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2章 開戦 The Beginning of War
第13話 錫杖 khakkhara
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俺たちは村を後にし、相変わらずサバイバル生活を続けながら北上を続けた。
ヴィヴが城塞都市の手前、帝国の北部都市に行くついでに同行してくれている。
「サトーは異世界人なのに何でそんな弱いんだ」
「分かりませんよ。体の痛覚はかなり鈍くなってますけど他はこっちの世界に来る前と変わりませんし。」
「そーか。
強さがあれば自由でいられる。
だからあたしはひたすら鍛えた。」
「でもドヴェルグの力の支配は男での話ですよね。
どうしてそこまで。女性は力の支配は関係ないはずでは。」
エルは詳しいな。
「だからこそだよ。
くだらねぇ男とくっつけられそうになったから街の強いやつを全員倒して出てきた。
まぁ昔の話さ。」
「なるほど もしサトーがあなたより強かったら旅に協力してくれる?」
「ぶほっ げほっ
エル 何を言って」
「おもしれー
もしそうならサトーと結婚でもなんでもしてやる。」
「覚えておきます。」
「エル!? いや流石にヴィヴさんに勝てるとは」
あの巨人の首を切った斧の魔具<ガイスト>での一撃 かするだけで即死だぞ。
「もしもの話よ。って見えてきたわ。
あれが河川の街 リヴェルエン
川が国境になってるから西側が帝国、東側が連邦ね。」
「検問は街の出入口にあるからまずはサトーの設定をどうするか。」
「俺の?」
「転生者ってバカ正直に言ったらどんな目に合うか分からないからね。」
「そういや帝国は色々きつかったな。
サトーとエルが夫婦ならいいだろ。」
「なっ」「はぁ」
「へー 2人とも顔真っ赤だな。お似合いお似合い
じゃあ決まりだ。」
ヴィヴがにやにやしながら俺とエルの顔を交互に見る。
「な 私とサトーじゃ年が離れすぎて。」
「俺は転生者だし――それに」
何よりエルはエルリーフの長から俺との色恋を禁じられている。
「まぁまぁ街の中での方便だろ。
おーい 近衛さーん 街に入りたいでーす。」
ヴィヴがさっそく街の近衛に話しかける。
「なんだ貴様らは」
「私はこの2人の仲人で、この2人の結婚祝いにこの街に来たのです。」
ヴィヴがさっそくでまかせを喋り始める。
「ふん そうか
一通り戦闘用の魔具<ガイスト>と所持している医薬品などがあれば見せろ。」
「はいはーい。」
ヴィヴがこちらを見てウィンクする。
俺はばれないか背中に冷や汗がでるが、何とか検問を通る。
リヴェルエン 東街区
街の中は石造りの建物が並んでいる。
街の中心部には石造りの橋がだだっ広くあるが、そこは広場になっている。
エルリーフの街とは違って人が多いな。
道も整備されていて馬車もある。
商店も多く立ち並んでおり、魔具<ガイスト>も戦闘用のものは売っていないらしいが日常使いのものは数多く取り揃えられている。
俺たちはいったん酒場に入って情報を集めることにした。
酒場 バイビアレ
にぎやかな酒場だが、軍人も混じってるな。
明らかに只者じゃない奴もいる。
「なー 聞いたか」
「城塞都市か
帝国軍が駐留を始めたって噂」
「ばか 噂じゃねぇって
早朝に俺は見たんだ。
帝国の部隊が城塞都市方面に出て行ってた。」
「まじか。グランテラだけじゃなくフォルグランディアまで戦場になるのか。
売上がまた下がるなぁ。」
「そういう問題じゃねぇだろ。人がまた死ぬんだぞ。
せっかくここ100年は平和だったのに。」
「はぁ そうだな。
帝国みたいに200年近く平和が続いてりゃなぁ。」
「あっちはあっちで大変らしいがな。」
「――エル、さっきのは。」
「えぇ、城塞都市に入るのは苦労しそうね。
魔具<ガイスト>でも見ながら明日は少し考えましょう。」
「いいな。帝国製のやつも入ってるしあたしも付き合うぜ。」
「仲人ですし、よろしくお願いします。」
「ふっ そうだったな。アハハハ くくくっ」
ヴィヴが腹を抱えて笑う。
いやあんたが言い出したことだろ。
宿屋 カンナブラ
「相部屋 か。」
俺たち3人はほかに空いている部屋がなく3人部屋に詰め込まれることになった。
「嫌なら野宿する?」
「もう二度としたくない。」
「はははっ! サトーは軟弱だな。」
ヴィヴが大笑いする。
「まぁ気にしないでゆっくり休みましょ。」
エルは美人だからな。相部屋になると少し抵抗があるな。
ヴィヴは
「ぐーぐー すぴー」
あっという間に寝てしまった。
異世界では毎日風呂に入る習慣がないからか、サバイバル生活では川で水をかけて体を洗う程度だった。
