7人の黒魔術師が一斉に俺に向けて黒色の球体を放ち、俺は衝撃波で跳ね返そうとしたとき、1人の黒魔術師が俺を庇ってくれた。その黒魔術師は大きな盾を出現させて黒色の球体から身を守ってくれた。その後、白色に輝く光の球体を7人に放って黒魔術師を仕留めた。
 
「ミア、15歳。なぜ我らを裏切る? 君は彼らに寝返るのか?」
 
「当たり前よ。あなたたちの行為は絶対に許されない。私は今日限りで黒魔術師をやめるわ」
 
 少女は黒色のフードを脱ぎ捨てて、水色の瞳で睨みつけた。少女は青色を基調としたラフな服装、水色のショートカット、身長150センチのBカップの体型が特徴だ。少女は俺に振り向いて簡単に自己紹介した。
 
「私の名前はミア。黒魔術師に捕まって強制的に働かされていたけれど、東条くんのお陰でやめられたわ。ありがとう。私の自己紹介は戦闘後にするから、今は奴らを倒しましょう」
 
「そうだな、今は奴らを倒すことだけに集中しよう。俺のために手伝ってくれてありがとう。一気に終わらせるぞ」
 
 俺とミアは強く握手を交わしてから戦闘態勢に入った。
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