赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!

ほむらさん

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765 もう後が無い清光さんの大勝負

 アリアダンジョンに転移すると、女神の泉の前で立ったまま闘気を漲らせている白い特攻服姿の男が見えた。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


「普通に立っているだけに見えるけど、おそらくアレは瞑想中」
「恐ろしいほどの気迫だな・・・」
「やった!今日もガチャるのなら清光商店がオープンだ!」
「いい気迫ね。こっちも昨日より狩りのペースを上げるわよ!」

「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


 どれだけ凄まじい気迫でも、ピンポイントでバイクを当てるのは至難の業。

 ピピン隊と男性陣は清光商店のオープンを確信し、限界まで魔石を集める為に無駄話もせず狩りに出発した。

 ちなみにガチャ部屋に向かってゾロゾロ歩いて行ったので、ダンジョンに慣れたってことで今日は2階層を攻めるみたいだな。


「アニキ、ゴーレムの予備魔石まで根こそぎ回収したからには、城に入った瞬間フルボッコにされるのは確定だ。こうなったらもうバイクを出すしかねえぞ!」
「わかっている。袋叩きを恐れているようではバイクを手に入れる事などできん!昨日と違って俺にはもう後が無い。だが勝機はそこにあると思っている」
「背水の陣か・・・」
「出るか出ないかではなく出すんだ!必ず捉えてみせる」
「その気迫なら大丈夫だ。アニキ頑張れ!」
「おう!」

 清光さんが一瞬だけこっちを見た。

「加藤清光、出陣だ!」


 今は声を掛けない方がいいと判断し、敬礼しながら戦士を見送った。

 清光さんの姿が見えなくなってから、虎徹さんがこっちに歩いて来た。


「んで、今日も宇宙刑事合宿か?」
「まだ宇宙刑事合宿は始まってませんけど?」
「いや昨日やってただろ!」
「ファンの子達に『宇宙刑事合宿って結局何階層まで行ったのですか?』と聞かれた時に、『ダンジョン最弱の骨を一日中殴り続けた』と答えたらどう思われます?」
「・・・クソ雑魚刑事だと思われるな」
「そういうことです。今日もウォーミングアップで骨を殴り続けるだけですので、宇宙刑事合宿が始まるのは三日後くらいかな?」
「了解だ!スキルのレベル上げ頑張れよ~!」
「そっちも労役頑張って下さい。明日から清光さんも参加ですね!」
「すげー楽しみだな!」


 というわけで今日も宇宙刑事に変身し、親父と二人で骨を殴り続けた。





 ************************************************************





「あーーーーーたたたたたたたた!ほわちゃあ!」


 高速パンチからの回し蹴りで骨を粉砕した。


「そのキャラクターは違うだろ!お前は赤い流星だ」
「変なこと言わないでくれ。今は宇宙刑事シャアリバーンだ」
「見た目だけはな!」

 もう骨を殴るだけの仕事にも飽きてたので親父と遊んでいると、遠くの方からガヤガヤと話し声が聞こえてきた。

「お?皆帰って来たんじゃねえか?」
「もうそんな時間か。よし、俺達も戻ろう!」


 虎徹さんの部屋に入ると、ルシオ達が勢揃いしていた。
 楽しそうに談笑してるってことは、狩りが上手くいったみたいだ。

 変身を解いて、皆の方に歩いて行く。


「お疲れさん!」
「今日は昨日よりも魔石が集まりましたよ!」
「買い物しまくるよーーーーー!」
「問題は清光さんの方がどうなっているかだな~」
「大丈夫じゃねえか?たぶん一発でバイクをゲットしたとしても、魔石が尽きるまでガチャを回し続けると思うぞ」
「なるほど!出たら出たで次のバイクが欲しくなるってことか。もうそれ無限ループじゃん」


 そんな会話をしながら顔を洗ってサッパリし、聖水を飲んで体力を回復する。

 妊娠中は聖水に触れない方がいいと伝えてあるので、ピピン隊は女神の泉の隣に設置した洗面台で手や顔を洗っている。


「さて、そろそろガチャ部屋に行ってみるか!」

「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


 皆で『今日もガチャ部屋の入り口が家具で埋もれていますように!』と祈りながら、2階層に降りる階段のある部屋に入った。


「「入り口が埋まってるーーーーーーーーーー!!」」

「っしゃーーーーー!今日も清光商店がオープンしてるぞ!」
「でも昨日より少しボリュームが無いような気がする」
「手持ちの魔石が少なかったんじゃねえかな?それでも十分な品揃えだと思うからとりあえず入ってみよう!」


 親父の言う通り、家具がビッチリ詰まってるってほどでもなかったので、昨日ほど苦労しないで家具の隙間をこじ開けて進んでいった。

 そして、テーブルを横に移動させた時だった。


「な、なんだってーーーーーーーーーー!?」

「あ?どうした?」
「何があったの?」


 仲間達の声をスルーして、ガチャの前まで駆けつけた。


「バイクだ・・・」


 顔半分だけ振り返った清光さんが、口端を上げてサムズアップした。


「残り30だ。ギリギリだったが俺の勝ちだ!!」


「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!」」


 家具の海を乗り越えた仲間達も叫びながら集まって来た。


「これも知らないバイクだけど、死ぬほどカッコイイ!!」


 いや、知ってるバイクのような気もするのだが・・・、そもそもこんな先が尖った蜂みたいなバイク・・・蜂?ん~わからん。俺がマンホールに落ちた後で登場した新型なのかもしれんな。

 見ただけじゃハッキリとは分からないが、おそらく大型か750cc。
 ヘッドライトの辺りが尖ってはいるがカウルは無し。
 ガソリンタンクはパールホワイト。赤い小さな謎のロゴがオシャレで格好良い。
 高級感漂う黒いシート、黒いエンジン。
 フロントフォークは赤。ボディーの一部も。
 シルバーと黒に近いシルバーが合わさった重厚なマフラー。


「なんて素晴らしいセンスなんだ・・・」

 フラフラとバイクの側まで吸い寄せられていった。

「やべえだろ?」
「ちょっと持ち上げてみていいですか?」
「構わんぞ」

 ズシッときた。

「200kgくらいあるような気がする。たぶん400ccじゃないな。750cc?」
「俺の読みでもナナハンだ。どちらにせよ魔石によってパワーが変わるから、排気量の違いなど気分的な問題だがな。金カプセルだった」
「金カプセルか!もうこれからは銀以上が出たらドキドキじゃないですか!」
「昨日からずっと心臓がバクバク状態だ。バイクが出た時は心臓が止まりかけた」
「ハハハハッ!でしょうね!!」

 仲間達もバイクの周りに集まって感嘆の溜息を漏らしている。

「このバイクも素晴らしいですな!」
「私もこんな乗り物が欲しい!」
「カッケエエエエエ!」
「ところで今日もお店は開くのよね?」

 エレンの言葉に清光さんが反応した。

「あ、そうだったな。もう魔石が30個しか残ってねえから、今日も沢山買っていってくれ!」

「「っしゃーーーーーーーーーーーーーーー!!」」

「でもバイクは売らねえからな!!」


 というわけで、今日も清光商店がオープンした。

 俺の仲間達が買い物をする姿を満面の笑みで眺めている清光さんだったが、三河の城に帰ったらタコ殴りにされることを完璧に忘れてそうだな・・・。
 
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