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にじゅうなな
しおりを挟む魔物?アークに言われてよく見てみるも、どう見ても小さな女の子にしか見えない。
なんて考えているうちに、ものすごい衝撃が襲い後方へ飛ばされた。
いたいなんて考えられないくらいには、思い切り背中を打ちつけ地面に転がった。
「ルナ!!!!!!!」
アークが自分の名を呼んでいるが、いつものように軽口が聞けない。
声が出ない。肺か肋骨か。どこか負傷した可能性が高い。
「おい、ルナしっかりしろ!治癒魔法かけられるか?私は無理だぞ!」
私の肩を揺するアーク。
私はわかっていると言いたいが言えず、仕方なく心の中で治癒魔法詠唱を行う。
ーー我が身を治し、癒したまえ
するとみるみるうちに、傷や痛みが引き「あー、」と声も出せるように。
「ルナ!心配してぞ!大丈夫か?」
「大丈夫だから、黙ってて。あれってなんの魔物だ?」
「あれか?幻惑を使う魔物だ。対象が最も攻撃しづらい姿に変化すると言われている。因みに私は家族だったな。」
お前もそうか?と問われたが、何も答えなかった。私が見たのはただの女の子だったからだ。
攻撃しづらい、私の中では家族よりも少女なのだろうか?と考え込んでいると、ぐいと肩を掴まれる。
「アーク…」
「考えるのは後だ!もう攻撃が来るぞ!」
そう言ってアークは私を自分の背に隠し、攻撃態勢を取る。
その姿に目を見張った。
何故、なんて、野暮なことは言わない。
おそらく、私を守ろうとしているのだろう。
いつもは、アランがエド様が前に立っていた。
ーー下がっていてください。ルミナスお嬢様。
ーー君は下がってて。ここは私が引き受ける。
2人の顔を思い出して、目の奥が熱くなった。なんで、今、思い出す。なぜ、今、2人の顔が。
私は目の前の逞しい背中を見て、目元を擦る。泣いている場合でも膝をついてる場合でもない。
私は、エド様の隣に立ちこの国を支える王妃になる為、身に付けたものがたくさんある。
魔術や剣術、それから魔法。
私は思い切り手をかざし、「風よ、悪きものを吹き飛ばせ!!!!」と強く言えば、目の前のもの全てが吹き飛んだ。
「る、ルナ?!?!」
「黙っていろ!口に砂が入るぞ!」
「うえっ?!」
あなたたち2人が今まで守ってきてくれたから、私は今こうして五体満足でいられる。
貴方たちが守ってくれたように、私も貴方たちに恥じぬように、大切な仲間を守りたい。
私は目の前の砂埃がなくなり、視界がクリアになってきた頃、さらに魔法を発動させる。
万が一のために。常に最悪の状況を考え、相手を下に見ず、己が目で息をしてないことを確認しなければならない。
それが、戦いの場にいる者の覚悟だ。と父様に教わった。
「ひどい、なんで、ひどいわ、貴方。なんで、貴方には私が映るの?」
砂埃の晴れた視界から現れたのはやはり普通の女の子。
可愛い恐らく12歳頃の女の子である。
その子が私の頃を見ながらひどいと連呼する。
「普通は、そこの男みたいに、自分にとって大切な人が映るの。誰だって大切な人だったら殺せないでしょ?なのに、あなたおかしい、ひどい、大切な人がいないのね」
「大切な人はいる。がしかし、私の属性がそうさせないのだろう。」
「ふぅん、ふぅん、ふぅーん。じゃあ、貴方の大切な人に魔法をかければいんだわ。そして、貴方の家族を殺すの。素敵、すてき、ステキね。貴方は家族も大切な人も守れず絶望するの。すてき、すてきね」
魔物の幻惑魔法、操作魔法は光属性の私には効かないのだと冷静になると理解できた。
女の子にそれを言えば、狂ったように言葉を吐き出す。
それは壊れたおもちゃのようだった。
「おおい、ルナ!大丈夫かって、おおっ!なんだこいつ、不気味だな…!」
遠くに飛ばされていたアークがようやく私の隣に来て、女の子を直視する。
どうやら女の子は幻惑魔法を使ってないようで、アークにも私と同じものが見えるようだった。
アークは私の肩を掴み、「あいつ生きてるのか?」と問う。
「いや、分からない。なにせ、このような魔物と対峙するのは初めてだからな…アークは?」
「私も初めてだ。というか、そもそもダンジョン自体が初めてだ!!!!」
背中を剃り胸を張るアークに、思わずため息が出る。
別に自慢することではないと思うのだけど。
そんな私たちの様子を見て女の子は苛立ち力を暴走させた。それはかつての聖女マリアのように。
「うるさい、なんで、お前にもお前にも効かない!!!!!!大切な人を殺せない!!!!!お前らはここで死ぬ!!」
とっさに身構えるも防御魔法は発動できず、体制が崩れる。
待って、こういう時ってあまりいい展開になったことがないような…と思った時には遅く、私の視界は暗転した。
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