聖女に異世界へ飛ばされた 【完結】

もち米

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ろくじゅう

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「待ちなさい、アンジュ!そんなに走っては転びますよ。」

「はあい!母様!」

「レイチェル、父様は?」

「父様はライ叔父さんに呼ばれたよ。」


母親に似た金髪に、父親の瞳を受け継いだサファイヤの幼き瞳が、金髪の美しい女性を見つめる。
その女性は、眉を下げ困った表情をするも、何も言わずに前を元気よく歩く女の子の手を取った。


「母様?」

空のように済んだ水色の瞳に、父に似た銀髪。そして、少しだけ毛先がクルッとしているのは母の癖っ毛が似たのだろう。

母様と呼ばれた女性は優しく微笑み、小さくウルと呼んだ。
すると、突然何もなかったところに大型の狼が。


「あーー!ウルだ!あそぼう!」

「アンだけずるい!僕も一緒に遊ぶ!」

モフモフの毛に2人の天使が顔を埋める。
ウルと呼ばれた狼は嬉しそうに尾を振る。

そんな様子を空に浮かびながら眺めていたのは光の精霊ティア。

「久しぶり、ルミナス。元気だったかしら?」

「ええ、ティアも元気?」

「もちろんよ!ボウヤ…アンタの旦那と執事には相変わらずあの時のことをネチネチ言われるわ。なんとかしなさい!」

頬を膨らませてそう言ったティアに、ルミナスも口元に手を当て笑う。

あの時のことを思い出し、笑ったのだ。

「アレは、ティアも悪いからお互い様ね。」

「なによぉ、あんなことも知らなかったあの子達が悪いのよ!ね~ウル~!」

ルミナスにお互い様と言われて不満だったのか、仲の良いウルの方へと飛んでいった。

あの時とは、ちょうど今から7年前になる。
全てが終わり私が家族や残してきた人たちに会いにいった時に、ティアが放った一言。


『まあ、私が生きてる限り貴方は死なないから別にそこまで心配してなかったわ!』

と言ったのが原因で、その場にいたみんなから非難されてしまったのだ。
その時のティアの慌てようと普段見ないみんなの顔にルミナスが大笑いをしたのは、忘れられないと当時いた人たちは口を揃えていうのだった。


「あ、おねーちゃん!見つけた!」

「待て!ヘレス!ちゃんと正式に呼べ!」

「なんだよ、アークのケチ~!」

ルミナスを見て花のように笑う赤髪の少女とその少女を諌めようと必死の男騎士。

そんな2人を見て、聖母のように温かく微笑むルミナス。

「久しぶりね、アーク。ヘレス。リヒト。」

そう声をかけると、男騎士が一礼をし赤髪の少女が嬉しそうに笑った後、急に表情を硬くして「俺が1番最後かよ。」と言ったった。

ヘレスと呼ばれた少女は、肉体に対して二つの魂が宿っている。
その魂の名が元勇者のリヒト。そして、ルミナスの契約者だ。

しかし、リヒトが表に出る時間は短く一言言うとすぐに表情が明るくなり、ヘレスになった。

「ふふふ、リヒトってば恥ずかしがり屋なんだから!あ、おねーちゃん、そろそろあの女も来るよ!」

ヘレスがにこにこと笑いながらそう言った。
あの女と聞いて少し苦笑いをするも、ルミナスの表情は明るかった。


何故ならあの女と呼ばれる人物に心当たりがあるからだ。


「あら、相変わらず辛気臭い顔をしているわね、ルミ!!!!!」

「マリーあなたは相変わらず…愛されてるわね」

「やあ、お嬢ちゃん、久しぶりだね、オレたちは今もラブラブだよ」

どう?というように、マリーのことを後ろから抱きしめるライ。
2人の仲良しぶりにほっこりするも、横から人影がばっと出てきて「ルミナスお嬢様!!!目が汚れます!」と叫び、ライのことを蹴飛ばすルミナスの専属執事アラン。

「アラン、あまり証拠を残すとルミナスが疑われてしまうよ」

「申し訳御座いません、ルミナスお嬢様。」

そして、その横に優雅に立っているのはルミナスの夫、エドワード。そして、この国の頂点である。

エドワードはルミナスのことを優しく抱きしめたのち、娘アンジュと息子レイチェルのことも抱きしめ、額にキスを落とした。



「ルミナス、今日は君の誕生日だ。」








そう今日この日は私の誕生日。
あの悲惨な誕生日からもう7年も経つ。

でも、もう私も二児の母であり、この国を守るために働く王妃でもある。

しかし、周りにはこんなにも心を許せる友や仲間がいる。私は本当に幸せ者だ。とルミナスは思った。


「本日は私の誕生日パーティーにご参加いただき、ありがとうございます。心ばかりですが皆様に楽しんでいただきたく、私からもプレゼントを用意させていただきました。」


ルミナスは淑女の礼をしながら、この日のためにみんなには内緒で、考えていたサプライズをここで披露する。

両手をかざし、魔力を込めれば光の雨がこの国に降り注ぐ。

見るものによってその色は鮮やかに変化し、触れれば暖かく冷たく、そして、それは胸がいっぱいになる幸せの魔法。


みんなの顔が驚いたり、微笑んだり、喜んだりしている顔を見て満足したルミナスは再び淑女の礼をしながら言った。



「最後まで、楽しんでくださいね」




あの日見せなかった最高の笑顔で。








fin.
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