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ルシウス君、覚醒編
飯マズなりに工夫してます
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冒険者ギルドのココ村支部内の食堂は、ギルド内の憩いの場になっていることもあり、建物内で一番広い場所だ。
建物内、一階受付の正面に入口がある。
入ると、建物はレンガ造りだが、食堂内はログハウス風のなかなか味のある木造になっている。
向かって奥に厨房があり、そこで料理人に注文して代金を支払う。
あるいは、支部に常駐する職員・冒険者用に販売されている、一ヶ月ごとのフリーパスを料理人に見せるかだ。ココ村支部ではこちらの利用者のほうが多い。
食堂は24時間いつでも出入り可能だが、料理人は午前9時から夜の9時までしかいない。
テーブル席とは別に、壁際に棚と長机がある。
予備の調味料やパッケージされた市販の菓子やパン、魔導具の冷蔵庫にドリンク、湯沸かし用の魔導具ポットと茶葉やコーヒーのティーバッグ、紙コップなどが置いてある。
飲み物は冒険者証を持つ冒険者なら無料、菓子やパンなどは脇にある料金ボックスに一個につき銅貨一枚(約百円)入れれば良い。
「そういえばさ、長机のとこに置いてある丸い生地って何あれ?」
カゴの中に、丸く伸ばして軽く焼いた小麦の生地の皮が入っているのが、ルシウスは前から気になっていた。
薄い塩味が付いているが、単独で食べてもあまり面白味がないし、ちょっとぽそぽそしている。
この小麦の皮は、例の飯マズ臨時料理人の当番の日にしか置かれていない。
今日は昼食と夕食の部だけの出勤と聞いて、あの男を嫌っているルシウスはパンとお茶だけ、朝食の早い時間に食べに来たのだ。
「ありゃあ苦肉の策だ。とりあえず適当に小麦の皮で肉でも魚でも巻いてソースぶっかけりゃ、それなりに食える」
こちらも朝食に来ていた髭面ギルドマスターのカラドンが教えてくれた。
前日のうちに、いつもの料理人のオヤジさんに用意しておいてくれるよう頼んであるのだ。
カゴに入れて布巾を被せておけば生地が乾燥することもない。
ルシウスがココ村支部にやってくる前から、職員や冒険者たちはあの飯マズに耐えているのだ。
見た目はふつうの料理だが、とにかく不毛で味がない。
ほぼ週一だけの試練だからこそ、何とか耐えている状況だった。
しかし、飯マズ料理でも食べないことには始まらない。ギルドのあるココ村海岸には、現在では他に食事できる場所もなかった。
それでいろいろ工夫した結果、ブリトーとして小麦粉の皮トルティーヤで飯マズ料理を巻いてチリソースやドレッシングなどかけて巻けば、まあまあいけるらしい。
「俺の故郷だとアボカドっていうクリーミーな果実を入れるんだけどよ。ゼクセリア共和国にはないんだよな。対岸のカーナ王国にはあるのに」
カラドンは残念そうだ。
そんな話を聞きながら、ルシウスは三つチョイスした惣菜パンと菓子パンを、もっきゅもっきゅと咀嚼し腹に詰め込んでいた。
特にツナとチーズのフィリング入り揚げパンが美味しい!
例の飯マズ料理人の当番の日で朝から憂鬱だったが、こうしたパンや菓子でも、売店の味気ない携帯食に比べれば、はるかにマシだった。
ルシウスはあの飯マズ料理人と相性が悪い。
一方的に敵視されていることもあり、彼の出勤日は相手と顔を合わせぬよう一日食堂を避けねばならなかった。
顔を合わせれば不快な目に遭うのだから仕方がない。
このカラドンらギルドの面々に心配をかけさせるのも申し訳なかった。
下手にトラブルを起こすと、自分をココ村支部に派遣したアケロニア王国の王族の皆さんの顔も潰してしまう。
まだ子供のルシウスだが、その辺はおうちのパパからお手紙で繰り返し念押しされていた。
『良いかルシウス、我が愛しの息子よ。お前はアケロニア王国の代表としてそのギルドに居るのだ。くれぐれも、己の立場を自覚しトラブルを起こすことなく、上手く立ち回るように!』
(わかってますうー。だから面と向かって対峙しないで頑張ってるもんー)
朝昼晩の三食とおやつのほとんどを携帯食で過ごす悲しいことになっても、誰にも文句を言っていない。
何なら、海岸でお魚さんを魔力の火で炙って食べれば良いわけだし。
以前、前日のうちに作り置きをいつもの料理人のオヤジさんに頼んだら、夏場で傷みやすいし、魔法樹脂で固めておくにしても衛生法の規則上好ましくないと申し訳なさそうに断られてしまったのだ。
かといって食堂に行けば、飯マズ料理人が嫌味を言って突っかかってくるのがウザい。
あの男が食堂に入るのは週に一日、多くても二日。
いつもの料理人のオヤジさんがいないときのシフトはあらかじめわかっているから、ルシウスは携帯食を利用して、男の作る料理はできる限り食べないようにしていた。
そういったルシウスの態度が気に入らないようで、何かとまた男がルシウスに難癖をつけてくるのだから困ったものである。
本当なら食堂にも行きたくないのだが、そうすると海からモンスターが来たとき初動が遅れてしまうし、勉強をするにも借りている宿直室の机は狭くて使いづらい。
仕方ないから、その日だけは食堂の入り口近くの窓際の席で、厨房に背を向けてひっそりと待機するようにしていた。
