205 / 336
第二部 四季姫進化の巻
第十五章 夏姫鬼化 9
しおりを挟む
九
榎と椿は、急いで四季が丘病院に直行した。楸と柊も、髪飾りで連絡をとると、駆け付けてくれた。人探しなら、周辺の地理に明るい人手が多いほうが有り難い。
電話で聞いた奏の話によると、昨晩の間に綴の姿が消えたらしく、朝に看護師が検温に来たときには、病室がもぬけの殻になっていた。
病院の人達や、連絡を受けた奏も慌てて周囲を探したが、既に病院内に姿はなかった。
途方に暮れた奏は、榎なら何か知っているかもしれないと思い立ち、電話をかけてきたのだった。
「奏さん! 綴さんは、まだ……?」
病院の中庭で奏と合流した榎は、現状を尋ねる。だが、奏は青褪めた顔で首を横に振るばかりだ。
「病院の中や周囲は、くまなく探したのですが……。窓から外に出た形跡があるのですが、足が不自由なお兄さまが、誰の力も借りずに外に出るなんて、どう考えても無理ですわ」
綴の病室は、四階だ。健全な人間でも、抜け出すなんて至難の技だろう。
「じゃあ、誰かに連れ去られたの!? まさか、誘拐とか……」
「身代金の要求とか、来てへんのか?」
椿と柊が次々に尋ねるが、奏は否定した。
「いいえ、何もありませんわ」
「誘拐とは限りまへん。決めつけは、視野を狭めます。誰か、一緒に行動しそうな人物に、心当たりはおらんのどすか?」
「想像も、つかないのです。月麿に気配を探ってもらっているのですが……」
奏は今にも泣きそうな顔だ。綴の居所も、いなくなった原因も分からずに、疲労困憊していた。
「警察に連絡は?」
「父から、止められています。まずは事実を確認してからと」
「騒ぎを、大きくしとうないんどすな」
本当に誘拐なのか、それ以外の理由があるのかをはっきりさせなくてはならない。
だが、もし綴の身に危険が迫っていたら。訳も分からないまま戸惑っていては、手遅れになるかも知れない。
榎はじっとしてはいられなかった。
「あたしたちだけでも、探そう。みんなも、協力して欲しい」
みんなは大きく、頷いてくれた。
「ですが、車で連れ去られとったら、お手上げどす。まだ近くにおるとええんどすが」
手掛かりがなさ過ぎて途方に暮れていると、奏の携帯電話の着信が鳴った。
「待って、月麿から連絡ですわ」
忙しなく、通話をはじめる。奏の表情に、勢いが戻った。
「お兄さまの気配を、感知したそうです。まだ、四季が丘のどこかにいると」
月麿からの報告が、大きな進展をもたらした。
「遠くには、行っていないのね」
「気配が分かるなら、まだご無事どす」
「早いうちに、手分けして探したほうがええな」
効率よく捜索するために、地域を分担して作戦を練る。
みんなの話を聞きながら、榎はふと、中庭の隅に目をやった。ちょうど、綴がいた病室の窓の真下に当たる部分だ。綴の部屋は、今は窓も締め切ってあるが、今朝は開けっ放しになっていたらしい。
この場所から、綴は外に出て、どこかに消えた。でも、足跡も何も残っていない。まるで、空でも飛んで行ってしまったみたいに。
こんな芸当、人間にできるわけがない。
そう考えた瞬間。榎の中で嫌な予想が一本の線になって、繋がった。
「まさか……あの山に行ったのか?」
先日の、響と綴の手紙のやり取り。
あの中身が、綴に病院を抜け出す指示が書かれたものだったとしたら。
二人で示し合わせて、一緒に響の生活拠点である山に向かった可能性が高い。
「榎はん、何か心当たりが?」
楸が、榎の態度に気付いて、尋ねてくる。
「確証はないけれど、あたしのせいで、綴さんはいなくなったのかもしれない」
綴を助けるためにも、みんなに黙っているわけにはいかない。
榎は先日までの出来事を、かい摘まんで話した。
