2 / 107
小話
池に落ちたら大統領補佐官に就任しました。
しおりを挟む【池に落ちたら大統領補佐官に就任しました】の
お気に入り190記念に書いたもの。
ちょこっとだけクロスオーバーしてます。
ーーーーー
あの日は給料日だった。
定時後10分で退社して、スーパーに行く筈だった。
ステーキ焼いて冷凍野菜をソテーするつもりで。
その前にATMへ行く途中、男の子の財布を拾った。
「すみません、そこの、財布落としましたよ!」
スニーカー、ウインドブレーカー、バックパックの男の子が隣の子に小突かれて、振り向くと慌てて走って来た。
「すみませんっ、!ありがとうございます!」
今時の子は背ぇ高いな。
しかもイケメン。モテそう。
「桃李ーっ!」
「今行くーっ、!じゃっ、ありがとうございますお兄さんっ!」
お礼にって、リュックから炭酸桃味の飴を取り出してくれた。
しっかり手も握られて眩し過ぎる笑顔で去って行った。
「若い。大学生か」
俺はしがないおっさんになったなぁ。
良いなぁ。モテモテだろうなぁ。
俺、大学はバイトばっかしてたからなぁ。
弁当屋の。
パートのおばちゃんどうしてるかなー。
そんな事を考えてたらATMに辿り着いた。
まぁ、想像通り混んでるけど。
さっきくれた飴、美味しいな。
「鱗太郎、」
「あん?」
「セツがまりとっ、まりとっそ...?と、紺様が苺大福食べたいそうだ。」
「あいつらデブらないのか。」
「まあ...紺様はともかくセツは粥ばかりだからな。」
「あぁー。」
珍しい物を聞いた。
今時固有名詞に様を付けるなんて。
「俺も。」
「うん?」
「明日の朝飯、お粥にする。」
「... ... 松様の分も買って良いか。」
「ウチのお供物って自由だよな。」
あぁ、御神体の話だったのか。
この辺にそんな神社有ったか?
「あ、なぁお兄さん。向こう空いたよ?俺ら次で良いからさ。」
「良いの?」
「良いよ。」
ーー今日はなんだかよく話しかけられる日だ。
「ありがとう。」
ペコッと頭を下げて譲らせて貰う。
随分不思議な雰囲気だな。
神職系の人って皆、ああなのか。
ATMを操作して、引き上げる時にまた頭を下げておいた。
というか仕事以外で人と喋ったの久しぶりだな。
「良いなぁ。」
俺も連れが欲しい。
恋人かあんな風に笑い合える友人でも良い。
えーっと、スーパーはあっちだから。
まぁ良いか。
偶には別の道でも通ろう。
「良悟ー、陸也居た?」
「居た。」
「わざわざ待ち合わせしてデートなんて、楽しみだね良悟。」
「買い出しはデートじゃ無いだろ。」
「そんな事ないよ?」
ーーーーー
「友康、」
「何だよ。」
「俺、何年かぶりに財布落とした」
「ふーん。何か縁が有るんだろ。旅先で財布無くすとか最悪な旅になる所だったなー?」
友康は普通の人には見えない物を見ていた。
薄桃色の風が吹き、ふわりと財布を落とさせ、"彼"は桃李の手ずから飴を受け取った。
封じていても仙桃妃だ。
無意識に整えて回るのを僕は止められない。
大学生の旅行先にしては特に何も無い場所だけど。
此処には稲置神社が有る。
結界の様子を見に来たという事を桃李は知らない。
まだ知らなくて良い。
それにしても彼、何か有るな。
桃李の加護が役に立つと良いんだけど。
「あの飴、最後の一個だったんだよなぁ。」
※天塚桃李~四人の龍王様の嫁になりました~
ーーーーー
「あのお兄さん、どうなる?」
「さぁ。俺には分からん。それより、天塚さんに出す茶菓子は何が良いだろうな。」
「探せば本人が近くに居そうだけどな。」
「紺様並みの神気だったな。」
「ヤバ過ぎだろ...マジで桃の匂いするんだな。」
最初は、あのお兄さんが食ってた飴かなんかだと思った。
けど、アレはそんな次元の話じゃ無い。
「変な不意打ち止めろよな。緊張してATMの順番譲るとか変な事した。」
「だが、表向きは只の観光だ。気を付けろよ鱗太郎。」
「あくまで大学生の神社観光だろ。セツが張り切ってた。」
とりあえず。
この辺を観光してる天塚神社から来て居るであろう二人の為に、茶菓子買わないと。
「さっきの、」
「あ?」
「明日の朝飯が粥で良いのは、本当か鱗太郎。」
「ホントに決まってるだろっ、」
「期待してる。」
※ 沼に頭から落ちたら恋人が出来ました。
ーーーーー
「良悟バス好きだよねー。」
「高校の時、バス通学に憧れた。」
「俺達歩きだったもんねー。」
少し遠くのスーパーの駐車場で陸也が待ってる。
バス停はちょっと遠くて、俺と和己は歩いて辿り着くしかない。
でも、帰りは陸也の車で三人で帰る。
偶に出かけるんだ。
陸也が会社を出る時間に合わせて、和己と二人でバス停まで散歩してスーパーの最寄で降りて、陸也に米を背負わせて三人で家に帰る。
その為に陸也の車はデカくてゴツイ。
「バスは楽しかったか良悟?」
「ん。お疲れ陸也。」
「お前もな。それで?米だろ。他にも有るか?」
「んーー。アイス。」
「それは和己に聞いてみろ。」
「分かった。」
※ 二人の主人と三人の家族
ーーーーー
人間の価値は諭吉の数ではないと言うが。
こんな時ばかりは、自分も社会の歯車に乗って、付加価値のある人間なのだと錯覚できる。
無意味で無色で冷たい自分の腹の中を誰かに溢した事は無い。
良い歳した男がそんな事をぼやけば、さぞ頼り甲斐のない男だと揶揄されてしまうだろう。
嫁に逃げられても文句は言えないのかもな。
「ま、そんな相手もいねえんだが。」
ハハッと苦笑する俺の横を、誰かがドンと押した。
声も出なかった。
気付いたら体は傾き、重心を直すことも無いまま池へと落ちた。
ドボンという音を聞いた気がする。
ーーーーー
それぞれがすれ違い、
それぞれがトキの為に
無意識でも、意識化でもほんの少しだけ願った。
「あのお兄さんに何か良い事があると良いな。」
11
あなたにおすすめの小説
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる