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本編
45.初詣②
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「今日は初詣に来ています!」
「いえーい!」
「人が凄いですねー」
神社について収録がスタートしたけれど、元旦の昼間ということもあって人が多い。何とかはぐれることなくお参りをして、その後にそれぞれ絵馬を書いて奉納した。
「お守り買ってもいいですかー?」
柚葉ちゃんはスタッフさんの返事を聞く前にもうお守りを手に取っていて、買う気満々。
「普通に買っちゃって大丈夫ですか?」
『どうぞ』
「ちょっとみんなにも言ってきますね」
美月がスタッフさんに確認してOKを貰って、後輩たちに声をかけに行った。
「え、どうしよう。仕事、健康……あ、恋愛もありますよ! デザインが可愛い。」
「柚ちゃん、誰と恋愛する気??」
「陽葵さんには美月がいるし、凛花さん? 違うな……ファンの皆さんかな? ここは無難に仕事ですかねー」
「なんか勝手に振られたんだけどっ?! 私も仕事かな」
柚葉ちゃんと凛花がじゃれていて、2人とも最終的に仕事にするみたい。私も仕事かな。
恋愛のお守りは確かに可愛いけれど、柚葉ちゃんの言う通り私には美月がいるしね。
「あれ、もう皆決まりました?」
「うん。決まったよ」
「これ可愛いけどなんですかね?」
美月が戻ってきて、可愛い、と手に取った恋愛のお守りを眺めている。やっぱり目を引くデザインだよね。
「美月、それ恋愛」
「え?!」
これは違う! と戻していて、焦っちゃって可愛い。
「美月、誰と恋愛するのー?」
「しない、しない」
柚葉ちゃんがニヤニヤしながら聞くと、スタッフさんや他のメンバーも居るからか慌てて否定していて逆に怪しい。反応が素直すぎる。
「あ、仕事にしよ。すみません、これお願いします」
「わ、4人おそろいー! せっかくなので写真撮ってもらいません? すみません、お願いしていいですか?」
柚葉ちゃんがスタッフさんにお願いして、4人お揃いのお守りを持って写真を撮ってもらった。カメラさんもバッチリ撮ってくれている。
他のメンバーが選び終わるのを待って、何か食べたいね、と屋台に向かう。
「クレープ!」
「さっき我慢したもんね。並びにいく?」
「わーい。行く人ー?」
柚葉ちゃんはクレープに目を輝かせていて、凛花と何人かと連れ立って早速並びに行った。ちなみに、カメラさんも着いて行っている。
「美月、お昼食べた?」
「うん。軽く食べてきた。陽葵ちゃんは?」
「私も軽く食べたけど何か食べたいな」
色々な屋台が出ていて何にするか迷う。そこまで食べられなさそうだから美月と半分したらちょうどいいかな。
「ご飯系? デザート系? 陽葵ちゃんはどっちがいい?」
「えー、ご飯系かな」
「たこ焼きとか?」
ちょうど空いているしいいかも。皆それぞれ食べたいものに並んでいて、少し離れたところにスタッフさんはいるけれど、今は2人だけでちょっとデートっぽい。
すぐに買えてまだ誰も戻ってきていないし、あーんしたら食べてくれる気がする……!
