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第三部 四季姫革命の巻
第二十五章 冬姫革命 1
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一
「了生はん……なんか?」
その瞬間、柊の思考は完全に停止した。
目の前に突如として現れて、巨大な猪を一撃の下に倒して見せた、屈強な男。
その男の顔が、あまりにも了生に似すぎていて、目が離せなかった。
肌の色は浅黒く、口の周りには無精髭が生え乱れているが、それさえなければ、本当にそっくりだ。
柊が呆然と凝視していると、その男は眉を顰めて、目を細めた。
「了生? すまぬが、人違いだな。わしは燕下 了念と申す」
男――了念の名乗った名前には、聞き覚えがある。
「了念って確か、四季姫たちのために封印石を作った、燕下家の開祖の人やったはず。 つまり、了生はんの遠いご先祖さんか……」
だったら、顔が似ていてもおかしくはない。
その、了生にそっくりな顔を見つめていると、柊の脳裏に、ふと考えが浮かんだ。
もしかしたら、現代の世界で了生までもがが消えかかった原因は、この人に予期しない危機が訪れるために、燕下の血が途絶えそうになっているからなのではないだろうか。
だとしたら、この人を守り抜けば、燕下家の血筋は助かるはず。
柊は適当な理由をつけて、了念と共に行動しようと決めた。
「あの、了念はん! その、うちは、この山は初めてで、道に迷って困っておったんです。よろしかったら、しばらく同行させてもらえまへんか?」
「無論だ。女子の一人歩きは危ないし、猪を倒せた礼もしたい。わしの小屋に来られよ。飯など馳走しよう」
「ほんまですか、おおきに!」
柊が必死にお願いすると、了念は豪快に笑って快諾してくれた。その笑い顔もまた、了生によく似ている。
了念に先導されて、柊は険しい山道を登って行った。
正直、裸足に草鞋で山越えは厳しいものがある。土から盛り上がる木の根をうまく踏んで、慎重に傾斜を進む。
息を切らしながら懸命についていくと、先を軽い足取りで進んでいく了念は時々立ち止まりながら、柊が追い付いてくるのを待ってくれている。
親切なところも、了生によく似ている。
「わしは修験者だ。山から山へと渡り歩き、修業を積みながら各地を行脚しておる身だが、今は訳あって、この山に留まっておる」
柊と歩幅を揃えながら、了念は身の内話を黙々とする。そんな話を聞く余裕はないのだが。
時々、空気が読めないところも了生によく似ている。
険しい坂道が途切れ、視界が開けた。それなりに慣らされた台地になった場所に、小さな山小屋が建っている。
その小屋を指さして、了念は嬉しそうに柊に声を弾ませた。
「この先の小屋で、わしの妻が待っておる。身重ゆえ、今は身動きがとれぬのだ」
それが、この山に留まっている理由か。
息を切らしながらも、柊は小屋を見つめた。
「奥さんと、子供もおりはるんか。もしかしたら、その人らが何か危険に……?」
了念自身が無事であっても、その子孫が絶えてしまう事態になれば、それは了生たちの消滅に直結してくる。
なら、柊が敵の手から守るべきは、了念の妻と、お腹にいるという赤ちゃん、だろうか。
「しばらく、様子見たほうがええやろうな」
柊は了念に招かれて、小屋に向かって歩みを進めた。
「了生はん……なんか?」
その瞬間、柊の思考は完全に停止した。
目の前に突如として現れて、巨大な猪を一撃の下に倒して見せた、屈強な男。
その男の顔が、あまりにも了生に似すぎていて、目が離せなかった。
肌の色は浅黒く、口の周りには無精髭が生え乱れているが、それさえなければ、本当にそっくりだ。
柊が呆然と凝視していると、その男は眉を顰めて、目を細めた。
「了生? すまぬが、人違いだな。わしは燕下 了念と申す」
男――了念の名乗った名前には、聞き覚えがある。
「了念って確か、四季姫たちのために封印石を作った、燕下家の開祖の人やったはず。 つまり、了生はんの遠いご先祖さんか……」
だったら、顔が似ていてもおかしくはない。
その、了生にそっくりな顔を見つめていると、柊の脳裏に、ふと考えが浮かんだ。
もしかしたら、現代の世界で了生までもがが消えかかった原因は、この人に予期しない危機が訪れるために、燕下の血が途絶えそうになっているからなのではないだろうか。
だとしたら、この人を守り抜けば、燕下家の血筋は助かるはず。
柊は適当な理由をつけて、了念と共に行動しようと決めた。
「あの、了念はん! その、うちは、この山は初めてで、道に迷って困っておったんです。よろしかったら、しばらく同行させてもらえまへんか?」
「無論だ。女子の一人歩きは危ないし、猪を倒せた礼もしたい。わしの小屋に来られよ。飯など馳走しよう」
「ほんまですか、おおきに!」
柊が必死にお願いすると、了念は豪快に笑って快諾してくれた。その笑い顔もまた、了生によく似ている。
了念に先導されて、柊は険しい山道を登って行った。
正直、裸足に草鞋で山越えは厳しいものがある。土から盛り上がる木の根をうまく踏んで、慎重に傾斜を進む。
息を切らしながら懸命についていくと、先を軽い足取りで進んでいく了念は時々立ち止まりながら、柊が追い付いてくるのを待ってくれている。
親切なところも、了生によく似ている。
「わしは修験者だ。山から山へと渡り歩き、修業を積みながら各地を行脚しておる身だが、今は訳あって、この山に留まっておる」
柊と歩幅を揃えながら、了念は身の内話を黙々とする。そんな話を聞く余裕はないのだが。
時々、空気が読めないところも了生によく似ている。
険しい坂道が途切れ、視界が開けた。それなりに慣らされた台地になった場所に、小さな山小屋が建っている。
その小屋を指さして、了念は嬉しそうに柊に声を弾ませた。
「この先の小屋で、わしの妻が待っておる。身重ゆえ、今は身動きがとれぬのだ」
それが、この山に留まっている理由か。
息を切らしながらも、柊は小屋を見つめた。
「奥さんと、子供もおりはるんか。もしかしたら、その人らが何か危険に……?」
了念自身が無事であっても、その子孫が絶えてしまう事態になれば、それは了生たちの消滅に直結してくる。
なら、柊が敵の手から守るべきは、了念の妻と、お腹にいるという赤ちゃん、だろうか。
「しばらく、様子見たほうがええやろうな」
柊は了念に招かれて、小屋に向かって歩みを進めた。
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