狐のフカフカ

六文銭

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ふかふかな翌朝

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 冬の穏やかな日差しと小鳥たちの声で俺は目を覚ました。早朝に少し寒さが増したからだろうか、隣ではタマが真ん丸に丸まって寝ていた。昨日の涙はすっかり乾き、スヤスヤと気持ち良さそうな寝顔をうかべている。

 夜が明けて、タマが言っていたように『ふかふか』の効果も解けて、俺の体もすっかり元に戻って……ない!

 視界の下では大きな脂肪の塊がふかふかと揺れている。手は長く華奢で、肩や腰も細い。恐る恐る股間を触ってみると、そこにはあるはずのものがなかった。いや、あったにはあったが、違うものがあった。

「なんで、元に戻ってないんだ!」

 そう思わず口に出した声も高く女性的なままだった。慌てて横で寝ているタマを揺り起こす。

「おい、タマちゃん。起きてくれ、タマちゃん」

「むにゃむにゃ、お稲荷さんはもう食べられないぞよ」

「なんてベタな寝言を。そうじゃなくて、起きておくれ、タマちゃん」

「そこまで言うなら、食べてやらんこともない、むにゃむにゃ」

「結局、食うんかい! 俺の身体が元に戻ってないんだけど」

 思わず頭を軽く叩いてツッコミを入れると、さすがにタマも目を覚ました。

「むうぅ、清彦か、おはよう。どうしたんじゃ。そんなに大きな声を出して」

「おい、身体が元に戻ってないぞ」

 慌てる俺を尻目に軽く伸びをすると、尻尾の毛並みをのんびり整え始めたタマはバツが悪そうにこう答えた。

「それはの、正確に言うと一度男に戻っていたのじゃが、また『ふかふか』の術を掛けたのじゃ」

「どうして、そんなことを!?」

「わらわは日の出頃に目を覚ますのじゃが、目を覚ましたら隣にむさ苦しい男が寝ておるではないか。二度寝をするのにそれもどうかと思ったので、もう一度『ふかふか』の術を掛けたのじゃ。清彦は女の方が見目が良いしの」

「なんてこった……」

 結局、その日は病欠ということで会社を休むこととなった。

 こうして、俺とタマの奇妙な生活は始まったのだった。それは、母親恋しさからなんとか俺を女にしようとする可愛らしい妖狐との危険な生活でもあった。


(了)
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