「美月、あーん」
「……ん。美味しいー! なんで屋台の食べ物ってこんなに美味しいのかな」
周りを見渡して、メンバーが居ないのを確認して抵抗なく食べてくれて、嬉しそうにしている様子に頬が緩む。
「私があーんしたから美味しいんでしょ?」
「え、何恥ずかしい事言ってるの?!」
これくらいで慌てちゃって、本当にからかいがいがある。
「素直にそうって言えばいいのに」
「言いませんー」
「言いませんってことは思ってるってことね」
「なっ……?! 思ってませんー!!」
ムキになっちゃって、こんな風に子供っぽくなる美月も好きだなんて言ったら怒るよね。
「まあまあ落ち着いて? はい、もう一個」
「誰のせい……!! はぁ……陽葵ちゃんは食べないの?」
「食べさせてー?」
あーんしてくれるかな? とたこ焼きをパックごと差し出して口を開けてみる。
「ふふ、かわい。熱いから気をつけて? はい」
「ん。うん、美味しい」
少し冷ましてから差し出してくれて、急にイケメンになる美月にニヤケが止まらない。甘えると嬉しそうにしてくれるからつい甘えたくなっちゃう。
「ねえ、やばいんですけど!」
「あーん、可愛すぎ……」
「この自然さ、もう付き合ってますよね??」
気づけばメンバーも各自買ったものを持って戻ってきていて、いつから居たのか、バッチリ目撃されていた。
「みんなお帰りー! 何買ってきたの?」
「焼きそば買ってきました!」
「唐揚げです」
「りんご飴ー!」
「おー、どれも美味しそう」
美月を見れば何も無かったかのように自分で食べ始めているけれど、ほんのり頬が赤いから照れてるんだと思う。
「あれ、みんな早いー! クレープ混んでましたー」
柚葉ちゃん達クレープを買いに行っていたメンバーも戻ってきて一気に賑やかになる。
気心知れたメンバーと初詣に来られて、美味しいものを食べるだけなんて、平和な収録。撮れ高大丈夫かな? ってちょっと心配になっちゃうくらい。
帰りはバスの中も撮るらしく、カメラさんが1番前に乗っている。
「初詣が終わってこれから帰りまーす」
「クレープ美味しかったです!」
カメラに向かって手を振りながらメンバーが乗り込んでいく。
『普段の様子を撮りたいので、気にせずイチャイチャしてもらって大丈夫なので』
「え?!」
「はーい」
「はーい?! 陽葵ちゃん否定して?!」
乗る前にスタッフさんからそんなことを言われて、スタッフさんまでそういう認識なの……? と美月が頭を抱えている。
全員が乗り込んでバスが出発して、メンバーが撮った写真がグループトークに届き始めた。
「美月、これ見て?」
「なっ……これ撮ったの誰ー?!」
アルバムにどんどん追加される写真の中に私が美月にあーんしている写真があって、そこから見られていたのかとちょっと驚いた。
「里香ちゃんでかした!!」
「ありがとうございますー! 逆バージョンも撮ったので送りますね!」
「有能っ!!」
美南ちゃんが人一倍喜んでいて、写真を見ながらニヤニヤしているのが想像つく……
「誰も居ないの確認したのに……」
「美月がムキになってた後あたりじゃない?」
「ムキになんてなってませんー」
「ほら、また」
頬をつんつんすればじとっとした目で見られたけれど、すっかり大人しくなった。可愛い。
「また後ろでイチャイチャしてますよー!」
「カメラさん撮りました?!」
メンバーの盛り上がりに、もうヤダ……と顔を覆って下を向いて、しばらく呻いていた。
帰りはカメラさんも居るし、寝ることなく歌ったりゲームをして盛り上がって、あっという間に到着した。
「お疲れ様でしたー!」
それぞれ次の仕事やレッスンに向かっていき、私は美月と途中まで一緒に移動する。
「なんだかあっという間に年が明けたね。改めて、今年もよろしくね」
「うん。こちらこそ。陽葵ちゃんと一緒に過ごせて幸せ」
「え? 今なんて??」
急なデレ?! 聞き間違い?
