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14 少年を囲み、私たちは食事する、、、
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「うんっ、やっぱりクレールの作る料理はどれも美味しいね!」
薄黄色の瞳をキラキラと輝かせて、ナイールが、ナイフとフォークを器用に使い、パクパクと目の前の料理を平らげていく。
テーブルには、牡蠣のバターソテーや、野菜たっぷりのテリーヌ、アンチョビソースを絡めたサラダ、まだ湯気が立っている熱々のポトフに加えて、デザートの甘いキッシュなどが並んでいる。美味しそうな匂いが部屋中に漂い、私までお腹が空いてきた。
「ナイール様の舌の好みが、お変わりなくてようございましたわ。」
クレールは、額の汗を拭いつつ、満足げに頬を緩ませる。彼女はそんなに年上じゃないけど、こうして見ると、まるでナイールの保護者みたいだ•••。
ナイールはと言うと、マナーは厳しく躾けられてるはずだけれど、取り繕いの必要のない今は、ごく気楽に食事を楽しんでる•••。••••••••••••••。
「•••ナイールっ!あなた、また子どもみたいに口についてるわよっ!」
黙っていようと思ったのに、我慢できずつい昔のように、ナイールの口元に手を伸ばし、ついているソースを、ナプキンで拭ってあげた。
(背は伸びても、まだまだ子どもみたいで、放っておけないっ!!)
カシャーンッ
床にナイフの落ちる音が響き渡った。
「ユオン様、動揺しすぎです。これぐらいでへこたれていては、アネラ様の夫は務まりませんよ。」
クレールが横目でチラリとユオンを見ながら、予備のナイフをテーブルに揃えて置く。
ナイールは、フハッと、さも面白そうに私の顔を見て、「アネラは天然だからね~。」と、頬を緩ませる。
(はぁっ??? この中でどう見ても、一番天然のあなたがソ、レ、言うの???)
なんか疲れるっ!そんな事より、私はここに来た目的を思い出し、姿勢を正した。軽く咳払いをして、目の前の少年のニヤニヤしてる顔を見る。
「ところで、ナイール、聞きたいことがあるの。数日前にジェラリアが、ここに来たはずなんだけど、あなたはその時、ここにいたかしら?」
心臓がキリキリと不安な音を立て、緊張で喉が渇き、肩がこわばってくるようだ。
「ジェラリア?? ああ、そういえばここに二日くらい滞在してたね。」
ナイールは、意外な名前を聞いて驚いたのか、少し目を見開き、食事の手を休めた。
!!!!
ナイールは、殺人事件のあったあの日、ジェラリアと会っていた!! 急く気持ちを抑え、フゥーと息を整える。
「何か、普段と変わったことなどは•••?」
ピンッと張り詰めた空気の中、ユオンもクレールも皆、水色の髪からキョトンとした瞳を覗かせている少年の返事を、息をのむように待つ。
急に私たちの雰囲気が変わったことに首を傾げながら、ナイールが顎に手を当て、思い出すように遠くを見た。
「僕はとくに気づかなかったけどなぁ~。ああ、でも、いつも大勢連れてくる使用人が一人しかいなくて、一人客を連れてきてたから、珍しいなぁとは思ったけど、それくらいかな•••••。何かあったの?」
長い睫毛を揺らし、クリクリとした瞳で私に問いかけた。
「客??」
ユオンが眉を寄せ、不穏な気配を見せる。ジェラリアに客といえば、彼女と火遊びをしていた男性たちの顔しか思い浮かばないけど、でも、一応あとで確かめてみないと•••。