「エル 街には風呂屋とかないのか?」
「浴場のこと? それならあるとは思うけど。サトーはきれい好きなのね。」
「元の世界の習慣ですね。」
宿の地図のおかげで無事たどり着くことができた。
「はー」
浴場はサウナのような施設と水風呂だ。
これじゃあ屋外で水浴びしてるのと変わらない。
日本人は湯につかりたいんだよ。
異世界に来て色々不便を感じることが多いな。
魔具<ガイスト>が発展しているとはいえ文明の利器ってのが足りないな。
そんなことを思いながら浴場から帰っていると
「おい そこの少年
極東から来たのか」
魔具<ガイスト>を売っているらしい主人が話しかけてきた。
店の横に帝国の国旗らしい龍の紋章が描かれていた。
帝国の店らしいな。
「は はい。」
まずいかもな。
辺りを見回して気づいたが東洋人はここではかなり珍しい
最悪だと転生者だとばれるかもしれない。
「そうか、1人で?」
「いえ連れが2人います。
失礼しま」
「待ってくれ
あれを見てくれないか。
これはどうやって使うのかわからねぇ。
あんた東洋人だろ、何か知らねぇか。」
「これは錫杖ですね。」
かなり古びていて、あまり手入れもされてないらしく埃をかぶっていた。
「はぁ? なんだそりゃ。」
「僧侶が山道を歩くときに使う杖ですが、
この魔具<ガイスト>は。」
「軍人から押し付けられた戦闘用の魔具<ガイスト>なんだが。
売れなくてなぁ。」
「それはお気の毒に。」
「あんた買わねぇか。銀貨1枚でいいぜ。」
「はぁ。少し試し振りしても?」
厄介物を押し付けられそうだな。
適当にいちゃもん付けて断るか。
(この錫杖は買っておけ。)
「え?」
「どうしたんだ。」
「いえ 何でも」
インドラからまた声が聞こえた。
前もインドラの声に従ってヴォルカに勝てたわけだし、ここは従っておくか。
前に畑の男からもらった路銀で買えるし。
「もう夜だし、眠いなら明日でもいいぜ。」
「とりあえずお代はここに置いときますね。」
「おっ 助かるぜ。へへへ 好きに使ってくれていいからな。」
「はい それでは。」
錫杖を持ち上げる。
シャンッと鈴がなる。割と軽いな。
それに腰に差しているインドラからの力が弱くなったような。
ぐっと握ると不思議と手になじむような感じがする。
店の裏側の道路に出ると人通りが少ないな。
人がいない空地で試してみるか。
「こう かな。」
魔具<ガイスト>に力を込めていく。
だが何も起きない。
インドラ以外の魔具<ガイスト>を使うのは初めてだな。
使い方がよくわからん。
「やっぱ だめか。
返品はしないでくれよ。」
「――はい。」
仕方がない まぁ杖としては使えるしいいか。
(こやつの名を唱えよ。)
「はぁ? 名前?」
「どうしたにいちゃん?」
「この杖の名前は分かりますか?」
「いや 分からねぇな。杖になんか彫ってあるが
古代文字みてぇだぞ。」
(やれやれ..金髪のおなごに聞くがいい。)
インドラ おしゃべりになってないか。
この杖のせいか。
「それじゃあな 連れも何か入用なら寄って行ってくれよ。」
店の男はさっさと店に戻ってしまう。
「はぁ。」
俺は杖をとぼとぼ着いて宿に戻る。
「すーすー」「ぐー すー」
2人供 鍵もかけずに寝ていた。
やっぱり疲れてたんだろうな。
何か想像してた異世界と違うな。
「って ベッドが2つしかないのか」
なんか違和感なく2人供ベッドを1人で使ってるから気が付かなかったよ。
「ん? サトー戻ってたの。」
「悪い 起こしちゃったか。」
「ふわぁ そうね。
って何持って帰ったの」
「錫杖ですね。
ここに銘が書いてあるらしいですけど。」
「貸して」
エルは古代文字まで読めるのか。
そういえば読んでたような気もするな。
「南方の言葉だから読み方しか分からないけれど。
アシュヴァルって言うみたいね。
南方の神話にそんな悪神がいたような気がするけれど。
インドラも南方の神話だし、何か繋がりがあるのかもしれない。」
「アシュヴァルか おっと」
シャンッと鈴が少しなってしまった。
一瞬だが照明の魔具<ガイスト>が点灯した。
もしかしてこの錫杖の能力は・・・
「へー やっぱ2人はそういうことか。」
ヴィヴが俺とエルが杖に近づいて話あっているのを見ていた。
「そ そういうのじゃないから。」
「ふーん」
ヴィヴがニヤニヤしながらウィンクする。
「そうよ この杖の名前を見てただけで。」
「別にいいけど、イチャイチャするなら静かに頼むぜ。
夜は静かに寝るもんだ。」
ヴィヴがゴロンと寝返りを打って数秒後にはすーすーと寝息を立てている。
「――すごい 寝つきの良さ。」
「そ そういえばベッドが1つ足りないけど。
私のベッドは少し広いから2人で使いましょ。」
「へ」
