自分の命の残り 完結

魚口ホワホワ

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彼女との思い出

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 その後、俺は、東京のアパートを引き払い、地元に戻ってきた。実家で親父と姉ちゃんと最後の時を一緒に暮らしたいと思った。

 姉ちゃんから中学時代から好きだった弘美ちゃんが、出戻りで、こっちに帰ってるとの事を聞いた。そして、3丁目の喫茶店で働いていると聞いたので、冷やかしに行ってみる事にした。

 その喫茶店の扉を開けるとカランカランと金がなり、正面にお盆にコーヒーと砂糖とミルクを乗せて、弘美ちゃんがいた。

「いらっしゃいませ…」
「うっ…」

 一瞬、焦ってしまい、扉を閉めて帰ろうかと思ったが、弘美ちゃんの変わらずの可愛さに踏みとどまった。そして、声をかけた。

「弘美ちゃん…久しぶり…」
「…」
「青井だよ…青井…瞬だよ…」
「あっ瞬くん?」
「そうだよ…」
「全然、わからなかった、何かしゅっとしたね…やっぱり、コマーシャルでやってるライなんとかで?」
「みんな、おんなじ事いうけど、自然だよ…」
「えー、凄いね…痩せるとイケメンなんだね」

 お店は、わりあい暇だったので、弘美ちゃんとお喋りして、仕事終わりで、飲みに行く約束をした。

 駅前で、待ち合わせすることにして、俺は一回家に帰り、シャワーを浴びて、姉ちゃんに冷やかされながら、時間前に着くように家を出た。

 言われた時間通りに弘美ちゃんはやってきた。喫茶店のエプロン姿も良かったが、私服も可愛かった。

「お待たせ…今日は、こんな格好でごめんね…」
「全然、いい感じだよ…」
「瞬くん上手い…東京でもモテたでしょ…」
「仕事が忙しくて、全然だよ…」
「また…どこ飲み行こうか?」
「どこでもいいよ…」

 居酒屋の店員が、一杯目無料のチラシを配っていたので、そこに行くことになった。中に入ると半個室タイプの席で、良い感じだった。まずは、二人ともビールで乾杯した。

「瞬くんとの再会に乾杯…」
「ういっす…」
「二人で飲みなんて初だね…」
「中学時代に弘美ちゃんを何となく遊びに誘ったけど、やんわり断られたよ…」
「えー誘ってくれてたの?」
「また…そんで持って、中3時に告白もしたよ…笑われて終わったけど…」
「そーだっけ…」

 中学時代の昔話をしたり、東京に出てる時にどこに行ったとか、弘美ちゃんの結婚してた時の愚痴も聞かされて、お互いつまみを食べながら、いろんな酒を数杯飲んだ。

 そろそろ、お互い酔っぱらってきたので、帰るかと思い、弘美ちゃんに声をかけた。

「弘美ちゃん…帰ろうか…」
「瞬くん…かっこよくなっちゃって…」
「はいはい…帰りましょう…」
 
 弘美ちゃんは、久しぶりに酔っ払ったようで、ふらふらして危ないので、腰に手を回した。

「瞬くんエッチだね…」
「ほら、危ないよ…家、どっち…」
「こっちかな…そこの2階だよ…」

 一軒のアパートに着くと横についてる階段で、2階に上がりました。弘美ちゃんは、鍵を取り出して、玄関を開けると俺の腕を引っ張り、部屋の中に入れられ、いきなりキスをしてきた。俺は呆気に取られたが、弘美ちゃんの甘い香りで、欲望に火がついた。

 お互い服を脱ぎながら、キスを何回もし、肩から胸に愛撫した。中学時代と変わらずの色白の肌は、なおさら興奮を煽った。そして、弘美ちゃんの吐息が部屋の中に響いた。

 すでに俺は我慢出来なくなって、弘美ちゃんに入れたくなった。弘美ちゃんが察して、俺の下半身に顔を埋めて、口で準備してくれた。

 そして、弘美ちゃんは俺をベッドに寝かせて、上になって腰を振ってくれて、合わせて弘美ちゃんの欲望が部屋の中で響いた。

 俺は体制を変えて、上になり腰を目一杯に動かした。急に痩せていったので、身体には、皮が伸びてる所があり、一緒に揺れていた。弘美ちゃんは、何回か果ててくれた。

 最後にこんな気持ちの良い事が出来るなんて、幸せな時間を楽しんだ。そして、お互い欲望を吐き出して、満足したら、急に眠気がきて、ひとつのベッドで二人で寝た。

 次の日になり、俺が先に起きた。着替えてる時に弘美ちゃんが目を覚ました。

「瞬くん…おはよ…」
「おう…おはよう…もう帰るわ…」
「いつでも来てもいいよ…気持ち良かったね…」
「ああ、またな…」

 人生の最後に中学時代から、欲しくてたまらなかった弘美ちゃんを呆気なく手に入った瞬間、あの時の人生の最大の悩みは何だったのだろうと思った。

 弘美ちゃんとは、残りの人生でまた会えるか、わからないと思った。
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