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第1話【メイド、襲来】
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相思「あ~くそ、そこでスキルうたねぇのかよ…」
大学中退くそニート22歳ネトゲ廃人ダメ人間。
役職のようにつらつらと言葉を飾れるが何一つ自慢できるものがない、それが俺、萩原相思。
大学時代はいわゆる飲みサーというものに入り遊び呆けたあげく、ネトゲにハマり出席日数足りず留年からの即中退。
そして今は親の仕送りで一人暮らしをしているくそニートってわけだ。
誇れるものと言えば、廃人プレイで鍛えあげたネトゲプレイヤースキルただひとつ。
いや、それも誇れるものとは呼べないだろう。
怠惰という言葉はまさに俺にこそ相応しい言葉だ。
相思「おいおい、何やってんだよ少しはアシストしろよ…」
ピンポーン
ネトゲに夢中な中、部屋の中を呼び鈴が鳴り響く。
しかし鍛えられた引きこもりニートの耳には特別な結界が張られており、その音は虚しくも俺の耳には届かない
ピンポンピンポンピンポンピンポン
なんてことはなかった…。
相思「ああああもうウルセェなぁぁ!今対人戦の真っ最中だっつーの!はいはいどなたです…か…?」
玄関に向かいながらそう言い、扉を開くと同時に俺は言葉を飲み込んだ。
扉の向こうには、メイド服を着た可愛い少女がにっこりと微笑み佇んでいた。
あいり「私に…あなたをお護りさせてください…!」
状況が全く把握できず、ツッコミどころ満載のこの状況。
言いたいことは山ほどあったが、ボキャ貧の俺の口から出たのはこの一言だった。
相思「は?」
もしこれがアニメであるならばここで第1話のオープニングが流れてくるだろう。
そう、俺の頭の中でも今流れてきた。
そしてそのままフェードアウト、扉をゆっくり閉めた。
相思「いやいや相思!落ち着け!いくらお前でもこの妄想はやばいだろ…俺はくそニートを極めとうとう妄想を具現化する能力を身につけたのか!?いや待て新手の宗教?業者!?くそ!とうとうここまで引きこもりのニーズを把握してきたか!やるじゃないか現実!!!」
コンコン
優しく扉をノックされる。
あいり「あの~…」
女子に免疫のない俺はその声とノックに条件反射で扉を開いた。
相思「はいはいなんでしょーかお嬢さん!なにかお困りかな!なんなりと!!」
よくわからないテンションでとりあえず言葉を発してみたが、やはりよくわからない言葉が出てきた。
あいり「えっと…突然ですごくびっくりされたかと思いますけど…私…あなたに決めたんです!あなたの…メイドにしてください!」
俺の脳裏でビッグバンが起きた。
生命の起源は星と星とが爆発を起こし奇跡的に誕生したと言われているが俺の脳裏でも今まさしく何かの生命が誕生した瞬間だった。
その生命は俺の感情とは裏腹に俺の口を操り言葉を発していた。
相思「喜んでーー!」
いや、少し語弊があった。
これが感情そのもの、本能という奴なのだろう。
あいり「はいっ!」
俺の迷いのない返事に少女は満面の笑みでそう返した。
ーーーーー
俺の小汚く狭い部屋に小さなちゃぶ台越しでメイド服を着た可愛らしい少女が向かい側に座っている。
この奇跡の状況下、俺は静かに少女の話を聞いていた。
相思「ふむふむ、つまり君はメイドピアと呼ばれる場所からきて、そのメイドピアでは生涯にただ1人の主人を見つけることが義務付けられてて、自分の一生を捧げてその主人を護らなければならない。そして君はその主人に俺を選んでくれた。ってことだよね?」
