1 / 34
1 伯爵令嬢になりました
しおりを挟む
「奥様、お嬢様、お待ちしておりました」
立派な玄関の前にずらりと使用人が並び、私と母を出迎える。今日からここ、王都セトにあるホークボロー伯爵邸が私たちの家になるのだ。
「アイリス!僕のハニー!それにデイジー!よく来たね、待ってたよ!」と見るからに人の良い笑顔で出迎えてくれたのが、母の再婚相手であるホークボロー伯爵。
ホークボロー伯爵領の中心都市パルバラで、亡夫から受け継いだ靴屋を切り盛りしながら、一人娘である私を育てていた母は、お客として靴屋を訪れた伯爵様と出会い、愛を育み、再婚したのだ。
伯爵様と再婚するなんて予想外すぎたけど、一緒にいる時の二人は本当に幸せそうだし、伯爵様は私にもとても良くしてくださるので、私が母の再婚に反対する理由はひとつもなかった。住み慣れたパルバラを離れ、伯爵様が普段生活している王都に引っ越すことになったとしても。
内装もこれまた立派なお屋敷の中に通されると「早速、息子たちに紹介してもいいかな。私の大切なアイリスを早く紹介したくて、ウズウズしていたんだよ」と伯爵様。あ、アイリスは母の名前です。
うちの靴屋が丸ごと十個くらい入りそうな広い広いリビングには、見たこともない高そうな置物や壺が並べられている。触って壊さないように気をつけないと…それに"あの二人"にもよく言い聞かせておかないと…
リビングには若い男性が三人、私たちを待っていた。
「紹介するね!長男のアレン、24歳だよ」
伯爵様と同じ金髪碧眼を持つ男性が会釈して「アレンです。王都治安部隊の副隊長をしています」と挨拶する。王都治安部隊は軍の部隊のひとつで、王都の犯罪を取り締まるお仕事だと伯爵様が補足してくれた。髪と目の色は同じだけど伯爵様とは違うクールな顔立ちで、厳しく怖そうな印象だ。怒ったらめっちゃ怖そう…怒らせないようにしよう。
「こっちが次男のイーライだよ。彼は21歳」
紫の髪にグレーの目をしたミステリアスな男性が無言で頭を下げる。この髪と目は母譲りなのかな?顔立ちはアレン様とよく似ている。そして、言われなくても、身につけているローブで職業は一目瞭然…イーライ様は魔法使いだ。「王宮の魔術課に所属しているんだよ」と伯爵様。私のほうをじっと見ているが、無表情なので、何を考えているか全然わからない。アレン様とは違う感じで怖い。とりあえず怒らせないようにしよう。
「そして、三男のカラバス20歳」
少し長めの金髪の男性が「よろしくね!僕は画家をしていて、専門は王族や貴族の肖像画だよ!きれいなお母様と可愛い妹ができて嬉しいよ!」とウインクした。目も伯爵様やアレン様と同じ碧眼だ。顔立ちは伯爵様に似て、大きな目に上がった口角が男性にしては可愛らしい。フレンドリーだけど見るからにチャラそう。
タイプは違うけれど三人揃ってイケメンの兄弟。しかも身なりも良くて、キラキラ度数がすごい。栗色の髪に茶色の目、パルバラでは「靴屋の看板娘」だったとはいえ、見た目も地味で平凡な私が、このキラキラ三兄弟の妹になるなんて…
キラキラオーラに圧倒されながら、母に続いて「アイリスの娘、デイジーです。16歳です。今日からよろしくお願いします」と挨拶する。
と、カラバス様が「16歳なの!?もっと年下かと思ったよ。普段あんまりお化粧はしないほう?興味があればお化粧とかドレスアップ、僕が指南してあげる!職業柄、王族貴族の最新流行には敏感なんだ」とまたウインクする。
おぼこくてすいません、田舎の町娘なもんで…と思いながら「ありがとうございますカラバス様」と返事すると「やだな、お兄様って呼んで」と軽く返される。ほんとこの人フレンドリーだなぁ。ありがたいけど。
「はいカラバスお兄様」
「やーん、うれしー!」
「ところで…」とそれまで一言も喋らなかったイーライ様が口を開いた。イーライ様が喋るのがよほど珍しいのか、伯爵様、アレン様、カラバス様も驚いた顔をしている。
「妹殿、肩に乗っている"それ"は何だ?」
立派な玄関の前にずらりと使用人が並び、私と母を出迎える。今日からここ、王都セトにあるホークボロー伯爵邸が私たちの家になるのだ。
「アイリス!僕のハニー!それにデイジー!よく来たね、待ってたよ!」と見るからに人の良い笑顔で出迎えてくれたのが、母の再婚相手であるホークボロー伯爵。
ホークボロー伯爵領の中心都市パルバラで、亡夫から受け継いだ靴屋を切り盛りしながら、一人娘である私を育てていた母は、お客として靴屋を訪れた伯爵様と出会い、愛を育み、再婚したのだ。
