【完結】Blue Back

mimimi456/都古

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my Sunshine

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空、とはつまり目の前の空気。
海、とは手で掬い取った水。

何色でしょうか。

「透明、ですね。」

では上を見て海を見てください。
何色でしょうか。

「青、ですね…」

では何故、青に見えるのでしょうか。

「れいりーさんらんです、」

「レイリー散乱、よくご存知ですね。」



レイリー散乱とは、太陽の光が分子という<目には見えない小さな物質>にぶつかって散らばる事を言います。

小さな物質は空気に含まれており、
太陽の光は虹と同じく7色ほどあります。

7色ほど有って特に目立つのが赤と青。
更にあっちこっちに飛び散りやすいのが青と、その次が赤。

ここまで良いですか。

「… …多分。青が散らばるってのは、わかりました、多分ですけど。」


そう。
太陽が放つ7色の光をより多くばら撒くのが、青。

「つまり。」

「つま、り?」

「私は太陽の光を捕まえたい。」

「ーーは、ぃ?」


私は青を捕まえたい。

「どうやって、ですか。というか可能なんですかっ!?」

「可能だよ。」


と、言っても実際に瓶に閉じめて眺め様なんて事は出来ない。
ガラスで7色を反射させれば、青色が見れたり
フィルターを通して青以外を遮断すれば、青が見れるし
デジタル画像で太陽の光を0か1かに落とし込めば、青が見れる。

「それってつまり、」

「そう。残念ながら私達はまだ青を閉じ込める事には成功ししていない。」


だが、
<青色を表示させる>事は可能だ。
青い花から青色を抽出する事も。


ーーーーー


「Mornin', my sweet sunshine Did you sleep well?」

「おはよ...」


真っ白な毛並み、透き通る様な青の瞳の猫に呼ばれて着いて行ったら、この人の研究室に辿り着いた。

貯めたお金で、折角会社を辞めたご褒美にニューヨーク観光に行った。
太陽が眩してくて人が多くて空気が悪くて、でもおしゃれな街だった。何処を写真に撮っても絵になる。
楽しくて夢中でカメラを持ってファインダーを覗いていたら、真っ白な猫と目が合った。

「ナー」

擦り寄られる足元に、可愛いと思う間も無くグイグイ小さな体に押されて後ろにあった建物の階段に踵を取られてーー転んだ。

痛てて…、と座り込んでたところにガチャリとドアが開き、白衣を着た彼女に出迎えられた。

「君もおはよう、サニー。」

「ンナー」


あの日から、太陽を捕まえるという彼女の熱意に魅入られている。
私の事を太陽と呼び、あの真っ白の猫にも太陽の名前を付ける、太陽の事ばかり考えているこのひとは、毎朝日の出から太陽を見つめている。

「今日の太陽はどうだったー?」

「Hope was bright today...♡」


彼女の<希望>は今日もキラキラらしい。
ところで、この研究所は世界の何処にも属していないらしい。

けれど、あの日私が踵を躓かせた階段は表玄関の先にあるし。
裏口の方は白亜の壁と少し行けば海が広がる世界、へと繋がっている。


この前、そちら側を散歩していたら新しい女の子に会った。
彼の所の助手らしい。

「Honey, got plans today?」

彼女からは何時も絵の具の匂いがする。

私のDr.は何時も太陽の匂いがする。

私が朝寝坊をしたのは彼女のせいだし、腰が痛いのも彼女のせいだし、青と太陽にご執心のくせに、えっぐいキスマークをあちこちに残してくれたー…。

そんな事をされたって、
私は自分の国のスーパーでアイスが食べたい。
こっちのアイスは…アイスだけじゃないけど、何もかもが甘過ぎて濃過ぎて何を食べてるのか分からなくなる。

おかしな色だし、そんなに美味しくもない。

「アイス買って、少しお喋りするだけだよ。何か要る?」

「Mo-chi」

「おもちのアイスね。ん。あとは?」

「Hi-Chew.」

「何味?」

「Green apple.」

「ん。わかった。」


baby、なんて甘い声が私を呼ぶ。
私も呼び返す。

「なぁに、Dr.」

 That's unauthorized entry悪いことしてる

「そうですね。私は自分の国に不法入国するんですよ。内緒にしてくれたら、お菓子とアイス買って来てあげるよドクターっ?」


私が他の子、取り分け今日遊ぶ予定の子は、自国の子だから。
機嫌が悪いんだ。

「すぐ帰るから、拗ねないで。」

「Ughhh...」



私は彼女の青を捕まえる研究を手伝っている。
それと、ベン&ジェリーズのアイスみたいに甘い事も。


「ユービックベイビー。」

私には分からない難しい研究をしてるくせに、
こういう所は甘えんぼさんで、可愛いと思う。

ーー完
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