「なんでもないっ! じゃあ、またね!」
手を振って、あっという間に人混みに紛れてしまう。えー、言い逃げはズルくない? 今頃きっと照れてるんだろうな。
温かい気持ちのまま、次の現場に向かって歩き出す。この後の仕事も頑張れそう。美月の一言でこんなにも気分が上がるなんて我ながら単純だけれど、それだけ支えになっているし、大切な存在ってことだよね。今年も傍にいて貰えたら嬉しいな。
「いえーい!」
「人が凄いですねー」
神社について収録がスタートしたけれど、元旦の昼間ということもあって人が多い。何とかはぐれることなくお参りをして、その後にそれぞれ絵馬を書いて奉納した。
「お守り買ってもいいですかー?」
柚葉ちゃんはスタッフさんの返事を聞く前にもうお守りを手に取っていて、買う気満々。
「普通に買っちゃって大丈夫ですか?」
『どうぞ』
「ちょっとみんなにも言ってきますね」
美月がスタッフさんに確認してOKを貰って、後輩たちに声をかけに行った。
「え、どうしよう。仕事、健康……あ、恋愛もありますよ! デザインが可愛い。」
「柚ちゃん、誰と恋愛する気??」
「陽葵さんには美月がいるし、凛花さん? 違うな……ファンの皆さんかな? ここは無難に仕事ですかねー」
「なんか勝手に振られたんだけどっ?! 私も仕事かな」
柚葉ちゃんと凛花がじゃれていて、2人とも最終的に仕事にするみたい。私も仕事かな。
恋愛のお守りは確かに可愛いけれど、柚葉ちゃんの言う通り私には美月がいるしね。
「あれ、もう皆決まりました?」
「うん。決まったよ」
「これ可愛いけどなんですかね?」
美月が戻ってきて、可愛い、と手に取った恋愛のお守りを眺めている。やっぱり目を引くデザインだよね。
「美月、それ恋愛」
「え?!」
これは違う! と戻していて、焦っちゃって可愛い。
「美月、誰と恋愛するのー?」
「しない、しない」
柚葉ちゃんがニヤニヤしながら聞くと、スタッフさんや他のメンバーも居るからか慌てて否定していて逆に怪しい。反応が素直すぎる。
「あ、仕事にしよ。すみません、これお願いします」
「わ、4人おそろいー! せっかくなので写真撮ってもらいません? すみません、お願いしていいですか?」
柚葉ちゃんがスタッフさんにお願いして、4人お揃いのお守りを持って写真を撮ってもらった。カメラさんもバッチリ撮ってくれている。
他のメンバーが選び終わるのを待って、何か食べたいね、と屋台に向かう。
「クレープ!」
「さっき我慢したもんね。並びにいく?」
「わーい。行く人ー?」
柚葉ちゃんはクレープに目を輝かせていて、凛花と何人かと連れ立って早速並びに行った。ちなみに、カメラさんも着いて行っている。
「美月、お昼食べた?」
「うん。軽く食べてきた。陽葵ちゃんは?」
「私も軽く食べたけど何か食べたいな」
色々な屋台が出ていて何にするか迷う。そこまで食べられなさそうだから美月と半分したらちょうどいいかな。
「ご飯系? デザート系? 陽葵ちゃんはどっちがいい?」
「えー、ご飯系かな」
「たこ焼きとか?」
ちょうど空いているしいいかも。皆それぞれ食べたいものに並んでいて、少し離れたところにスタッフさんはいるけれど、今は2人だけでちょっとデートっぽい。
すぐに買えてまだ誰も戻ってきていないし、あーんしたら食べてくれる気がする……!
