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やっぱこれだろ
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春
ちょっとゴタゴタした、店内。現在の時刻は昼時。つまり、都内のリーマンやOLの大半が昼食をとる時間である。この店舗は道路沿いに面しており、車の騒音や、店内で忙しそうに働く、外人やそれに命令しつつオーダーを捌く、店長。牛丼を豪快に食らいつくスーツの人々。つまりは、俺らでゴッタがえしている。
箸を置く音、食券の音、椅子を引いたり、戻したりする、キュッ、と言う高音に、奥で忙しそうに回る食器洗い機。この店内のBGMは、あれだ。名前が……不滅の刃だ。紅蓮が咲き誇っている。
そんなASMRに耳を立てながら、俺の注文がやって来た。
「失礼しま~す。ねぎ玉牛丼の中盛でございます」
そう言って、お盆を目の前に置かれる。理由はない。中盛だ。並、だと若干足りない、かと言って大盛はいらん。そこで、この中盛。お肉が4割増し、ご飯少なめと言うコスパの良さ。牛丼ライトなどは、俺の中では論外である。当然だろう?肉には、メッシ米さんだ。
ねぎ玉は、個人的には一番美味いと思っている。まずは、卵を若干割る。黄身が崩れ、ねぎと一緒に、肉を挟む。そのまま、口内へinだ。美味い。これでいい。これがいい。トロッとした黄身と、噛みごたえのある肉、それをつなげ合わせるのは、この万能ねぎ。緑色のこれが無ければ、この悪魔的なハーモニーは完成しない。
そして、米を一口。いいや、二口だ。米には、二つの役割がある。一つ目、その甘み。これはもう言うことがないだろう。この国に生まれてこの方、三十四年。一度だってお前を手放したことはない。そして、二つ目の役割。味を消す。ゆっくりと噛み砕くと次第に、リオネルの味で先ほどまでの味が消える。これは、正に、連鎖破壊。
そして、また肉を摘む。これにより、円環の理をなす。
お会計を済ませ、店を後にした。
「ありがとう、ございやしたぁ~」
__________________________________
夏
俺は、三日に一回はこの店だ。ここは、駅前に多い。なので、会社の最寄り。つまりは、夕飯をここで済ませるのが多い。今の時刻は9時手前だ。最近、この店では持ち帰りが流行っているせいか、新人がてんやわんやしている。座るのは店内から入って、少し行ったところのトイレから二番目。そう、そこのカウンター席を俺は取りに行く。
トイレから近すぎるのは嫌だが、店の外に居る他人に、自分の食い意地を見せる気もさらさら無い。そんな事を考えながら待っていると、来た。
「お待たせしましたぁ。こちらが、『ネギたっぷり旨辛ネギたまプレミアム牛めし』でございます」
俺の目の前に置かれたのは、これでもかと言うほどにネギの乗った牛めしである。それと、
「こちら、お熱いので、お気をつけ下さい」
無料で付いてくる味噌汁。さらに、このチェーンは、タレが豊富であり、フレーバーもいくつかある。だが、俺はバーベキューをヒト回し。それで充分だ。正直、牛めしと牛丼の差がわからん。まぁいい。いただくとするか。
この半熟の卵を割る、それを飯の中に少し溶き混ぜ、バーベキューの色が若干染みる。肉と玉ねぎ、そして緑色のネギを口一杯に持ってくる。他のチェーンの肉よりかは、タレがしっかりと染み込んでおり、柔らかい印象だ。
そして、これだ。黒ごま焙煎七味。このチェーンにはこれがある。この粉は、一言で言うと、麻薬のそれに近い。味へんのレベルではなく、これを振りかけることにより発動する、さらなる肉の締り。この上なくいい香り。もちろん、味噌汁にかけるのもありだが、俺的には邪道だ。味がマッチしない。
今日も、いい感じだったな。お会計を済ませ、店を後にした。
「ありやっさ、いましたぁ!」
___________________________________
秋
『うまい、やすい、はやい。』このフレーズ。今となってはどの店も掲げているようなキャッチコピーだが、このチェーンは年月が違う。創業百年を超える。一時期はどうなるかと思ったが、この産業に戻ってきた時は、一目散に足を運んだ。その、シンプルかつ、洗練された味は他のチェーンよりも鋭く尖っている。
タレと、肉が他の二つよりもバランス良く調和されつつ、肉の筋は張っていない。何より、玉ねぎの味が違う。弾力を残しつつも、他の食材の味の邪魔にならない、この上ない最高のクッション。『あくまでも、俺はサブだ』と言う、その役割を果たしている。そんな事を考えていると、目の前にお盆がやって来た。
「こちらが、ねぎ玉牛丼アタマの大盛、生野菜みそ汁セットになりま~す」
心の中でいただきますを念じ、ゆっくりと黄身を割った。トロリと、その黄色い卵黄はゆっくりと、だが確かに染み渡って行く。一時期は牛カルビ丼に浮気をしていたが、すまなかったな。俺はもう、お前を手放しはしない。あえて言おう。ここの米は最強だ。より、ふっくらともちもちとしたその白い粒は俺の脳内に幸せの汁を分泌させてくれる。
お会計を済ませ、店を後にした。
「ありやー、した~」
__________________________________
冬
「やっぱり、な○卯が一番うめえ」
