ひかるのヒミツ

世々良木夜風

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Secret5. ひかるの買い物

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●登場人物
ひかる・ダークライト(ひかる):魔法少女専門グッズ店の店長。超絶美少女。特殊な環境で育ったため、世界知らず(※世間知らずの上位バージョン)。
紫野むらさきのすみれ(すみれ):ひかるのお店でバイトをしている。魔法少女のオタクガチ勢。中学生なので廃課金とまではいかないが、かなりの貢献者。

●前回のお話
私、紫野菫!魔法少女の大ファンなんだけど、訳あって、悪の組織に所属して魔法少女と戦ってるわ。
先日の戦闘では、セリシール様のすぐ傍で、凛々しく戦うお姿を見ることが出来たばかりか、名前を覚えてもらえ、あまつさえその魔法を直接受けることが出来るという、ありがたい体験をさせてもらえたの。
でも戦闘中、舞い上がっちゃって、ツッコミを謎の第三者に委ねることになってしまったわ。(反省...)
今日はおかえしにつっこみまくるわよ~~~!!



とある休日。ひかるのお店がお休みだったので、すみれは駅前のショッピングセンターに買い物に来ていた。
次は洋服でも見ようかと思っていると、周囲がざわついて来た。
「誰?あの、芸能人??」
「かわいい、っていうか超美人!お前、声かけろよ」
「あそこまでかわいいと無理だわ。何か俺、緊張してきた」
人ごみの中心には、想像通りの人物が。
ブルーのワンピースがとても似合っている。見事なスタイル。優雅な身のこなし。
見慣れてるはずのすみれでさえ、しばらく目を奪われていた。

「あら、すみれじゃない」
今、このショッピングセンターで最も注目されているであろう人物が声をかけてきた。
「ひかる、相変わらず目立ってるわねぇ」
「どうやら芸能人が来ているらしいですわよ。どこかしらね?」
「私の目の前じゃないの?」
「????」
「ちょっと、ここじゃ目立つし、あそこのカフェでも行かない?」
「いいですわよ。わたくしもちょうど、休憩したいと思っていたところよ」

二人が入ってくると店内がざわめき出す。
「かっわいい~~!あの、誰?知ってる?」
「見たことないけど、モデルさんかな?」
二人が最後尾に並ぶと、前の人たちがそわそわしだし、少しの後、順番を譲られる。
「俺ら、急いでないんで先にどうぞ」
堰を切ったようにその前その前へと譲られる
ひかるは軽く頭を下げると何事もないかのように空いてゆく通路を進んでいく。
「ごめんなさい。ごめんなさい」
すみれは譲ってくれた人たちに必死に頭を下げながら、ひかるを追いかけた。
「ちょっと、何当たり前のように譲られてんのよ!」
「えっ、この手のお店ではこうしてカウンターまで行って注文するのが普通じゃありませんの?」
「普通じゃないわよ!列に並んで順番を待つのが普通なの!!」
「でも、断っても譲られるので、てっきりスムーズに譲られるのがマナーかと思っていましたわ」
「デートのエスコートじゃないんだから...」
そういうやり取りをしているうちに、カウンターの前へとたどり着く。
「アイスコーヒーとショートケーキをお一つ。サービスは少な目で構いませんわ」
「いや、サービスって何?!」
「ほら、すみれも注文なさいな。皆さんお待ちですわよ」
「あんたが待たせてるんでしょ...ええっと、焦るわね..あの同じものでお願いします」
「サービスは普通でよろしいのかしら」
「いや、一般人パンピーにはサービスないし!!」

商品を受け取ると、空いている席を探す。トレイには何故か頼んでないのに、モンブランが乗っていた。
「あら、二つも食べきれるかしら。二人で半分こしましょ」
「これが、セルフタイプカフェの少な目のサービスね。もう一生、見ることはないと思うわ」
すみれは非常に貴重な体験を心にしっかりと焼き付けた。
「席がいっぱいね。どうしましょう?」
ひかるがつぶやくと、すぐに横の席の女の子たちが、
「あの、私たちもう出ますのでこの席使ってください!」
と緊張気味の声で席を譲ってくれた。
「あら、ありがとう」と言うと
「キャー、お話ししちゃった~~」と嬉しそうに出ていく女の子たち。
「格差社会というのはこういうのを言うのかしら…」
すみれは今日一日で「理想と現実の違い」について、多くを学ぶことができた。

「すみれは何をしてましたの?」
ひかるが話題を向ける。
「あぁ、ちょっと本屋で欲しかった本を...ひかるは?」
わたくしは魔法薬専門店で、必要な触媒を調達していましたの」
といって、「ForYourBetterHealth」というロゴの入った手提げを見せる。
「魔法薬専門店なんて聞いたことないけど?その店って、健康食品とかサプリのお店じゃなかったかしら」
「そうなんですの?でも、魔力を感じる商品がたくさん置いてありますわよ」
「魔力ねぇ...」
「魔法薬はその筋でしか手に入らないのが普通ですから、わたくし、見つけたときはとても驚きましたのよ」
「で、何を買ったの?」
手提げの中には茶色の紙袋がしっかりと封をされた状態で入れられており、何が入っているか分からない。
「はい、気の利いたお店で、魔力の消耗を抑えるために光を遮断する袋に入れていただけるようで、外からでは分かりませんわね。ちょっと開けますわね」
と言いながらひかるが取り出したのは、
まむし、スッポン、怪しげなサプリ・・・箱には「よみがえるあの日の勢い」「こんなに***」などのうたい文句が、
「ちょ、ちょ、ちょ」
すみれは赤くなりながら急いで商品を紙袋に戻す。
「あんた、何買ってんのよ!!」
「えっ、男性への変身魔法に必要な男属性を多く内包した魔法薬ですけど...」
「世間一般ではそう呼ばないの!!」
「しかしマテラスへの変身に必要不可欠ですし、定期的に仕入れなくては...」
「通販か、チッカーにでも買いに行かせなさいよ!」
・・・それもどうかと思うが...
「そうしたいのはやまやまなのですが、なぜか商品によって、内包する魔力量がまちまちですの。大きな力を持つものもあれば、ほとんど空のものもございまして...」
「そうなのね。まぁもともとそういう用途じゃないから当たり前だけど...」
「ですので魔力量を感じ取れるわたくしが直接商品を見ないことには、どうにもなりませんの」
「...」
「そうだ、今度すみれもご一緒しませんこと。魔力契約をかわしたすみれならコツさえつかめれば感じ取れ...」
「い・き・ま・せ・ん!!そんなとこ知り合いに見られたら身投げする自信あるわ!」
「そんな大げさな。目視で分かりますから怪しげな儀式等は行いませんわよ」
「おねがい~~~!一般人と同じとはいわないから、せめて『世間知らずのお嬢様』レベルの常識持って~~~!」
すみれは頭をガンガンとテーブルに叩きつけながらわめいている。傍目から見たら心配なのはすみれの方だ。
「落ち着いて。すみれ!」
「お客様、困ります」
店員さんが駆けつけ、何とか止めさせる。
「あのね、この薬は一般的には、」
と言いかけて、すみれは口をつぐんだ。
今、すみれは大きなジレンマにさらされていた。
ひかるの将来を思えば、そういう商品を女の子が買うということがどれだけ恥ずかしいことか、今、教えるべきだろう。
しかし、これだけのピュアな心を保った14才が今時いるだろうか?それを教えるということはこのピュアな心を汚すことを意味する。
すみれはしばし悩んだ後、決心した!!

さ♡き♡お♡く♡り♡

「そういえば、ひかるに聞きたいことがあったのよ」
すみれは話題を変えた。
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