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番外編

卒業後初配信

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 夕方に仕事が終わって、買い物をして帰ってきた所で美月から電話がかかってきた。

『陽葵ちゃん、お疲れ様。今日ってもう仕事終わってるよね?』
「うん。終わって、買い物して帰ってきたとこ」
『買い物って夕飯の? 凛花さんとご飯いこうかって話になったんだけど、陽葵ちゃん出て来られそう?』

 この前3人のトークで近々ご飯いこうって凛花から来てたもんな。出れるけど、もう材料買ってきたし今日は鍋の気分なんだよね……

「出れるけど、うちに連れてきたら?」
『待ってね……凛花さんOKだって』
「ご飯用意しておくわ」
『わ、ありがとう! すぐ帰るね!』

 これから準備してちょうどいいくらいに帰ってきそうかな?


「陽葵ちゃんただいまー!」
「お邪魔しまーす」
「わ、いい匂い! 手洗ってきまーす」

 2人がリビングに入ってきて、美月は早速手を洗いに行った。

「陽葵、これ適当に買ってきたから」
「いいのに。ありがとう」
「これくらいはね。あ、今日さ、生配信しない?」
「いいけど、何かお知らせ?」

 ツアーも終わったばかりだけど何かあるのかな?

「この前個人配信で3人で配信して欲しいってコメント貰って」
「あ、そういうね。ご飯食べながら配信する?」
「うん、そうしよ」

 美月が居ない所で決めちゃったけれど、いいよね。美月と一緒に配信するのって卒業してから初めてだな。

「陽葵ちゃん、これ運んでいいの?」
「うん、よろしく」

 手を洗い終えた美月が戻ってきて、用意しておいたお皿とかを運んできてくれる。

「美味しそうー!」
「今日は鍋の気分だった」
「夏の鍋っていいよね!」
「ふふ、かわい」

 まだかなー? ってキラキラした目で具材の煮え具合を確認している。無邪気で可愛くてついニヤニヤしちゃう。

「うん、相変わらずデレデレ。手洗わせてもらうねー」
「ご自由にどうぞー」

 デレデレなのは自分でも自覚があるけれど、可愛いから仕方ない。

「さっき凛花と話したんだけど、鍋食べながら生配信しよ」
「え、生配信? 凛花さんとは初めてだね」
「凛花の個人配信で3人で配信して欲しいってコメントがあったみたい」

 特に嫌がってる様子はなさそうかな。

「何時から配信する? あ、美月は平気?」
「鍋もいい感じだし、もうやっちゃおうよ。美月には伝えたー」
「聞きました。大丈夫です」

 戻ってきた凛花が早速生配信をしようとスマホを操作している。

「いい? 始めちゃうよ?」
「いいよー」
「皆さんこんばんはー! 突然ですが生配信しますよー」
「あ。みつきー、スマホスタンドどこー?」

 テーブルだと鍋で隠れちゃうしスタンドがあった方がいいよね。どこ置いたっけ……? 凛花が配信を始めたけどしばらく一人で話してもらおう。

「しばらく使ってないよね? 確かこの辺に……あ、あった。どこに置いたらいいかな?」
「そこでいいんじゃん?」
「ここ? ちょっと陽葵ちゃんあっち座って? うん、良さそう」

 美月が自分のスマホで映りを確認していて、場所が決まったから凛花を見れば呆れたような視線を向けられている。

「あれ、凛花配信は?」
「始まってるけど、2人ともそことかあっちとかでよく分かるね?」
「え、なんとなく?」

 まあ、たまに全然伝わってない時もあるけどね。

「凛花さん、スマホ手持ちだと大変なのでスタンド使ってください。コメントは私ので見ますね」

 コメント
 :こんばんは
 :凛花ちゃん可愛い!
 :ゲリラ配信やば!
 :え、この声、陽葵ちゃんと美月ちゃんもいる?
 木村美南:神配信きたー!
 :話の内容的に陽葵ちゃんの家か美月ちゃんの家?
 :見えないところにカップルいます?
 :誰の家?
 :3人での配信?
 :凛花ちゃん呆れ顔も可愛い

「わ、沢山コメント来てますよ! え、はや!! 全然読めない……皆さんこんばんはー! 山内美月でーす」
「皆さん見てくれてありがとうございます。今日は仕事終わりに3人でご飯を食べることになりまして。前にコメントで配信の要望を貰っていたのでゲリラ配信しようかなって」
「こんばんはー。工藤陽葵です。凛花ファンの皆さんお久しぶりですー」

 映る位置に移動して凛花と美月の間に座る。スマホを見れば沢山のコメントが流れていて、美月が言うように追える気がしない。
 あれ、美南ちゃんいた?

