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物語の主人公とおまけ(2人)
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そこはゴミ捨て場の中だった。
臭いは嗅げたものではなく、衣類には土やほこりが付いている。よく見ないと汚れた人形と間違えられてもおかしくない状態だった。
(誰かが歩いて来る。だが、誰だかわからないし、わからなくていい…)
「おやおや、可哀想な子…。でも、いい目をしてる。私が一流に育ててやろう。」
俺にとってその言葉は太陽よりも暖かく、女神よりも優しい言葉だった。
ある日大きな地震が起き、世界が崩壊した。魔物が封印から解かれ、村々に出現した。理由として、石版に埋めてあった封印の鍵、7つの宝玉が地面に落ちたため、その宝玉が散り散りになり、封印が解かれてしまった。
10年後…
「サキさん、先に道場に行ってますね」
「私も後から行く。」
サキはカオルからの呼びかけに対して後ろを向いて答えた。
「わかりました」
そういうとカオルは竹刀を片手に道場に向かった。カオルは小さい頃、サキにゴミ捨て場から助けられた。サキはカオルの育ての親であり、剣道の師範でもある。カオルの見た目はご想像にお任せします。その道場というのは1カウト(2.75キロ)先にある。
「カオル、おはよう」
「マリおはよ~。お、ジュンジもいるのか」
カオルは道場につくと引き戸を開き、その場にいたマリとジュンジに声をかけた。マリとジュンジはカオルの幼なじみで、同じ道場の仲間でもある。マリはいわゆるヒロインだが、そんなに可愛くはない。ジュンジは物知りで強いが、対してかっこよくはない。
「僕はついでかよ~」
と、ジュンジはカオルの方を見て笑いながら答えた。
「突然だがジュンジ、俺と一本勝負しろ! マリは審判よろしく」
「へいへい」
ジュンジはカオルと少し距離を取ったところに移動し、マリはその間あたりに立った。
「両者、構え」
マリは前に右手を伸ばす。
(ふぅ、今度こそジュンジに勝つ!! とは言ったもののレベルが違いすぎるけどね)
「始め!」
マリが手を挙げると同時に号令をした。
2人は同時に床をけり、走り迫った。
道場内に響く竹刀のぶつかる音が心地よく聞こえる。
「くっ…」
(流石ジュンジ…。俺なんかの攻撃は片手で十分か…)
「そんなものかぁ!」
ジュンジはカオルの竹刀を捌き、面を入れた。
「勝者、ジュンジ」
「また負けたー!」
カオルは少し斜め上を見ながら叫んだ。
「いつもより肩に力が入ってなくていい動きだった」
ジュンジは余裕そうにアドバイスをした。
ジュンジの強さはサキ以外右に出るものはいないくらい村では強い。
突然、道場の戸が開いた。
「ジュンジ、私と一本やるわよ」
サキが左手を腰に、右手の竹刀を肩にかけて立っていた。
「おはようございます、師範。是非お願いします!」
サキは村一番どころかドラゴンと対等に戦える力があると言われているが、実際に戦ったわけではなく、誰にもわからない。が、腕は確かだ。
「両者、構え」
ジュンジは竹刀を持つが、サキは短竹刀を構えた。
(あのジュンジに短竹刀で戦うとは…)
「今度こそ勝つ!」
ジュンジは強く握りしめ、竹刀を構えなおした。
「まだあんたには短竹刀で十分ね」
サキは右手に短竹刀を持ち、ジュンジに先端を向けた。
「始め!」
まだ2人とも動かない。サキは余裕の表情と構えでジュンジを見ている。
数分後、サキが獲物を見つけた蛇ように目に止まらぬ速さで動き出した。
「手加減はしないよ。これで決まるかな? <瓦割り>」
道場内に竹刀のぶつかる音が数秒響き渡った。勿論、カオルとジュンジとの戦いでは聞くことのできない音。
「くっ…」
ジュンジはなんとか耐え、歯を食いしばった。
「ほう。よく耐えた」
マリはまだ余裕の表情でジュンジを見ている。
「前の俺ならおっちんでたな…」
サキは余裕顔で竹刀を片手で持ち、ジュンジはきつい表情で竹刀を両手で持っているという見て明らかな力の差だ。
両者の竹刀の音がはっきりと聞こえる。
(竹刀のミシミシしてる音初めて聞いた…。折れちゃうんじゃないの?)