あいり「はいっ」
相思「で、それなんてエロゲ?」
あいり「えろ?げ?」
そう不思議そうにあいりは聞き返したあと、急に顔を真っ赤にして下を向く。
相思「あああなんでもない!ごめん!」
純真無垢な反応で返され、少し心が痛む俺であった。
相思「…とは言ったものの、俺は君に」
あいり「あいりです!あいりと呼んでくださいご主人様っ」
話を遮るように前のめりで顔近づけ、あいりは力強く言った。
少し照れつつ頭をぽりぽり書きながら俺は続けた。
相思「んでその~…あ、あいりさんに俺は何から護ってもらうんでしょうか…?」
あいり「えっとそれは…」
そうあいりがいいかけたその時、突然窓ガラスが割れ、知らないメイドのお姉さんが入り込んできた。
ミラ「あ~ら、やっとマスターを見つけたかと思いきや。出来損ないのメイドにぴったりの、ろくでなしのマスターね」
俺はまたしても状況が理解できず、開いた口が塞がらなかった。
この部屋は2階、つまりこのお姉さんは宙を浮いて窓を破壊して進入してきたのだ。
あいり「ミラ…!つけていたんですね…」
相思「親方…空から女の子が…親方…空から女の子が…」
俺は驚きのあまり意味不明な言動を発していた。
あいり「…彼女はミラ、そしてあれはメイドスキルです…!」
あいりは愕然としている俺に対し、冷静に紹介してくれた。
相思「あ~メイドスキルかぁ、それなら仕方ないな。ふむ。」
相思(ってなんだよそれ!!!メイドにそんな技普通あるぅ!?)
あいりの説明に俺も冷静を装ったが、心底ノリツッコミをしてしまった。そう、文字どおり心の底で叫んだのだ。
ミラ「ふふ、あなたたちまだ本契約はまだなんでしょう~?前祝よ、私の連れてきた堕メイドちゃんで祝福してあげるわぁ、感謝なさい」
ミラは手に掴んでいた鎖を引き上げると、そこには鎖と首輪そして手錠で繋がれた堕メイドの姿があった。
相思「駄メイド!?なんかすごい駄目そうだね!そして俺の頭がついてこないよ!?誰か説明ー!」
あいり「堕メイド…。主人を失ったメイドは堕ちたメイドとなり二度と全うなメイドには戻れません。それを私たちは堕メイドと呼んでいます…。」
相思「あ~堕天使的なノリね、把握把握。」
堕メイド「かずひこ様…どこぉ…かずひこ様…」
相思「なんかヤバげな雰囲気漂わせてるけど、大丈夫なのかあれ!?」
あいり「堕メイドにはもう言葉も通じません…。戦うしかありませんね…!」
相思「バトル系なのね!?やだもう俺の中のメイド像が全崩壊!」
ミラ「ほぉら、堕メイドちゃん。遊んでおあげ!」
鎖が解かれ、堕メイドはゆらりと前かがみとなったと思ったら、気付いた時には俺の後ろにいた。
堕メイド「かずひこ様……じゃない!!!!」
狂気の表情で俺を睨むと同時に伸びた鋭い爪が襲い掛かる。
引き裂かれたと思ったが鈍い音が響いた。
あいりの剣が爪を受け止めていた。
あいり「ご主人様は…やらせません…!」
相思「あいりさん剣も使えたのね…」
堕メイド「ぎぎ…ぎ…邪魔…するな…!!」
堕メイドは標的を変え、高速で移動しあいりを全方位から両手の爪で襲い掛かる。
あいりはそのすべてを見切り、その場で剣で捌く。
ミラ「あらあら、少しはやるじゃない。でも…」
徐々に捌ききれなくなり、あいりの身体に爪がかすり始める。
そして、あいりは背後に飛ぶが間合いを詰められ爪の引き裂きが直撃した。
あいり「きゃぁ!」
引き裂かれると同時に吹き飛ばされ俺の身体にぶつかった。
