クーヤちゃん ~Legend of Shota~ このかわいい召喚士は、地球からアイテムを召喚してしまったみたいです

ほむらさん

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第343話 紫モヒカン

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 購入した土地の視察も無事完了し、ロープを潜って敷地の外に出た。

 正直まだまだ家の話がしたかったけど、今日は悪そうなお兄さんにスイーツをお届けするという、大事なミッションがあるのです!

 アジトの場所どころか組織の名前すら知らないので、とりあえず貧民街スラムに向かってそこから行き当たりばったりになるけど、『黒眼鏡の男を探している』って言っただけですぐ見つかりそうな気がしますね。


 というわけで、トナカイに乗った旅のメンバーが勢揃いで、意気揚々と貧民街スラムまでやって来ました!


「ここからは慎重に行動しよう」
貧民街スラムは誘拐犯が出たりして危険ですからね」
「素顔のままじゃ危ない」


 そう言ったタマねえが『馬マスク』をかぶったので、ボクも『ハゲヅラ』と『鼻メガネ』を装備し、レオナねえも『虎マスク』を着用して有事に備えた。


「あーあ、もういきなり不審者集団だよ!」
「揉め事を起こすのは禁止ね!」
「絶対に普段の姿の方が情報を仕入れやすいと思いますけど・・・」


 もう慣れたとはいえ、人気ひとけの無い場所に行くのはやっぱり危険なので、とりあえず貧民街スラムの中心に向かって歩き出す。


「HEY!そこの髭モジャのおっさん!」

 自分が話し掛けられたことに気付いた髭モジャがこっちを向いた。

「あ?今のは俺に話し掛けたのか?」
「黒眼鏡をかけた悪そうな顔したお兄さん知ってる?」
「黒眼鏡だあ?・・・おわッッ!なんだその馬人間は!!」
「だから黒眼鏡をかけた男だ。黒いコートを着ていて、背中に骸骨の」
「うわああああ!今度は黄色い変なマスクが!ヒイイィィィィィ!!」


 ―――――髭モジャのおっさんは逃げ出した。


「あ、話してる最中に逃げやがった!」
「アンタらが変な格好してるせいでしょ!」
「周りにいる通行人達も変な顔してこっち見てるよ?」
「人探しには向いてない格好だと思います!」


 チッ、慎重になり過ぎたか!


(おい!変な恰好をしてるが、アレって黄色と黒じゃねえのか?)
(あの服装は見たことあるぞ。おそらく間違いねえ!)
(どうする?俺達も逃げた方がいいんじゃないか?)


「あ、そこの角刈りのお兄さん!」
「ヒイイイイィィィィィ!!黄色と黒だーーーーーーーーーー!」


 角刈りのお兄さんも逃げ出してしまった。


「虎マスク隊長!全然ダメです。話になりません」
「今叫んでた『黄色と黒』って何だよ?」
「えーと、それはたぶんボクとタマねえのことですね・・・」
「久しぶりに聞いたかも!」
「お前ら、この街で何やらかしたんだよ!?」
「別に何もしてないであります!」
「たまにゾウとかサソリに乗って歩いてるだけ」
「やっぱり派手にやらかしてるじゃねえか!」


 おかしいなあ、それをやったのって結構昔の話なんだけど・・・。
 孤児院に迷惑をかけてた奴らを成敗したのって、いつ頃だったっけ?

