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第三部 四季姫革命の巻
二十九章 interval~全てが一つに~
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「くぬおおおおおお!!」
月麿のフルパワーによって、地脈の門は何とか閉じずに維持できているが、それ以上に開ききることが、どうしてもできない。
「流石に、気合だけではどうにもならんか……」
了生も了海も、少し焦りだす。やはり、この頭数では、紬姫の抜けた穴を埋めることは困難を極める。
奏の体も、疲労が濃くなってきた。元々奏の力なんて、雀の涙程度の役にも立たないものだ。どれだけ頑張っても、その影響は微々たるものに過ぎない。
「どうか、皆さんが、語が帰ってくるまでは!」
無茶な戦いを強いてしまった四季姫たちに。苦しみに気付いてあげられなかった弟に。
奏はまだ、何もしてあげられていない。
榎たちは身を挺して語を救ってくれたなら、止めてくれたなら。
今度は奏が、語を支えなければならないのだから、こんなところで躓いているわけにはいかないのに。
あまりにも無力な己の現状に、情けなさが込み上げてくる。
体の力が、抜けてくる。もう、限界なのだろうか。
奏が座り込み、腕を下ろしかけると、それを背後から支えて持ち上げるものがあった。
「手を下ろすな。そのまま、集中して」
耳元で聞こえる、懐かしささえ感じる声。
驚いて横を見ると、綴の横顔がすぐ側にあった。
「お兄様!? お体は……」
綴はこの地脈を制御するための力を、紬姫から継承している、唯一の人物だ。地脈を安定させるには、欠かせない人材でもある。
だが、目を覚ましたばかりの綴は、まだまともに動ける状態ではないだろう。地脈に長い間漬かっていたし、さっきも護に人質として引きずり回され、体力は著しく消耗しているはずだ。
「いい。もう、安静なんて、求めている場合ではない。この体が、保たなくても……。これが、お母様の意志であり、僕の意志でもあるのだから」
綴の決意は強い。どんな言葉をかけても、今の綴を止めることはできないと、直感的に悟った。
綴は奏の耳元で、優しい口調で語り掛ける。
「兄弟三人で過ごす機会なんて、一度もなかっただろう? 語が帰ってきたら、ゆっくりと話そう。いままでのこと、これからのことを――」
奏の心が、じんわりと温かくなる。
安らいでいく感覚。
どんなに病弱でも、父親が違っていても、ほとんど関わったことがない、よく分からない存在だとしても。
やっぱりこの人は、頼もしい、奏や語の兄なのだと実感した。
綴のその言葉で、奏の中に勇気が湧いた。明るい未来が、見えた気がした。
「はい、必ず!」
再び、奏は腕に力を込めた。
「我らも、力を貸しますぞ!」
地脈の周囲の竹林の合間から、夥しい数の生き物が飛び出してきた。
八咫を筆頭とした、下等妖怪たちだ。
了生が驚いて、声を上げる。
「お前ら、何で……」
「朝月夜さま、宵月夜さまに頼まれ、いざという時のためにと、仲間たちをかき集めて参った! 我ら妖怪一同、四季姫様たちをお助けいたすために、及ばずながら力をお貸しいたしまする!!」
八咫の一鳴きを合図に、妖怪たちはありったけの妖気を地脈に送り付けた。その力によって、少しずつだが地脈の門が開きつつある。
応援に駆け付けたのは、八咫たちだけではなかった。さらに山の中から飛び出してきたのは、上等妖怪・小豆洗いと、その娘の梓。さらに山奥の隠れ里に住む妖怪たちだった。
「オラたちもいるど! 隠れ里の妖怪一同も、今こそ四季姫たちへの恩を返すんだ!」
今までに四季姫たちが助けてきた妖怪たちが結集し、四季姫を助けるために力を尽くしてくれている。四季姫たちのあらゆる行いの結果が、一つに繋がった。
その奇跡に近い情景を作り出しながら、地脈は徐々に安定を取り戻し、門が完全に開いた。