あいり「ごめんなさい…」
傷だらけのあいりは俺に謝りながら動けなくなった。
ミラ「所詮は本契約もまだの出来損ないのメイド。主人を失った堕メイドの哀しみの重さに勝てるわけがないわ。そこの無様なろくでなしの君、逃げてもいいのよ?」
相思「わけわかんねぇよ…。ネトゲやってたら勝手に可愛いメイドが家に押し寄せてくるわ。窓勝ち割って綺麗なお姉さんが空から現れるわ、狂気じみたメイドさんが襲い掛かって来るわ…。でもなぁ…これだけはわかるんだ…。俺をかばってくれた傷だらけの女の子をほっといて逃げることだけはしちゃいけないってなぁ!!」
俺は倒れたあいりの隣に座り、小指と小指を繋ぎ言った。
相思「なんで俺なんかのメイドになりたいのかいまだにわからない…でも…君みたいなメイドだったら俺は喜んで歓迎するよ…。だからちょっとまっててな」
俺はその場を立ち、堕メイドと向き合った。
相思「俺はいままでずっとくそみたいな生活だけをしてきた。だからせめて…今だけでもカッコつけさせてくれよ!!」
そう言い放つと同時に金属バットを手に堕メイドに向かい走った。
堕メイド「かずひこ様…護る……敵…排除…」
堕メイドも合わせて襲い掛かる。
金属バットが爪とはじき合うが、すでに敵は目の前にはいなかった。
腕をふりかぶった堕メイドは相思の後ろでにやりと不気味に笑っていた。
相思(俺は最後まで、カッコ悪い人生だったな…護りたい女の子ひとり護ることも出来ず、ほんっと最後まで…くそだったよ…)
目をつむり俺は死を覚悟した。
その刹那…辺りが突然蒼く光り輝くと同時に堕メイドは吹き飛んだ。
堕メイド「ぎ…があああああ!!」
あいり「私の能力は…絶対守護。ご主人様の命が危うくなるほど…私の能力は強くなる。お待たせしました…。ご主人様」
いつのまにかあいりは膝を折り剣を振り切った姿で俺の後ろでにこっと微笑んでいた。
あいりの綺麗な黒い瞳が蒼く光っており、剣もまた蒼く輝いていた。
ミラ「本契約か。ふん、偶然とはいえ…おもしろくないわね。興がそがれたわ」
そういうとミラは姿を消した。
あいりは吹き飛んだ堕メイドの傍へ歩いた。
あいり「つらかったでしょう…。もう…休みなさい…。」
堕メイド「あり…がとう…」
そういうと堕メイドは眠るように息をひきとった。
狂気に満ちていたはずの堕メイドの表情は、なぜか穏やかな表情を浮かべているようにも見えた。
そしてあいりも崩れるように倒れそうになり、俺は慌てて抱きかかえた。
あいり「ご主人様…。私なんかと契約を結んでくれて…本当にありがとうございます…」
相思「ミラとかいうやつも言ってたけど俺はいつ本契約できたんだ…?」
あいり「えっとそのぉ…小指と…小指…」
あいりは恥ずかしそうに俺に抱きかかえられながら顔をそむけてそういった。
実際に小指と小指をつなぐくらい大したことではないが、そのあまりに純真無垢な反応に俺まで照れくさくなり、顔を真っ赤にしながらそむけた。
相思「あ!ああ!あれか!!あれね!!いやーとっさにやったこととはいえそんな大事な儀式みたいなもんになっちゃうとは、な、なんかごめんね!」
照れ隠しにとりあえず口を動かしていたがやはりよくわからないことを言ってしまった。
そんな俺のダメダメな返しに対してあいりは
あいり「ううん、本当に…ありがとうございますご主人様」
相思「フォーリンラブ!!!!!!」
心から嬉しそうに微笑みながらいうあいりの姿は、容易に俺のキャパを超え、俺は一瞬にして恋に落ちた。
相思「あ!あとあれだ!ご主人様っていうのやめよう!俺なんか相思でいいよ相思で!」