乾いた喉を潤すために、フルーツを加えた炭酸水を一口だけ口に含む。シュワッと弾けて、心地よい刺激を与えてくれる。グラスを置いて、ナイールを見た。
「シャーロウ殿下の妃候補の一人が殺されたんだけど、その事は知ってた?」
私が一時、殿下に拘束されたことはあまり公にはなっていなかったけど、ミシェル様が殺された事は城下の街でもかなり噂になっていた。
「まさかっ!!あんな城の中で???」
ナイールは、口をポカンッと開け、目をパチパチとし、「あり得ない。」と呟く。彼がここまで驚くのも、庶民は騎士が守る城内には、通常は許可なしでは入ることができないから無理はない。
「城の中だから内部の者の犯行だろうって。それで、犯行現場に私の髪飾りが落ちていたという理由で、私が殺害容疑をかけられているの•••••。」
(ハァ~と顔が俯きそうになる。どうしてこんな事になってるのかしら??? )
「はぁああああああ??? 君が犯人なんてあり得ないよっ! だって君、妃になるの、あんなに嫌がってたじゃん!! それに、勇ましい割に結構、抜けてるし!! でも、、容疑をかけられてる割に、随分と君、自由だよねっ。」
ドンッと両手をテーブルに置いた途端、ナイールの、一つに結えた水色の髪の束から、一房パラリと落ちた。
(私のために怒ってくれるのはありがたいけど、私が妃を嫌がっていた事は、ソンナニ大声でイワナイデ欲しいのだけど••••••••。)
それに•••横目でユオンの横顔を見る。今、私が軟禁されず、こうして自由にいられる理由は•••••••、現実を突きつけられ、なぜか胸の奥がツンッと痛い。
「コテージに来れたのも、そのっ•••ユオンが私を•••監視してるから•••。」
やっぱり監視のためよね。さっき思わせぶりな態度をとってきたから、うっかり誤解しそうになってしまったじゃない。
「監視??? 監視っていうか、24時間自分の部屋に閉じ込めたそうな感じじゃないか!! クククッ••••••。」
ナイールが、堪えきれず、何やら一人で肩を震わせて笑っている。監視が不十分とでも言いたいわけ?
ユオンが、「分かってるなら、手を出すなっ。」と、いまだ口元に手を当て、笑ってるナイールをジロリとみる。
(笑ってる場合じゃないでしょッ!)
「と、ともかくっ、•••ナイールッ!! あなたが見たジェラリアが連れてきた客ってどんな人か覚えているかしらっ???」
少しでもヒントになることがあるなら聞いておきたい。
「僕が人の顔、覚えるの苦手なの、アネラは知ってるでしょ?」
悪気もなく丸い目で私を見るが、その薄黄色の瞳は、なぜか得意げな色を浮かべている。
知ってる!! よぉく知ってますとも!! 空振りかしら•••と思ったその時、ナイールが、フフンッと鼻を鳴らし、「僕は覚えてなくても、僕の魔力は覚えてるんだよねぇ~!」と、手のひらを上にして両手を前に出した。
すると、土埃が空中に舞ったかと思うと、みるみるうちに塊のようなものになり、小さな人の姿になった!!
!!!••••こんな事、いつの間に出来るようになったのっ!!!
「僕、相当、練習したんだよっ、!」
ナイールは、胸を張り、自慢げに私の方を見る。
「す、すごいわっ、ナイールっ!!」
泥の塊は、髪型や服装など細かいところまで、形を変えながら本人の姿をどんどん再現していく。ヒゲが生えていて、神経質そうな中年の男の人•••?