これならいける。榎たちは、必ず戻って来られる。
奏はその期待を確信に変え、綴の体を支えながら更なる力を注ぎ込んだ。
月麿のフルパワーによって、地脈の門は何とか閉じずに維持できているが、それ以上に開ききることが、どうしてもできない。
「流石に、気合だけではどうにもならんか……」
了生も了海も、少し焦りだす。やはり、この頭数では、紬姫の抜けた穴を埋めることは困難を極める。
奏の体も、疲労が濃くなってきた。元々奏の力なんて、雀の涙程度の役にも立たないものだ。どれだけ頑張っても、その影響は微々たるものに過ぎない。
「どうか、皆さんが、語が帰ってくるまでは!」
無茶な戦いを強いてしまった四季姫たちに。苦しみに気付いてあげられなかった弟に。
奏はまだ、何もしてあげられていない。
榎たちは身を挺して語を救ってくれたなら、止めてくれたなら。
今度は奏が、語を支えなければならないのだから、こんなところで躓いているわけにはいかないのに。
あまりにも無力な己の現状に、情けなさが込み上げてくる。
体の力が、抜けてくる。もう、限界なのだろうか。
奏が座り込み、腕を下ろしかけると、それを背後から支えて持ち上げるものがあった。
「手を下ろすな。そのまま、集中して」
耳元で聞こえる、懐かしささえ感じる声。
驚いて横を見ると、綴の横顔がすぐ側にあった。
「お兄様!? お体は……」
綴はこの地脈を制御するための力を、紬姫から継承している、唯一の人物だ。地脈を安定させるには、欠かせない人材でもある。
だが、目を覚ましたばかりの綴は、まだまともに動ける状態ではないだろう。地脈に長い間漬かっていたし、さっきも護に人質として引きずり回され、体力は著しく消耗しているはずだ。
「いい。もう、安静なんて、求めている場合ではない。この体が、保たなくても……。これが、お母様の意志であり、僕の意志でもあるのだから」
綴の決意は強い。どんな言葉をかけても、今の綴を止めることはできないと、直感的に悟った。
綴は奏の耳元で、優しい口調で語り掛ける。
「兄弟三人で過ごす機会なんて、一度もなかっただろう? 語が帰ってきたら、ゆっくりと話そう。いままでのこと、これからのことを――」
奏の心が、じんわりと温かくなる。
安らいでいく感覚。
どんなに病弱でも、父親が違っていても、ほとんど関わったことがない、よく分からない存在だとしても。
やっぱりこの人は、頼もしい、奏や語の兄なのだと実感した。
綴のその言葉で、奏の中に勇気が湧いた。明るい未来が、見えた気がした。
「はい、必ず!」
再び、奏は腕に力を込めた。
「我らも、力を貸しますぞ!」
地脈の周囲の竹林の合間から、夥しい数の生き物が飛び出してきた。
八咫を筆頭とした、下等妖怪たちだ。
了生が驚いて、声を上げる。
「お前ら、何で……」
「朝月夜さま、宵月夜さまに頼まれ、いざという時のためにと、仲間たちをかき集めて参った! 我ら妖怪一同、四季姫様たちをお助けいたすために、及ばずながら力をお貸しいたしまする!!」
八咫の一鳴きを合図に、妖怪たちはありったけの妖気を地脈に送り付けた。その力によって、少しずつだが地脈の門が開きつつある。
応援に駆け付けたのは、八咫たちだけではなかった。さらに山の中から飛び出してきたのは、上等妖怪・小豆洗いと、その娘の梓。さらに山奥の隠れ里に住む妖怪たちだった。
「オラたちもいるど! 隠れ里の妖怪一同も、今こそ四季姫たちへの恩を返すんだ!」
今までに四季姫たちが助けてきた妖怪たちが結集し、四季姫を助けるために力を尽くしてくれている。四季姫たちのあらゆる行いの結果が、一つに繋がった。
その奇跡に近い情景を作り出しながら、地脈は徐々に安定を取り戻し、門が完全に開いた。
これならいける。榎たちは、必ず戻って来られる。
奏はその期待を確信に変え、綴の体を支えながら更なる力を注ぎ込んだ。
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