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アリア編

128 第一回釣り大会

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まずはアンナちゃん先生の一投目からだ。

アニキが教えた通りに指で糸を押さえて振りかぶる。
そして振り下ろすと同時に指を離すとビューンと飛んで行くのだが、このタイミングがちょっと難しいそうだ。
予想通り一投目は失敗。目の前にポテッと落ちた。指を離すのが遅すぎたな。
二投目はなかなか上手く行き、ヒューンと少し飛んで湖にポチャッと落ちた。

「よし!成功だ!」
「やったあ!」

あとはひたすら魚がエサに食い付くのを待つわけだが、なんかもういきなり魚がかかってるような・・・。

「なんかもう引いてね?」
「はやっ!」
「ん?」

あまり大きな魚だと、アンナちゃん先生が引っ張られて湖に落ちないか不安だったが、そこまでデカい魚では無かったようで一安心だ。

「このハンドルをこうやってグルグル回すんだ」

アンナちゃん先生が頑張ってリールを巻いて行く。
数分後とうとう釣り上げることに成功した!

「釣れたーーーー!!」
「いきなり釣り上げるとはやるじゃねえか!」
「アンナちゃん先生釣りうめえな!」

アニキが針から魚を外してやり、後ろに置いた棺桶9号の中に入れた。もちろん棺桶には聖水が入っている。ちなみに釣り上げた魚の名前はわからん。アニキもわからんようだ。
しばらく聖水の中を泳ぐ魚を三人で見ていたが、釣りを再開することにした。

「アンナちゃん先生だけに良い恰好はさせておけん。俺達も釣るぞ!」
合点承知がってんしょうち!」
「次もわたしが釣るのよ!」

次に釣り上げたのはまたもやアンナちゃん先生で、その次にようやくオレが釣って、アニキは最後だった。

「解せぬ!俺が一番最後とは・・・」
「わははははは!ビギナーズラックとか言うヤツだ!」
「釣りっておもしろいねえ!」


デットヒートのままお昼になったので軽く昼飯を食うことにした。
ただこの世界では1日2食が当たり前らしく、まず昼飯という発想が無い。だがオレもアニキもダンジョンで昼飯を食うことはほとんど無かったので、別に食わないなら食わないで問題無い体質に変化している。

なので昼飯はホントに軽い物にした。ドラゴンチャーシュー丼である。
作り方は簡単。まずお椀にご飯を盛って、アイテムボックスに入れてあるチャーシューを乗せる。そしてマヨネーズをピャーッとかけて完成。
重いだろ!って突っ込まれそうだが、帰ったら魚を焼いて食うのが確定してるで、ただ単に昼は量が少なめなのだ。

「おいしーーー!」
「ドラゴンチャーシューだから当然だな」
「夕食までにまた腹を減らしておかなきゃならんから、おかわりは無しな」
「焼き魚が待ってるしな!」

昼飯の後はまた釣りを再開した。





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「結果発表----!」

緊張の一瞬だ。まあすでに結果はわかってるけど。

「俺9匹、コテツ11匹、アンナちゃん先生15匹」

「やったあーーーーーーーーーー!」
「ガッデーーーーーーーム!」
「大きさなら最後に俺が釣ったのが最強なんだが、今大会は数の勝負だったからアンナちゃん先生の優勝だ!」

パチパチパチと拍手を送る。

「優勝者にはまず優勝トロフィーが。そして副賞で景品が送られます。コテツ、出してくれ」

トロフィーはダンジョンで第四回ゴブリンカップの時に作ったヤツだな。
しかし副賞を話し合いナシでいきなり振られたぞ。んーー、何にしよう?

アイテムボックスを調べると、オレらには必要ないとお蔵入りになったアイテムがあったのを発見した。

「鉛筆の5本セット。そして雫のブローチだ!」

アンナちゃん先生に優勝者トロフィーと景品を授与した。

「このブローチを付けていると火や熱に強くなるという優れモノだ。そして鉛筆は字の勉強の時、紙に文字を書く時に使っているペンだ。これは新品だぞ!」
「やったあーーーー!ありがとーー!」


これにて第一回釣り大会はアンナちゃん先生の優勝で終わった。

そして帰ろうと魚いっぱいの棺桶をアイテムボックスに入れようとして、おかしなことに気付く。

「あれ?アイテムボックスに収納出来ん・・・」

試しにその辺の石を収納してみるとこっちは成功。

「もしかして生き物は入れられないのか?アニキのマジックバッグには棺桶入る?」

「あーダメだ。生き物は無理だったんだなコレ」

たしかに生きた人間とか入ったら誘拐とかされまくるよな。
とにかく一つ謎が解けたのは良かったと言えよう。

「となるとこれは、手で持って帰らなきゃならんくなったわけか」
「少し大変だがまあしゃーない。狭くなるけどこのままボートに乗せるぞ」
「お魚さんは元気ねえ~」

棺桶1個には入りきらず2つ目の棺桶も出してあるんだが、狭い場所に大量に入れてあるにも関わらず魚は超元気だ。これ絶対聖水パワー効いてるだろ。

なんとか2つの棺桶をボートに乗せ、狭い中湖の入り口まで戻る。

そしてアニキと棺桶を一つずつ持ち、三人は歩いて店まで帰ったのだった。
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