「ジュンジ、これで終わりよ」
先に仕掛けたのはサキのほうだった。
「!」
サキは素早くジュンジの背後に回り込み、首元に短竹刀をつけた。ジュンジは瞬時に判断できず、やられるがままになっていた。
「負けました…」
ジュンジは下を向き、落ち込んでいた。
「ジュンジもまだまだだなぁ」
サキは笑顔で答えた。ジュンジは顔を上げ、サキを呼んだ。
「師範」
「ん?」
「あの瓦割り、本気じゃないですよね?」
サキはほうと感心したような顔をした。
「へ?」
サキの顔を見た2人は驚いた顔をした。驚くのも当然で、ジュンジがギリギリで耐えられた瓦割りがまだ本気じゃなかったからだ。もし本気で打ったとしたら、その時の想像がつかない。
「よく気づいたわね。でも、私は本気を出してはいけない…」
後半は隣にいても聞こえない程度のボリュームでこぼした。当然2人も聞こえなかった。
「サキさん何か言いました?」
「い、いや何も」
「それならいいですけど」
サキはマリに近づく。
「マリ、ジュンジに治癒を」
「はい」
マリは治癒魔法を使える珍しい人材。少し使えるだけで周りからチヤホヤされるくらい珍しい。種類としては精神異常、体力回復、傷癒し、蒸発が使える。これを教えているサキも使える。
しばらくすると、伝書鳩が窓に止まった。サキが足にくくられた手紙を広げて読んだ。
「すぐに行かなくては…」
サキは同時の出入り口に向かって歩いた。
「何かあったんですね」
3人も続いて歩いた。
「3人とも、すぐに出かける支度を」
臭いは嗅げたものではなく、衣類には土やほこりが付いている。よく見ないと汚れた人形と間違えられてもおかしくない状態だった。
(誰かが歩いて来る。だが、誰だかわからないし、わからなくていい…)
「おやおや、可哀想な子…。でも、いい目をしてる。私が一流に育ててやろう。」
俺にとってその言葉は太陽よりも暖かく、女神よりも優しい言葉だった。
ある日大きな地震が起き、世界が崩壊した。魔物が封印から解かれ、村々に出現した。理由として、石版に埋めてあった封印の鍵、7つの宝玉が地面に落ちたため、その宝玉が散り散りになり、封印が解かれてしまった。
10年後…
「サキさん、先に道場に行ってますね」
「私も後から行く。」
サキはカオルからの呼びかけに対して後ろを向いて答えた。
「わかりました」
そういうとカオルは竹刀を片手に道場に向かった。カオルは小さい頃、サキにゴミ捨て場から助けられた。サキはカオルの育ての親であり、剣道の師範でもある。カオルの見た目はご想像にお任せします。その道場というのは1カウト(2.75キロ)先にある。
「カオル、おはよう」
「マリおはよ~。お、ジュンジもいるのか」
カオルは道場につくと引き戸を開き、その場にいたマリとジュンジに声をかけた。マリとジュンジはカオルの幼なじみで、同じ道場の仲間でもある。マリはいわゆるヒロインだが、そんなに可愛くはない。ジュンジは物知りで強いが、対してかっこよくはない。
「僕はついでかよ~」
と、ジュンジはカオルの方を見て笑いながら答えた。
「突然だがジュンジ、俺と一本勝負しろ! マリは審判よろしく」
「へいへい」
ジュンジはカオルと少し距離を取ったところに移動し、マリはその間あたりに立った。
「両者、構え」
マリは前に右手を伸ばす。
(ふぅ、今度こそジュンジに勝つ!! とは言ったもののレベルが違いすぎるけどね)
「始め!」
マリが手を挙げると同時に号令をした。
2人は同時に床をけり、走り迫った。
道場内に響く竹刀のぶつかる音が心地よく聞こえる。