「―?では、お兄さまは、榎さんのお父さまを助けるために、悪鬼に連れられて病院を出たとおっしゃるのですか?」
青褪める奏の表情を見ていると、榎の中に罪悪感が広がっていった。
話を聞いても、誰も事件の発端である榎を責めない。周囲の気遣いが余計に、榎の胸を締め付けた。
「悪鬼の目的は? 何を要求してきたんや?」
「分からない。あたしは、手紙を運んだだけだから」
「もし、ほんまに綴さんが悪鬼に囚われておるなら、下手に手が出せませんな。綴はんだけやのうて、榎はんのお父はんの身も危険どす」
響が綴をどう扱おうとしているかは分からないが、妨害すればきっと、再び樫男を盾にとってくるだろう。
「どちらも、無事に助けられるかしら……」
「とにかく、悪鬼の居場所はご存知なんでしょう? 綴はんがほんまに悪鬼のところにおるんか、無事なのかだけでも確かめましょう。後は様子を見て、救出の手立てを考えるどす」
楸の提案で、榎はみんなを案内して響のいる場所に向かった。
***
四季が丘の外れの、山間地域。響が家を建てようとしている空き地までやってきた。
何も知らない樫男は、黙々と建設の準備をはじめているらしく、空地には重機や建設用の木材が運び込まれていた。
広場の端、杉の木がまだ密生する場所の側に、響が立っていた。榎達は杉林の影に隠れて、遠目に響を観察した。
響は、殺気を含んだ表情で、足元を睨みつけていた。視線の先を追ってみると、積み上げられた木材の影にうずくまる人影が視界に入った。
木材に背をもたれかけて、ぐったりと座り込む人物。病院服らしい恰好と白い頭髪が目に留まった瞬間。
榎は逆上して、響の前に飛び出していた。
「傘崎響! 綴さんから離れろ!」
榎の声に反応して、響は顔を上げた。ばつがわるそうな、面倒そうな表情で榎を見てきた。足元では、綴がうなだれていた。意識がないのか、腕はだらりと地面に垂れて、微動だにしない。
後ろから、椿達も榎を追い掛けてきた。響を取り囲み、いつでも変身できるように身構えた。
「綴さんに、何をしたんだ!?」
榎が声を荒げると、響は困った様子で肩を竦めた。
「まだ、何も。具合が悪くなったそうですよ。私が背負って山を登ってきたのですが、かなり体に負担があったらしい」
さっきまで、顔を覆っていた殺気は消えていた。だが、綴に向ける流し目は、明らかに邪悪な視線を放っていた。響の言葉を鵜呑みにはできない。
外野の騒ぎに反応して、綴の腕が動いた。頭が上がり、虚ろな目で榎達を見てくる。
「綴さん、大丈夫ですか!?」
「お兄さま、しっかりなさって!」
榎と奏が、必死で声をかけた。苦しそうだが、意識ははっきりしているらしく、榎達に反応を示した。
「榎ちゃん、奏……。僕を、追いかけてきたのか」
「どうして、病院から黙って抜け出したのです? 悪鬼に、何か脅迫でもされたのですか?」
奏の問い掛けに、綴は小さく鼻で笑って反した。
「今までの行いのツケが、回ってきただけさ。今のうちに、余計な問題は清算させておきたかったんだ」
「問題って……。綴さんと悪鬼との間に、何の関りがあるんです!?」
榎が慌てて尋ねるが、返事はなかった。口を開くより前に、綴は再び、気を失ってしまった。
「命に、別状はないと思います。長時間の慣れない移動で、疲労が溜まったのでしょう」
奏が冷静に、綴の状態を観察する。今のところ、大きな外傷は見られない。身の危険はないと分かり、少し安心した。
だが、不機嫌そうな響の姿が視界に入った瞬間、何の罪悪感も抱いていない態度に、榎の怒りが沸き上がった。
「綴さんに何かしたら、許さないといったはずだぞ!」
「何かするかどうかは、綴くんの返答次第だといったはずです。ただの病弱なお坊ちゃんかと思っていたら、とんだ食わせものだ。さんざん振り回されて、少し腹が立っているのですよ。あなたたちがもう少し遅く到着していれば、私の鬱憤も晴らせたかもしれないのに」
