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9.ドレス
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今日は2人で初めて参加する夜会だ。
婚約のお披露目も兼ねているからか、ダリオンからロザリモンド宛てにドレスが贈られてきた。
ベルベットで出来た深い紅色の薔薇を思わせるドレスが美しい。
『ツクヨミ』が見せた映像ではロザリモンドとダリオンは共に夜会に行くことはなかった。
ロザリモンドは鏡の前でくるっと回ってドレスを見る。動く度に花びらを思わせる深紅の布が一枚一枚翻って美しい。
『ツクヨミ』が見せた映像ではコリンヌにピンクの可愛いドレスを贈るダリオン殿下に嫉妬するロザリモンドがいたけれど。
ダリオンがロザリモンドに何かを贈ることはなかったような気がする。
『ツクヨミ』が映さなかっただけかしら?
今回もダリオンはエスコートを土壇場でキャンセルするのだろう。
婚約後の初めての夜会でダリオンの色を纏って、別々に参加なんて公開処刑のようでゴメンだわ。
ロザリモンドはくれぐれも内緒にと侍従に言い含めて対策を講じた。
ふふふ。これで私がロザリモンド一人で恥をかくことはないはずだわ。
それに今日は大事な目的があるのだ。ダリオンが恋に落ちる相手コリンヌのことを調べないといけない。
夜会好きのコリンヌの父親、アホーダ男爵はきっと今日の夜会にも参加しているだろう。
彼の周辺からそっと情報を得ねばならないのだ。それには、今日は最大のチャンスなのだ。
級に決まった夜会なので兄は他の予定で参加できない。そしてダリオン殿下のことだ。ロザリモンドをほっぽりだして、すぐに取り巻きたちと遊びに行くはず。
ロザリモンドは初めて訪れるであろう夜会での自由時間に思いをはせた。
今日の私は隠密よ。思う存分情報収集してやるんだから。
さてと、綺麗なドレスも堪能したし、そろそろ降りますか。お兄様が首を長くして待っているはずだわ。
ん?
玄関ホールでお兄様とが誰かと楽しそうに会話する声が聞こえた。
あの堅物のお兄様が笑うなんて珍しわ。誰かしら?
こっそりホールを覗く。
「さすが、アズラン殿。良く理解出来ました。」
「いや、ダリオン殿下の鋭い指摘なかなか面白かったですよ。」
えっ?
ダリオンだわ。なんでうちにいるのかしら?
鏡では現地集合現地フェードアウトがモットーだった筈。鏡が見せなかっただけでコリンヌが現れる前はお迎えに来ていたのかしら?
それにしても不思議だわ。犬猿の仲の筈のあの2人に共通の話題なんてあるのかしら?
あの堅物の兄が人の指摘を褒めるなんて、槍でも降るのではないかしら?
でもね、淡いハチミツを溶かしたような繊細な美貌の兄と漆黒の夜会服に身を包んだ野生的なダリオンの2人。
エントランスで階段にもたれかかりながら、微笑み合う2人良いわ。なんだろう。この光景なんだかすごく眼福だわ。
これが先日お茶会で友人達が話していた萌えというものなのね。
今度、お茶会でお友達にお話してみましょう。
いつまでも覗いていたいけど、あまりお待たせするわけにはいかないわね。さて、2人のイケメンをこれ以上待たせては行けないわ。
ドレスの裾を持ち、ゆったりと階段を降りる。
ドレスの衣擦れに、こちらを振り向いたダリオンが嬉しそうに、にっこりと笑った。
きゅん。なんて無垢な笑顔なの。めっちゃかわいすぎるわ。
まるでワンコだわ、ご主人様命の。
ご主人様の帰りを待って尻尾をちぎれんばかりに振ってお出迎えしてくれる系の。
駄犬だけど可愛いすぎるわ。ううん、馬鹿な子ほど可愛いって言うじゃない。バカ犬ほどかわいいのよ。
大人っぽい色気と少年のような笑み。なんなのよ、ギャップで萌え殺されてしまうわ。
ダリオンたら恐ろしい子。
私の心を乱したダリオンには後で針千本の呪いをきっちりかけてあげてよ。覚悟なさい。
ロザリモンドは魔力を練り上げた。
婚約のお披露目も兼ねているからか、ダリオンからロザリモンド宛てにドレスが贈られてきた。
ベルベットで出来た深い紅色の薔薇を思わせるドレスが美しい。
『ツクヨミ』が見せた映像ではロザリモンドとダリオンは共に夜会に行くことはなかった。
ロザリモンドは鏡の前でくるっと回ってドレスを見る。動く度に花びらを思わせる深紅の布が一枚一枚翻って美しい。
『ツクヨミ』が見せた映像ではコリンヌにピンクの可愛いドレスを贈るダリオン殿下に嫉妬するロザリモンドがいたけれど。
ダリオンがロザリモンドに何かを贈ることはなかったような気がする。
『ツクヨミ』が映さなかっただけかしら?
