読んできたよ〜！をここで（笑）。


いや〜ん、な始まりでしたがレラ公は本命とは報われないけど、あのお顔だからもぐもぐもぐもぐしまくった人生だったんだろうなぁ…、と改めて思いました。このシリーズの中で今のところ他国の酒池肉林以外では、ヴァシレウス様に次ぐ猛者っぷりなんじゃ………。

か、確信犯！

　ユキレラはおっそろしか大聖女に会う

　やっとカーナ王国に着いたのに、今弟子達と野営していると聞かされたユキレラ。
　（野営？なんか食料調達すんべか）
　後にこの時の判断を死ぬ程後悔するなど分かるはずもなく、イソイソと準備する。
　野営地から迎えに来たのはトオン。
　「本当にルシウスさんそっくりですね」
　無垢な目（純度千%）を真面に浴びた汚れちまった忠犬は危うく滅びそうになった。
　魔王に地獄を見せた男はその忠犬なら視線だけで滅ぼせるらしい。
　（流石、ご主人様の弟子なんだっぺ！視線だけで死ねると思ったっぺ！）
　辛うじて生き延びたユキレラ。上には上がいる、という世の理を失念していた。
　こうして合流したその地で、地面に寝そべり腹を見せ、完全服従しているどデカイ白い物体を見た瞬間、昇天しかけた。
　（アレ、どーみても狼だよね？？白いってまさか神狼？？どしてこんなトコで神の眷族が腹見せて完全服従してんの？？）
　正気に無理矢理復活させられたユキレラ。しかし、やはりそこにいたのは神狼であった。今尚、寝そべったままだ。
　「神狼は僕ら只人に腹を見せたくないそうなので、余り見ないで下さい。彼が服従しているのはぼ、僕の恋人である聖女アイシャなので」
　そこでどうして言い淀む？そして照れる？
チキン野郎の匂いを察知したが言葉にはしなかった。
　「私の忠実なワンちゃんよ。スタンビートの時は人間と一緒に戦わなきゃいけなかったから助けは断ったの。カズンと合流するなら一緒に来て貰わなきゃ」
　待って、犬違う狼。それも神狼！
　突っ込んでいいの？？それ、カズン様の迷惑なんじゃ？
　「彼女が聖女アイシャ。僕の恋人」
　てへっ、と照れて許せる相手はそう多くない、という世の真理をこの時ユキレラは学んだ。（要するにイラッとした）
　「これから一緒に旅をする仲間になるんでしょ？よろしくね！賢者の末裔さん！」
　そしてこの日。ユキレラは最大級の爆弾を投下されて撃沈した。（チーン！）

　天の四職あり。
　聖者、聖女は複数存在するが、勇者、預言者、賢者は世に一人づつしか存在しない。
　存在する事が希有な賢者の末裔なる称号がアイシャには見えた。
　尚、彼の母国へアイシャが提出した大王仇討ちのユキレラ参加要請に女王は快諾と同時に全面支援を表明した。

　ユキレラ:（嫌だっぺ！）

選ばれなかった！（笑）

　ユキレラ、師匠に恩返しする！

　ユキレラはどんよりとした気分でリースト伯爵邸前に立った。怒濤の如き昨今のアレコレが脳裏をよぎる。
　（世知辛い世の中だっぺ！ヨシュア坊っちゃんが十代で当主！カイル様は血迷いすぎだっぺ！あの性悪女共の最期が悲惨なモンなの当然だし！）
　思い出してはいけない記憶だ。
　主人一筋忠犬レラ公にも踏み入れてはならない領域は存在する。
　「ユキレラ？どうしたんだい？」
　ルシウスの従者としてではなく、リースト男爵子息としての訪問にヨシュアが首を傾げながらも歓迎してくれた。
　「本日は私、ユキレラ個人として、師であるヨシュア様の伯爵家当主就任をお祝いしたく参りました」
　「確かに師匠と言われればそうだが」
　「実は譲渡に参りました。私がリースト伯爵家に参りました時、メガエリス様より魔法剣を譲り受ける事になった際、カイル様がメガエリス様の剣を受け取り、代わりにご自分の剣を私に譲られたのです。カイル様は急な事でヨシュア様にご自身の剣を譲る機会はありませんでした。代わりと言っては何ですが、私が持つ剣とヨシュア様の剣を交換してはどうかと」
　ヨシュアはこの申し出に苦笑いした。
　リースト伯爵一族のカイルの評価は最低値だ。わざわざ自身の剣を減らしてまで譲り受ける価値はほぼない。
　だが交換ならば問題はない。
　目の前の男が立派に喰えないリースト伯爵一族の男になった事を悟った。
　「有難く貰い受けるよ」

　後にこの剣にユキレラが自身の幸運値を1削ってまで付与した《起死回生》スキルがヨシュアを最大の危機から救う事となる。
　何故こんなスキルをユキレラが付与する事が出来たのか。
　それはアケロニアを震撼させた恐ろしい事件発生より5年後、カーナ王国にいる聖女アイシャとの出会いまで謎のままとなった。

　ユキレラ:「出来たモンは出来たんだべ。どうやって？せめてあん位はしとかんと師匠が危ねぇ気ぃして。死者が立て続いてたべ？二度ある事は三度ある！魔法剣は二本無くなったけんど命にゃ代えられないし！ヨシュア坊っちゃんの身代わりになったんならカイル様も本望しょ？」

　ヨシュア:（ユキレラ、怖い男！）

　本邸勤務使用人一同:（舐めてはいけない！リースト伯爵家の血を濃く受け継ぐ方は皆、非凡なのだ！）

　世間一般:（お前達もな！！）