響の吐き捨てた返事は、更に榎を逆上させる。歯を食いしばり、響を睨みつけて殺気を飛ばす。
榎は百合の花の髪飾りを構え、力を込めた。
夏姫に変身し、ずっと持ち歩いていた、呪われた剣を構える。
剣はぼんやりと、濃い緑色の光を放ちはじめる。了生が貼ってくれた、呪いを抑え込むお札が、火を噴いて一瞬で灰になった。
後ろでは、椿達も変身して、榎の援護をする形で武器を構えてくれていた。
榎たちの敵意を受け取った響の表情が、冷たく凍りついた。目を細めて、榎に殺気を放ち返してくる。
「本気で来るのなら、私も約束を破りますよ? 小父さんの身の安全を、保障できなくなる」
「榎はん、落ち着いて! 下手に刺激したら、いかんどす」
人質が危険と判断した楸が、慌てて榎を制止にかかる。
だが、怒りで頭に血が上った榎には、周りの声が聞こえなくなってきた。
「黙れ! もう、お前の言葉なんて、信用しない!」
榎が約束を守っても、結局、大切な人を解放してはくれなかった。今もなお、盾として利用しようとしている。
悪鬼に誠意なんて期待した、榎が馬鹿だった。言葉で話して理解できない相手だと、再度理解した。
全身が、熱い。まるで、体中の流れる血が、沸騰して煮えたぎっているみたいだ。
腕が、足が榎の意図と関係なく疼きだす。頭が痛い。
強烈な力が内側から溢れ出して、爆発しそうだ。榎は地面に膝をついてうずくまり、大きな悲鳴を上げた。
榎の記憶は、その瞬間、完全に途切れた。
榎と椿は、急いで四季が丘病院に直行した。楸と柊も、髪飾りで連絡をとると、駆け付けてくれた。人探しなら、周辺の地理に明るい人手が多いほうが有り難い。
電話で聞いた奏の話によると、昨晩の間に綴の姿が消えたらしく、朝に看護師が検温に来たときには、病室がもぬけの殻になっていた。
病院の人達や、連絡を受けた奏も慌てて周囲を探したが、既に病院内に姿はなかった。
途方に暮れた奏は、榎なら何か知っているかもしれないと思い立ち、電話をかけてきたのだった。
「奏さん! 綴さんは、まだ……?」
病院の中庭で奏と合流した榎は、現状を尋ねる。だが、奏は青褪めた顔で首を横に振るばかりだ。
「病院の中や周囲は、くまなく探したのですが……。窓から外に出た形跡があるのですが、足が不自由なお兄さまが、誰の力も借りずに外に出るなんて、どう考えても無理ですわ」
綴の病室は、四階だ。健全な人間でも、抜け出すなんて至難の技だろう。
「じゃあ、誰かに連れ去られたの!? まさか、誘拐とか……」
「身代金の要求とか、来てへんのか?」
椿と柊が次々に尋ねるが、奏は否定した。
「いいえ、何もありませんわ」
「誘拐とは限りまへん。決めつけは、視野を狭めます。誰か、一緒に行動しそうな人物に、心当たりはおらんのどすか?」
「想像も、つかないのです。月麿に気配を探ってもらっているのですが……」
奏は今にも泣きそうな顔だ。綴の居所も、いなくなった原因も分からずに、疲労困憊していた。
「警察に連絡は?」
「父から、止められています。まずは事実を確認してからと」
「騒ぎを、大きくしとうないんどすな」
本当に誘拐なのか、それ以外の理由があるのかをはっきりさせなくてはならない。
だが、もし綴の身に危険が迫っていたら。訳も分からないまま戸惑っていては、手遅れになるかも知れない。
榎はじっとしてはいられなかった。
「あたしたちだけでも、探そう。みんなも、協力して欲しい」
みんなは大きく、頷いてくれた。
「ですが、車で連れ去られとったら、お手上げどす。まだ近くにおるとええんどすが」
手掛かりがなさ過ぎて途方に暮れていると、奏の携帯電話の着信が鳴った。
「待って、月麿から連絡ですわ」