クレールは、土埃が飛び散らないよう窓を閉めにいく。「ナイール様、魔力のコントロールは見違えるほど上達しましたが、気が抜けて、食事の上に土をばら撒かないようにして下さいね。」そして、歩きながらどんどんとテーブルの上に並べられた料理皿の一部を、土の塊から遠ざけていく。
「クレールは相変わらず心配性なんだから•••!! だ~いじょうぶ、だ~いじょうぶ!! 3回のうち1回は成功してるもんねぇ~!!」
ルッルッルゥ~~、と、ナイールは鼻歌まで歌い出した。のんきと言うか何というか、、、
まあ、私も幼い頃は、彼に負けず劣らず、似たような性格をしていたから、あまり人の事は言えない。だって、三人でいると、必ず、私か、ナイールが何かやらかして、クレールに注意されていたもの。
(悪気はないのよっ、悪気はっ•••。)
クレールは眉間の皺を深めて、諦めたようにため息をついて無言になる。何か私まで居た堪れない気持ちになるわっ。
すると、それまで黙っていたユオンが、土の塊からできた人の姿を見て、突如呟いた。
「——だ•••。そいつは、- ——だ•••!」
薄黄色の瞳をキラキラと輝かせて、ナイールが、ナイフとフォークを器用に使い、パクパクと目の前の料理を平らげていく。
テーブルには、牡蠣のバターソテーや、野菜たっぷりのテリーヌ、アンチョビソースを絡めたサラダ、まだ湯気が立っている熱々のポトフに加えて、デザートの甘いキッシュなどが並んでいる。美味しそうな匂いが部屋中に漂い、私までお腹が空いてきた。
「ナイール様の舌の好みが、お変わりなくてようございましたわ。」
クレールは、額の汗を拭いつつ、満足げに頬を緩ませる。彼女はそんなに年上じゃないけど、こうして見ると、まるでナイールの保護者みたいだ•••。
ナイールはと言うと、マナーは厳しく躾けられてるはずだけれど、取り繕いの必要のない今は、ごく気楽に食事を楽しんでる•••。••••••••••••••。
「•••ナイールっ!あなた、また子どもみたいに口についてるわよっ!」
黙っていようと思ったのに、我慢できずつい昔のように、ナイールの口元に手を伸ばし、ついているソースを、ナプキンで拭ってあげた。
(背は伸びても、まだまだ子どもみたいで、放っておけないっ!!)
カシャーンッ
床にナイフの落ちる音が響き渡った。
「ユオン様、動揺しすぎです。これぐらいでへこたれていては、アネラ様の夫は務まりませんよ。」
クレールが横目でチラリとユオンを見ながら、予備のナイフをテーブルに揃えて置く。
ナイールは、フハッと、さも面白そうに私の顔を見て、「アネラは天然だからね~。」と、頬を緩ませる。
(はぁっ??? この中でどう見ても、一番天然のあなたがソ、レ、言うの???)
なんか疲れるっ!そんな事より、私はここに来た目的を思い出し、姿勢を正した。軽く咳払いをして、目の前の少年のニヤニヤしてる顔を見る。
「ところで、ナイール、聞きたいことがあるの。数日前にジェラリアが、ここに来たはずなんだけど、あなたはその時、ここにいたかしら?」
心臓がキリキリと不安な音を立て、緊張で喉が渇き、肩がこわばってくるようだ。
「ジェラリア?? ああ、そういえばここに二日くらい滞在してたね。」
ナイールは、意外な名前を聞いて驚いたのか、少し目を見開き、食事の手を休めた。
!!!!
ナイールは、殺人事件のあったあの日、ジェラリアと会っていた!! 急く気持ちを抑え、フゥーと息を整える。
「何か、普段と変わったことなどは•••?」
ピンッと張り詰めた空気の中、ユオンもクレールも皆、水色の髪からキョトンとした瞳を覗かせている少年の返事を、息をのむように待つ。
急に私たちの雰囲気が変わったことに首を傾げながら、ナイールが顎に手を当て、思い出すように遠くを見た。
「僕はとくに気づかなかったけどなぁ~。ああ、でも、いつも大勢連れてくる使用人が一人しかいなくて、一人客を連れてきてたから、珍しいなぁとは思ったけど、それくらいかな•••••。何かあったの?」
長い睫毛を揺らし、クリクリとした瞳で私に問いかけた。
「客??」
ユオンが眉を寄せ、不穏な気配を見せる。ジェラリアに客といえば、彼女と火遊びをしていた男性たちの顔しか思い浮かばないけど、でも、一応あとで確かめてみないと•••。
