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★ようじゅうに
しおりを挟むリヒトsaid
あれは、新しい王様が即位したすぐのことだった。
俺はそれまで自然に囲まれた森の中で、密かに竜人族のヘレスとその親、オスカーと暮らしていた。
俺は赤ん坊の頃に森に捨てられており、それを助けて育ててくれたのがオスカーだった。
オスカーは妻を病死で亡くしており、そこから男手一つでヘレスを育ててきた。
ある日、森で借りをしていると赤子の泣き声が聞こえ、そこに俺がいたらしい。
オスカーはこれは何かの縁だと、俺を拾ってヘレスと共に育ててくれた。
そんなヘレスと俺は兄弟家族同然に育ち、俺は人間と竜人族のことをオスカーから知った。自分がヘレスとオスカーと違う生き物だということにショックを受けたが、それでも家族だと笑った2人に俺は救われたんだ。
だけど、そんな幸せは続かなかった。
俺が十六の歳になった時だ。急に王都の連中が、俺たちの住む森にやってきてオスカーとヘレスに刃を向けた。
オスカーは俺たちを逃そうとして、連中に捕まり何処かへ連れて行かれた。
ヘレスと一緒に泣きながら逃げたが、俺たちもすぐに捕まってしまった。
俺たちは必死に抵抗したが、大人の力、ましてや騎士の力なんかに敵うわけなかった。
俺たちは気絶させられ、気づいた時には俺は1人だった。豪華な装飾や家具に囲まれたベットにいた。
俺は慌てて起き上がり、ヘレスやオスカーを探したが姿はなかった。
しばらくすると、部屋に偉そうな服を着た奴らが入ってきた。そいつらは俺を見ると「勇者だ!」「勇者に間違いない!」と騒ぎ出した。
勇者?なんだそれは?と俺は首傾げ、とりあえず様子を見た。下手にしゃべりでもして不敬罪と首を跳ねられるのを危惧したからだ。
「勇者どの、貴方は我ら人類の光です。」
「どうか、魔の森に住む魔王退治をしていただきたい!!」
「お願いします、勇者様!」
俺に向かって口々そういう奴らに嫌気がさしながらも、小さく「魔王退治?」と繰り返した。
「そうです!貴方にはその力がある!」
「右手の甲に勇者の紋章があるでしょう?それが証拠です。」
「貴方様は剣をふれば大地が裂け、魔法使えばあたり一帯を更地にしてしまうほどの力をお持ちになると言われます!」
「その力で魔王を、退治してほしいのです!」
俺は自身の右手を見る。
確かに小さい時からこの変なあざのようなものはあった。オスカーも言っていた。
これが、勇者の紋章?
俺は目の前にいる奴ら見て「俺と一緒にいた者は何処だ」と聞いた。
奴らにとって俺は貴重な存在であることが十分にわかった為、口を開くことにした。
奴らは俺の問いに口を閉ざすも、少しして話始めた。
「怖ながら、あれらは人ではない故に」
「勇者どのには必要ない者たちです。」
となんとも曖昧な事しか言わない奴らに、俺は少しきつめに言った。
「あいつらの無事が確認できないなら魔王退治は行かない!」
何を言っても靡かない俺の意思の固さに、奴らはとうとう根を上げ、分かりました。会う許可を与えます。と言った。
それから、俺はその勇者の権限を使い、オスカーとヘレスに会い、そしてともに魔王退治に行ったんだ。
退治、ではなく正確には封印らしいが。
俺はヘレスとオスカーと一緒に旅ができるのが嬉しかった。3人だけの空間の居心地良さが好きだった。
そして、魔王を無事に封印でき、みんなで帰ろうとした時だった。
オスカーが急に俺を抱きしめ「お前は俺の大事な息子だ。いつまでも愛してる」と言い、俺が何言ってんだよと照れて、オスカーが優しく俺を見ていた。
見ていた、オスカーが目の前で消えた。
抱きしめられた温もり、もあるのに、俺の前から存在を消したオスカー。
混乱する俺を嘲笑うかのように、目の前に騎士団がやってきた。
ヘレスが俺を庇うように前に出て、俺は咄嗟にヘレスを抱き抱えた。
だめだ、ヘレスまで消えてしまうと思った。
なぜならその騎士団の中に、魔術師がいたからだ。
魔術師は魔法や精霊契約とは違い、己が命や何かを犠牲にした上で成り立つものが多い。
その代償が大きければ大きいほど、その力は増す。
俺は一回そいつが人間を消すのを見たことをあるから、知っていた。
俺は必死に結界魔法を展開したが、無意味だった。
ヘレスは、俺の腕の中でパァン!という音ともに消えた。俺は視界が赤くなり、ヘレスの血で洋服が濡れ、鼻の奥にこべりつく生臭い血の匂いに頭がおかしくなりそうだった。
こいつら、こいつらは、俺の大事なひとを人達を、跡形もなく消した。
1人はその姿ごと。
もう1人は体だけ。
どちらも俺の前で消されてしまった。
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