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第205話 突然の戦闘
しおりを挟むバサッ バサッ バサッ バサッ
バサッ バサッ バサッ バサッ
「クーヤ、手が辛くなったらすぐ言うんだぞ?」
「あい!」
グリフォンでの飛行はとても爽快で素晴らしいんだけど、専用の鞍を作ってないから、輪っかを握りしめる手が疲れてしまうんですよね。
なので定期的に休憩を入れつつ、リナルナの首都を目指して進んで行った。
「ん?向こうでなんか揉めてる」
まだ視力の良いタマねえにしか見えない距離のようで、彼女の指差す方向を見てもさっぱりわからなかった。
しかしグリフォンの高速飛行のおかげで、すぐにショタの目にも地上で起きている異変を捉えることが出来た。
「もしかして馬車が襲われてる!?」
「間違いねえ、盗賊だ」
「大変!助けなきゃ!」
「じゃあ、もう少し近付いたら特別攻撃隊を出すね!」
「ダメだ!騒ぎがデカくなったら明日帰ることが出来なくなる。それにクーヤだけに戦闘を任せていては、アタシらのいる意味が無いからな!」
「でも危ないよ?」
「アレくらいの人数なら問題ない。クーヤは誰かが危なくなるまで空で待機だ!」
「俺も久々に暴れるか!」
「タマも行く!クーヤ、バール出して!」
「えええ!!タマねえも戦うの!?うぅ、心配だなあ・・・」
でも経験が少ないだけで、この中で一番強いのはタマねえのような気もするから、心配無用なのかな?
タマねえがボクのグリフォンの後ろに回ったので、軌道を計算しながらバールを召喚すると、彼女は危なげもなく華麗にキャッチした。
「じゃあ行くぞ!突撃ーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
ショタ以外の全員がグリフォンの高度を下げて、襲われてる馬車目掛けて突撃して行った。
なんかメチャメチャ格好良いんですけど!!
おっと!
ボクは空から見張らなきゃいけないから、グリフォンの速度を緩めないと。
「オイ!上だ!!」
「はあ?」
「ラムシュクルームだと!?」
「嘘だろ!?何でこんな時に!!」
スタッ
「チッ、すでに何人もやられてやがる・・・」
「馬車を護衛していた冒険者か」
「生き残りは!?いや、まずはコイツらを何とかしなきゃ!」
「許さない」
タタッ バキッ!
「ぐああッッ!」
ちょっ!真っ先にタマねえが突っ込んだし!!
「この野郎!!」
「テメーらボケっとすんな!殺るぞ!!」
「ごらああアアアアアアアアアア!!」
一刻の猶予も無かったから当然なんだけど、レオナねえ達はパッと見10人ほどいる盗賊に躊躇なく攻撃を開始した。
ザンッ! ザンッ! ザンッ!
「ぐはッッ!」
「ぎゃあああぁぁぁぁーーーーーッッッ!!」
ドゴン! ジャギン!
「逃げんじゃねえ!!」
レオナねえが両手持ちの長剣で盗賊を蹂躙してるんだけど、アレは間違いなく攻撃特化の戦闘職だろね。
魔物のスタンピードの時に何度も見ているから知ってたけど、彼女は人間が相手でもメチャクチャ強いです!
今回アイリスお姉ちゃんは槍を得物に選択したようで、レオナねえの背後に敵が回り込まないようサポートしながらの戦闘をしている。
空間を把握する能力が秀でているからこそ、状況に応じた完璧なサポートが出来るんだと思う。彼女も間違いなく戦闘の天才だ。
そしてその二人の動きを見ながら、ナナお姉ちゃんが適切な魔法で援護する形だね。この配置がレオナねえ達三人の基本的な陣形なのだろう。
正直隙が無さ過ぎて、一瞬にして彼女達の強さが相当なモノだってわかってしまいました!
そのレオナねえ達の左側で、一人無双しているのがタマねえだ!
危なかったらメルドアとレグルスを派遣しようとか考えてたんだけど、魔物の大群の中を突破した経験があるタマねえの強さは本物でした。
なんと言いますか・・・、『敗北が知りたい』って感じ?
