七人の愚か者 ー最難関のダンジョンで出会った小学生と暴走族が脱出するために最強を目指す!ー

ほむらさん

文字の大きさ
153 / 183
アリア編

153 レベッカ号を作ろう

しおりを挟む
「乗り物作るのはいいが、どこで作るんだ?」
「うーーーん、私が泊まってる宿屋の裏に空き地があるからそこへ行きましょ」

店を出てバイクに乗ってさらに南に移動すると、レベッカの泊っている宿屋があった。
相変わらずレベッカがギャーギャー騒いでアニキがツッコミまくりだ。
裏の空き地に移動してそこにバイクを止めた。

「ほえー、タイヤって凄いのねえ。硬くて弾力があって」
「代用出来そうな物にアテは無いのか?」
「うーん、思いつかないわね。このタイヤはどうやって作ったの?」
「ガチャだ」
「ガチャ!?こんな物まで出るの!?」
「そういう訳だから作ろうにも作れん。ゴムの木探しからになる」
「ぐぬぬぬぬぬ」

ゴムの木ってたしか南国の木だったよな?この辺には無さそうな気がする。

「まあとにかくタイヤより先に乗り物を作れるかだろ」
「そうね。どんなのがいいかしら?」
「つーか前から思ってたんだが、なぜ誰もゴーレムで乗り物を作らないんだ?」
「ゴーレムって普通は魔物のゴーレムを想像するじゃない。ここまで原型が残ってないゴーレムを作るアナタの方がおかしいわよ!」
「んーーまあ・・・、そうなのか?たしかにコテツなら巨大ロボを作ってただろうな」
「オレなら絶対巨大ロボット作るぞ!もしくは巨大クマだ」
「ハハッ!それは想像出来るわ」
「つーかレベッカの乗り物クマで良くね?タイヤ必要ねーぞ」
「嫌よそんなの!恥ずかしいじゃない!」

レベッカが一人でクマに乗ってる姿を想像してみる。・・・ぷぷっ!
デパートの屋上で子供に混ざって乗り物に跨ってるレベッカとかクッソ笑える!

「何を想像して笑ってんのよ!」
「ハハハッ!コテツが何を想像したのか大体見当ついたぞ。頭の中に今『きらきら星』とか『おもちゃのマーチ』が流れてるだろ?クマだけじゃなく近くにパンダも歩いてるだろ?」
「ワーーーッハッハッハッハッハ!!アニキ、まさにそれだ!ビンゴだ!」
「もう今はアレを置いてるデパートなんてほとんど無いみたいだけどな」
「あーもう!何を話してるのかわからないけど、なんかムカツクわね!」

「なら普通に馬車タイプでいいのか?」
「そうねえ・・・。バイクってのはタイヤが無いと厳しいのでしょ?」
「大破した岩バイクの振動は凄まじかったな。今思えば岩の車輪もきっとすぐ壊れる。岩って振動に極端に弱いだろ?少し走っただけですぐ割れるんじゃねーかな」
「確かにすぐ壊れそうね。けどそうなると馬車も無理じゃないの?」
「体積が重くなるだろうから支える車輪に全ての負担が行くだろうな。となると頑丈な車輪を作るか、岩の部分を動力源だけとして使う作戦か、もしくは小型にするかだ」
「動力源ってのがよくわからないわ」
「んとな」

アニキが地面に極小魔石を置き、ただ長方形なだけの岩ゴーレムを作った。足元には四角い4本の棒が出ている。その次に骨剣を変形させて小さい4つの車輪を作った。

なるほど。プラモデル方式だな。

「回れ」

長方形ゴーレムの4本の棒が勢いよく回り出す。それをレベッカに確認させてから回転を止める。

「この出っ張っている四角い棒に、鉄の車輪をセットするわけよ」

車輪をくっつけた長方形ゴーレムが走り出した。

「へーーー!これは凄いわ」
「でもこれだと単純すぎて曲がれないけどな」
「あーー!ダメじゃない!」
「行きたい方向に曲がるにはハンドルが必要だ」

アニキがバイクを見せて説明。車のハンドルの仕組みも説明して、どっちにするかはレベッカに選択させるようだ。正直オレにはちんぷんかんぷんだぞ。

そしてまずは一度作れって事で、レベッカが車ゴーレムを作り始めた。

「さて、暇になったな」
「アニキ、クマとパンダの乗り物作ってくれ!それでレースしようぜ」
「ハハッ!いいなそれ!」

アニキが(小)魔石を地面に置いて、クマちゃん号とパンダちゃん号を簡単に作り上げた。
一応丸いハンドルが付いていて操縦可能だそうだ。まさにデパートのアレじゃん!

「補助の車輪が付いてないバージョンにしたから少し作るの梃子摺ったわ。滑らかに歩かせるのが意外と難しいのな」
「本物の動物と違って足短いしな!」

絵の具を取り出し、パンダの目元を黒く塗ってクマの鼻も黒く塗った。

「ハハハハッ!完璧じゃねえか!」

地面にスタートラインを引いて二人とも位置につく。
もちろんオレがクマちゃん号でアニキがパンダちゃん号だ。

「空き地を左回りに、先に一周した方が勝ちね」
「パンダちゃんに敗北の二文字は無い」
「なんの!パンダがクマに勝とうなど笑止千万」

「んじゃ準備はいいな?3・2・1・ゴー!」

スタートボタンを押すと、クマとパンダが短い足でウニョウニョ歩き出す。

「プハハハッ!おっせえ!」
「これでもデパートのアレより数倍速いハズだぞ」

まったく同じ性能なのでデッドヒートだ。
だがアニキよ!一つ大事なことを忘れてるぞ。

第一コーナーを曲がった時、アウトコースにいたアニキが置いて行かれた。

「なんてこった!アウトコース不利すぎるだろ」
「フハハハハー!天は我に味方したようだな!」

そして第三コーナーを曲がった時、パンダちゃん号がもの凄い加速で追い上げて来た。

「な、なんだとーーーー!?」
「走れー!クマを抜き去るぞ!パンダちゃん」


第四コーナーを曲がって、最後の直線を制したのはパンダちゃん号だった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...