「床じゃ寝れないでしょう。それにせっかくだしベッドで寝るべきよ。」
「そ それは。」
「それじゃあね。私はもう寝るから。」
エルがベッドの端っこに体を寄せる。
「そ それじゃあお邪魔します。」
こんな美人が隣に寝てたら緊張して寝付けないだろ。
「照明は消しておくから。」
「はひ。」
恐る恐るベッドに入って横になる。
エルの大人の女性ならではの甘い匂いとエルリーフ特有なのか香木のような
いい匂いがするせいでドキドキしてしまう。
「サトーは元の世界に戻りたい?」
いつの間にかエルが俺の手をそっと握ってきた。
「分かりません。今はまだ。」
アマ姉は天寿を全うしたらしいし、元の世界とこちらの世界の時間の流れが違うのだろう。
だから戻ったとしても親も兄弟ももういない。
今いるこの世界と何も違わない。
「――そうよね。
急に色々あったし、よく頑張ってる。
ゆっくり考えて行きましょ。
あなたに助けられたし、出来ることは協力する。」
そっとエルが俺の手を握ってくれる。
「えぇ。」
エルの魔術のおかげか分からないが俺はいつの間にか眠っていた。
翌日
「できてるのか おまえら。」
ヴィヴのドン引きした声で目が覚めた。
「え」
目が覚めると俺とエルは手を重ねて向き合って寝ていた。
「ん どうしたのって ひゃっ」
エルが飛び下がろうとしてベッドから落ちる。
「こ これはそういうことじゃないわ。
ベッドが少し広いから2人で使ってただけで。」
「ほーん なるほどなぁ。」
俺たちは魔具<ガイスト>を一通り見て回ったついでに城塞都市の情報収集を行った。
城塞都市を軍が突如として占領したらしい。
「号外だ~~!!」
新聞配りらしい少年が声をあげていた。
エルに新聞を買ってもらい3人で読んだが、
どうやら帝国軍が本格的に動き始めたらしい。
今回の軍事クーデターで襲撃を受けた国の代表が生きており
帝国に救援を出して城塞都市付近で衝突しているらしい。
「ヴィヴさん 私達と一緒に来てくれないかしら。」
「城塞都市に行くんだろ。
あたしは行かない。――何であんなとこに。」
「私に雇われる形でも?」
「あぁ 金じゃねぇな。
あそこは好かねぇ。それに帝国軍がいるなら大丈夫だろ。
なんでそこまでして城塞都市にこだわる?」
「――それは」
「まぁいい。とにかく私は行かねぇし
ここでおいとまさせてもらうさ。」
「・・・」
ヴィヴが背を向けて歩いていく。
「俺と勝負をしてくれ。」
ヴィヴの足がぴたりと止まる。
「博打か? あたしは腕っぷししかやらねぇんだ。」
「それでいい。俺と戦え ヴィヴ」
これしかない
転生者のとんでもない力に対抗するには彼女の力は必要だ。
ほかを探そうにもロスが多すぎる。
「へぇ いい度胸じゃねぇか。
死なない程度にひねってやるよ。
街の外に出ろ。サトー」
ヴィヴが全身に針のような鋭い魔素<エレメント>をまとい始める。
インドラのおかげで魔素<エレメント>の力量さが何となく分かる。
圧倒的に格上だ。
だが1手だけ俺にはヴィヴに有効な手を持っている。
「サトー 私も一緒に」
「いや それじゃだめだ。」
「それでもいいぜ 2人ともまとめてひねってやるよ。
あたしが負けたら城塞都市でもどこでもついてってやる。
あたしが勝ったら身銭を全部おいていきな。」
「いや俺1人でいい。」
リヴェルエン 近郊
森と川辺の間にある開けた草地で俺とヴィヴが対面していた。
「いいところだ。邪魔は入らねぇ。
見通しもいい。
サトー まずはお前からだな。
別に2人一緒でもいいけどな。」
「それは困るな。」
シャンッと俺は昨夜もった錫杖を構える。
「へー そんなほっそい棒であたしを倒せるつもりか。
ぶっ倒してやんよ。」
ヴィヴが背中の斧を抜き構える。
本当は戦いたくはなかったが、彼女が力に重きを置いている以上
これ以外に方法がない。
「合図はエル 頼む。」
「えぇ。銀貨が私の手に落ちたら開始ね。」
エルが銀貨を上に投げる。
ヒュンッ
「行くぜ。」
ぐっと斧を上段に構えた状態でヴィヴが腰を落とす。
コンッ!
俺は錫杖を中段に構え、金剛杵は腰に付けたままだ。
エルの手に銀貨があたった瞬間に
ドォォッ!!!
ヴィヴが目に止まらないほどの速度で俺にとびかかる。
ギィィィィンッ!!
右上段から振り下ろされる斧の軌道を錫杖でわずかにずらす。
「んっ!?」
ヴィヴが驚きながら飛び下がる。
「ずいぶんと頑丈だな。」
シャンッと俺は錫杖を鳴らす。
「インドラってのは使わないのか。
まぁ あたしは電撃じゃあ止まらないが。」
「インドラじゃあ黒こげになっちゃいますし
使うまでもないでしょう。」
「てんめぇっ!!!」
ヴィヴが斧を頭上で回転させて遠心力を付けたまま足元を横なぎに切りかかる。
俺は飛び上がって躱し
シャンッ!