あいり「はい、相思様っ」
俺の思っていたのとは何か違ったが、そんなことを考える余裕もなく俺はなぜか満足していた。
大学中退くそニート22歳ネトゲ廃人ダメ人間。
役職のようにつらつらと言葉を飾れるが何一つ自慢できるものがない、それが俺、萩原相思。
大学時代はいわゆる飲みサーというものに入り遊び呆けたあげく、ネトゲにハマり出席日数足りず留年からの即中退。
そして今は親の仕送りで一人暮らしをしているくそニートってわけだ。
誇れるものと言えば、廃人プレイで鍛えあげたネトゲプレイヤースキルただひとつ。
いや、それも誇れるものとは呼べないだろう。
怠惰という言葉はまさに俺にこそ相応しい言葉だ。
相思「おいおい、何やってんだよ少しはアシストしろよ…」
ピンポーン
ネトゲに夢中な中、部屋の中を呼び鈴が鳴り響く。
しかし鍛えられた引きこもりニートの耳には特別な結界が張られており、その音は虚しくも俺の耳には届かない
ピンポンピンポンピンポンピンポン
なんてことはなかった…。
相思「ああああもうウルセェなぁぁ!今対人戦の真っ最中だっつーの!はいはいどなたです…か…?」
玄関に向かいながらそう言い、扉を開くと同時に俺は言葉を飲み込んだ。
扉の向こうには、メイド服を着た可愛い少女がにっこりと微笑み佇んでいた。
あいり「私に…あなたをお護りさせてください…!」
状況が全く把握できず、ツッコミどころ満載のこの状況。
言いたいことは山ほどあったが、ボキャ貧の俺の口から出たのはこの一言だった。
相思「は?」
もしこれがアニメであるならばここで第1話のオープニングが流れてくるだろう。
そう、俺の頭の中でも今流れてきた。
そしてそのままフェードアウト、扉をゆっくり閉めた。
相思「いやいや相思!落ち着け!いくらお前でもこの妄想はやばいだろ…俺はくそニートを極めとうとう妄想を具現化する能力を身につけたのか!?いや待て新手の宗教?業者!?くそ!とうとうここまで引きこもりのニーズを把握してきたか!やるじゃないか現実!!!」
コンコン
優しく扉をノックされる。
あいり「あの~…」
女子に免疫のない俺はその声とノックに条件反射で扉を開いた。
相思「はいはいなんでしょーかお嬢さん!なにかお困りかな!なんなりと!!」
よくわからないテンションでとりあえず言葉を発してみたが、やはりよくわからない言葉が出てきた。
あいり「えっと…突然ですごくびっくりされたかと思いますけど…私…あなたに決めたんです!あなたの…メイドにしてください!」
俺の脳裏でビッグバンが起きた。
生命の起源は星と星とが爆発を起こし奇跡的に誕生したと言われているが俺の脳裏でも今まさしく何かの生命が誕生した瞬間だった。
その生命は俺の感情とは裏腹に俺の口を操り言葉を発していた。
相思「喜んでーー!」
いや、少し語弊があった。
これが感情そのもの、本能という奴なのだろう。
あいり「はいっ!」
俺の迷いのない返事に少女は満面の笑みでそう返した。
ーーーーー
俺の小汚く狭い部屋に小さなちゃぶ台越しでメイド服を着た可愛らしい少女が向かい側に座っている。
この奇跡の状況下、俺は静かに少女の話を聞いていた。
相思「ふむふむ、つまり君はメイドピアと呼ばれる場所からきて、そのメイドピアでは生涯にただ1人の主人を見つけることが義務付けられてて、自分の一生を捧げてその主人を護らなければならない。そして君はその主人に俺を選んでくれた。ってことだよね?」
あいり「はいっ」
相思「で、それなんてエロゲ?」