しかし観測者クーヤちゃんの目を釘付けにしたのは、圧倒的な武力を誇る女性陣ではなく、一人だけ意味不明な戦闘をしている悪そうなお兄さんだった。
馬車を物色していた盗賊に近寄って行ったかと思うと、なぜか懐から『扇子』を取り出してそれを一振り。
悲鳴をあげて地面を転げ回る盗賊の異変を察知して馬車から出てきた別の盗賊と対峙したかと思えば、今度はアイスピックのような武器で一突き。
あの人、見たことの無い武器をコロコロ変えながら戦ってるのですよ!
剣も持たずに突っ込んで行ったから、見ていて不安しかなかったんだけど、実は武器をいっぱい隠し持ってたみたい。
一体どんな職業なんだろな~?
『暗殺者』に近い何かだとは思うんだけど、ホント全然わかんないです!
そうこうしている間に盗賊が全て討伐されたようで、最後にしっかりと安全を確認した後、ようやくショタにお呼びが掛かった。
「よしッ!怪我人もいないし完全勝利だ!」
「みんなお疲れさまでした!」
「やったね!」
「お疲れ様ーーーーーーーーーーーーー!」
「ちょっと緊張した」
馬車の中を調べていた悪そうなお兄さんが外に出てきた。
「生き残りは4人だが、商人らしき男が怪我をしている。そして護衛の冒険者と思われる女が1人重症だ。それ以外は残念ながらもう手遅れだ」
なんだって!?
「大変だ!白ハムちゃんに治療してもらわなきゃ!」
治癒魔法が得意なハムちゃんを2体召喚し、生き残った2人の治療を開始した。
「治癒魔法まで使えるハムちゃんがいるのかよ!」
「毒消しハムちゃんも優秀だぞ!」
「飼い主であるクーヤちゃんのおかげで治癒魔法の威力が底上げされてるから、もしかしたらあの女の人助かるかもしれないよ!」
「つくづく規格外だな・・・」
治療が始まって少し安心したのもあり、やっとみんなに余裕が出てきた。
「そうそう!ガイアの戦闘を横目で見てたんだけどさ、スッゲー面白い戦い方してたな!無造作に敵の懐に入ったから最初は『暗殺者』なのかと思ったが、それとは戦い方が違うような気がした。もしかして『トリックスター』か?」
「へぇ、よく知ってんな?正解だ」
「何それ!?『トリックスター』なんて初めて聞いたよ!」
「私も初めて聞いたかも」
「タマも知らない」
トリックスター?いや、それって詐欺師とかペテン師のことじゃ・・・。
「まあ簡単に説明すると、暗器を使っての戦闘で強烈な補正が掛かる職業だ。隠密行動に補正が掛かる暗殺者よりも攻撃寄りだな」
へーーーーー!!『暗器使い』って書く感じなのか。
暗器ってのは、おそらく隠し武器全般を指すんだと思う。
「そういやお前らの職業も大体読めたぜ?レオナは『グラディエーター』だろ。アイリスは槍で戦っていたが、弓と槍を使い分けるような器用な職業となると、おそらく『レンジャー』だな。ナナは『賢者』一択だろ。問題なのは黒いガキだ・・・、使ってた武器が意味不明すぎる!」
それを聞いたレオナねえ達三人が、キョトンとした顔をした。
「やるじゃねえか、三つとも正解だ!まあアタシらは別に隠しちゃいないが、自分の職業を知られるのを嫌う冒険者もいるから注意した方がいいぞ。アタシも好奇心からガイアに聞いてしまっているんで、人のことは言えねえんだけどさ」
「ああ、それはわかっている。黒いガキも正直に言う必要なんてないからな」
「ん。今はまだ内緒」
おおおおおおお~~~~~~~!こんな所で大いなる謎が解けましたぞ!!
タマねえの件もあって、職業を聞くのはマナー違反なのかと思ってたから、なんか聞けないでいたんだけど、自分の職業を説明した後でサラッと白状させるテクニックもあったのか!
流石は悪そうなお兄さんだ。みんな凄そうな職業じゃん!
レオナねえの会話の中に警告が入っていたのは、タマねえの詮索をしないようにって意味だろね。彼女はさり気ない気遣いができる優しい人なのです!
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