転生したら...俺カッパだよ

七味とうがらし

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未来の記憶

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 拠点も確保したし、此処には乙女のおっさんもいる、そろそろ俺のターンなんじゃないのか、と、俺は考える。

俺は今城の地下室、乙女のおっさんの工房にいる、

「なあ、おっさん以前に【私の目的は未来に約束された事を守るために此処にいるのよ】って言ったよな」

「あ~らやだ、まだそんな事覚えてたの?」

「ああ、俺にとっては凄く重要な事なのかもしれないと思ったからな」

「転生者の貴方だから言うけど、私もこの世界に転移してきたのよ、転生じゃなくて転移ね、それでこの世界の上位の精神生命体からの指令が有ったのよ、」

「それはどんな?」

「この世界を滅びの道から救うと言う事なのよね」

「どうやって救うってんだ?この世界を」

「それはね、一人一人個人の意識レベルで変革しなければいけない事なんだけどね、もうこの計画は始まっているのよ、でも、あたしがうっかり死んでしまったからちょっと焦ってるって訳なの」

「ナニソレ、うっかり死んじゃうって、」

「じゃあ説明するわね、ここって貴方の生まれた世界より遥かに未来の地球なのよ、」

「え?これが未来の地球なの?」

「そう、それでね私達ラボラトリーの者達はより良き方向に進化する事を促す役割を持っているの、でもね、この世界の人達って自分の欲望に忠実過ぎて平気で悪しき方向に進んでしまうのよ、それを修正するのが私達ラボラトリーの役目なのよ」

「そのラボラトリーって何だ?」

「じゃあ順を追って説明するわよ、」

「この世界は西暦2050年に一回滅びたのよ、」

「何が原因で?」

「巨大隕石が落ちてきたのね、でもそれはかなり前から分かっていたから研究所(ラボラトリー)でちゃんと対策してあったの、
そのために人類補完計画と言うのが有ったのよ、それは後の世に人類をまた再構築して進化させる計画でね、その計画の中に食料の問題、身体構造の脆弱さの問題、その他いろいろな問題点をラボラトリーで対策したのよね、そして生まれたのが今の世界の魔物、モンスターと言われる存在なのよ、ちなみにゴブリン系のモンスターはとてもよく増えて良い食材になるよう作られたのよね、」

こっちに来た時の白い部屋の人が言ってたことは本当だったようだな、

「っで、俺のこのカッパボディは食材として作られたものだったのか、」

「そうなのよ、美味しくなるためにかなり改良されたのよ、」

「いや、そんな改良はいいから、」

「それでね、私たちのラボラトリーは人類のより良き進化を促すために活動するのが目的だったのだけれど、私はその途中でうっかり死んでしまったと言う訳なのよ」

「ほう、っでおっさんはこの世界の未来を覚えてるって事でいいのか?」

「ん~そうね、だからあの恐ろしく危険な世界を軌道修正をしたかったって所ね、」

「したかったって...もう手遅れなのか? それに、かなり危険な世界になるのか?」

「そうね、でもそうさせないために私は消滅せずにこの場に残り続けたのよ、可能性を信じてね...」

「そういえば貴方GODと名乗る人に会ったことは?」

「白い部屋の人の事でいいのか?その人なら会ったけど一方通行の情報しか得られなかったけどね、俺の声が向こうに伝わらなかったんだ。」

「そう...でも会えたのね、それで魔法も使えると、言う事なのね」

「ああ、魔法って奴も使える、」俺は爪の先に火を灯して見せる、

「貴方は白い部屋の人から何か指示を受けなかった?」

「コーナ商会に会えと言われてるんだが」

「コーナ商会!あなた今コーナ商会と言ったのよね?この時代にもコーナがいるのね!? コーナを名乗る者がいるならこの世界の救済にまだ間に合うかも知れないのよ」

おっさん妙に興奮して俺の両肩を掴んでガシガシ揺さぶられる、

「おっさん落ち着け!」

「それってより良き進化って奴の事なのか?」

「そうなのよ、良き進化の対極にあるものって何だかわかる?」

「ん~悪しき進化?」

「そう、その通りよ、」

「っで、悪しき進化をするとどうなっちゃうの?」

「悪魔化するのよ...欲望のままに狂暴化して理性なんて欠片も無くなってしまうのよね」

「かなりまずい状態だね、それって...」

「そうなのよね、昔同じ様に危機が訪れた時が有ったのよ、でもその時現れたのがジュン・コーナと言う転生者だったのよ、いいえ正式には転移者だったわね、」

「で、コーナ商会に会えとの指令が来ていると言う事は、その人はジュン・コーナの所縁の者って事だと思うのよ」

「じゃあ俺もその人に会うように言われているのは、危機が迫ってるから転生者として行動してくれって事なのか?」

「それは判らないけど、それに近い事なんじゃないかしら、」

「なんだかめんどい事になって来てるな、ちょっと考えさせて貰う、」

なんだかすんげ~面倒な事になってるな、白い部屋の人はコーナ商会と出会えばなんとかしてくれそうなこと言ってたけど、下手すると死ねるよこれって、

やっと見つけた安住の場所を手放したくは無いんだけど、そもそも安住出来なくなったら意味ないしな、と、俺は考える、

って事で俺は大きな転機を迎えた、

「しゃ~ない、やるしかないのか、」俺はそう乙女のおっさんに告げたんだ、

「そう、やってくれるのね、じゃあ一刻も早くコーナ商会と合流しないとだわね、」

「じゃあ乙女のおっさんと俺でコーナ商会を追うか?」

「そうね、私もこのボディを使えるようにしながら探しに行きましょうか、とりあえずこのボディじゃ魔法が使えないのよね、」

「え? ダメじゃんそれだと戦力的にw」

「それならあてが有るからそこで何とかしましょう、」

「この世界って後から魔法を使えるようになるの?」

「ええ、魔導蟲って寄生虫をを移植すれば皆魔法使いになれるわよ、このボディには魔道蟲が寄生してないのよね」

「じゃあどうやって寄生させるんだ?それにその魔導蟲の幼虫とかってどうやって手に入れるんだ?」

「それはホムンクルスの共同研究をしていたDrモローって錬金術師の人がレシピを残してくれてるわ、実験もプロト2で成功してるから大丈夫、」

「そうか、じゃあ、とりあえずおっさんが魔法を使う為に魔導蟲を寄生させないといけない訳だな、あてはあるのか?」

「魔法が使える妊婦さんを見つければ大丈夫よ、魔導蟲の産卵時期はね、妊婦さんの出産の痛みによって知らされるのよ、その痛みで魔導蟲は産卵時期を知り、乳腺に卵を産み付けるの、そうやって卵が赤ちゃんに移動して孵化が始まるのよ、そしてその子は魔法が使えるようになるの、多分街のギルドに行けば条件の合うひとは見つかると思うわ」

「ほう、魔法使いを作る寄生虫か、」

「そう、それが魔導蟲、ラボラトリーが作り上げたより良き世界を作る為の切り札であり諸刃の剣」



続く




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