鈴が鳴る。
「うるせー 鈴だな。
そろそろ全力で行くぜ。」
ヴィヴが斧に紫色のオーラを纏わせる。
「ご自由に
俺を殺さないように気を付けてくださいね。」
流石に怖いな。
あの巨人の首を両断した斧の力
斧がオーラをまとった分巨大化している。
さらにヴィヴのまとっている魔素<エレメント>がさらに倍以上に膨れ上がっている。
「なら降参しとけ
今なら持ち金の半分で簡便してやる」
「断る。」
「ちっ 死ぬなよ」
ヴィヴが斧を下から上に振るう。
シャシャンッ!!!
錫杖の鈴が鳴る。
「アスラ」
パンッとヴィヴの斧のオーラが弾ける。
「っ!?」
ヴィヴの力の入れ方が崩れ、軌道がぐらつく
錫杖で斧の軌道をさらにずらして躱す。
「ってめ 何をしやが」
錫杖を回転させ斧を持っている手元をはたく。
「このっ」
ヴィヴが錫杖を掴んで突き返してくるが
俺は手をパッと話して腰の金剛杵を錫杖にぶつける。
「ヴァジュラ」
「しまっ」
バチンッ!
一瞬だけ電撃が走りヴィヴが膝を着く。
そして力の抜けたヴィヴから錫杖を取り返して首につきつける。
「俺の勝ちだ。」
だが手がぶるぶる震えてる。
両手をがちがちにテーピングしてたが流石にあの斧を2回受けたのは無謀だったな。
「くくくっ
アハハハッ!!!」
ヴィヴが笑う。
「どうした まだ奥の手でもあるのか。」
「いーや、分かった。あたしの負けだ。
でも1つだけ教えろ。
何であたしのマグナルミアが消えた。」
「この錫杖の力ですよ。」
シャンシャンと鈴をならすと
ヴィヴの体をまとっていた魔素<エレメント>が少しはがれていく。
「へー 鈴をならすとこの魔具<ガイスト>以外の魔素を散らすのか。便利な力だな。
インドラもそうだが、いいもん拾ってくる。」
「偶々ですけどね。テーピングはがすの手伝ってもらっても?」
「おう
って腕をこんなぐるぐる巻きにしてたのか。」
「斧の一撃をまともに受けたら関節が外れてもおかしくないですし。」
「はっはは そこまであたしの斧を買ってくれてるとはねぇ。」
「サトー 私も手伝う 右手を出して。
それとヴィヴ 一緒に来てくれる?」
「あぁ 負けちまったしなぁ。
でも街の中は入らねぇぞ。それはいいな。」
「えぇ かまわないわ。」
「それとあたしはサトーが気に入った。
どうだ エルからあたしに乗り換えねぇか。」
「ぶっ」
エルが吹き出す。
「そ そういうのじゃないですって。」
「そっか なら問題ないな。
サトーは私のお気に入りだ。」
「・・・」
エルが少し不満そうな顔をしていた。
夜 宿屋 グラジュエ
「――またベッドが2つしかないんですか。」
「まぁ、安いからな。
エルのベッドの方が大きいし2人で寝るんだろ。」
「私は1人で寝るわ。」
「どうしたんだよ」「別に」「何でだよ。」
「2人で仲良くしてなさい。」
エルが布団をかぶって寝てしまう。
「・・・じゃあ2人で寝るか。」
俺はヴィヴの狭めのベッドに入り、2人で寝ることになった。
ヴィヴの体が大きいし、かなり狭いな。
だが床で寝るよりはましだ。
「んがっ」
横になって数秒で寝るヴィヴががっと俺の首を引き寄せる。
そして「ぶっ」俺はヴィヴの筋肉質だがたしかにある胸に顔を押し付けられる。
ヴィヴの大人の女の甘ったるいとドヴェルグ特有のフェロモンなのか脳の奥が刺激されているようだ
。少し眩暈がしそうになる。
このまま抱きしめられていたい。
――っていかんいかん
トントンとヴィヴの肩を叩くと
「お 悪いな。」
普通に目覚めがいいらしく手をほどいてくれた。
「――まったくイチャイチャして。」
エルがじーっとこっちを見ていた。
「見てたら分かると思うがこれはあたしの寝相だ。」
「そう ずいぶんと寝相が悪いのね。」
「そこで提案なんだが、ベッドくっつけて寝ないか。
あたしは寝相が悪いからサトーに悪いしな。
ベッドくっつければスペースもちょっとですむし。」
「・・・好きにしなさい。」
ヴィヴがベッドを2つくっつけて間に俺をのっける。
「良かったな 両手に花で。へへッ」
ヴィヴが俺の手を握ってくすぐる、
だが数秒後にはぐーぐーと寝始めてしまった。
俺もヴィヴとの戦いで相当疲れていたのか、一瞬で眠りに落ちた。
ヴィヴが城塞都市の手前、帝国の北部都市に行くついでに同行してくれている。
「サトーは異世界人なのに何でそんな弱いんだ」
「分かりませんよ。体の痛覚はかなり鈍くなってますけど他はこっちの世界に来る前と変わりませんし。」
「そーか。
強さがあれば自由でいられる。
