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「乙女☆プリズム夢の王国」特典ストーリーの世界
爆誕、風の魔剣(あっさり)
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強力な助っ人を得て、エスティアたちはひたすら山頂を目指した。
彼は魔法剣士だそうで、魔力で透明な剣を創り出して投げ飛ばす技の持ち主ということだった。
近距離から遠距離攻撃まで対応するので、それからエスティアたちは戦闘の大部分を彼に任せることができて随分楽になり、その間に体力を回復することができた。
エスティアたちがそれぞれ風や土、火、水の魔力に特化した魔法使いたちだと聞いたヨシュアは驚いていた。
「へえ、属性特化型! そりゃ今の時代には珍しいね。オレの国だと魔力はもう皆、万能属性に退化して特定の属性を使いたいときは属性別の魔石を組み込んだ魔導具頼りだよ」
言って、ヨシュアは小さな長方形の魔導具を見せてくれた。
「あっ。これ、ライター?」
「うん。火を使いたいときはこれ。火の魔石を組み込んで、使うときは自分の魔力を少しだけ着火剤にする」
(前世で使ってた使い捨てライターそっくりだわ。出る火はガスライターっぽい強めの火力だけど)
「水が出せる魔導具は持ってなかったのですか?」
水の魔力持ちのヒューレットが不思議そうに尋ねると、ヨシュアはばつが悪そうな顔になった。
ライターをしまい込んで代わりに取り出したのはストローサイズの細い棒形魔導具だ。表面にびっしり術式が回路のように刻み込まれている。
「雨水や川水を浄化する魔導具は持ってたんだ。だけど雨も降らないし川も見つけられなくて」
「ああ……なるほど」
それで干からびかけて行き倒れてしまったわけだ。
お互い、魔法使いとして違う文化圏のようだ。
意外とそれぞれの魔法に関する考え方やスキル、術の特徴が面白くて、道中いろいろと情報交換して教え合った。
「すごいな。属性特化型は一芸に秀でてるみたいなものなのかな。全員、オレの知る一般的な魔法使いよりかなり強い」
もしかしたらプリズム王国は魔法使いのオリジンに近い種族の国かもしれない、と呟いている。
「ヨシュアさんは違うの?」
「一概には言えないけど、オレの一族は血筋に固有の魔法やスキル、称号や職業なんかを受け継ぐね。同じ一族だと魔法剣士になるし、魔法樹脂っていう術を継承してる」
手の中に瞬時に魔力で透明な剣が創られ、山道を塞ぐ樹木の枝を切り払った。
エスティアを襲った狼を撃退したあのナイフも、彼が魔法樹脂で創ったものだ。
摩擦が無いかのように、するっ、するっと枝が切られていくのがわかる。
「その魔法樹脂の剣に属性はないの?」
「ないね。強いて言うなら無属性。もしくは万能属性かな」
「ちょっとだけ、その剣に私の風の魔力を入れてみてもいい?」
乙プリには無属性や万能属性なんて魔法はなかった。
思いつきを試してみたくてうずうずしながらエスティアが申し出ると、ヨシュアは麗しくもにっこり笑って透明な剣を手渡してくれた。
「何やるんだ?」
「言葉通りの無属性なら、属性を持つ魔力を浸透させたら属性を帯びると思ったの。私は風の魔力だから……」
ヨシュアの魔法剣は、樹脂というだけあって前世の世界でアクセサリーなどに使われていたレジン樹脂とほぼ同じだ。女のエスティアの手でも持てるほど軽い。
(やっぱり。外部から魔力がぐんぐん入る)
一振りの魔法剣に風の魔力を限界まで充填し、漏れ出さないようしっかり封入してからヨシュアに返した。
「試し切りしてみてくれるかしら?」
「うん」
受け取った魔法剣を、山道から外れた樹林に向けてヨシュアが軽く振った。
「!?」
ヒューッと強風がたてる音が鳴ったと思ったら、魔法剣から放たれたカマイタチが数十メートルに渡って樹木を薙ぎ倒した。
ざん、と次々に木々が左右に倒れていく。
「すっげえ! それ魔剣レベルじゃないか? 風の魔剣誕生だ、すげえなエスティア!」
「大袈裟よ、カーティス。あなたの火の魔力でも試してみたら? ね、いいでしょ、ヨシュアさん」
「あ、ああ。そりゃ構わないけど」
本人も威力に呆気に取られていたヨシュアは、問いかけにすぐ気を取り直して他の三人分の魔法剣を創り出してそれぞれに渡した。
結果、カーティスの火の魔力を込めた魔法剣は火の魔剣と化して豪炎を生み出したし、ヒューレットの水の魔力は水の魔剣となって水龍の如き奔流、あるいは濃霧などを生み出した。
「残るはセドリックだけど」
彼は土の魔力持ちだ。
だが本人は受け取った透明な魔法剣を手に持って、じっと薄青の瞳で刀身を凝視している。
真剣な顔にエスティアはドキッとしてしまったが、さすがにその場で口には出さなかった。
「ヨシュア殿。私にも同じ魔法剣を創ってくれないだろうか? 私も自分の魔力を込められる魔剣が欲しい」
「ん? いいよ、お安いご用だ。君たちには干からびそうなところを助けてもらったしね。せっかくだから全員分創ろうか」
ヨシュアが両手に群青色の魔力を集め出した。
