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もう一度 4

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 五人は、有明から出てきた。そこは、後藤家の二階七畳半の和室。輝は、畳にちょこんと座り、時乃の帰りを待っていた。

「おねいちゃん。宇宙人なの?」

時乃達は、ゴシック調の服を着ている。宇宙人と言うより、魔法使いの方が似合いかもしれない。

「輝君、わたしは何に見えるか?」

 真鍮色の髪を輝かせ、綺麗な茶色の瞳を少年に向ける。

「おねいちゃん…綺麗」

「そうか、君の思った通りでいい」

 五郎と健一が二階に上がって来た。二人とも三度目のショックを受けた!五人に増えていたからである。

 時乃は、二人が視界に入ると。

「紹介する、この双子は、メイティとメルティ、この二人は、わたし達の雑用をしてくれる。こちらの悪そうなポニーテールは、フラット」

「俺は、ヤンキーか」とフラット

「違うのか?」

「俺は、お前の…そう言うところが…好き」

「フラットは、わたしの副官である」

「金髪の彼女は、フィン。わたしの参謀であり、医者でもある、病気や怪我をしたら、診てもらうといい」

「フィンだけ、彼女って付くんだな」

 フラットは、毒づく!

 後藤家の方々には、もっと説明が必要だと思われる。時乃は、現在の状況を簡単に考えすぎなのである。

「後藤家の皆さん!わたしは、健二のおかげでここに存在しています。少しでもお礼がしたい。だから遠慮なく欲しいものを言ってくれると嬉しい」

 丁寧に言った後、時乃は、頭を下げた。真鍮色の髪が、ふわっと輝く。

 しかし五郎と健一は、一階に下りて行った。

        *

 時乃は、何をするべきか考えた。

「まずは、金が必要だろうな。フィン金になりそうな物はなんだろう?」

 フィンは、人差し指を頬につけて、頭を傾けた。

「ん―。即お金となると厳しいですね」

「澄香、強盗、海賊、山賊どう」

 フラットが、銃を片手に笑いを浮かべながら言った。

 時乃が、フラットの肩を両手で押さえて言った。

「地球の通常空間で、犯罪行為をすることは、とても危険だ!わたし達は、戦争で何事も解決してきたが、海賊ではない。ただ、日本人の嫌がることをするつもりではある」

 双子の一人メイティは時乃に言った。

「澄香様は、日本人の嫌がることをするなんて―何故ですか、ある意味助けてくれたのは日本人ではないですか!」

「それはだね、わたしの憑代だった健二を迫害したからだよ。彼の記憶が、今もわたしの中で渦巻くのだよ」

「でも…この作戦を考えたのは…」

 メイティは、頭を下げた。

 フィンは、健二のPCに自分の体から出ているUSBコードを接続した。高速で地球上のデーターが、体を流れる。

「このクローンソフト社のOS素晴らしいですが、私ならもっと良い品を提供できます。澄香OSを製作販売するといいのでは?推測では、早期にお金が貯まります」

 時乃は、健二の記憶を一部共有しているので、彼が好きだったPC関連のビジネスに関心を持った。

「フィン製作をたのむ、早期に実現したい」

「了解しました。それでも最初にお金は要りますよ」

 時乃達は、情報を集めた。いかに、異世界の御使いとして、威厳を持ち金を稼ぐかを。
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