炎上乙女ゲー聖杯伝説~結婚当日に友人王女が婚約者を寝取って婚約破棄なので諦めてた初恋の隣国王弟の攻略に戻ります

真義あさひ

文字の大きさ
8 / 66
「乙女☆プリズム夢の王国」特典ストーリーの世界

攻略対象・ザックス辺境伯令息カーティス

しおりを挟む
 顔も見せない父親の代わりに見舞いに来たのは、隣のザックス辺境伯の嫡男カーティスだった。
 隣り合う領地だから子供の頃から面識がある。彼も隣国王弟と同じでエスティアの幼馴染みの一人だ。

「こんな格好で失礼するわ、カーティス」
「頭を打ったんだって? 大事なくて良かったよ。テレンス様も何をやってるんだか」

 コブのできた後頭部に髪の隙間から湿布を貼ってネットで固定しているため、濃いめのミルクティ色の髪は乱れているし、服装は寝巻きの上にガウンを羽織っただけだ。
 さすがに未婚の女子の私室に招くことはできなかったので、屋敷内の来客室でお茶を飲みながら状況報告した。

 カーティスは赤毛とグレーの瞳の明るい好青年だ。
 彼も学園の同級生で同学年、エスティアと同じ年に卒業して辺境伯領に戻った。
 まだ父親が健在だが数年後には辺境伯を継ぐと聞いている。

(カーティスも特典ストーリーの攻略対象ね。父親が本編での攻略対象で、そのときの婚約者との間に生まれた息子)

「アルフォートは相変わらずみたいだな。たまに顔を合わせたときは注意してるんだが、あいつも人の話を聞かない男だからな」
「どうせ私以外の恋人自慢でもしてたんでしょう?」
「ご名答」

 わかっていたかと苦笑いされた。

「ここに来る前も会って話をしたんだが……」
「街の大通りのカフェ? それともレストラン?」
「カフェのほうで。やっぱり女連れだったぞ。あいつ、でお前と結婚した後、領民にどう見られるかわかってないぞ?」

 暗に、婚約を破棄しないのかと訊ねられているのだ。

「もう結婚式まで三ヶ月切ってしまったわ。今からだと王家の許可をもぎ取る時間がないのよ。最悪このまま結婚だけして白い結婚を貫いて、その間に離婚手続きを進めようと思ってる」
「不毛だよな……。互いに嫌い合ってるんだから、そもそも婚約自体しなきゃ良かったんだ」
「それ、うちのお父様に言ってやってほしいわ」



 そういえば、とカーティスが思い出したように、

「アルフォートの奴、お前が大人しくて気味が悪いとか言ってたな。何かあったのか?」
「聞かなかったの? 外で女性を連れて堂々と浮気してたからたしなめたら、その場で頬を張られたのよ。人前でね」
「殴ったってことか? お前を?」
「そう」
「あいつは確かに性格が悪いが、女に手を上げたら本物のクズじゃないか……!」

 憤ってるカーティスに、そうそう、そのとおりとエスティアは頷いた。大きく頭を動かすとまだ後頭部が痛むので小さな頷きだったが。

「テレンス様は何て言ってるんだ?」
「お父様にはもう何度も婚約破棄したいって訴えてるけど、却下されっぱなし。アルフォートはご自分の親戚だし、……私を彼と結婚させれば父の権力は増すでしょうね」

 だからアルフォートがどれだけ不義理を犯しても婚約破棄を認めない。
 エスティアはそう見ている。

「テレンス様は何を考えてるんだろな。伯爵家の簒奪を狙ってるわけじゃないだろうし」
「そんな度胸のある人じゃないわ」

(だってあのツンデレ照れ照れテレンス君よ? 大人になったからってツンツンしてるだけで、大それたことができるタイプじゃないはず)


しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

国一番の美少女だけど、婚約者は“嫌われ者のブサイク王子”でした

玖坂
ファンタジー
気がつけば、乙女ゲームの“悪役令嬢”ポジションに転生してました。 しかも婚約者は、誰もがドン引きする“ブサイクで嫌われ者の王子様” だけど――あれ? この王子、見た目はともかく中身は、想像以上に優しすぎる……!? 国一番の美少女に転生した令嬢と、誰にも愛されなかった王子が、少しずつ成長していく物語。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

悪役令息の婚約者になりまして

どくりんご
恋愛
 婚約者に出逢って一秒。  前世の記憶を思い出した。それと同時にこの世界が小説の中だということに気づいた。  その中で、目の前のこの人は悪役、つまり悪役令息だということも同時にわかった。  彼がヒロインに恋をしてしまうことを知っていても思いは止められない。  この思い、どうすれば良いの?

処理中です...