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第三次世界大戦線①
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パラレルワールド、という概念を皆々様はご存じだろうか。
実は自分たちの住む”ここ”はいくつもある世界の中の一つである、という考え方のことだ。
世界は今自分が認識している”ここ”だけではなく、多種多様な、様々なパターンの世界が同時並行的にこの世に存在していて。
一秒後にはどこかの世界線の地球が滅亡していたり、なんてこともあるのかもしれない。
もちろんそれが、この世界線でないと言い切ることはできないが。
なぜそんな話をって?
いい質問をするではないか。
それはーーー
「行ったり来たりできるってことー?」
疑わしいと言わんばかりの眼差しで僕を見つめてくる。
この僕を疑るなんて、罰当たりもいいところだ。
「いくら私たちが”相思相愛”でみんなが羨む”パーフェクトカップル”だからって、流石にそんな冗談には騙されないぞ~」
彼女はニヤニヤとしながら僕の脇腹のあたりをつんつんしてくる。
ちなみにこの場合の”彼女”とは、恋人を意味する言葉ではない。
「なにがパーフェクトカップルだ、どっから突っ込んでいいかわからないよ、まったく…」
彼女はただの幼馴染である。
それ以上でもそれ以下でもない。
「え、いやいや待って待って、まるで私がおかしなことを言っているみたいになってるけども!」
「まるでお前がおかしなことを言っているんだよ」
「まるで私もおかしなことを言っているけども!」
認めるのか。
「なかなかヤバいこと言ってるよ?きみ、気づいてない?もしかして」
「あぁ、そうだな。行き来できるわけじゃない。行って、行ったっきり」
「ちっがうんだよなぁ、そこじゃないんだよなぁ。ねぇ、もしかしてマジ?」
「まぁ、信じられないよな普通」
パラレルワールドを移動できるなんてこと。
そう、僕はパラレルワールドを移動することができる。
まだ二回しか経験はないけれども。
「なんで私にそんな話をしたの?」
日曜の昼間からわざわざ公園なんかに呼び出して、と続けた。
いいじゃないか、暇そうにしていたじゃないか。
そもそもこの世界線で曜日だの時間だのを気にするほうがおかしい。
「お前が…、いや、何でもない。信じるかなーと思ってさ」
「ふーん、まっ信じるけどね!だって将来の旦那様がそう言っているのだもの~」
「…。そろそろ帰るか」
遠くからサイレンの音が聞こえる。
「そうだね~。そろそろだもんね」
僕らは公園の入り口を目指して歩き出した。
「きみがひとつ前にいた世界線は、どんな感じだったの?」
「あー、あまり思い出したくはないけど」
ガラガラ。
足元のガレキが踏みしめられる音がする。
「”ここ”よりは、安全なところだったかな」
この世界線は、今まで経験してきた2つの世界とは比較にならないほど混沌としていた。
第三次世界大戦なるものの真っ最中で、どこもかしこも戦火にまみれている。
怒号、悲鳴に銃声、サイレン。
犯罪、薬物、まさに地獄絵図。
先程居た公園も崩れた建物の残骸や運ばれて来たガレキでぐちゃぐちゃだ。
そんな、混沌とした世界。
人々はシェルターと呼ばれる地下施設で生活している。
基本的に外出はできない、し、しようと思う人はほぼいない。
シェルターの外ではリアルタイムで戦争が行われており、民間人、軍人問わず見つかり次第殺されるから。
シェルターの外に出るような奴は非合法な働きを行うものか自殺願望者かの二通りだ。
僕たちはそのどちらでもないけれど。
パラレルワールドを移動できるなんて周りの人に聞かれようものなら気が狂ってしまったと思われかねないため危険を冒して外に出た次第である。
実は自分たちの住む”ここ”はいくつもある世界の中の一つである、という考え方のことだ。
世界は今自分が認識している”ここ”だけではなく、多種多様な、様々なパターンの世界が同時並行的にこの世に存在していて。
一秒後にはどこかの世界線の地球が滅亡していたり、なんてこともあるのかもしれない。
もちろんそれが、この世界線でないと言い切ることはできないが。
なぜそんな話をって?