だからあたしはひたすら鍛えた。」
「でもドヴェルグの力の支配は男での話ですよね。
どうしてそこまで。女性は力の支配は関係ないはずでは。」
エルは詳しいな。
「だからこそだよ。
くだらねぇ男とくっつけられそうになったから街の強いやつを全員倒して出てきた。
まぁ昔の話さ。」
「なるほど もしサトーがあなたより強かったら旅に協力してくれる?」
「ぶほっ げほっ
エル 何を言って」
「おもしれー
もしそうならサトーと結婚でもなんでもしてやる。」
「覚えておきます。」
「エル!? いや流石にヴィヴさんに勝てるとは」
あの巨人の首を切った斧の魔具<ガイスト>での一撃 かするだけで即死だぞ。
「もしもの話よ。って見えてきたわ。
あれが河川の街 リヴェルエン
川が国境になってるから西側が帝国、東側が連邦ね。」
「検問は街の出入口にあるからまずはサトーの設定をどうするか。」
「俺の?」
「転生者ってバカ正直に言ったらどんな目に合うか分からないからね。」
「そういや帝国は色々きつかったな。
サトーとエルが夫婦ならいいだろ。」
「なっ」「はぁ」
「へー 2人とも顔真っ赤だな。お似合いお似合い
じゃあ決まりだ。」
ヴィヴがにやにやしながら俺とエルの顔を交互に見る。
「な 私とサトーじゃ年が離れすぎて。」
「俺は転生者だし――それに」
何よりエルはエルリーフの長から俺との色恋を禁じられている。
「まぁまぁ街の中での方便だろ。
おーい 近衛さーん 街に入りたいでーす。」
ヴィヴがさっそく街の近衛に話しかける。
「なんだ貴様らは」
「私はこの2人の仲人で、この2人の結婚祝いにこの街に来たのです。」
ヴィヴがさっそくでまかせを喋り始める。
「ふん そうか
一通り戦闘用の魔具<ガイスト>と所持している医薬品などがあれば見せろ。」
「はいはーい。」
ヴィヴがこちらを見てウィンクする。
俺はばれないか背中に冷や汗がでるが、何とか検問を通る。
リヴェルエン 東街区
街の中は石造りの建物が並んでいる。
街の中心部には石造りの橋がだだっ広くあるが、そこは広場になっている。
エルリーフの街とは違って人が多いな。
道も整備されていて馬車もある。
商店も多く立ち並んでおり、魔具<ガイスト>も戦闘用のものは売っていないらしいが日常使いのものは数多く取り揃えられている。
俺たちはいったん酒場に入って情報を集めることにした。
酒場 バイビアレ
にぎやかな酒場だが、軍人も混じってるな。
明らかに只者じゃない奴もいる。
「なー 聞いたか」
「城塞都市か
帝国軍が駐留を始めたって噂」
「ばか 噂じゃねぇって
早朝に俺は見たんだ。
帝国の部隊が城塞都市方面に出て行ってた。」
「まじか。グランテラだけじゃなくフォルグランディアまで戦場になるのか。
売上がまた下がるなぁ。」
「そういう問題じゃねぇだろ。人がまた死ぬんだぞ。
せっかくここ100年は平和だったのに。」
「はぁ そうだな。
帝国みたいに200年近く平和が続いてりゃなぁ。」
「あっちはあっちで大変らしいがな。」
「――エル、さっきのは。」
「えぇ、城塞都市に入るのは苦労しそうね。
魔具<ガイスト>でも見ながら明日は少し考えましょう。」
「いいな。帝国製のやつも入ってるしあたしも付き合うぜ。」
「仲人ですし、よろしくお願いします。」
「ふっ そうだったな。アハハハ くくくっ」
ヴィヴが腹を抱えて笑う。
いやあんたが言い出したことだろ。
宿屋 カンナブラ
「相部屋 か。」
俺たち3人はほかに空いている部屋がなく3人部屋に詰め込まれることになった。
「嫌なら野宿する?」
「もう二度としたくない。」
「はははっ! サトーは軟弱だな。」
ヴィヴが大笑いする。
「まぁ気にしないでゆっくり休みましょ。」
エルは美人だからな。相部屋になると少し抵抗があるな。
ヴィヴは
「ぐーぐー すぴー」
あっという間に寝てしまった。
異世界では毎日風呂に入る習慣がないからか、サバイバル生活では川で水をかけて体を洗う程度だった。
「エル 街には風呂屋とかないのか?」
「浴場のこと? それならあるとは思うけど。サトーはきれい好きなのね。」
「元の世界の習慣ですね。」
宿の地図のおかげで無事たどり着くことができた。
「はー」
浴場はサウナのような施設と水風呂だ。
これじゃあ屋外で水浴びしてるのと変わらない。
日本人は湯につかりたいんだよ。
異世界に来て色々不便を感じることが多いな。
魔具<ガイスト>が発展しているとはいえ文明の利器ってのが足りないな。
