ひかるのヒミツ

世々良木夜風

文字の大きさ
15 / 54

Secret15. チッカー語講座(リスニング)

しおりを挟む
●登場人物
ひかる・ダークライト(ひかる):魔法少女専門グッズ店の店長。悪の秘密結社ダーク・ライト首領でもある。お店の地下には巨大な秘密基地があって...
 = マテラス・ダークライト:秘密結社ダーク・ライトの首領。
紫野むらさきのすみれ(すみれ):ひかるのお店のバイト。チッカーとのコミュニケーションの為、「チッカー語講座」を受けることになった。波乱の予感が...
 = ヴィオレ:秘密結社ダーク・ライトの一員。
・チッカー:全身黒づくめのモブ戦闘員。A, B, Cと番号で呼ばれており、無個性だと思われていたが、ひかるには違いが分かるらしい。

●前回のお話
私、紫野菫。気軽に「すみれ」って呼んでね。
魔法少女専門グッズ店でバイトをしてるんだけど、実はそこは悪の秘密結社ダーク・ライトの本拠地だったの。
私もなんだかんだでダーク・ライトに所属することになったんだけど...
そこの戦闘員・チッカーとのコミュニケーションが必要な事態が発生しちゃって、「チッカー語」の研修をうけることになったのよ。
今日はその初日!キンチョーする~~~!



「私、頑張る!」
すみれはそういうと、「チッカー語講座」の部屋のパネルに手を当て、魔力を流す。
ドアが自動的に開かれる。
緊張しながら中に入ると、多くのチッカーたちが「チィー」「チィー」わめいていた。
「みなさん、頑張っているようですわね」
ひかるが部屋に入ると、チッカーたちが一斉に敬礼する。
「「「「「チィー!」」」」」
「あっ、いいわよ。わたくしのことは気にしないで。それと新しい研修生のすみれさん。皆さん仲良くしてあげてね!」
「「「「「チィー!」」」」」
チッカーたちが興味深そうに寄ってくる。すみれは戸惑っているようだ。
「あら、すみれも何か言ってあげなさいな」
「チィー!チッ、チィー!...なんちゃって」
すみれは軽くボケる...すると
「チィー!」「チチィー!」「チッ、チィー!」「チィー!」
チッカーたちが大喜びだ。楽しそうに「チィー!」「チィー!」叫んでいるものもいる。
「えっ...」
すみれが戸惑っていると、ひかるが驚いたように声をかけてきた。
「まあ、いきなりチッカー語を話すなんて、すみれ、すごいじゃない!初めてじゃないかしら、こんなこと」
「私、何て言ったの?」
「えっ、『私、すみれ!すみすみって呼んでね!キャピルン♡』でしょ!...すみれがそんなキャラだったなんてビックリしたわ!」
「ウソでしょ...だいたい『キャピルン』なんてどう表現するのよ!おかしいわ!」
すみれは顔面蒼白だ。
「まあ、すみれったら、とぼけちゃって♡ あの子なんかさっきから『すみすみ~!』って叫んでるわよ♡」
片目を閉じ、親指を立てるひかる。
「やだ~~~!私、帰る~~~!」
こうして、すみれの研修は大好評のうちに始まるのであった。

「まずはリスニングから始めましょうか」
ひかるが講座を開始する。
「えっ?普通は単語とか、文法とか座学からやるんじゃないの?」
すみれが言うと、
「それがそうもいかないのですわ」
ひかるが答える。
「チッカー語は同じ発音でも状況によって意味が異なります。また、同じ音の並びでも、これまた状況によって意味が異なるので、法則性がないのですわ」
「それじゃ、どうやって意味を伝えるのよ」
すみれが問い直すと、
「なんとなく?」
ひかるはあたかも何の問題もないかのように答える。
「それじゃテレパシーじゃない!言語の体裁、なしてないわよ!」
「そうでもないのです。頭で考えるのではなく心で感じれば、明確に意味を聞き取ることが出来ます」
「何の宗教?それは!」
「まあ、とにかく習うより慣れろですわ。早速参りましょう!...チッカーS!!」
「チィー!!」
一人のチッカーが二人の元へやってくる。
「何か、すみれに向かって話しなさい!」
「何、そのテキトーなやり方は...」
すみれは今後が恐ろしく心配だったが、とりあえず、やってみることにした。

