彼女は手段を選ばない〜婚約破棄?NO!推し活&ヒロインを魔王の生贄にするのでご心配なく〜

降魔 鬼灯

文字の大きさ
9 / 10

9.ドレス

しおりを挟む
 今日は2人で初めて参加する夜会だ。

 婚約のお披露目も兼ねているからか、ダリオンからロザリモンド宛てにドレスが贈られてきた。      
 ベルベットで出来た深い紅色の薔薇を思わせるドレスが美しい。

 『ツクヨミ』が見せた映像ではロザリモンドとダリオンは共に夜会に行くことはなかった。

 ロザリモンドは鏡の前でくるっと回ってドレスを見る。動く度に花びらを思わせる深紅の布が一枚一枚翻って美しい。

 『ツクヨミ』が見せた映像ではコリンヌにピンクの可愛いドレスを贈るダリオン殿下に嫉妬するロザリモンドがいたけれど。
 ダリオンがロザリモンドに何かを贈ることはなかったような気がする。


 『ツクヨミ』が映さなかっただけかしら?


 今回もダリオンはエスコートを土壇場でキャンセルするのだろう。
 婚約後の初めての夜会でダリオンの色を纏って、別々に参加なんて公開処刑のようでゴメンだわ。
 ロザリモンドはくれぐれも内緒にと侍従に言い含めて対策を講じた。
 ふふふ。これで私がロザリモンド一人で恥をかくことはないはずだわ。

 それに今日は大事な目的があるのだ。ダリオンが恋に落ちる相手コリンヌのことを調べないといけない。

 夜会好きのコリンヌの父親、アホーダ男爵はきっと今日の夜会にも参加しているだろう。
 彼の周辺からそっと情報を得ねばならないのだ。それには、今日は最大のチャンスなのだ。

 級に決まった夜会なので兄は他の予定で参加できない。そしてダリオン殿下のことだ。ロザリモンドをほっぽりだして、すぐに取り巻きたちと遊びに行くはず。

 ロザリモンドは初めて訪れるであろう夜会での自由時間に思いをはせた。

 今日の私は隠密よ。思う存分情報収集してやるんだから。

 さてと、綺麗なドレスも堪能したし、そろそろ降りますか。お兄様が首を長くして待っているはずだわ。


 ん?


 玄関ホールでお兄様とが誰かと楽しそうに会話する声が聞こえた。

 あの堅物のお兄様が笑うなんて珍しわ。誰かしら?

 こっそりホールを覗く。


「さすが、アズラン殿。良く理解出来ました。」


「いや、ダリオン殿下の鋭い指摘なかなか面白かったですよ。」

 えっ?
  
 ダリオンだわ。なんでうちにいるのかしら?

 鏡では現地集合現地フェードアウトがモットーだった筈。鏡が見せなかっただけでコリンヌが現れる前はお迎えに来ていたのかしら?

 それにしても不思議だわ。犬猿の仲の筈のあの2人に共通の話題なんてあるのかしら?

 あの堅物の兄が人の指摘を褒めるなんて、槍でも降るのではないかしら?


 でもね、淡いハチミツを溶かしたような繊細な美貌の兄と漆黒の夜会服に身を包んだ野生的なダリオンの2人。
 エントランスで階段にもたれかかりながら、微笑み合う2人良いわ。なんだろう。この光景なんだかすごく眼福だわ。

 これが先日お茶会で友人達が話していた萌えというものなのね。
 今度、お茶会でお友達にお話してみましょう。



 いつまでも覗いていたいけど、あまりお待たせするわけにはいかないわね。さて、2人のイケメンをこれ以上待たせては行けないわ。

 ドレスの裾を持ち、ゆったりと階段を降りる。

 ドレスの衣擦れに、こちらを振り向いたダリオンが嬉しそうに、にっこりと笑った。

 きゅん。なんて無垢な笑顔なの。めっちゃかわいすぎるわ。

 まるでワンコだわ、ご主人様命の。

 ご主人様の帰りを待って尻尾をちぎれんばかりに振ってお出迎えしてくれる系の。

 駄犬だけど可愛いすぎるわ。ううん、馬鹿な子ほど可愛いって言うじゃない。バカ犬ほどかわいいのよ。

 

 大人っぽい色気と少年のような笑み。なんなのよ、ギャップで萌え殺されてしまうわ。

 ダリオンたら恐ろしい子。

 私の心を乱したダリオンには後で針千本の呪いをきっちりかけてあげてよ。覚悟なさい。
 ロザリモンドは魔力を練り上げた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして

みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。 きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。 私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。 だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。 なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて? 全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです! ※「小説家になろう」様にも掲載しています。

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

白い結婚を終えて自由に生きてまいります

なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。  忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。  「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」 「白い結婚ですか?」 「実は俺には……他に愛する女性がいる」   それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。 私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた ――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。 ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。 「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」 アロルド、貴方は何を言い出すの? なにを言っているか、分かっているの? 「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」 私の答えは決まっていた。 受け入れられるはずがない。  自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。    ◇◇◇ 設定はゆるめです。 とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。 もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!

たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。 なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!! 幸せすぎる~~~♡ たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!! ※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。 ※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。 短めのお話なので毎日更新 ※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。 ※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。 《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》 ※他サイト様にも公開始めました!

永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる

鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳―― それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。 公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。 だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、 王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。 政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。 紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが―― 魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、 まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。 「……私が女王? 冗談じゃないわ」 回避策として動いたはずが、 誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。 しかも彼は、 幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた―― 年を取らぬ姿のままで。 永遠に老いない少女と、 彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。 王妃になどなる気はない。 けれど、逃げ続けることももうできない。 これは、 歴史の影に生きてきた少女が、 はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。 ざまぁも陰謀も押し付けない。 それでも―― この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。

地味顔令嬢の私を「嘘の告白」で笑いものにするつもりですか? 結構です、なら本気で惚れさせてから逆にこっちが盛大に振ってあげます!

日々埋没。
恋愛
「お前が好きだ。この俺と付き合ってくれないか?」    学園のアイドル、マルスからの突然の告白。  憧れの人からの言葉に喜んだのも束の間、伯爵令嬢リーンベイルは偶然知ってしまう。それが退屈しのぎの「嘘の告白(ウソコク)」だったことを。 「あの地味顔令嬢が俺に釣り合うわけないだろ。ドッキリのプラカードでも用意しとくわ」  親友のミネルバと共に怒りに震える彼女は、復讐を決意する。まずは父の言いつけで隠していた「絶世の美貌」を解禁! 嘘の恋を「真実の恋(マジコク)」に変えさせ、最高のタイミングで彼を地獄へ突き落とす――。 「……今さら本気になった? 冗談はやめてください、これドッキリですよ?」

処理中です...