そんなことを思いながら浴場から帰っていると
「おい そこの少年
極東から来たのか」
魔具<ガイスト>を売っているらしい主人が話しかけてきた。
店の横に帝国の国旗らしい龍の紋章が描かれていた。
帝国の店らしいな。
「は はい。」
まずいかもな。
辺りを見回して気づいたが東洋人はここではかなり珍しい
最悪だと転生者だとばれるかもしれない。
「そうか、1人で?」
「いえ連れが2人います。
失礼しま」
「待ってくれ
あれを見てくれないか。
これはどうやって使うのかわからねぇ。
あんた東洋人だろ、何か知らねぇか。」
「これは錫杖ですね。」
かなり古びていて、あまり手入れもされてないらしく埃をかぶっていた。
「はぁ? なんだそりゃ。」
「僧侶が山道を歩くときに使う杖ですが、
この魔具<ガイスト>は。」
「軍人から押し付けられた戦闘用の魔具<ガイスト>なんだが。
売れなくてなぁ。」
「それはお気の毒に。」
「あんた買わねぇか。銀貨1枚でいいぜ。」
「はぁ。少し試し振りしても?」
厄介物を押し付けられそうだな。
適当にいちゃもん付けて断るか。
(この錫杖は買っておけ。)
「え?」
「どうしたんだ。」
「いえ 何でも」
インドラからまた声が聞こえた。
前もインドラの声に従ってヴォルカに勝てたわけだし、ここは従っておくか。
前に畑の男からもらった路銀で買えるし。
「もう夜だし、眠いなら明日でもいいぜ。」
「とりあえずお代はここに置いときますね。」
「おっ 助かるぜ。へへへ 好きに使ってくれていいからな。」
「はい それでは。」
錫杖を持ち上げる。
シャンッと鈴がなる。割と軽いな。
それに腰に差しているインドラからの力が弱くなったような。
ぐっと握ると不思議と手になじむような感じがする。
店の裏側の道路に出ると人通りが少ないな。
人がいない空地で試してみるか。
「こう かな。」
魔具<ガイスト>に力を込めていく。
だが何も起きない。
インドラ以外の魔具<ガイスト>を使うのは初めてだな。
使い方がよくわからん。
「やっぱ だめか。
返品はしないでくれよ。」
「――はい。」
仕方がない まぁ杖としては使えるしいいか。
(こやつの名を唱えよ。)
「はぁ? 名前?」
「どうしたにいちゃん?」
「この杖の名前は分かりますか?」
「いや 分からねぇな。杖になんか彫ってあるが
古代文字みてぇだぞ。」
(やれやれ..金髪のおなごに聞くがいい。)
インドラ おしゃべりになってないか。
この杖のせいか。
「それじゃあな 連れも何か入用なら寄って行ってくれよ。」
店の男はさっさと店に戻ってしまう。
「はぁ。」
俺は杖をとぼとぼ着いて宿に戻る。
「すーすー」「ぐー すー」
2人供 鍵もかけずに寝ていた。
やっぱり疲れてたんだろうな。
何か想像してた異世界と違うな。
「って ベッドが2つしかないのか」
なんか違和感なく2人供ベッドを1人で使ってるから気が付かなかったよ。
「ん? サトー戻ってたの。」
「悪い 起こしちゃったか。」
「ふわぁ そうね。
って何持って帰ったの」
「錫杖ですね。
ここに銘が書いてあるらしいですけど。」
「貸して」
エルは古代文字まで読めるのか。
そういえば読んでたような気もするな。
「南方の言葉だから読み方しか分からないけれど。
アシュヴァルって言うみたいね。
南方の神話にそんな悪神がいたような気がするけれど。
インドラも南方の神話だし、何か繋がりがあるのかもしれない。」
「アシュヴァルか おっと」
シャンッと鈴が少しなってしまった。
一瞬だが照明の魔具<ガイスト>が点灯した。
もしかしてこの錫杖の能力は・・・
「へー やっぱ2人はそういうことか。」
ヴィヴが俺とエルが杖に近づいて話あっているのを見ていた。
「そ そういうのじゃないから。」
「ふーん」
ヴィヴがニヤニヤしながらウィンクする。
「そうよ この杖の名前を見てただけで。」
「別にいいけど、イチャイチャするなら静かに頼むぜ。
夜は静かに寝るもんだ。」
ヴィヴがゴロンと寝返りを打って数秒後にはすーすーと寝息を立てている。
「――すごい 寝つきの良さ。」
「そ そういえばベッドが1つ足りないけど。
私のベッドは少し広いから2人で使いましょ。」
「へ」
「床じゃ寝れないでしょう。それにせっかくだしベッドで寝るべきよ。」
「そ それは。」
「それじゃあね。私はもう寝るから。」
エルがベッドの端っこに体を寄せる。
「そ それじゃあお邪魔します。」
こんな美人が隣に寝てたら緊張して寝付けないだろ。