伯爵様と再婚するなんて予想外すぎたけど、一緒にいる時の二人は本当に幸せそうだし、伯爵様は私にもとても良くしてくださるので、私が母の再婚に反対する理由はひとつもなかった。住み慣れたパルバラを離れ、伯爵様が普段生活している王都に引っ越すことになったとしても。
内装もこれまた立派なお屋敷の中に通されると「早速、息子たちに紹介してもいいかな。私の大切なアイリスを早く紹介したくて、ウズウズしていたんだよ」と伯爵様。あ、アイリスは母の名前です。
うちの靴屋が丸ごと十個くらい入りそうな広い広いリビングには、見たこともない高そうな置物や壺が並べられている。触って壊さないように気をつけないと…それに"あの二人"にもよく言い聞かせておかないと…
リビングには若い男性が三人、私たちを待っていた。
「紹介するね!長男のアレン、24歳だよ」
伯爵様と同じ金髪碧眼を持つ男性が会釈して「アレンです。王都治安部隊の副隊長をしています」と挨拶する。王都治安部隊は軍の部隊のひとつで、王都の犯罪を取り締まるお仕事だと伯爵様が補足してくれた。髪と目の色は同じだけど伯爵様とは違うクールな顔立ちで、厳しく怖そうな印象だ。怒ったらめっちゃ怖そう…怒らせないようにしよう。
「こっちが次男のイーライだよ。彼は21歳」
紫の髪にグレーの目をしたミステリアスな男性が無言で頭を下げる。この髪と目は母譲りなのかな?顔立ちはアレン様とよく似ている。そして、言われなくても、身につけているローブで職業は一目瞭然…イーライ様は魔法使いだ。「王宮の魔術課に所属しているんだよ」と伯爵様。私のほうをじっと見ているが、無表情なので、何を考えているか全然わからない。アレン様とは違う感じで怖い。とりあえず怒らせないようにしよう。
「そして、三男のカラバス20歳」
少し長めの金髪の男性が「よろしくね!僕は画家をしていて、専門は王族や貴族の肖像画だよ!きれいなお母様と可愛い妹ができて嬉しいよ!」とウインクした。目も伯爵様やアレン様と同じ碧眼だ。顔立ちは伯爵様に似て、大きな目に上がった口角が男性にしては可愛らしい。フレンドリーだけど見るからにチャラそう。
タイプは違うけれど三人揃ってイケメンの兄弟。しかも身なりも良くて、キラキラ度数がすごい。栗色の髪に茶色の目、パルバラでは「靴屋の看板娘」だったとはいえ、見た目も地味で平凡な私が、このキラキラ三兄弟の妹になるなんて…
キラキラオーラに圧倒されながら、母に続いて「アイリスの娘、デイジーです。16歳です。今日からよろしくお願いします」と挨拶する。
と、カラバス様が「16歳なの!?もっと年下かと思ったよ。普段あんまりお化粧はしないほう?興味があればお化粧とかドレスアップ、僕が指南してあげる!職業柄、王族貴族の最新流行には敏感なんだ」とまたウインクする。
おぼこくてすいません、田舎の町娘なもんで…と思いながら「ありがとうございますカラバス様」と返事すると「やだな、お兄様って呼んで」と軽く返される。ほんとこの人フレンドリーだなぁ。ありがたいけど。
「はいカラバスお兄様」
「やーん、うれしー!」
「ところで…」とそれまで一言も喋らなかったイーライ様が口を開いた。イーライ様が喋るのがよほど珍しいのか、伯爵様、アレン様、カラバス様も驚いた顔をしている。
「妹殿、肩に乗っている"それ"は何だ?」
419
あなたにおすすめの小説
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた
小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。
7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。
ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。
※よくある話で設定はゆるいです。
誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない
紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。
完結済み。全19話。
毎日00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる