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じゅうなな
しおりを挟む「ルミナス様は幼すぎて覚えておられないかと思いますが、私はジルさんに貴方の世話になれと言われ時すごく悲しかったんです。側にずっといたいのは勿論、旦那様と奥様に仕えると思ってましたから。そりゃ生まれたばかりの貴方は大変可愛らしくお姫様ではありましたけど。それこそ、天使と間違うくらい可愛らしかったですよ。」
昔を思い出すかのような瞳に、私は必死に思い出しなさいと頭を捻るが残念ながら思い出せないし、なんなら、アランの言い方が昔の私は可愛かったけどまだ今の貴方はそうでもありませんと言っているように聞こえてしまう。
おかしい。きっと気のせいだと思いたい。
「ルミナス様はシャルン様が言っていたように、3歳頃まではお淑やかで天使でありました。それが、4歳になると同時におてんばになっていきました。
私が貴方に仕えようと本気で思ったのは、その天使時代が終わってからの4歳の頃になります。
急におてんばになった貴方に私は大変手を焼いておりましたし、侍女たちも困惑しておりました。そして、ある時聞いてみたのです。
どうして急に木に登られたり剣を握ろうとしたりとルミナス様らしくないことをされるのですか?と。
そしたら、貴方は少し悲しそうな顔をして
だって、にこにこ笑ってるだけじゃお人形みたいって。もっと手がかかった方が子どもらしいって、みんな言うんだわ。だからね、アラン。貴方も嫌だったら私のアランでいなくてもいいのよ。アランはアランの好きなところに行っていいの。
そう言ったのです。その時、私は初めて貴方の心を知れた気がして、貴方という人を見れた気がして、嬉しかったのと同時にそんなことを思わせてと深く後悔しました。それから私は貴方に仕え、側にいてお守りすることを誓ったのです。」
私は目の前のアランという男をしっかりと見た。アランも私のことをしっかりと見る。
彼が言った初めて貴方を知れたという部分に今ひどく共感した。私も今初めて貴方の心を知れた、と。
アランが私の側にいるのは使命だと思っていた。そうあるべくお父様とお母様に言われたのだと思っていたのに。
アランは自分自身でちゃんと私に仕えることを誓っていたなんて。
「話を戻しますが、そんな貴方がこの世界でどう生きていくのか見てみたいと思ったので、この世界で生きるのも悪くないと思ったのですよ。」
「ん?何か色々誤魔化していない?」
「話が長すぎて忘れたのでは?」
「私がいなくなったら悲しいくらいには好きなくせに」
どこか飄々としているアランが気に食わず、そう嫌味を言えばアランは目尻を柔らかくして「そうですね、」と笑いながら優しい声でそう言った。
予想外の受け答えと表情に一瞬固まるが、すぐに落ち着いた。
本当この数日の間でアランの色々な顔を見れた。
「あ、ところでお母様と目的は?」
「覚えてましたか。母はこの世界の神の1人なんですよ。そして、目的はジルさんの願いを叶えるためです。」
「ええ!!!か、神?!」
「お嬢様、令嬢らしからぬ言動はお慎みください。」
アランはやれやれという顔を私に向けるが、私はむしろやれやれと言い返したい。
お母様が神様ということは、その息子のアランは神様の子どもということになるのですが?それはもはや、人ではないような気がするのですが??
神様、神様、アランは神様?
魔力が高いのもそういう理由だったのね。
「お嬢様?大丈夫ですか?」
「いいえ、頭がパンクしそうよ、アラン。貴方は神と人間の間に生まれた子どもなのね?」
「え?あーまあ、そうですかね。」
私の問いに曖昧に濁しながら答えるアランに私は、もしやと口を開く。
「神様と神様の間に生まれたの?!」
「え?いや、違いますよ。それだと私は神様になりますねぇ。」
「え?、じゃあ、お母様は神様でお父様?は?」
「私たちが住んでいた世界にいる魔王ですね。魔物の王様です。」
まあ、今は隠居しているようですが。とサラリと付け加えるアラン。
なるほど、アランは神様と魔王の血を引いた人…いや?人じゃない?魔物?いやでも、神様だから…、
「どうしました?」
アランは考え込んでいる私の顔を覗くように見てくる。見慣れた少し心配そうな表情に安心し、アランは神様でも魔物でもない。アランなのだと思った。
心配症でアヴェーヌ家の執事で、何処が飄々としているけれどしっかりと仕事はこなすそんなアランがここにいる。
「アランはアランなのね。」
私がそういって笑えばアランは驚いたように目を丸くして私の顔をじっと見つめた。
私はそんなアランに気づかず、次に気になったアランの目的について考えていた。
やはり、お母様と会うことかしら?
アランはうーんと考え込んでいるルミナスを見て、頬を緩めた。
アランの素性を知ってもなお変わらず笑ってくれるルミナスに心が温かくなっていた。昔も同じようなことを言われ嬉しかったのを思い出し、更に頬が緩む。
しかし、この後のことを考え引き締めた。
「さあ、あとはジルさんに会わすだけだ。」
そう呟いた声は誰にも拾われず空気と共に消えていった。
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