「照明は消しておくから。」
「はひ。」
恐る恐るベッドに入って横になる。
エルの大人の女性ならではの甘い匂いとエルリーフ特有なのか香木のような
いい匂いがするせいでドキドキしてしまう。
「サトーは元の世界に戻りたい?」
いつの間にかエルが俺の手をそっと握ってきた。
「分かりません。今はまだ。」
アマ姉は天寿を全うしたらしいし、元の世界とこちらの世界の時間の流れが違うのだろう。
だから戻ったとしても親も兄弟ももういない。
今いるこの世界と何も違わない。
「――そうよね。
急に色々あったし、よく頑張ってる。
ゆっくり考えて行きましょ。
あなたに助けられたし、出来ることは協力する。」
そっとエルが俺の手を握ってくれる。
「えぇ。」
エルの魔術のおかげか分からないが俺はいつの間にか眠っていた。
翌日
「できてるのか おまえら。」
ヴィヴのドン引きした声で目が覚めた。
「え」
目が覚めると俺とエルは手を重ねて向き合って寝ていた。
「ん どうしたのって ひゃっ」
エルが飛び下がろうとしてベッドから落ちる。
「こ これはそういうことじゃないわ。
ベッドが少し広いから2人で使ってただけで。」
「ほーん なるほどなぁ。」
俺たちは魔具<ガイスト>を一通り見て回ったついでに城塞都市の情報収集を行った。
城塞都市を軍が突如として占領したらしい。
「号外だ~~!!」
新聞配りらしい少年が声をあげていた。
エルに新聞を買ってもらい3人で読んだが、
どうやら帝国軍が本格的に動き始めたらしい。
今回の軍事クーデターで襲撃を受けた国の代表が生きており
帝国に救援を出して城塞都市付近で衝突しているらしい。
「ヴィヴさん 私達と一緒に来てくれないかしら。」
「城塞都市に行くんだろ。
あたしは行かない。――何であんなとこに。」
「私に雇われる形でも?」
「あぁ 金じゃねぇな。
あそこは好かねぇ。それに帝国軍がいるなら大丈夫だろ。
なんでそこまでして城塞都市にこだわる?」
「――それは」
「まぁいい。とにかく私は行かねぇし
ここでおいとまさせてもらうさ。」
「・・・」
ヴィヴが背を向けて歩いていく。
「俺と勝負をしてくれ。」
ヴィヴの足がぴたりと止まる。
「博打か? あたしは腕っぷししかやらねぇんだ。」
「それでいい。俺と戦え ヴィヴ」
これしかない
転生者のとんでもない力に対抗するには彼女の力は必要だ。
ほかを探そうにもロスが多すぎる。
「へぇ いい度胸じゃねぇか。
死なない程度にひねってやるよ。
街の外に出ろ。サトー」
ヴィヴが全身に針のような鋭い魔素<エレメント>をまとい始める。
インドラのおかげで魔素<エレメント>の力量さが何となく分かる。
圧倒的に格上だ。
だが1手だけ俺にはヴィヴに有効な手を持っている。
「サトー 私も一緒に」
「いや それじゃだめだ。」
「それでもいいぜ 2人ともまとめてひねってやるよ。
あたしが負けたら城塞都市でもどこでもついてってやる。
あたしが勝ったら身銭を全部おいていきな。」
「いや俺1人でいい。」
リヴェルエン 近郊
森と川辺の間にある開けた草地で俺とヴィヴが対面していた。
「いいところだ。邪魔は入らねぇ。
見通しもいい。
サトー まずはお前からだな。
別に2人一緒でもいいけどな。」
「それは困るな。」
シャンッと俺は昨夜もった錫杖を構える。
「へー そんなほっそい棒であたしを倒せるつもりか。
ぶっ倒してやんよ。」
ヴィヴが背中の斧を抜き構える。
本当は戦いたくはなかったが、彼女が力に重きを置いている以上
これ以外に方法がない。
「合図はエル 頼む。」
「えぇ。銀貨が私の手に落ちたら開始ね。」
エルが銀貨を上に投げる。
ヒュンッ
「行くぜ。」
ぐっと斧を上段に構えた状態でヴィヴが腰を落とす。
コンッ!
俺は錫杖を中段に構え、金剛杵は腰に付けたままだ。
エルの手に銀貨があたった瞬間に
ドォォッ!!!
ヴィヴが目に止まらないほどの速度で俺にとびかかる。
ギィィィィンッ!!
右上段から振り下ろされる斧の軌道を錫杖でわずかにずらす。
「んっ!?」
ヴィヴが驚きながら飛び下がる。
「ずいぶんと頑丈だな。」
シャンッと俺は錫杖を鳴らす。
「インドラってのは使わないのか。
まぁ あたしは電撃じゃあ止まらないが。」
「インドラじゃあ黒こげになっちゃいますし
使うまでもないでしょう。」
「てんめぇっ!!!」
ヴィヴが斧を頭上で回転させて遠心力を付けたまま足元を横なぎに切りかかる。
俺は飛び上がって躱し
シャンッ!