ちょっとゴタゴタした、店内。現在の時刻は昼時。つまり、都内のリーマンやOLの大半が昼食をとる時間である。この店舗は道路沿いに面しており、車の騒音や、店内で忙しそうに働く、外人やそれに命令しつつオーダーを捌く、店長。牛丼を豪快に食らいつくスーツの人々。つまりは、俺らでゴッタがえしている。
箸を置く音、食券の音、椅子を引いたり、戻したりする、キュッ、と言う高音に、奥で忙しそうに回る食器洗い機。この店内のBGMは、あれだ。名前が……不滅の刃だ。紅蓮が咲き誇っている。
そんなASMRに耳を立てながら、俺の注文がやって来た。
「失礼しま~す。ねぎ玉牛丼の中盛でございます」
そう言って、お盆を目の前に置かれる。理由はない。中盛だ。並、だと若干足りない、かと言って大盛はいらん。そこで、この中盛。お肉が4割増し、ご飯少なめと言うコスパの良さ。牛丼ライトなどは、俺の中では論外である。当然だろう?肉には、メッシ米さんだ。
ねぎ玉は、個人的には一番美味いと思っている。まずは、卵を若干割る。黄身が崩れ、ねぎと一緒に、肉を挟む。そのまま、口内へinだ。美味い。これでいい。これがいい。トロッとした黄身と、噛みごたえのある肉、それをつなげ合わせるのは、この万能ねぎ。緑色のこれが無ければ、この悪魔的なハーモニーは完成しない。
そして、米を一口。いいや、二口だ。米には、二つの役割がある。一つ目、その甘み。これはもう言うことがないだろう。この国に生まれてこの方、三十四年。一度だってお前を手放したことはない。そして、二つ目の役割。味を消す。ゆっくりと噛み砕くと次第に、リオネルの味で先ほどまでの味が消える。これは、正に、連鎖破壊。
そして、また肉を摘む。これにより、円環の理をなす。
お会計を済ませ、店を後にした。
「ありがとう、ございやしたぁ~」
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夏
俺は、三日に一回はこの店だ。ここは、駅前に多い。なので、会社の最寄り。つまりは、夕飯をここで済ませるのが多い。今の時刻は9時手前だ。最近、この店では持ち帰りが流行っているせいか、新人がてんやわんやしている。座るのは店内から入って、少し行ったところのトイレから二番目。そう、そこのカウンター席を俺は取りに行く。
トイレから近すぎるのは嫌だが、店の外に居る他人に、自分の食い意地を見せる気もさらさら無い。そんな事を考えながら待っていると、来た。
「お待たせしましたぁ。こちらが、『ネギたっぷり旨辛ネギたまプレミアム牛めし』でございます」
俺の目の前に置かれたのは、これでもかと言うほどにネギの乗った牛めしである。それと、
「こちら、お熱いので、お気をつけ下さい」
無料で付いてくる味噌汁。さらに、このチェーンは、タレが豊富であり、フレーバーもいくつかある。だが、俺はバーベキューをヒト回し。それで充分だ。正直、牛めしと牛丼の差がわからん。まぁいい。いただくとするか。
この半熟の卵を割る、それを飯の中に少し溶き混ぜ、バーベキューの色が若干染みる。肉と玉ねぎ、そして緑色のネギを口一杯に持ってくる。他のチェーンの肉よりかは、タレがしっかりと染み込んでおり、柔らかい印象だ。
そして、これだ。黒ごま焙煎七味。このチェーンにはこれがある。この粉は、一言で言うと、麻薬のそれに近い。味へんのレベルではなく、これを振りかけることにより発動する、さらなる肉の締り。この上なくいい香り。もちろん、味噌汁にかけるのもありだが、俺的には邪道だ。味がマッチしない。
今日も、いい感じだったな。お会計を済ませ、店を後にした。
「ありやっさ、いましたぁ!」
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秋
『うまい、やすい、はやい。』このフレーズ。今となってはどの店も掲げているようなキャッチコピーだが、このチェーンは年月が違う。創業百年を超える。一時期はどうなるかと思ったが、この産業に戻ってきた時は、一目散に足を運んだ。その、シンプルかつ、洗練された味は他のチェーンよりも鋭く尖っている。
タレと、肉が他の二つよりもバランス良く調和されつつ、肉の筋は張っていない。何より、玉ねぎの味が違う。弾力を残しつつも、他の食材の味の邪魔にならない、この上ない最高のクッション。『あくまでも、俺はサブだ』と言う、その役割を果たしている。そんな事を考えていると、目の前にお盆がやって来た。
「こちらが、ねぎ玉牛丼アタマの大盛、生野菜みそ汁セットになりま~す」
心の中でいただきますを念じ、ゆっくりと黄身を割った。トロリと、その黄色い卵黄はゆっくりと、だが確かに染み渡って行く。一時期は牛カルビ丼に浮気をしていたが、すまなかったな。俺はもう、お前を手放しはしない。あえて言おう。ここの米は最強だ。より、ふっくらともちもちとしたその白い粒は俺の脳内に幸せの汁を分泌させてくれる。
お会計を済ませ、店を後にした。
「ありやー、した~」
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冬
「やっぱり、な○卯が一番うめえ」
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※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
コメント、ありがとうございます:)!
すみません、まだ制覇出来てないかも知れませぬ。個人的には、どうしてもネギ玉系に行ってしまうのです。冒険が少し億劫でございます。