あいり「えろ?げ?」
そう不思議そうにあいりは聞き返したあと、急に顔を真っ赤にして下を向く。
相思「あああなんでもない!ごめん!」
純真無垢な反応で返され、少し心が痛む俺であった。
相思「…とは言ったものの、俺は君に」
あいり「あいりです!あいりと呼んでくださいご主人様っ」
話を遮るように前のめりで顔近づけ、あいりは力強く言った。
少し照れつつ頭をぽりぽり書きながら俺は続けた。
相思「んでその~…あ、あいりさんに俺は何から護ってもらうんでしょうか…?」
あいり「えっとそれは…」
そうあいりがいいかけたその時、突然窓ガラスが割れ、知らないメイドのお姉さんが入り込んできた。
ミラ「あ~ら、やっとマスターを見つけたかと思いきや。出来損ないのメイドにぴったりの、ろくでなしのマスターね」
俺はまたしても状況が理解できず、開いた口が塞がらなかった。
この部屋は2階、つまりこのお姉さんは宙を浮いて窓を破壊して進入してきたのだ。
あいり「ミラ…!つけていたんですね…」
相思「親方…空から女の子が…親方…空から女の子が…」
俺は驚きのあまり意味不明な言動を発していた。
あいり「…彼女はミラ、そしてあれはメイドスキルです…!」
あいりは愕然としている俺に対し、冷静に紹介してくれた。
相思「あ~メイドスキルかぁ、それなら仕方ないな。ふむ。」
相思(ってなんだよそれ!!!メイドにそんな技普通あるぅ!?)
あいりの説明に俺も冷静を装ったが、心底ノリツッコミをしてしまった。そう、文字どおり心の底で叫んだのだ。
ミラ「ふふ、あなたたちまだ本契約はまだなんでしょう~?前祝よ、私の連れてきた堕メイドちゃんで祝福してあげるわぁ、感謝なさい」
ミラは手に掴んでいた鎖を引き上げると、そこには鎖と首輪そして手錠で繋がれた堕メイドの姿があった。
相思「駄メイド!?なんかすごい駄目そうだね!そして俺の頭がついてこないよ!?誰か説明ー!」
あいり「堕メイド…。主人を失ったメイドは堕ちたメイドとなり二度と全うなメイドには戻れません。それを私たちは堕メイドと呼んでいます…。」
相思「あ~堕天使的なノリね、把握把握。」
堕メイド「かずひこ様…どこぉ…かずひこ様…」
相思「なんかヤバげな雰囲気漂わせてるけど、大丈夫なのかあれ!?」
あいり「堕メイドにはもう言葉も通じません…。戦うしかありませんね…!」
相思「バトル系なのね!?やだもう俺の中のメイド像が全崩壊!」
ミラ「ほぉら、堕メイドちゃん。遊んでおあげ!」
鎖が解かれ、堕メイドはゆらりと前かがみとなったと思ったら、気付いた時には俺の後ろにいた。
堕メイド「かずひこ様……じゃない!!!!」
狂気の表情で俺を睨むと同時に伸びた鋭い爪が襲い掛かる。
引き裂かれたと思ったが鈍い音が響いた。
あいりの剣が爪を受け止めていた。
あいり「ご主人様は…やらせません…!」
相思「あいりさん剣も使えたのね…」
堕メイド「ぎぎ…ぎ…邪魔…するな…!!」
堕メイドは標的を変え、高速で移動しあいりを全方位から両手の爪で襲い掛かる。
あいりはそのすべてを見切り、その場で剣で捌く。
ミラ「あらあら、少しはやるじゃない。でも…」
徐々に捌ききれなくなり、あいりの身体に爪がかすり始める。
そして、あいりは背後に飛ぶが間合いを詰められ爪の引き裂きが直撃した。
あいり「きゃぁ!」
引き裂かれると同時に吹き飛ばされ俺の身体にぶつかった。
あいり「ごめんなさい…」
傷だらけのあいりは俺に謝りながら動けなくなった。