「くっ…」
(流石ジュンジ…。俺なんかの攻撃は片手で十分か…)
「そんなものかぁ!」
ジュンジはカオルの竹刀を捌き、面を入れた。
「勝者、ジュンジ」
「また負けたー!」
カオルは少し斜め上を見ながら叫んだ。
「いつもより肩に力が入ってなくていい動きだった」
ジュンジは余裕そうにアドバイスをした。
ジュンジの強さはサキ以外右に出るものはいないくらい村では強い。
突然、道場の戸が開いた。
「ジュンジ、私と一本やるわよ」
サキが左手を腰に、右手の竹刀を肩にかけて立っていた。
「おはようございます、師範。是非お願いします!」
サキは村一番どころかドラゴンと対等に戦える力があると言われているが、実際に戦ったわけではなく、誰にもわからない。が、腕は確かだ。
「両者、構え」
ジュンジは竹刀を持つが、サキは短竹刀を構えた。
(あのジュンジに短竹刀で戦うとは…)
「今度こそ勝つ!」
ジュンジは強く握りしめ、竹刀を構えなおした。
「まだあんたには短竹刀で十分ね」
サキは右手に短竹刀を持ち、ジュンジに先端を向けた。
「始め!」
まだ2人とも動かない。サキは余裕の表情と構えでジュンジを見ている。
数分後、サキが獲物を見つけた蛇ように目に止まらぬ速さで動き出した。
「手加減はしないよ。これで決まるかな? <瓦割り>」
道場内に竹刀のぶつかる音が数秒響き渡った。勿論、カオルとジュンジとの戦いでは聞くことのできない音。
「くっ…」
ジュンジはなんとか耐え、歯を食いしばった。
「ほう。よく耐えた」
マリはまだ余裕の表情でジュンジを見ている。
「前の俺ならおっちんでたな…」
サキは余裕顔で竹刀を片手で持ち、ジュンジはきつい表情で竹刀を両手で持っているという見て明らかな力の差だ。
両者の竹刀の音がはっきりと聞こえる。
(竹刀のミシミシしてる音初めて聞いた…。折れちゃうんじゃないの?)
「ジュンジ、これで終わりよ」
先に仕掛けたのはサキのほうだった。
「!」
サキは素早くジュンジの背後に回り込み、首元に短竹刀をつけた。ジュンジは瞬時に判断できず、やられるがままになっていた。
「負けました…」
ジュンジは下を向き、落ち込んでいた。
「ジュンジもまだまだだなぁ」
サキは笑顔で答えた。ジュンジは顔を上げ、サキを呼んだ。
「師範」
「ん?」
「あの瓦割り、本気じゃないですよね?」
サキはほうと感心したような顔をした。
「へ?」
サキの顔を見た2人は驚いた顔をした。驚くのも当然で、ジュンジがギリギリで耐えられた瓦割りがまだ本気じゃなかったからだ。もし本気で打ったとしたら、その時の想像がつかない。
「よく気づいたわね。でも、私は本気を出してはいけない…」
後半は隣にいても聞こえない程度のボリュームでこぼした。当然2人も聞こえなかった。
「サキさん何か言いました?」
「い、いや何も」
「それならいいですけど」
サキはマリに近づく。
「マリ、ジュンジに治癒を」
「はい」
マリは治癒魔法を使える珍しい人材。少し使えるだけで周りからチヤホヤされるくらい珍しい。種類としては精神異常、体力回復、傷癒し、蒸発が使える。これを教えているサキも使える。
しばらくすると、伝書鳩が窓に止まった。サキが足にくくられた手紙を広げて読んだ。
「すぐに行かなくては…」
サキは同時の出入り口に向かって歩いた。
「何かあったんですね」
3人も続いて歩いた。
「3人とも、すぐに出かける支度を」
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