 コメント
 :3人での配信嬉しい
 :陽葵ちゃんが卒業してからは初の生配信?
 :美南ちゃんいる
 :陽葵ちゃんと美月ちゃんが並んでるだけで幸せ
 :凛花ちゃん生配信ありがとう!

 凛花「ねえ、美南ちゃん見てるって」
 美月「え、凛花さんよく気づきましたね? 美南ちゃーん、見てるー?」

 やっぱり見間違いじゃなかったらしい。凛花がコメントを読んで、美月が画面に向かってぶんぶん手を振っている。テンション高めの美月が可愛い。

 凛花「なんか美月テンション高くない?」
 美月「え、そうですか?」

 コメント
 :美月ちゃんテンション高い
 :見守る陽葵ちゃんの表情が優しすぎる
 木村美南:もちろん見てますー!! もうやばい!
 :今日は何配信?
 :3人とも顔面強すぎ

 凛花「ほら、コメントでもテンション高いって」
 美月「鍋にテンション上がっちゃって」
 凛花「そうそう。今日は陽葵が鍋を用意してくれたので、お知らせは無いですが食べながら雑談配信しますよ」

 美南ちゃん、もうやばいって何が?? 早すぎるでしょ。

 コメント
 :陽葵ちゃんが用意ってことは陽葵ちゃんの家かな
 :テンション高い美月ちゃん可愛い
 :鍋いいなー
 :卒業してからも結構会ってる?
 :何鍋?

 美月「何鍋? キムチ鍋ですー! 美味しいです」
 陽葵「今日はね、鍋が食べたくて。帰りに買い物して帰ってきました」
 美月「仕事終わりに凛花さんとご飯食べに行こうって話をして、陽葵ちゃんに出てこられるか電話をしたら、ご飯を用意するって言ってくれたのでお言葉に甘えちゃいました」
 陽葵「美月はもっと甘えてくれていいんだけどねー?」
 美月「え、そんな話だった?」

 何言い出すの? って顔でこっちを見てくる美月が可愛い。

 コメント
 :尊い……
 :美月ちゃんが甘えるところ見たい
 :お腹すいてきた……
 :この3人で鍋とか私得すぎる
 :凛花ちゃん気にせず食べててジワる

 陽葵「みつきたんおいでー?」
 美月「え? どういうこと?」
 陽葵「コメントで美月が甘えるところ見たいって」
 美月「行きません」
 陽葵「ちぇー」

 両手を広げて呼んでみたけれど来てくれないらしい。まぁ、分かってたけど。

 コメント
 木村美南:あーー!! もう最高ですありがとうございます!
 :なにこれ可愛い……
 :久しぶりの2人でこのイチャイチャはやばい
 :凛花ちゃん美味しい?

 陽葵「凛花、美味しい? だって」
 凛花「美味しいですよー! 陽葵は料理上手いので安心して食べられます」
 陽葵「いや、肉と野菜切って市販のスープ入れただけだし」

 楽で美味しいし最高だよね。色々と種類もあるし。

 凛花「本当にただ食べてるだけの配信なんですけど、皆さん話して欲しい事とか、して欲しいことありますか?」
 陽葵「この組み合わせに何を求められてるのかな?」

 コメント
 :イチャイチャしてくれればそれだけで
 :3人が揃ってるだけで幸せです
 :陽葵ちゃん卒コンの裏話
 :陽葵ちゃんが卒業してから変わったこと
 :食べさせあいっこして
 :ぶりっ子して萌え台詞
 :愛してるよゲーム

 陽葵「おー、皆さんいっぱいコメントありがとうございます。3人が揃ってるだけで幸せ、嬉しいー!」
 凛花「陽葵の卒コンの裏話はこの前番組で話したよね」
 美月「話しましたね」
 陽葵「家で見てたよー」

 私が泣いてたって暴露されたやつね。

 凛花「食べさせあいっこして、だって」
 陽葵「ぶりっ子して萌え台詞ってのもあるよ」
 美月「え、またぶりっ子……なんなの?」

 美月のファンもだけど、みんな好きだねー。美月が恥ずかしがるから余計に熱望されることになってると思うんだけどね。

 コメント
 :ポッキーゲームしましたか?
 :ぶりっ子見たい!
 :キスしてください
 :歌ってー!

