クーヤちゃん ~Legend of Shota~ このかわいい召喚士は、地球からアイテムを召喚してしまったみたいです

ほむらさん

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第137話 二つの結末

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 召喚獣は10メートル先に呼び出すことが可能だというのが最近わかった。
 しかしアイテムを呼び出す場合だと、目の前にしか召喚することが出来ない。

 そして本来召喚獣を呼び出す時は、そこに障害物などがあったりすると、それを避けるように修正された場所に召喚される。

 だがアイテム召喚で呼び出された電化製品などは、この法則に当て嵌まらない。
 目の前に障害物があろうが、関係なしに出現させることが出来るのだ。

 以前、牢獄から脱出する時にボクはこの裏技を使って鉄格子を切断した。
 自分でやったことなのに、この現象の恐ろしさを深く考えることなど無かった。


 ―――――そう。ボクの鉄板は、どんなモノでも切断してしまうのだ。


 エクスカリバー?
 ダーインスレイヴ?

 違いますね。最強の武器は『鉄板』です!!


 ただ問題なのは、目の前にしか呼び出すことが出来ないってこと。
 だからこんな無茶な戦法をとるしかなかったわけで。


 すなわちボクは今、地面に向かって落下中なのです。



 ◇



 鉄板召喚による理不尽な攻撃に確かな手応えを感じ、ボクは勝利を確信した。
 だが問題はここからだ!

 身体を捻って視点を変えると、どんどん地面が近付いてるのが見えた。


 ・・・いや、まだだ!ショタの小さなボディーが風に流されてるかもしれない。


 更に地面が間近に迫り、危険ゾーンに突入。

 もういいだろ!


「パンダ2号召喚!!」


 視線の先に、仰向けになったパンダちゃんの姿が見えた。


 もふッ!


 かなりの高さから落下したにも関わらず、その衝撃はパンダちゃんの柔らかいお腹に吸収され、クーヤちゃんの身体は軽くバウンドしただけで済んだ。


「い、生きてたーーーーーーーーーー!!パンダちゃんありがとう!!」

『ブモ』


 しかしその直後、自分の周りの地面が大きな影に覆われたのが見えた。

 バッ!

 空を見上げると、ドラゴンの頭どころか数体のゴーレムとメルドアまでもが、こっちに向かって降って来ているところだった。


「やばッ!!」


 ヒュッ

 次の瞬間、目の前の景色が一変し、地面に寝そべるパンダちゃんの姿が見えた。


「タマねえ!?」


 ドガッ! ドガッ! ゴシャッ! ドゴーーーーーーーーーーーーーン!!


 そしてパンダちゃんと入れ替わりに、ドラゴンの頭と、流れる血と、ゴーレムの残骸まみれの酷い景色になった。


「あああああああああっ!パンダちゃーーーーーーーーーーーーーーん!!」


 ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!


 さらに頭を失ったドラゴンの身体が倒れ、辺りは土煙に包まれた。


 ・・・・・・もう滅茶苦茶ですね。



 ◇



「タマねえ、頭の傷は大丈夫!?」
「平気」
「本当に~?でもありがとう!タマねえがいなかったら3回は死んでた」
「タマだってクーヤがいなかったらとっくに死んでる。それよりクーヤ!」
「うん」


 自分の足で立ち上がったけど、ふらついて倒れそうになった。
 魔力が枯渇寸前だな・・・。でもまだ気を失うわけにはいかない!


 メルドアがボクの目の前にトコトコ歩いて来た。


「あの高さから落下したのに平気だったんだね!メルドアお疲れ様。みんなのお陰でドラゴンを倒すことが出来たよ!でも魔力が無くなる寸前なんで一旦消すね。回復したらまた呼び出すからしばらく休んでて」

『オン!』


 優しく頭を撫でてからメルドアを消した。そしてボロボロに朽ち果てているゴーレムやトレント、勇敢にドラゴンへと立ち向かった特別攻撃隊、そしてドラゴンの頭の下敷きとなってしまったパンダちゃんを順番に消していった。


 よたよたとドラゴンの死体の側まで近寄って行く。


 流石は最強ドラゴンだ。本当に死ぬほど強かったよ。
 でも今日からはボク達の仲間だ。何も悪くないのに痛い思いをさせてごめんね。


「ストック」


 その瞬間、目の前に倒れていた巨体も、地面に染み込んだ血も、全て消え去った。


 ―――――これで完全決着だ。


 コテッ

 安心したと同時に地面に倒れてしまった。

 まだダメだ!気絶する前にタマねえの傷の手当てをしなければ。
 もう少しだけ耐えろ!あとでいくらでも眠れるのだから。


 動け、眠っちゃダメだ、眠って、あとで眠、れ・・・。





 ************************************************************



 ―――――〇〇〇視点―――――



「儂は文官上がり故に戦闘が苦手なのだ!だからお主に最前線の指揮を任せたのだぞ!!なのにこのザマは何だ!?北門を抜かれて街が滅茶苦茶ではないか!!」

「伯爵閣下!儂、いえ、私は全力で兵を鼓舞し続けました!魔物の数があまりにも多すぎたのです!!我らに落ち度など何一つありませぬ!!」

「他の門は未だに抜かれてなどいないぞ!北門だけが抜かれたのだ!!これでは我が軍勢が弱兵揃いだと世間に公表したようなものではないか!!」

「魔物は北から押し寄せたのですぞ!!北門だけが厳しい状況だったのです!!」



 ・・・見つけたぞ、ペペルコプ子爵!!


 カツッ カツッ カツッ


 ザシュッッ


「ごヘァッッッ!!な、何、ッが!?」


 俺が足を引き摺りながら近付いて行く姿を訝しい目で見ていたオルガレイダス伯爵だったが、ペペルコプ子爵が剣で貫かれたのを見て、さすがに大きく目を開いた。


「俺はもうじき死ぬ。お前が俺を殺したんだッ!仲間達を殺したのもなァ!お前がカロリーゼロを処分しろなどとさえ言わなければ、北門は守り切れたんだ!!一人だけ生き残るなど俺が許さねえ・・・。お前も死ねエッッッッッ!!」


 最後の力を振り絞って傷口を大きく抉った。


「ガフッ、お、おごゴ・・・」


 そのまま奴と共に地面に倒れ、子爵の死を確信した。


「仇は、取った、ぞ・・・」


 皆、安心して眠れ。俺もすぐそっちに行くから・・・。



 ―――――こうして兵士Aの復讐は果たされた。


 
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