いい質問をするではないか。
それはーーー
「行ったり来たりできるってことー?」
疑わしいと言わんばかりの眼差しで僕を見つめてくる。
この僕を疑るなんて、罰当たりもいいところだ。
「いくら私たちが”相思相愛”でみんなが羨む”パーフェクトカップル”だからって、流石にそんな冗談には騙されないぞ~」
彼女はニヤニヤとしながら僕の脇腹のあたりをつんつんしてくる。
ちなみにこの場合の”彼女”とは、恋人を意味する言葉ではない。
「なにがパーフェクトカップルだ、どっから突っ込んでいいかわからないよ、まったく…」
彼女はただの幼馴染である。
それ以上でもそれ以下でもない。
「え、いやいや待って待って、まるで私がおかしなことを言っているみたいになってるけども!」
「まるでお前がおかしなことを言っているんだよ」
「まるで私もおかしなことを言っているけども!」
認めるのか。
「なかなかヤバいこと言ってるよ?きみ、気づいてない?もしかして」
「あぁ、そうだな。行き来できるわけじゃない。行って、行ったっきり」
「ちっがうんだよなぁ、そこじゃないんだよなぁ。ねぇ、もしかしてマジ?」
「まぁ、信じられないよな普通」
パラレルワールドを移動できるなんてこと。
そう、僕はパラレルワールドを移動することができる。
まだ二回しか経験はないけれども。
「なんで私にそんな話をしたの?」
日曜の昼間からわざわざ公園なんかに呼び出して、と続けた。
いいじゃないか、暇そうにしていたじゃないか。
そもそもこの世界線で曜日だの時間だのを気にするほうがおかしい。
「お前が…、いや、何でもない。信じるかなーと思ってさ」
「ふーん、まっ信じるけどね!だって将来の旦那様がそう言っているのだもの~」
「…。そろそろ帰るか」
遠くからサイレンの音が聞こえる。
「そうだね~。そろそろだもんね」
僕らは公園の入り口を目指して歩き出した。
「きみがひとつ前にいた世界線は、どんな感じだったの?」
「あー、あまり思い出したくはないけど」
ガラガラ。
足元のガレキが踏みしめられる音がする。
「”ここ”よりは、安全なところだったかな」
この世界線は、今まで経験してきた2つの世界とは比較にならないほど混沌としていた。
第三次世界大戦なるものの真っ最中で、どこもかしこも戦火にまみれている。
怒号、悲鳴に銃声、サイレン。
犯罪、薬物、まさに地獄絵図。
先程居た公園も崩れた建物の残骸や運ばれて来たガレキでぐちゃぐちゃだ。
そんな、混沌とした世界。
人々はシェルターと呼ばれる地下施設で生活している。
基本的に外出はできない、し、しようと思う人はほぼいない。
シェルターの外ではリアルタイムで戦争が行われており、民間人、軍人問わず見つかり次第殺されるから。
シェルターの外に出るような奴は非合法な働きを行うものか自殺願望者かの二通りだ。
僕たちはそのどちらでもないけれど。
パラレルワールドを移動できるなんて周りの人に聞かれようものなら気が狂ってしまったと思われかねないため危険を冒して外に出た次第である。
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退会済ユーザのコメントです
というかあらすじ見て気づきました。幼なじみめっちゃ死ぬんですね、、、
あらすじでめちゃくちゃネタバレしてますよね笑笑
これ何度も何度もパラレルワールド移動して主人公が狂ってく、っていうストーリーにするつもりだったんで笑
新しい話だ!!
やったぁぁぁ!
めっちゃ好きな世界観です!
リコブラ様が途中で辞めたとしても私はずっとファンですのでご安心ください!
嬉しすぎるですよぉぉぉ😭
もう頑張れちゃいますそんな嬉しいこと言われたら笑
このお話は1年前くらいにちょろんと書いて秒で途切れちゃったやつなんで、続きは絶望的なんですよねぇ、笑
でも如月さんが読んでくれるなら書いてみようかしら!って思ったりしますぅ