 凛花「コメントの勢いがすごい……」
 陽葵「ポッキーゲームしましたか? どういうこと?」
 美月「今までにしたことあるかってこと?」
 凛花「美月はあるよね。いつだっけ?」
 美月「美南ちゃんとのやつですか? 年越しの時の罰ゲームですね……」

 ポッキーゲーム、そういえばしてもらってないじゃん……今度買ってこよう。

 コメント
 :美南ちゃんが配信で言ってたやつ?
 :陽葵ちゃん拗ねてる?
 :美南ちゃんが動画あるって言ってた気がする

 美月「え?! 動画あるって言ってた気がするってコメントがあるんですけど、あるんですか?」
 凛花「誰か撮ってたかな? 萌え台詞のやつはあるよ」
 美月「今すぐ消してください」
 凛花「持ってるの私だけじゃないし」
 美月「持ってる人全員消してー!」

 萌え台詞ね、可愛かったな。私がひたすらにやけてるのとメンバーの悲鳴が凄いやつ。

 コメント
 :動画公開してください
 :美月ちゃんの萌え台詞なんて貴重すぎる
 :陽葵ちゃんに向かって公開告白したんですか?
 :今再現してください

 美月「待って、萌え台詞関連のコメントで埋め尽くされてる……」
 凛花「陽葵に向かって公開告白したんですか? だって。ウケる!」
 陽葵「今再現して、だって。さ、みつきたんどうぞ?」
 美月「しませんー!! そもそも公開告白なんてしてませんー!!」

 ムキになっちゃって可愛い。こういう所がからかいがいがあるんだよね。

 コメント
 :ムキになる美月ちゃん
 :お姉さんたちに弄られる美月ちゃん
 :この3人好きすぎる!
 木村美南:ポッキーゲームしましたか?

 凛花「美南ちゃんから、ポッキーゲームしましたか、だって。したの?」
 陽葵「してない。みつきたん、いつしてくれる?」
 美月「えっ?! ……2人のときで」
 陽葵「ーっ!! 可愛いっ!! なんなの? デレなの?」

 てっきり、いつもみたいにしませーん! って言うかなって思ったのに予想外。

 美月「デレてないし」
 陽葵「そんな照れるなってー」
 美月「照れてない」
 陽葵「うぉっ?! みつきたん暴力反対ー!」

 片手で顔を隠して、反対の手で肩を押してくる。この可愛さ、どうする? 配信中じゃなかったら押し倒してるとこだよ?

 コメント
 :カップルチャンネル始めてください
 :このやり取り久しぶり
 :好きです
 :凛花ちゃんニヤニヤしすぎ
 :可愛すぎる……
 :美南ちゃん大丈夫かな?

 凛花「ついにはコメントで心配される美南ちゃん」
 陽葵「美南ちゃんは私たちのやり取りが好きだって言ってくれてるからね」
 凛花「自他ともに認めるオタクですからね」

 付き合ってるって知る前から私たちのやり取りを喜んでくれてたし、ついサービスしたくなっちゃうよね。

 コメント
 木村美南:推しカプが尊すぎて辛い……最高ですありがとうございます! 今度配信する時は呼んでください! 配信には映らず部屋の端から眺めてますので!!
 :美南ちゃんはファンの代弁者
 :隠しきれないオタクな部分が好きです
 :美南ちゃんいた。そして熱量が凄い
 :望実ちゃんいないと暴走するイメージ

 凛花「美南ちゃん、長文すぎて読めなかったよ……」
 陽葵「まあ、喜んでくれてることは伝わった」

 美月が静かだな、と、横を見ればさっきの名残か少し赤い顔で黙々と食べていて可愛い。相変わらず横顔が綺麗。

 美月「……ん? 陽葵ちゃんどうしたの?」
 陽葵「綺麗な顔だなーって」
 美月「えっ?! いきなり何?!」
 陽葵「あはは、真っ赤」
 美月「なんなの……」

 じっと見つめればぷいっと逸らされる。からかうのはこれくらいにしておこうかな。

 陽葵「ごめんね。美味しい?」
 美月「美味しい! いくらでも食べられそう。2人とも食べてます?」
 凛花「食べてるよー。野菜追加する?」
 陽葵「追加しよ。お肉も冷蔵庫にまだあるよ」
 美月「持ってくるー!」

 私の言葉を聞いてすぐに立ち上がって冷蔵庫に向かっていく美月が可愛くてつい笑ってしまう。

 凛花「言う前にもう動いてるし」

 コメント
 :相変わらずラブラブですね
 :3人とも仲が良くて見ていて癒されます
 :最年少が無邪気で可愛い
 :卒業後も仲が良さそうで嬉しい
 :よく遊びますか?