鈴が鳴る。
「うるせー 鈴だな。
そろそろ全力で行くぜ。」
ヴィヴが斧に紫色のオーラを纏わせる。
「ご自由に
俺を殺さないように気を付けてくださいね。」
流石に怖いな。
あの巨人の首を両断した斧の力
斧がオーラをまとった分巨大化している。
さらにヴィヴのまとっている魔素<エレメント>がさらに倍以上に膨れ上がっている。
「なら降参しとけ
今なら持ち金の半分で簡便してやる」
「断る。」
「ちっ 死ぬなよ」
ヴィヴが斧を下から上に振るう。
シャシャンッ!!!
錫杖の鈴が鳴る。
「アスラ」
パンッとヴィヴの斧のオーラが弾ける。
「っ!?」
ヴィヴの力の入れ方が崩れ、軌道がぐらつく
錫杖で斧の軌道をさらにずらして躱す。
「ってめ 何をしやが」
錫杖を回転させ斧を持っている手元をはたく。
「このっ」
ヴィヴが錫杖を掴んで突き返してくるが
俺は手をパッと話して腰の金剛杵を錫杖にぶつける。
「ヴァジュラ」
「しまっ」
バチンッ!
一瞬だけ電撃が走りヴィヴが膝を着く。
そして力の抜けたヴィヴから錫杖を取り返して首につきつける。
「俺の勝ちだ。」
だが手がぶるぶる震えてる。
両手をがちがちにテーピングしてたが流石にあの斧を2回受けたのは無謀だったな。
「くくくっ
アハハハッ!!!」
ヴィヴが笑う。
「どうした まだ奥の手でもあるのか。」
「いーや、分かった。あたしの負けだ。
でも1つだけ教えろ。
何であたしのマグナルミアが消えた。」
「この錫杖の力ですよ。」
シャンシャンと鈴をならすと
ヴィヴの体をまとっていた魔素<エレメント>が少しはがれていく。
「へー 鈴をならすとこの魔具<ガイスト>以外の魔素を散らすのか。便利な力だな。
インドラもそうだが、いいもん拾ってくる。」
「偶々ですけどね。テーピングはがすの手伝ってもらっても?」
「おう
って腕をこんなぐるぐる巻きにしてたのか。」
「斧の一撃をまともに受けたら関節が外れてもおかしくないですし。」
「はっはは そこまであたしの斧を買ってくれてるとはねぇ。」
「サトー 私も手伝う 右手を出して。
それとヴィヴ 一緒に来てくれる?」
「あぁ 負けちまったしなぁ。
でも街の中は入らねぇぞ。それはいいな。」
「えぇ かまわないわ。」
「それとあたしはサトーが気に入った。
どうだ エルからあたしに乗り換えねぇか。」
「ぶっ」
エルが吹き出す。
「そ そういうのじゃないですって。」
「そっか なら問題ないな。
サトーは私のお気に入りだ。」
「・・・」
エルが少し不満そうな顔をしていた。
夜 宿屋 グラジュエ
「――またベッドが2つしかないんですか。」
「まぁ、安いからな。
エルのベッドの方が大きいし2人で寝るんだろ。」
「私は1人で寝るわ。」
「どうしたんだよ」「別に」「何でだよ。」
「2人で仲良くしてなさい。」
エルが布団をかぶって寝てしまう。
「・・・じゃあ2人で寝るか。」
俺はヴィヴの狭めのベッドに入り、2人で寝ることになった。
ヴィヴの体が大きいし、かなり狭いな。
だが床で寝るよりはましだ。
「んがっ」
横になって数秒で寝るヴィヴががっと俺の首を引き寄せる。
そして「ぶっ」俺はヴィヴの筋肉質だがたしかにある胸に顔を押し付けられる。
ヴィヴの大人の女の甘ったるいとドヴェルグ特有のフェロモンなのか脳の奥が刺激されているようだ
。少し眩暈がしそうになる。
このまま抱きしめられていたい。
――っていかんいかん
トントンとヴィヴの肩を叩くと
「お 悪いな。」
普通に目覚めがいいらしく手をほどいてくれた。
「――まったくイチャイチャして。」
エルがじーっとこっちを見ていた。
「見てたら分かると思うがこれはあたしの寝相だ。」
「そう ずいぶんと寝相が悪いのね。」
「そこで提案なんだが、ベッドくっつけて寝ないか。
あたしは寝相が悪いからサトーに悪いしな。
ベッドくっつければスペースもちょっとですむし。」
「・・・好きにしなさい。」
ヴィヴがベッドを2つくっつけて間に俺をのっける。
「良かったな 両手に花で。へへッ」
ヴィヴが俺の手を握ってくすぐる、
だが数秒後にはぐーぐーと寝始めてしまった。
俺もヴィヴとの戦いで相当疲れていたのか、一瞬で眠りに落ちた。
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