ミラ「所詮は本契約もまだの出来損ないのメイド。主人を失った堕メイドの哀しみの重さに勝てるわけがないわ。そこの無様なろくでなしの君、逃げてもいいのよ?」
相思「わけわかんねぇよ…。ネトゲやってたら勝手に可愛いメイドが家に押し寄せてくるわ。窓勝ち割って綺麗なお姉さんが空から現れるわ、狂気じみたメイドさんが襲い掛かって来るわ…。でもなぁ…これだけはわかるんだ…。俺をかばってくれた傷だらけの女の子をほっといて逃げることだけはしちゃいけないってなぁ!!」
俺は倒れたあいりの隣に座り、小指と小指を繋ぎ言った。
相思「なんで俺なんかのメイドになりたいのかいまだにわからない…でも…君みたいなメイドだったら俺は喜んで歓迎するよ…。だからちょっとまっててな」
俺はその場を立ち、堕メイドと向き合った。
相思「俺はいままでずっとくそみたいな生活だけをしてきた。だからせめて…今だけでもカッコつけさせてくれよ!!」
そう言い放つと同時に金属バットを手に堕メイドに向かい走った。
堕メイド「かずひこ様…護る……敵…排除…」
堕メイドも合わせて襲い掛かる。
金属バットが爪とはじき合うが、すでに敵は目の前にはいなかった。
腕をふりかぶった堕メイドは相思の後ろでにやりと不気味に笑っていた。
相思(俺は最後まで、カッコ悪い人生だったな…護りたい女の子ひとり護ることも出来ず、ほんっと最後まで…くそだったよ…)
目をつむり俺は死を覚悟した。
その刹那…辺りが突然蒼く光り輝くと同時に堕メイドは吹き飛んだ。
堕メイド「ぎ…があああああ!!」
あいり「私の能力は…絶対守護。ご主人様の命が危うくなるほど…私の能力は強くなる。お待たせしました…。ご主人様」
いつのまにかあいりは膝を折り剣を振り切った姿で俺の後ろでにこっと微笑んでいた。
あいりの綺麗な黒い瞳が蒼く光っており、剣もまた蒼く輝いていた。
ミラ「本契約か。ふん、偶然とはいえ…おもしろくないわね。興がそがれたわ」
そういうとミラは姿を消した。
あいりは吹き飛んだ堕メイドの傍へ歩いた。
あいり「つらかったでしょう…。もう…休みなさい…。」
堕メイド「あり…がとう…」
そういうと堕メイドは眠るように息をひきとった。
狂気に満ちていたはずの堕メイドの表情は、なぜか穏やかな表情を浮かべているようにも見えた。
そしてあいりも崩れるように倒れそうになり、俺は慌てて抱きかかえた。
あいり「ご主人様…。私なんかと契約を結んでくれて…本当にありがとうございます…」
相思「ミラとかいうやつも言ってたけど俺はいつ本契約できたんだ…?」
あいり「えっとそのぉ…小指と…小指…」
あいりは恥ずかしそうに俺に抱きかかえられながら顔をそむけてそういった。
実際に小指と小指をつなぐくらい大したことではないが、そのあまりに純真無垢な反応に俺まで照れくさくなり、顔を真っ赤にしながらそむけた。
相思「あ!ああ!あれか!!あれね!!いやーとっさにやったこととはいえそんな大事な儀式みたいなもんになっちゃうとは、な、なんかごめんね!」
照れ隠しにとりあえず口を動かしていたがやはりよくわからないことを言ってしまった。
そんな俺のダメダメな返しに対してあいりは
あいり「ううん、本当に…ありがとうございますご主人様」
相思「フォーリンラブ!!!!!!」
心から嬉しそうに微笑みながらいうあいりの姿は、容易に俺のキャパを超え、俺は一瞬にして恋に落ちた。
相思「あ!あとあれだ!ご主人様っていうのやめよう!俺なんか相思でいいよ相思で!」
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