 陽葵「3人とも仲が良くて見ていて癒されます、仲良しですよー。私たちで癒しを提供できているなら何よりです」
 凛花「卒業後の方がプライベートで会う頻度上がった気がしない?」
 陽葵「確かに。もう既に何回か遊んでるもんね」
 美月「お2人とも何か飲みますかー?」

 美月がキッチンから声をかけれさてくるけれど、そういえば飲み物出してなかったわ。ビールはさすがにダメだよね。

 陽葵「お茶でよろしくー!」
 凛花「私も一緒でー! 陽葵飲まないの?」
 陽葵「飲みたいところだけど、一応配信中だからさ」

 コメント
 :美月ちゃん自分の家感
 :陽葵ちゃん飲んでいいよ!
 :美月ちゃんの家?
 :陽葵ちゃんが飲んでるところ見たい
 :3人はお酒強いですか?

 凛花「飲んでいいよ、飲んでるところ見たい、だって」
 陽葵「まあ、飲みながらの配信は何れ。私はもうアイドルじゃないからイメージとか崩れてもいいよね?」
 凛花「アイドル卒業してから雰囲気変わったもんね! やっぱり髪型かな?」
 陽葵「バッサリ切ったからねー」

 髪を切ってからかっこいい、と言ってもらうことが増えた。どう思われるかな、と思ったけれどアイドル時代のファンの方も変わらず応援してくれて嬉しい。

 コメント
 :陽葵ちゃん短いのも似合う
 :凛花ちゃんはずっと長いよね?
 :陽葵ちゃん短くなった時びっくりした
 :2人とも今の髪色いいね

 陽葵「凛花はずっと長いよね、あれ、切ったことなかった?」
 凛花「あるけど、似合わなすぎて、すぐエクステ付けた」
 陽葵「確かに一瞬だったな」
 美月「お待たせしましたー。何の話ですか?」
 凛花「髪型、私はずっと長いよねって。1回切ったけど違和感すごくなかった?」
 美月「そうですか? よく似合ってましたよ?」

 全く、すぐそうやってイケメンな対応するんだから。

 コメント
 :お、3人揃った
 :美月ちゃんイケメン
 :こうやって後輩の事も釣っていくんですね

 凛花「こうやって後輩の事も釣っていくんですね、そうなんですよ。後輩に大人気ですからね。釣られないようにみんな気をつけてー!」
 美月「そんなことないですよ!!」
 凛花「無自覚怖いわー」
 美月「えぇ……」

 私がベッタリしていたから寄ってこられなかった子もいただろうし、卒業した今はちょっと心配。信用していない訳じゃないけれど、それとこれとは別。

 コメント
 :美月ちゃん、浮気はダメだよ
 :凛花ちゃん楽しんでる
 :美月ちゃんに釣られたい!

 凛花「美月、浮気はダメだよ、だって」
 美月「待って、コメントがおかしい! 凛花さんもなんでそのコメント読んだんですか?!」
 凛花「面白そ……たまたま目に付いたからかな」
 美月「今面白そうって言いかけましたよね?!」
 陽葵「えー、みつきたん浮気?」
 美月「ぅぇっ?! 陽葵ちゃんも悪ノリしないで?!」

 いやいや、するでしょ。するよね?

 コメント
 :凛花ちゃん確信犯
 :弄られ続ける最年少
 :陽葵ちゃんの上目遣い可愛すぎ!
 :質問読んで欲しい
 :スクショタイムお願いします

 陽葵「質問読んで欲しいってあるけど何?」
 凛花「私のスマホの方で送られてきた質問が見られるんだけど……ちょっと遠いのでコメントに送ってもらえれば読みますよー」

 へー、色々な機能があるんだね。

 コメント
 :誰の家ですか?
 :寝起きドッキリってガチですか?
 :今日のメイクのポイントは?
 :交際宣言いつですか?
 :凛花ちゃんの服どこのですか?
 :今日はお泊まり?

 凛花「早速いっぱいありがとうございます! 寝起きドッキリってガチですか? あれはガチです。陽葵はされたこと無かったよね?」
 陽葵「無いねー。卒業前にあるかな、と思ったけど無かったね」
 美月「私なんてこの前のが2回目ですよ……」

 美月は卒業までにまた狙われそうな気がするなー

 コメント
 :陽葵ちゃんの寝起きドッキリ見たかった!
 :お泊まりした時に寝起きドッキリやってください
 :美月ちゃんまたありそう
 :凛花ちゃんメイクしてるのかと思った

 凛花「美月またありそうって」
 美月「もう嫌ですよ……若手にやってください」
 陽葵「ドッキリ仕掛ける側をやりたかったなー」
 美月「ほんとそれ! 今度は是非仕掛ける側でお願いします!」

 私はもう卒業したしそんな機会はもうないだろうけれど。

 コメント
 :何時まで配信しますか?
 :次のドッキリも楽しみにしてます
 :明日は仕事ですか?