乾いた喉を潤すために、フルーツを加えた炭酸水を一口だけ口に含む。シュワッと弾けて、心地よい刺激を与えてくれる。グラスを置いて、ナイールを見た。
「シャーロウ殿下の妃候補の一人が殺されたんだけど、その事は知ってた?」
私が一時、殿下に拘束されたことはあまり公にはなっていなかったけど、ミシェル様が殺された事は城下の街でもかなり噂になっていた。
「まさかっ!!あんな城の中で???」
ナイールは、口をポカンッと開け、目をパチパチとし、「あり得ない。」と呟く。彼がここまで驚くのも、庶民は騎士が守る城内には、通常は許可なしでは入ることができないから無理はない。
「城の中だから内部の者の犯行だろうって。それで、犯行現場に私の髪飾りが落ちていたという理由で、私が殺害容疑をかけられているの•••••。」
(ハァ~と顔が俯きそうになる。どうしてこんな事になってるのかしら??? )
「はぁああああああ??? 君が犯人なんてあり得ないよっ! だって君、妃になるの、あんなに嫌がってたじゃん!! それに、勇ましい割に結構、抜けてるし!! でも、、容疑をかけられてる割に、随分と君、自由だよねっ。」
ドンッと両手をテーブルに置いた途端、ナイールの、一つに結えた水色の髪の束から、一房パラリと落ちた。
(私のために怒ってくれるのはありがたいけど、私が妃を嫌がっていた事は、ソンナニ大声でイワナイデ欲しいのだけど••••••••。)
それに•••横目でユオンの横顔を見る。今、私が軟禁されず、こうして自由にいられる理由は•••••••、現実を突きつけられ、なぜか胸の奥がツンッと痛い。
「コテージに来れたのも、そのっ•••ユオンが私を•••監視してるから•••。」
やっぱり監視のためよね。さっき思わせぶりな態度をとってきたから、うっかり誤解しそうになってしまったじゃない。
「監視??? 監視っていうか、24時間自分の部屋に閉じ込めたそうな感じじゃないか!! クククッ••••••。」
ナイールが、堪えきれず、何やら一人で肩を震わせて笑っている。監視が不十分とでも言いたいわけ?
ユオンが、「分かってるなら、手を出すなっ。」と、いまだ口元に手を当て、笑ってるナイールをジロリとみる。
(笑ってる場合じゃないでしょッ!)
「と、ともかくっ、•••ナイールッ!! あなたが見たジェラリアが連れてきた客ってどんな人か覚えているかしらっ???」
少しでもヒントになることがあるなら聞いておきたい。
「僕が人の顔、覚えるの苦手なの、アネラは知ってるでしょ?」
悪気もなく丸い目で私を見るが、その薄黄色の瞳は、なぜか得意げな色を浮かべている。
知ってる!! よぉく知ってますとも!! 空振りかしら•••と思ったその時、ナイールが、フフンッと鼻を鳴らし、「僕は覚えてなくても、僕の魔力は覚えてるんだよねぇ~!」と、手のひらを上にして両手を前に出した。
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「僕、相当、練習したんだよっ、!」
ナイールは、胸を張り、自慢げに私の方を見る。
「す、すごいわっ、ナイールっ!!」
泥の塊は、髪型や服装など細かいところまで、形を変えながら本人の姿をどんどん再現していく。ヒゲが生えていて、神経質そうな中年の男の人•••?
クレールは、土埃が飛び散らないよう窓を閉めにいく。「ナイール様、魔力のコントロールは見違えるほど上達しましたが、気が抜けて、食事の上に土をばら撒かないようにして下さいね。」そして、歩きながらどんどんとテーブルの上に並べられた料理皿の一部を、土の塊から遠ざけていく。
「クレールは相変わらず心配性なんだから•••!! だ~いじょうぶ、だ~いじょうぶ!! 3回のうち1回は成功してるもんねぇ~!!」
ルッルッルゥ~~、と、ナイールは鼻歌まで歌い出した。のんきと言うか何というか、、、
まあ、私も幼い頃は、彼に負けず劣らず、似たような性格をしていたから、あまり人の事は言えない。だって、三人でいると、必ず、私か、ナイールが何かやらかして、クレールに注意されていたもの。
(悪気はないのよっ、悪気はっ•••。)
クレールは眉間の皺を深めて、諦めたようにため息をついて無言になる。何か私まで居た堪れない気持ちになるわっ。
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