「美月、あーん」
「……ん。美味しいー! なんで屋台の食べ物ってこんなに美味しいのかな」
周りを見渡して、メンバーが居ないのを確認して抵抗なく食べてくれて、嬉しそうにしている様子に頬が緩む。
「私があーんしたから美味しいんでしょ?」
「え、何恥ずかしい事言ってるの?!」
これくらいで慌てちゃって、本当にからかいがいがある。
「素直にそうって言えばいいのに」
「言いませんー」
「言いませんってことは思ってるってことね」
「なっ……?! 思ってませんー!!」
ムキになっちゃって、こんな風に子供っぽくなる美月も好きだなんて言ったら怒るよね。
「まあまあ落ち着いて? はい、もう一個」
「誰のせい……!! はぁ……陽葵ちゃんは食べないの?」
「食べさせてー?」
あーんしてくれるかな? とたこ焼きをパックごと差し出して口を開けてみる。
「ふふ、かわい。熱いから気をつけて? はい」
「ん。うん、美味しい」
少し冷ましてから差し出してくれて、急にイケメンになる美月にニヤケが止まらない。甘えると嬉しそうにしてくれるからつい甘えたくなっちゃう。
「ねえ、やばいんですけど!」
「あーん、可愛すぎ……」
「この自然さ、もう付き合ってますよね??」
気づけばメンバーも各自買ったものを持って戻ってきていて、いつから居たのか、バッチリ目撃されていた。
「みんなお帰りー! 何買ってきたの?」
「焼きそば買ってきました!」
「唐揚げです」
「りんご飴ー!」
「おー、どれも美味しそう」
美月を見れば何も無かったかのように自分で食べ始めているけれど、ほんのり頬が赤いから照れてるんだと思う。
「あれ、みんな早いー! クレープ混んでましたー」
柚葉ちゃん達クレープを買いに行っていたメンバーも戻ってきて一気に賑やかになる。
気心知れたメンバーと初詣に来られて、美味しいものを食べるだけなんて、平和な収録。撮れ高大丈夫かな? ってちょっと心配になっちゃうくらい。
帰りはバスの中も撮るらしく、カメラさんが1番前に乗っている。
「初詣が終わってこれから帰りまーす」
「クレープ美味しかったです!」
カメラに向かって手を振りながらメンバーが乗り込んでいく。
『普段の様子を撮りたいので、気にせずイチャイチャしてもらって大丈夫なので』
「え?!」
「はーい」
「はーい?! 陽葵ちゃん否定して?!」
乗る前にスタッフさんからそんなことを言われて、スタッフさんまでそういう認識なの……? と美月が頭を抱えている。
全員が乗り込んでバスが出発して、メンバーが撮った写真がグループトークに届き始めた。
「美月、これ見て?」
「なっ……これ撮ったの誰ー?!」
アルバムにどんどん追加される写真の中に私が美月にあーんしている写真があって、そこから見られていたのかとちょっと驚いた。
「里香ちゃんでかした!!」
「ありがとうございますー! 逆バージョンも撮ったので送りますね!」
「有能っ!!」
美南ちゃんが人一倍喜んでいて、写真を見ながらニヤニヤしているのが想像つく……
「誰も居ないの確認したのに……」
「美月がムキになってた後あたりじゃない?」
「ムキになんてなってませんー」
「ほら、また」
頬をつんつんすればじとっとした目で見られたけれど、すっかり大人しくなった。可愛い。
「また後ろでイチャイチャしてますよー!」
「カメラさん撮りました?!」
メンバーの盛り上がりに、もうヤダ……と顔を覆って下を向いて、しばらく呻いていた。
帰りはカメラさんも居るし、寝ることなく歌ったりゲームをして盛り上がって、あっという間に到着した。
「お疲れ様でしたー!」
それぞれ次の仕事やレッスンに向かっていき、私は美月と途中まで一緒に移動する。
「なんだかあっという間に年が明けたね。改めて、今年もよろしくね」
「うん。こちらこそ。陽葵ちゃんと一緒に過ごせて幸せ」
「え? 今なんて??」
急なデレ?! 聞き間違い?
「なんでもないっ! じゃあ、またね!」
手を振って、あっという間に人混みに紛れてしまう。えー、言い逃げはズルくない? 今頃きっと照れてるんだろうな。
温かい気持ちのまま、次の現場に向かって歩き出す。この後の仕事も頑張れそう。美月の一言でこんなにも気分が上がるなんて我ながら単純だけれど、それだけ支えになっているし、大切な存在ってことだよね。今年も傍にいて貰えたら嬉しいな。
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