 陽葵「何時まで配信、どうする? そろそろ鍋も食べ終わるけど」
 凛花「食べ終わったら終わりにする?」
 陽葵「そうだね。シメはラーメンと雑炊どっちがいい?」
 凛花「私はもうお腹いっぱいだなー」
 陽葵「そう? じゃあ少しだけご飯入れよっか」
 美月「持ってくるねー」

 さっき自分の家感ってコメント来てたけど、意識してないんだろうな……誰の家か答えてないけど。

 コメント
 :お腹すいたー
 :食べ終わっても続けてください!
 :もうすぐ終わり?

 美月「はい、ご飯と卵ー! 作っちゃうね」
 陽葵「美月、残ってるお肉食べちゃえば? はい」
 美月「ん、ありがと」

 コメント
 :イチャついてる
 :あーんが自然すぎる
 :ご馳走様です
 :凛花ちゃん、いつもこんな感じ?

 凛花「いつもこんな感じですよ。もうね、すぐ二人の世界になりますから」
 美月「よし、いい感じ。凛花さん、ここ置きますね。はい、陽葵ちゃん」
 陽葵「わーい! あっつ!」
 美月「大丈夫? お茶飲んで。ちゃんとふーふーしてから食べないと」

 え、冷ます、とかじゃなくてふーふーって可愛くない?

 陽葵「ふーふー……」
 美月「繰り返さなくていいからっ!!」

 あ、口に出てたらしい。怒ってる美月も可愛い。

 陽葵「みつきたんがふーふーして?」
 美月「もー、そんなにニヤニヤして、絶対バカにしてるでしょ?!」
 凛花「えーっと、こんな感じでゲリラ配信をしましたが如何でしたか?」

 コメント
 木村美南:凛花さん、ありがとうございました! 是非アーカイブを……!!
 :また次回もお願いします
 :次回は事前告知欲しいです!
 :美南ちゃんいた
 :みんな可愛かったです!

 凛花「少しでも楽しんでもらえていたら嬉しいです。皆さんありがとうございましたー!」
 陽葵「あ、終わりにする? ありがとうございましたー!」
 美月「ありがとうございましたー!」

 いつの間にか凛花が締めに入っていて、配信を終わりにするみたいで立ち上がってスマホを取りに行っている。地味に舌がヒリヒリするから良かった。

「みつきー、舌ヒリヒリするー」
「見せて? あー、ちょっと赤いかな? 氷持ってくるね」

 心配そうに眉を下げて氷を取りに行こうと立ち上がってくれて優しい。

「陽葵ちゃん、あーんして?」
「つめたい……」
「そりゃ氷だもん」

 水で濡らした氷を口に入れてもらって凛花を見れば、ニヤニヤしながらこっちを見ていた。

「凛花、戻ってこないの?」
「まだ配信切ってなかったり」
「え? そうなの?」
「うわ、まだ配信中……」

 美月のスマホを見ればまだ配信中でコメントが流れている。

 コメント
 :甘えたな陽葵ちゃん可愛い
 :美月ちゃんの彼氏感
 :凛花さんありがとうございます!
 :美月ちゃん甘々じゃん
 :きょとんとする陽葵ちゃん可愛い

「という事で、ちょっとした隠し撮りをお送りしました! 今度こそ切りますね。ありがとうございましたー」
「ばいばーい」

 配信が終了しました、と表示されているからちゃんと終わってるね。

「凛花さん、言ってくださいよー」
「いや、なんかイチャついてたから皆見たいかなって」
「ちゅーとかしてたらやばいじゃん」
「配信切ってたとしても私が居るんですけど?」

 まあ、間違いなく美月に拒否されるからしないけど。

「あはは、冗談。配信、喜んでもらえたみたいで良かった」
「ありがとねー!」
「卒業してからやってなかったし、楽しかった」
「またやろうね。さて、片付けしたら帰ろうかな」
「もう? 片付けはやるからいいよ」

 まだそんなに遅くないからもう少し居たらいいのに。

「じゃあ甘えようかな。せっかく早いんだし、ゆっくりしたら? 存分にイチャイチャして」
「なっ……?!」
「そうするー。また遊ぼうねー」
「お邪魔しました。またねー」

 そう言うなり、ニヤニヤしながら帰って行った。
 さて、凛花にも言われたことだし、イチャイチャしようかなー
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