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にじゅう
しおりを挟む「あ、おきましたね…良かったわ」
目が覚めると目の前に優しいシスターが目の下に隈を作って、私の顔を覗き込んでいた。
私は数秒固まっていたが、その様子にシスターは気づかず再び話し出す。
「貴方が流れ者の騎士だって聞いたもので、あの人が…でも、貴方お強いのですね。」
「え、」
「だって、ほら、あの人は魔力を使いすぎて今も眠ったまま。」
シスターはクスクスと笑いながら扉の方を指差す。
そこには、昨日夢の中で見たはずのうるさい騎士がいた。あれ、あれは夢じゃなかったのね。
私はまじまじその騎士を見る。
シスターは私の平気な姿に安心したのか、ふうと一息ついたのち、私は休みます。また後で。と部屋を出て行った。
私は軽くて頭を下げるものの、願わくばこの扉にいる騎士も連れて行って欲しかった。
「さて、昨日のが夢じゃないなら、ここはエドワード様の治める予定の国、エステレラ王国って事ね。」
エステレラ王国、それは私が住む国の名前。
魔法も精霊もーーー人間も豊かな国。
他国に負けない技術を持ちながらそれを独占せず、いろんな国に技術を教えている。
私はそんな国に剣を捧げる、騎士になる予定の伯爵令嬢になりたかった王妃なのよね。
エドワード様は好きよ、お慕いしてるわ。
もちろん、国も民も好き。
でも、本当はお父様のように剣を奮い国の為に戦う騎士になりたかった。
女の私には無理な事だけれど。
「聖女、マリア。」
「その名を口にするな。」
声の方へと視線を向ければ、うるさい騎士が目を覚ましていた。
私はなんの話だと聞いた。
ここにいる私は伯爵令嬢のルミナスではない。
流れ者の騎士、ルナだ。
「そんな、汚らわしい名前をこの国で口にするな。死にたくなればな。」
「…なるほど、この国にとって聖女は悪の象徴なのか?」
私がそう聞けば、騎士は眉間のシワを寄せ唸るようにこう言った。
「アレは、アレは聖女ではない。魔女だ。古に伝わる魔女が復活したのだ。」
「魔女?魔女は森から出ない掟のはずでは?」
「むむ、貴様流れ者のくせに詳しいな…まさか、スパイか!!!!!」
くわっと目を見開かせる騎士に私は口元をヒクヒクさせながらも、道中で聞いただけだ。と答える。
すると、奴は単純にも納得したようで続きを話してくれた。
「その魔女ではない。本来魔女は森の中から出ないことを約束する代わりにこの国に住むことが許されている。」
「それは、知っているが…その魔女ではないっていうのは?」
「だから言ったろう?古の魔女だと。何十年も前にもそのような魔女が生まれたんだ。そして、1人の少女を異世界へ飛ばしてしまった。その魔女はその時の魔力暴走で死んだ。しかし、また生まれたんだ。そして、そいつは生まれ変わりだった。」
生まれ変わり?
何十年も前の魔女の魂がまた復活したということ?
「そして、そいつは今度はうまく過ごした。聖女マリアとして民や我々王に仕えるものたちの信用を得た。
それに気づかなかった我々は、ルミナス様を失うという悲劇に会う。ーーーーそれが3ヶ月前の話だ。」
「3ヶ月前?」
騎士の話を真剣に聞いていたが最後の一言で全てが飛んでいってしまった。
この男今、3ヶ月前に私が失われたと言った。それはつまり、私が異世界へ飛ばされた時のこと。
「そうだ、3ヶ月にエドワード様の婚約者であるルミナス様は聖女マリアによって異世界へと飛ばされた。」
「嘘だ…」
「嘘ではない。私はあの日いたのだから。あの後のエドワード様は本当に見ていられなかった。今は立ち直って、2ヶ月後に迫る王位継承式の為に頑張っておられる。」
本当に強いお方だよ。と付け加えて騎士は笑った。
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「ああ、姿を消した。死んでいないのは確かだ。」
「そうか…その因みに、エドワード殿下には婚約者はいるのだろうか?」
騎士は私がなぜそんなことを聞くのかわからないというふうな顔をしたが、素直に教えてくれた。
「ああ、婚約者かわからないが、いつも金髪の美しい顔立ちの女の人を連れている。もしかしたら、その方と添い遂げるのかもしれんな。」
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