家出少年ルシウスNEXT~聖剣の少年魔法剣士、海辺の僻地ギルドで無双する

真義あさひ

文字の大きさ
141 / 217
ルシウス君、称号ゲット!からのおうちに帰るまで

夢の中で仔竜と再会しました!

しおりを挟む
 その日の晩、ルシウスは夢の中であの綿毛竜コットンドラゴンの仔竜と再会した。



『ピュイッピュイッ!』
(人間の子よ! この間はボクを助けてくれてありがとう!)

 小さな仔竜は勢いよくルシウスの胸の中に飛び込んできた。
 ぽふん、と白く柔らかな羽毛に覆われた仔竜を受け止めると、その背中には魔法樹脂の透明な翼がぱたぱたと動いていた。

 その翼や小さなふわふわ羽毛の頭を優しく撫でてやりながら、

「新しい翼は大丈夫? 不具合があったらまた来てね。調整するから」

『ピュッ、ピュイッ』
(全然平気! クールでハイカラだねって仲間たちに褒められてるよ!)

 ルシウスの腕の中で仔竜は自慢げに胸を張った。可愛い。

「そっかあ。……あのね、君の翼をあの後見つけたんだけど、薬師の人にポーションにしてもらって飲んじゃったんだ。ごめんね」

『ピューイッ!』
(問題ないよ! 君がボクの一部を取り込んでくれたお陰で、ボクはこうして君に会いに来れたんだもの)

「あ。加護をありがと。でもここ、夢の中でしょ。現実世界では会えないの?」

『ピュアア……』
(お母ちゃんがもっと大きくなるまでは群れの中から出たらダメだって)

 魔法樹脂の透明な翼は目立つ。
 少なくとも自衛できるぐらい大人になって、竜種らしい強さを身につけるまでは駄目と言われたそうだ。

「そっか。じゃあ再会できるのはお互い大人になってからだね。楽しみにしてる」

『ピュイッピュイッピュイッ!』
(ボクも! ボクもまた君に会いたい! 大人になったら君を乗せて空を飛びたいな!)

「お空! 楽しみ! 楽しみにしてる!」

『ピュイッピュイッ』
(楽しみ! 楽しみ!)



「! そうだ、忘れてた! ねえ君、君の翼をむしった相手のことを教えて!」

 お別れする前に、聞いておかねばならないことを思い出せた。

『ピューピュイッ!』
(人間の男だよ。気持ち悪い魔力を持ってて、ボクは森で果物を食べてるときに捕まったんだ)

「森……」

 ココ村海岸から内陸部、最寄り町とは反対方向に該当する地域がある。
 そしてハッと気づいた。

「もしかして、あの飯マズ男、森林地帯に潜伏してるのかも」

 これはあの男を調査しているサブギルマスのシルヴィスに報告せねばならない。

 それから、仔竜を襲った男の特徴を確認すると、間違いない。
 あの飯マズ男ケンの外見的特徴と一致した。

『ピューピュイッ』
(あの男、ボク以外にも魔物や動物を痛めつけてたみたいだ。君も気をつけて)



 そうしてひとしきり、もふもふな綿毛竜コットンドラゴンの仔竜と戯れた後で。
 仔竜はルシウスの腕の中からぴょんっと空中に飛び出した。

『ピュイッピュッ』
(そろそろ帰るね。ボクに翼を付けてくれたあの容赦のないお姉さんにもお礼を言ってくれるかい?)

「ロータスさんに? あ、そういえば僕もまだお礼言ってなかった」

 あのときは仔竜の翼を魔法樹脂で修復するなりの母竜来襲でそれどころではなかったのだ。



『ピュイッピュイッ』
(あとね、ボクに君から名前を付けてほしいんだ。カッコイイやつ頼むよ!)

「えっ、名前!? ええと~」

 目の前に浮いている仔竜を、ルシウスは湖面の水色の瞳でじっと見つめた。

「羽毛ふわふわ……フワン?」

 安直すぎる。仔竜の反応は芳しくない。

「お腹ぷくぷくだねえ。プーちゃん?」

 ギュルウ~と仔竜が鳴く。不満そうだ。

「お腹ぽんぽんもしてるから、ポンポン君とかポポン君とか」

 グギャア~! と仔竜が低く唸った。
 却下!
 君、ネーミングセンスないね!

「仕方ないなあ。じゃあ羽毛が雪みたいだからユキノ君だ。ユキノ・リースト。今この瞬間から君は僕んちリースト伯爵家の一員だよ」

「ピュイッピュイッ♪」

 これは大当たり!

 かくして仔竜ユキノはルシウス少年に竜の加護を与え、今後それなりに長い付き合いとなるのである。




--
リアルで再会できるのは、おうちに帰った後ですね


AIのお絵描きばりぐっどくんで作成、綿毛竜コットンドラゴンのユキノくん。
大人になると前脚と後脚が発達してくるかな~
しおりを挟む
感想 291

あなたにおすすめの小説

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する

鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。 突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。 しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。 魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。 英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...