今回もダリオンはエスコートを土壇場でキャンセルするのだろう。
婚約後の初めての夜会でダリオンの色を纏って、別々に参加なんて公開処刑のようでゴメンだわ。
ロザリモンドはくれぐれも内緒にと侍従に言い含めて対策を講じた。
ふふふ。これで私がロザリモンド一人で恥をかくことはないはずだわ。
それに今日は大事な目的があるのだ。ダリオンが恋に落ちる相手コリンヌのことを調べないといけない。
夜会好きのコリンヌの父親、アホーダ男爵はきっと今日の夜会にも参加しているだろう。
彼の周辺からそっと情報を得ねばならないのだ。それには、今日は最大のチャンスなのだ。
級に決まった夜会なので兄は他の予定で参加できない。そしてダリオン殿下のことだ。ロザリモンドをほっぽりだして、すぐに取り巻きたちと遊びに行くはず。
ロザリモンドは初めて訪れるであろう夜会での自由時間に思いをはせた。
今日の私は隠密よ。思う存分情報収集してやるんだから。
さてと、綺麗なドレスも堪能したし、そろそろ降りますか。お兄様が首を長くして待っているはずだわ。
ん?
玄関ホールでお兄様とが誰かと楽しそうに会話する声が聞こえた。
あの堅物のお兄様が笑うなんて珍しわ。誰かしら?
こっそりホールを覗く。
「さすが、アズラン殿。良く理解出来ました。」
「いや、ダリオン殿下の鋭い指摘なかなか面白かったですよ。」
えっ?
ダリオンだわ。なんでうちにいるのかしら?
鏡では現地集合現地フェードアウトがモットーだった筈。鏡が見せなかっただけでコリンヌが現れる前はお迎えに来ていたのかしら?
それにしても不思議だわ。犬猿の仲の筈のあの2人に共通の話題なんてあるのかしら?
あの堅物の兄が人の指摘を褒めるなんて、槍でも降るのではないかしら?
でもね、淡いハチミツを溶かしたような繊細な美貌の兄と漆黒の夜会服に身を包んだ野生的なダリオンの2人。
エントランスで階段にもたれかかりながら、微笑み合う2人良いわ。なんだろう。この光景なんだかすごく眼福だわ。
これが先日お茶会で友人達が話していた萌えというものなのね。
今度、お茶会でお友達にお話してみましょう。
いつまでも覗いていたいけど、あまりお待たせするわけにはいかないわね。さて、2人のイケメンをこれ以上待たせては行けないわ。
ドレスの裾を持ち、ゆったりと階段を降りる。
ドレスの衣擦れに、こちらを振り向いたダリオンが嬉しそうに、にっこりと笑った。
きゅん。なんて無垢な笑顔なの。めっちゃかわいすぎるわ。
まるでワンコだわ、ご主人様命の。
ご主人様の帰りを待って尻尾をちぎれんばかりに振ってお出迎えしてくれる系の。
駄犬だけど可愛いすぎるわ。ううん、馬鹿な子ほど可愛いって言うじゃない。バカ犬ほどかわいいのよ。
大人っぽい色気と少年のような笑み。なんなのよ、ギャップで萌え殺されてしまうわ。
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