するとチッカーSと呼ばれたチッカーは、すみれを見たあと、ふと思いついたように、
「チィ、チィチィー!」
と言った。
「あら、チッカーSったら。でも、基本ではあるわね」
ひかるがちょっと笑った気がした。
(こんなの分かるわけないでしょ~。もう、何でもいいわ)
「『おはようございます』かしら?」
すみれは答える。
「う~~ん、意味はだいたいあってるんだけど...正解は『おはよう。キャピルン。いい天気』よ」
「真似すな!!」
すみれはチッカーに鋭い視線を向けた。
「チィ」
チッカーはひかるの後に隠れる。
「チィ、チィ、チィ」
チッカーは申し訳なさそうに何かを話している。
「ごめんなさい。この子も悪気があったわけではないんですの。すみれの第一声があまりにも衝撃的だったので、つい真似したくなったそうですわ。許してあげて」
「そうよね。ちょっとピリピリしてたかも...ごめんなさい、チッカーS。続けて」
(くっ、確かに衝撃的だったわ。特に私にとってはね...)
すみれは黒歴史に新たな一ページを刻んだ事を自覚していた。
「チィー、チッ、チチィー、チッ、チィー!」
「ふふ、チッカーSったら...本当に好きなのね。すみれ、怒らないであげてね!」
(こいつ、あくまで私をいじる気ね!)
「まあ、いいわ。答えてあげる...『すみすみ♪ワクワク♪すみれんれん♪』よ!」
「ああ、惜しいわ。正解は『すみすみ♪ワクワク♪すみるんるん♪キャピ!』よ」
「くっ、負けた...」
すみれは自分よりかわいいフレーズを作ったチッカーSに敗北感を感じていた。
「次こそ!いらっしゃい!チッカーS!」
すみれはチッカーSに挑戦的な視線を向ける。
もはや、当初の目的は失われていたが、すみれは異常にやる気にあふれていた。
「まあ、すみれ、やる気ね!わたくしもうれしいわ!さあ、続けましょう!」
「チィーチチィー、チッチィー、チッチッチッ、チィーチィー、チッチチィー、チチチィーチィー!」
「ええっ!!それはすみれにはまだ無理じゃないかしら?一応、聞いてみるけど、分かるかしら?」
(来たわね!私のできる最高のポエム!届けてあげるわ!)
「『ステキな、ミライに、スキップ、ミンナで、すみすみ心はキャピルンルン』でどうだっっっ!!」
「「「「「チィー!!」」」」」
いつの間にか出来ていたチカごみ(※チッカーたちの人ごみ)から歓声が湧き上がる。
次いで、ひかるが満面の笑みで拍手を送る。
「すばらしいですわ!完璧です。この難しい文を完璧に聞き取るとは...リスニング合格ですわ!」
「チィー!」
チッカーSも惜しみない拍手を送っている。
しかしすみれの流す涙はうれし泣きでは無かった。
「なんで思いつくのよ~~~!」
すみれは自分が描いた最高にかわいいポエムが既に発表済みだったことにショックを隠せないのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

神木さんちのお兄ちゃん!

雪桜
キャラ文芸
✨ キャラ文芸ランキング週間・月間1位&累計250万pt突破、ありがとうございます! 神木家の双子の妹弟・華と蓮には"絶世の美男子"と言われるほどの金髪碧眼な『兄』がいる。 美人でカッコよくて、その上優しいお兄ちゃんは、常にみんなの人気者! だけど、そんな兄には、何故か彼女がいなかった。 幼い頃に母を亡くし、いつも母親代わりだったお兄ちゃん。もしかして、お兄ちゃんが彼女が作らないのは自分達のせい?! そう思った華と蓮は、兄のためにも自立することを決意する。 だけど、このお兄ちゃん。実は、家族しか愛せない超拗らせた兄だった! これは、モテまくってるくせに家族しか愛せない美人すぎるお兄ちゃんと、兄離れしたいけど、なかなか出来ない双子の妹弟が繰り広げる、甘くて優しくて、ちょっぴり切ない愛と絆のハートフルラブ(家族愛)コメディ。 果たして、家族しか愛せないお兄ちゃんに、恋人ができる日はくるのか? これは、美人すぎるお兄ちゃんがいる神木一家の、波乱万丈な日々を綴った物語である。 *** イラストは、全て自作です。 カクヨムにて、先行連載中。

処理中です...