靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき

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34 その後

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あのならず者たちは、予想通り、サワジ殿下に雇われたものだった。喉から手が出るほど解魔師が欲しかったらしい。

公正な裁きを受けさせるという条件でセトルスはサワジ殿下の身柄をニトレマに返し、代わりにニトレマからサワジ殿下直轄領の割譲を受け、事態は収束に向かったのだった。

そしてホークボロー伯爵家では、当然のことながらいろんな変化が起こっていた。

まず私たちの婚約を機に、お父様がアレン様に家督を譲った。そして、貴重な解魔師(私のことだけど)奪還の功績が認められ、ホークボロー伯爵家は侯爵家に格上げ、ニトレマから割譲された領地の一部を与えられ、アレン様はホークボロー侯爵になった。

イーライお兄様は、あの夜怒りが収まらずにこっそりサワジ殿下に攻撃魔法を仕掛けていたことが発覚し(本人曰く、攻撃じゃなく悪戯レベル)、王都から遠く離れた港町ポルトナで、魔法関連の密輸品を取り締まる役職に左遷された。

ホークボロー家一同は「あのクソサワジのために左遷されるなんて!」と憤ったが、本人は「港町の自由な空気が俺を呼んでいる」「サルトスが2~3年くらいで王都に戻してくれるはず」と飄々と左遷されていった。ちなみに、どんな悪戯をしたのかは、何度聞いてもニヤリとするだけで教えてくれなかった。

カラバスお兄様は王都から少し離れた古都パヴァロにアトリエ付きの家を買い、引っ越した。

「お兄様のおかげで、私はホークボロー家にも社交界にも馴染めました。お兄様がいなかったらどうなっていたか…お兄様は大切で特別な方です」
「嬉しいこと言ってくれるね!僕にとってもデイジーはずっと大切な人だよ。デイジーのこと諦めたけど、好きだって気持ちが消えたわけじゃないから」
「はい」
「困ったことがあったら、いつでもおいで。パヴァロはとてもきれいな街だよ」

そんなしみじみするやりとりをしてお兄様はホークボロー邸を去っていった。が、しばらくして様子を見にいったジェニンに食生活の乱れをこっぴどく叱られ、今ではほぼ毎週末ホークボロー邸にごはんを食べに来ているのだから笑ってしまう。

私とアレン様は、私が18歳になったら、王宮で国王陛下ご夫妻や王太子殿下ご夫妻の臨席も賜って、結婚式を挙げることになった。今は準備に忙しい。

今は結婚式の進行を担当してくれる王宮の担当者との打ち合わせを終え、リビングのソファでアレンと二人、お茶にしている。

「ふぅ…」
「疲れたか?」
「はい、少し。結婚式の準備って、楽しいけど大変ですね」
「そうだな。俺も少し疲れた」

そう言ってアレン様は私を抱きしめてキスをする。「栄養補給しないと」と言いながら、キスが深く激しくなっていく。婚約してからというもの、アレン様は一時期のカラバスお兄様以上のキス魔なのだ。

「結婚するのが待ち遠しい」
「私も…です…」

お茶係のジヴァが真っ赤な顔でリビングから逃げ出し、夕食を食べに来たカラバスお兄様が通りすがりに「やれやれ」とため息を漏らし、師匠と弟子がニヤリと顔を見合わせたのにも気がつかなかった。

おわり。
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