魔力に色が付いて見えるものは、ステータスの魔力値が極めて高いことを意味する。
(この人、美しい見た目に誤魔化されがちだけど、とても強い人なんだわ)
彼は魔法剣士だそうで、魔力で透明な剣を創り出して投げ飛ばす技の持ち主ということだった。
近距離から遠距離攻撃まで対応するので、それからエスティアたちは戦闘の大部分を彼に任せることができて随分楽になり、その間に体力を回復することができた。
エスティアたちがそれぞれ風や土、火、水の魔力に特化した魔法使いたちだと聞いたヨシュアは驚いていた。
「へえ、属性特化型! そりゃ今の時代には珍しいね。オレの国だと魔力はもう皆、万能属性に退化して特定の属性を使いたいときは属性別の魔石を組み込んだ魔導具頼りだよ」
言って、ヨシュアは小さな長方形の魔導具を見せてくれた。
「あっ。これ、ライター?」
「うん。火を使いたいときはこれ。火の魔石を組み込んで、使うときは自分の魔力を少しだけ着火剤にする」
(前世で使ってた使い捨てライターそっくりだわ。出る火はガスライターっぽい強めの火力だけど)
「水が出せる魔導具は持ってなかったのですか?」
水の魔力持ちのヒューレットが不思議そうに尋ねると、ヨシュアはばつが悪そうな顔になった。
ライターをしまい込んで代わりに取り出したのはストローサイズの細い棒形魔導具だ。表面にびっしり術式が回路のように刻み込まれている。
「雨水や川水を浄化する魔導具は持ってたんだ。だけど雨も降らないし川も見つけられなくて」
「ああ……なるほど」
それで干からびかけて行き倒れてしまったわけだ。
お互い、魔法使いとして違う文化圏のようだ。
意外とそれぞれの魔法に関する考え方やスキル、術の特徴が面白くて、道中いろいろと情報交換して教え合った。
「すごいな。属性特化型は一芸に秀でてるみたいなものなのかな。全員、オレの知る一般的な魔法使いよりかなり強い」
もしかしたらプリズム王国は魔法使いのオリジンに近い種族の国かもしれない、と呟いている。
「ヨシュアさんは違うの?」
「一概には言えないけど、オレの一族は血筋に固有の魔法やスキル、称号や職業なんかを受け継ぐね。同じ一族だと魔法剣士になるし、魔法樹脂っていう術を継承してる」
手の中に瞬時に魔力で透明な剣が創られ、山道を塞ぐ樹木の枝を切り払った。
エスティアを襲った狼を撃退したあのナイフも、彼が魔法樹脂で創ったものだ。
摩擦が無いかのように、するっ、するっと枝が切られていくのがわかる。
「その魔法樹脂の剣に属性はないの?」
「ないね。強いて言うなら無属性。もしくは万能属性かな」
「ちょっとだけ、その剣に私の風の魔力を入れてみてもいい?」
乙プリには無属性や万能属性なんて魔法はなかった。
思いつきを試してみたくてうずうずしながらエスティアが申し出ると、ヨシュアは麗しくもにっこり笑って透明な剣を手渡してくれた。
「何やるんだ?」
「言葉通りの無属性なら、属性を持つ魔力を浸透させたら属性を帯びると思ったの。私は風の魔力だから……」
ヨシュアの魔法剣は、樹脂というだけあって前世の世界でアクセサリーなどに使われていたレジン樹脂とほぼ同じだ。女のエスティアの手でも持てるほど軽い。
(やっぱり。外部から魔力がぐんぐん入る)
一振りの魔法剣に風の魔力を限界まで充填し、漏れ出さないようしっかり封入してからヨシュアに返した。
「試し切りしてみてくれるかしら?」
「うん」
受け取った魔法剣を、山道から外れた樹林に向けてヨシュアが軽く振った。
「!?」
ヒューッと強風がたてる音が鳴ったと思ったら、魔法剣から放たれたカマイタチが数十メートルに渡って樹木を薙ぎ倒した。
ざん、と次々に木々が左右に倒れていく。
「すっげえ! それ魔剣レベルじゃないか? 風の魔剣誕生だ、すげえなエスティア!」
「大袈裟よ、カーティス。あなたの火の魔力でも試してみたら? ね、いいでしょ、ヨシュアさん」
「あ、ああ。そりゃ構わないけど」
本人も威力に呆気に取られていたヨシュアは、問いかけにすぐ気を取り直して他の三人分の魔法剣を創り出してそれぞれに渡した。
結果、カーティスの火の魔力を込めた魔法剣は火の魔剣と化して豪炎を生み出したし、ヒューレットの水の魔力は水の魔剣となって水龍の如き奔流、あるいは濃霧などを生み出した。
「残るはセドリックだけど」
彼は土の魔力持ちだ。
だが本人は受け取った透明な魔法剣を手に持って、じっと薄青の瞳で刀身を凝視している。
真剣な顔にエスティアはドキッとしてしまったが、さすがにその場で口には出さなかった。
「ヨシュア殿。私にも同じ魔法剣を創ってくれないだろうか? 私も自分の魔力を込められる魔剣が欲しい」
「ん? いいよ、お安いご用だ。君たちには干からびそうなところを助けてもらったしね。せっかくだから全員分創ろうか」
ヨシュアが両手に群青色の魔力を集め出した。
魔力に色が付いて見えるものは、ステータスの魔力値が極めて高いことを意味する。
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