チラウラ

青空びすた

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また明日

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 通学路、分かれ道。
 この時間が堪らなく嫌いだ。

「んじゃ」
「なー、よしただぁ」
「ん?」
「時間ある?」

 手を引いて、引き止める。
 キョトンとした顔で、こっちを見る。

「どうした?」
「寂しいなぁって」
「……うちくるか? 母さんいるけど」
「行こうかな」

 夕暮れの中、子どもの頃みたいに手を繋いで歩く。
 別々の家に帰るのが寂しい。
 明日会えないかもしれないのがしんどい。
 さよなら、は聞きたくない。

「英介」
「んー?」
「バイバイが嫌なら、"また明日"とかどうよ」

 未来の約束、それならいいかもしれない。
 別れの言葉より、ずっといい。

「んじゃ、今日帰る時はそう言って」
「おっけー」

 二人でゆっくり、手を揺らしながら歩く。
 この時間が続けばいいなぁ。
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