飯マズ料理人は、シフトの日は退勤時刻までほとんど厨房から出てこないので、それで何とかやっていけるはずだった。
建物内、一階受付の正面に入口がある。
入ると、建物はレンガ造りだが、食堂内はログハウス風のなかなか味のある木造になっている。
向かって奥に厨房があり、そこで料理人に注文して代金を支払う。
あるいは、支部に常駐する職員・冒険者用に販売されている、一ヶ月ごとのフリーパスを料理人に見せるかだ。ココ村支部ではこちらの利用者のほうが多い。
食堂は24時間いつでも出入り可能だが、料理人は午前9時から夜の9時までしかいない。
テーブル席とは別に、壁際に棚と長机がある。
予備の調味料やパッケージされた市販の菓子やパン、魔導具の冷蔵庫にドリンク、湯沸かし用の魔導具ポットと茶葉やコーヒーのティーバッグ、紙コップなどが置いてある。
飲み物は冒険者証を持つ冒険者なら無料、菓子やパンなどは脇にある料金ボックスに一個につき銅貨一枚(約百円)入れれば良い。
「そういえばさ、長机のとこに置いてある丸い生地って何あれ?」
カゴの中に、丸く伸ばして軽く焼いた小麦の生地の皮が入っているのが、ルシウスは前から気になっていた。
薄い塩味が付いているが、単独で食べてもあまり面白味がないし、ちょっとぽそぽそしている。
この小麦の皮は、例の飯マズ臨時料理人の当番の日にしか置かれていない。
今日は昼食と夕食の部だけの出勤と聞いて、あの男を嫌っているルシウスはパンとお茶だけ、朝食の早い時間に食べに来たのだ。
「ありゃあ苦肉の策だ。とりあえず適当に小麦の皮で肉でも魚でも巻いてソースぶっかけりゃ、それなりに食える」
こちらも朝食に来ていた髭面ギルドマスターのカラドンが教えてくれた。
前日のうちに、いつもの料理人のオヤジさんに用意しておいてくれるよう頼んであるのだ。
カゴに入れて布巾を被せておけば生地が乾燥することもない。
ルシウスがココ村支部にやってくる前から、職員や冒険者たちはあの飯マズに耐えているのだ。
見た目はふつうの料理だが、とにかく不毛で味がない。
ほぼ週一だけの試練だからこそ、何とか耐えている状況だった。
しかし、飯マズ料理でも食べないことには始まらない。ギルドのあるココ村海岸には、現在では他に食事できる場所もなかった。
それでいろいろ工夫した結果、ブリトーとして小麦粉の皮トルティーヤで飯マズ料理を巻いてチリソースやドレッシングなどかけて巻けば、まあまあいけるらしい。
「俺の故郷だとアボカドっていうクリーミーな果実を入れるんだけどよ。ゼクセリア共和国にはないんだよな。対岸のカーナ王国にはあるのに」
カラドンは残念そうだ。
そんな話を聞きながら、ルシウスは三つチョイスした惣菜パンと菓子パンを、もっきゅもっきゅと咀嚼し腹に詰め込んでいた。
特にツナとチーズのフィリング入り揚げパンが美味しい!
例の飯マズ料理人の当番の日で朝から憂鬱だったが、こうしたパンや菓子でも、売店の味気ない携帯食に比べれば、はるかにマシだった。
ルシウスはあの飯マズ料理人と相性が悪い。
一方的に敵視されていることもあり、彼の出勤日は相手と顔を合わせぬよう一日食堂を避けねばならなかった。
顔を合わせれば不快な目に遭うのだから仕方がない。
このカラドンらギルドの面々に心配をかけさせるのも申し訳なかった。
下手にトラブルを起こすと、自分をココ村支部に派遣したアケロニア王国の王族の皆さんの顔も潰してしまう。
まだ子供のルシウスだが、その辺はおうちのパパからお手紙で繰り返し念押しされていた。
『良いかルシウス、我が愛しの息子よ。お前はアケロニア王国の代表としてそのギルドに居るのだ。くれぐれも、己の立場を自覚しトラブルを起こすことなく、上手く立ち回るように!』
(わかってますうー。だから面と向かって対峙しないで頑張ってるもんー)
朝昼晩の三食とおやつのほとんどを携帯食で過ごす悲しいことになっても、誰にも文句を言っていない。
何なら、海岸でお魚さんを魔力の火で炙って食べれば良いわけだし。
以前、前日のうちに作り置きをいつもの料理人のオヤジさんに頼んだら、夏場で傷みやすいし、魔法樹脂で固めておくにしても衛生法の規則上好ましくないと申し訳なさそうに断られてしまったのだ。
かといって食堂に行けば、飯マズ料理人が嫌味を言って突っかかってくるのがウザい。
あの男が食堂に入るのは週に一日、多くても二日。
いつもの料理人のオヤジさんがいないときのシフトはあらかじめわかっているから、ルシウスは携帯食を利用して、男の作る料理はできる限り食べないようにしていた。
そういったルシウスの態度が気に入らないようで、何かとまた男がルシウスに難癖をつけてくるのだから困ったものである。
本当なら食堂にも行きたくないのだが、そうすると海からモンスターが来たとき初動が遅れてしまうし、勉強をするにも借りている宿直室の机は狭くて使いづらい。
仕方ないから、その日だけは食堂の入り口近くの窓際の席で、厨房に背を向けてひっそりと待機するようにしていた。
飯マズ料理人は、シフトの日は退勤時刻までほとんど厨房から出てこないので、それで何とかやっていけるはずだった。
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