 最近は貧民街スラムの入り口で悪そうなお兄さんと会話して終わりだったから、ボク達が人畜無害な存在だって広まってないのかもしれないな~。


「クーヤ、あの店!」
「あっ!前に悪そうなお兄さんが吞んだくれてたお店だ!行ってみようよ!」
「お前ら、あんな怪しい店に入ってたのかよ!」


 一縷いちるのぞみをかけて、怪しい飲み屋に突入した。


 ギィーーーーッ


 店の中は酒臭かった。

 昨日の夜からずっと呑んでるのか知らないけど。朝だというのに結構な数のゴロツキが席に着いているのが見える。

 悪そうなお兄さんがいないかと店内を見渡すが、さすがに今回はいないような気がしますね。まだ朝だからな~。


「あ、アレ見たことある!あの紫頭の男」

 タマねえが指差す方向を見ると、前に悪そうなお兄さんの本名をバラしたチンピラ風の男がいた。ちなみに、悪そうなお兄さんの本名は『シュナイダー』である。

「あの紫モヒカンなら、悪そうなお兄さんの居場所を知ってるかも!」
「その『紫モヒカン』って何だ?」
「えーと、あの髪型のことです!」

 側頭部を剃ってるわけじゃないんだけど、髪の毛が立っていてそれっぽいのだ。


 とててててててて


「HEY!紫モヒカンのお兄さん!」
「んあ?・・・なんだこの小っさいおっさんは!?」
「聞きたいことがある」
「ブホッ!!う、馬人間だ!?」

 しまった。変装を解いてくればよかった。

 ドンッ

「馬少女のことは気にせず質問に答えるのです!前に悪そうなお兄さんと会話してたよね?えーと、黒眼鏡の男です」
「黒眼鏡??」
「シュナイダーと呼んでた男のことです!」
「シュ・・・、ああ、ガイアのことか。本名は口に出さないほうがいいぜ?本人に聞かれたらボコボコにされっぞ!」

 前にあンたが言ってたんでしょうが!

「とにかくボクは悪そうなお兄さんのアジトに用事があるのです。どこにあるか教えてください!」
「教えるわけねえだろ!簡単に情報を漏らして許される相手じゃねえっつーの!」
「ボクと悪そうなお兄さんとは知り合いだから、全然問題無いのです!」
「信じられっかよ!いくら金を積まれても情報は漏らさねえぞ!」


 チンピラ風のくせに、意外と義理堅いな~。

 ・・・ああ!悪そうなお兄さんの組織って貧民街スラム最大の組織になったわけだから、昔と状況が変わったってことか。


「だからボクと悪そうなお兄さんは知り合いなの!前に二人で話してるとこ見てたじゃん!」
「はあ?アイツが小っさいハゲじじいと話してた姿なんて記憶にねーぞ!!」


 ぐはッ!自分がハゲてたこと完全に忘れてた!

 しょうがないので、ハゲヅラと鼻メガネを外した。
 ついでにタマねえも馬少女から人間に戻った。


「ぶほッッ!お前ら・・・『黄色と黒』じゃねえか!!つーか馬人間って中身は普通の人間だったのかよ!」
「これで、ボクと悪そうなお兄さんが知り合いだって証明できましたね?」
「お、おう」


 ふ~~~!梃子摺てこずったけど、ようやく話が進められそうです。


 紫モヒカンのお兄さんに、悪そうなお兄さんの組織のアジトがどこにあるのか聞いてみると、知らない店や建物の名前をいくつも出されながら、さっぱり意味不明な説明をされた。


「何言ってるのか全然わからなかったのです。もう面倒臭いのでアジトまで連れてってください。紫モヒカンのお兄さんにもケーキあげるから!」
「ケーキだと!?いやそれより『紫モヒカン』ってのは何だ?」
「その髪型のことなのです。厳密に言うとモヒカンの成り損ないだから、正直全然雑魚すぎて、本物のモヒカンの足元にも及ばないですけどね~」
「何だと!?そいつぁ聞き捨てならねえぞ!!」
「じゃあ悪そうなお兄さんのアジトに連れてってくれるなら、今すぐ本物のモヒカンにしてあげてもいいですよ?」
「わかった!アジトに案内するから、本物の『モヒカン』ってヤツにしてくれ!」


 何か知らんけど、紫モヒカンモドキを本物のモヒカンにすることになりました。

 スイーツを届けるために早くアジトに行きたいのに、なぜボクはこんなわけわからん場所で美容師をするハメになったのでしょうか?
 
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