忙しなく、通話をはじめる。奏の表情に、勢いが戻った。
「お兄さまの気配を、感知したそうです。まだ、四季が丘のどこかにいると」
月麿からの報告が、大きな進展をもたらした。
「遠くには、行っていないのね」
「気配が分かるなら、まだご無事どす」
「早いうちに、手分けして探したほうがええな」
効率よく捜索するために、地域を分担して作戦を練る。
みんなの話を聞きながら、榎はふと、中庭の隅に目をやった。ちょうど、綴がいた病室の窓の真下に当たる部分だ。綴の部屋は、今は窓も締め切ってあるが、今朝は開けっ放しになっていたらしい。
この場所から、綴は外に出て、どこかに消えた。でも、足跡も何も残っていない。まるで、空でも飛んで行ってしまったみたいに。
こんな芸当、人間にできるわけがない。
そう考えた瞬間。榎の中で嫌な予想が一本の線になって、繋がった。
「まさか……あの山に行ったのか?」
先日の、響と綴の手紙のやり取り。
あの中身が、綴に病院を抜け出す指示が書かれたものだったとしたら。
二人で示し合わせて、一緒に響の生活拠点である山に向かった可能性が高い。
「榎はん、何か心当たりが?」
楸が、榎の態度に気付いて、尋ねてくる。
「確証はないけれど、あたしのせいで、綴さんはいなくなったのかもしれない」
綴を助けるためにも、みんなに黙っているわけにはいかない。
榎は先日までの出来事を、かい摘まんで話した。
「―?では、お兄さまは、榎さんのお父さまを助けるために、悪鬼に連れられて病院を出たとおっしゃるのですか?」
青褪める奏の表情を見ていると、榎の中に罪悪感が広がっていった。
話を聞いても、誰も事件の発端である榎を責めない。周囲の気遣いが余計に、榎の胸を締め付けた。
「悪鬼の目的は? 何を要求してきたんや?」
「分からない。あたしは、手紙を運んだだけだから」
「もし、ほんまに綴さんが悪鬼に囚われておるなら、下手に手が出せませんな。綴はんだけやのうて、榎はんのお父はんの身も危険どす」
響が綴をどう扱おうとしているかは分からないが、妨害すればきっと、再び樫男を盾にとってくるだろう。
「どちらも、無事に助けられるかしら……」
「とにかく、悪鬼の居場所はご存知なんでしょう? 綴はんがほんまに悪鬼のところにおるんか、無事なのかだけでも確かめましょう。後は様子を見て、救出の手立てを考えるどす」
楸の提案で、榎はみんなを案内して響のいる場所に向かった。
***
四季が丘の外れの、山間地域。響が家を建てようとしている空き地までやってきた。
何も知らない樫男は、黙々と建設の準備をはじめているらしく、空地には重機や建設用の木材が運び込まれていた。
広場の端、杉の木がまだ密生する場所の側に、響が立っていた。榎達は杉林の影に隠れて、遠目に響を観察した。
響は、殺気を含んだ表情で、足元を睨みつけていた。視線の先を追ってみると、積み上げられた木材の影にうずくまる人影が視界に入った。
木材に背をもたれかけて、ぐったりと座り込む人物。病院服らしい恰好と白い頭髪が目に留まった瞬間。
榎は逆上して、響の前に飛び出していた。
「傘崎響! 綴さんから離れろ!」
榎の声に反応して、響は顔を上げた。ばつがわるそうな、面倒そうな表情で榎を見てきた。足元では、綴がうなだれていた。意識がないのか、腕はだらりと地面に垂れて、微動だにしない。
後ろから、椿達も榎を追い掛けてきた。響を取り囲み、いつでも変身できるように身構えた。
「綴さんに、何をしたんだ!?」
榎が声を荒げると、響は困った様子で肩を竦めた。
「まだ、何も。具合が悪くなったそうですよ。私が背負って山を登ってきたのですが、かなり体に負担があったらしい」
さっきまで、顔を覆っていた殺気は消えていた。だが、綴に向ける流し目は、明らかに邪悪な視線を放っていた。響の言葉を鵜呑みにはできない。
外野の騒ぎに反応して、綴の腕が動いた。頭が上がり、虚ろな目で榎達を見てくる。
「綴さん、大丈夫ですか!?」
「お兄さま、しっかりなさって!」
榎と奏が、必死で声をかけた。苦しそうだが、意識ははっきりしているらしく、榎達に反応を示した。
「榎ちゃん、奏……。僕を、追いかけてきたのか」
「どうして、病院から黙って抜け出したのです? 悪鬼に、何か脅迫でもされたのですか?」
奏の問い掛けに、綴は小さく鼻で笑って反した。
「今までの行いのツケが、回ってきただけさ。今のうちに、余計な問題は清算させておきたかったんだ」
「問題って……。綴さんと悪鬼との間に、何の関りがあるんです!?」
榎が慌てて尋ねるが、返事はなかった。口を開くより前に、綴は再び、気を失ってしまった。
「命に、別状はないと思います。長時間の慣れない移動で、疲労が溜まったのでしょう」
奏が冷静に、綴の状態を観察する。今のところ、大きな外傷は見られない。身の危険はないと分かり、少し安心した。
だが、不機嫌そうな響の姿が視界に入った瞬間、何の罪悪感も抱いていない態度に、榎の怒りが沸き上がった。
「綴さんに何かしたら、許さないといったはずだぞ!」
「何かするかどうかは、綴くんの返答次第だといったはずです。ただの病弱なお坊ちゃんかと思っていたら、とんだ食わせものだ。さんざん振り回されて、少し腹が立っているのですよ。あなたたちがもう少し遅く到着していれば、私の鬱憤も晴らせたかもしれないのに」
響の吐き捨てた返事は、更に榎を逆上させる。歯を食いしばり、響を睨みつけて殺気を飛ばす。
榎は百合の花の髪飾りを構え、力を込めた。
夏姫に変身し、ずっと持ち歩いていた、呪われた剣を構える。
剣はぼんやりと、濃い緑色の光を放ちはじめる。了生が貼ってくれた、呪いを抑え込むお札が、火を噴いて一瞬で灰になった。
後ろでは、椿達も変身して、榎の援護をする形で武器を構えてくれていた。
榎たちの敵意を受け取った響の表情が、冷たく凍りついた。目を細めて、榎に殺気を放ち返してくる。
「本気で来るのなら、私も約束を破りますよ? 小父さんの身の安全を、保障できなくなる」
「榎はん、落ち着いて! 下手に刺激したら、いかんどす」
人質が危険と判断した楸が、慌てて榎を制止にかかる。
だが、怒りで頭に血が上った榎には、周りの声が聞こえなくなってきた。
「黙れ! もう、お前の言葉なんて、信用しない!」
榎が約束を守っても、結局、大切な人を解放してはくれなかった。今もなお、盾として利用しようとしている。
悪鬼に誠意なんて期待した、榎が馬鹿だった。言葉で話して理解できない相手だと、再度理解した。
全身が、熱い。まるで、体中の流れる血が、沸騰して煮えたぎっているみたいだ。
腕が、足が榎の意図と関係なく疼きだす。頭が痛い。
強烈な力が内側から溢れ出して、爆発しそうだ。榎は地面に膝をついてうずくまり、大きな悲鳴を上げた。
榎の記憶は、その瞬間、完全に途切れた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
汚部屋女神に無茶振りされたアラサー清掃員、チートな浄化スキルで魔境ダンジョンを快適ソロライフ聖域に変えます!
虹湖🌈
ファンタジー
女神様、さては…汚部屋の住人ですね? もう足の踏み場がありませーん><
面倒な人間関係はゼロ! 掃除で稼いで推し活に生きる! そんな快適ソロライフを夢見るオタク清掃員が、ダメ女神に振り回されながらも、世界一汚いダンジョンを自分だけの楽園に作り変えていく、異世界お掃除ファンタジー。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる