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20 作戦会議
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ーーーきゃぁああああああ!!!
こっこの子、突然、何を言うのっ??
ーー実際に裸を見られているわけでもないのに、居た堪れなくなり、目が泳いでしまう。
突然、ソファから腰を浮かしかけてたユオンの耳や顔が、熱がこもったようにボワリッと赤く染まった。途端、ポスンッと、再びソファに深く腰が落ち、長く細い指先が不自然な動きのまま、空中で止まる。
「やだぁ~ユオン様ぁ、真っ赤になってかわいい~!!」
檸檬色の髪を揺らしてリベーリィが一人ではしゃぐ中、ユオンが私を凝視したまま固まっていた。
その隣に腰掛けていたエドワード様も、首まで赤くなった顔を、片腕で覆いながら、「鼻血出る•••••。」と、何やらぶつぶつ呟いてる。
銀の整えられた髪から覗く額に汗を滲ませたレオ様が、「アネラ嬢、すみません。悪気はないのですが•••••。」と、眉を垂らし、申し訳なさそうに謝ってきた。
ーーレオ様のせいじゃないのにっ!!
聞いた話だと、レオ様の奥さまはリベーリィが小さな頃に病で亡くなり、おもに乳母が彼女の面倒を見てきたらしい。レオ様は、騎士の仕事とユオンにかかりきりみたいだったから。
「い、いいえ、•••••大丈夫です。」
眉間に皺を寄せ「はぁ~~。」と大きなため息をついたレオ様は、「リベーリィ、大人しくしてるんだ。」と、剣呑な黒い瞳を彼女に向ける。彼女は、全く意に介さずに、ウキウキと嬉しそうに「は~い!!」と、当たり前のようにユオンの右隣に腰をかけた。さり気なくユオンの太ももに手を置き、またユオンに自然な動作で自分のところに手を戻されている。
ーー先ほどから似たようなやりとりを、この短い間に何回目撃しただろう。
騎士の白い服の袖から日焼けした手を私の方へ差し出したエドワード様が、急に立ち上がり、代わりにソファに座るようにエスコートしようとしてくれた。「椅子で構いませんわ。」と、断ると、今度はユオンが自分が椅子に座ると言い出し始める。結局、収拾がつかなくなり、ユオンを挟み、両隣に私とリベーリィがソファに座る形になり、エドワード様が椅子に座った。
ーーべつに1人で椅子で良かったのに••••。この2人、過保護すぎるわ。騎士の性分なのかしら••••。
レオ様は背筋のまっすぐ伸びた大柄な身体で、優雅な動きで正面の立派な椅子に座ると、穏やかな笑みを浮かべて私を見た。佇まいが綺麗で、とても紳士的な感じだ。
「ユオンが、あなたと結婚すると聞いた時は、リベーリィが泣き喚いて大変でした•••。私も驚きましたが、同時に長年の謎も解けました。」
そう言って、ふふふっと、楽しそうに黒目を細め笑っている。
エドワード様は私とユオンの結婚が初耳だったのか、私の方へグリンっと顔を向け、「ちょっ、ちょっ、待って! アネラ嬢とユオンが結婚!!? 抜け駆けはダメっすよ。ああああああああああああ!!!! 僕の女神~~~。」と、何やら一人で叫ぶその周囲で、パチンッパチンッと光が弾けている。
ーーー誰も慌てて消しにこないところを見ると、雷の能力ではこれぐらい弾けてても問題ないの???
「エドゥ、うるさい。」
ユオンがポソリッと呟くそばで、リベーリィが、足を組んでソファにもたれかかったまま、「エドワード、諦めなさい。リベーリィがいくら泣いてもダメぇだったんだから、今さら騒いでも無駄よ~。」と、頬を膨らませる。
「謎?」
それよりも私は、レオ様が言っていた事が気になる。何かしら??
「ええ、こう見えてユオンは女性から非常に人気があってね。手紙だけでなくかなりの色仕掛けも受けてるのに、誰にもなびかないから、一度聞いたことがあったんですよ。そうしたら、心の中にずっと想い続けてい•••••••。」
「レオ、余計なおしゃべりはそこまでだ。」
ボワリッとレオ様の口の前を塞ぐように、レオ様の鼻先で炎の塊が燃え、一瞬で消えた。
「ふふふっ、何だい?彼女にはまだ話してないのかい?」
レオ様が目尻に皺が刻まれるほど口元を綻ばせ、大柄な身体を起こす。布張りで手すりのついた立派な椅子に座ったレオ様は、黙っていると貫禄があるけれど、一たび、口を開くととても気さくな方だ。
「へぇ~団長って、意外と一途ですねぇ~。」
エドワード様が、緑の目でユオンを横目で見ながらニヤニヤと笑っている。馬車でこちらに来る時に寝ていたのだろうか。寝癖なんかつきようもないくらい短い赤髪に、変なうねりがついていた。
ーー騎士の仕事は大変ね。
「もう~つまんない~。ユオン様になら、リベーリィ、遊ばれてもいいのに~。」
同意を求めるように、顔をグイッと前にだしユオンの顔を下から覗き込むようにして、グレーの瞳で、ねっとりと熱い視線を送る。
ーー同じ屋敷の中でこんなに可愛いらしい子に、積極的に迫られて、ユオンは何とも思わないのかしら???
チラリとユオンの横顔を見ると、同じことを何度も言われ慣れてるのか、表情を全く変えず、リベーリィのことを見ることもなく、あっさりと断っている。
「オレは、リベーリィのこと、妹としか見れないと言ったろ?」
レオ様が苦笑し、「リベーリィ、お前の入る隙はないから諦めなさい。」と、諭した時、トントンッと音がし、ドアを開け、使用人がカートを押しながら「失礼します。」と入ってきた。
使用人の男性が、慣れた手つきで、温めた空のティーカップをテーブルの上にそっと置いた。カートの上の銀のポットから、熱々の紅茶を、ジョボジョボと注いでくれる。途端にラズベリーの甘酸っぱい香りがふわっと広がった。傍にミルクを添えながら、テキパキと、それこそ、あれよあれよと言う間に置いて去っていった。
「一息つきながら話しましょう。」と言うレオ様の言葉に促され、ミルクを足して、一口だけまずは口に含んでみる。ミルクを入れたことで、熱すぎずぬるすぎず、ちょうど良い温度で、喉にスルリと入っていった。「美味しいっ!」酸味と甘味のちょうど良いバランスで、疲れた身体に染み渡るようなホッとする味だ。湯気から漂ってくる香りも、慌ただしかった心を自然と鎮めてくれる。
ふと、視線を感じて顔を上げると、隣に座るユオンがその端正な顔をこちらに傾けて、優しい笑みを浮かべていた。
ーー何だろう? この懐かしさの正体は何? 私はこの瑠璃の瞳をずっと昔にも見た事がある?
でも、どんなに記憶の糸を辿っても、それらしい人は、名前も立場もぜんぜん違う、すでに亡くなってしまった人••••。
エドワード様が、半分ほど飲んだカップを、コトンッとテーブルに置いた。「んで、団長っ、これからどうします?」
ソファに座り直したユオンは、腕を組み、ジッと目の前の紅茶を睨み口を引き結んだ。真剣な顔をしたユオンに、私は気になっていたことを告げる。
「クレールたちがまだコテージに居るままだけど、もしかしたら私のせいで彼女たちも捕えられてしまうかも•••。」
私が指名手配されてるのなら、いつも一瞬に居た侍女のクレールだって、狙われるかもしれない!
レオ様が頷きながら、テーブルの傍に置いてあったサイドボードから一枚の地図を取り出した。紅茶の入ったティーカップを傍によけ、おもむろに地図を広げる。軍事顧問をしている方だからか、チラッと見ただけでも、サイドボードの上には、近隣諸国などさまざまな地域、タイプの地図がギッシリと積んであった。
「可能性は高いだろうね。ユオン、そのコテージの場所を教えてくれるかい? アネラの侍女のことは、僕が何とかしてみよう。」と、告げる。ユオンは、「頼む。」と一言返すと、身を乗り出し、
「コテージの場所はここだ。」
「エドゥ、お前が迎えにきた地点は、この辺りか?」
などと、次々と地図上で場所を特定していく。
騎士2人に、軍事顧問のレオ様の3人が、ああでもない、こうでもないと言い合う中で、突然ユオンが、「そう言えば、結局、工場長のジョンはどうなった?」と、エドワード様の方へその視線を向けた。
ーージョン••••名前だって、聞いて初めて知ったぐらいだ。それなのに私が、毒殺しようとしたことになってる人物••••。
「一命を取りとめ、今、騎士団の救護棟にいるンすけど、話せる状態ではないですね。」
「救護棟に••••?」
ユオンはエドワード様の言葉に、「なるほど。時間との勝負だな。」とその長い指で拳を握り締め呟く。
「あとは、騎士団への指示をどうするんすか?」
エドワード様は、テーブルの上を指でトントンッと叩き、日焼けした顔をユオンに向けた。そう言えば、確か騎士団は、ユオンが不在だったから、などと理由をつけて、本格的にはまだ動いていないと••••。
「•••••明日、騎士団を城内へ一同、集めよう。オレに考えがある。エドゥ、騎士団に招集をかけてくれるか?あと、ジョンをどうにかして救護塔からこの屋敷まで連れて来い。」
騎士団長としての凛々しい顔つきをしたユオンは、その眼差しに強い意志を宿した。
ーー騎士団を招集して、まさか私を一斉に捜索する指揮を取らないとは思うけど、、でも、どうするのかしら? それにこの屋敷にジョンを連れてきても、治療できないと思うのだけれど、何か考えがあるのだろうか。
「ほいよ!」
エドワード様は、ユオンの言葉に大きく頷き、残りのカップを飲み干し、すぐに指示を実行すべく出かける用意をする。
ユオンは、形の良い唇を少し綻ばせ、地図を広げたレオ様の方へ視線をやった。
「レオ、ーーー ーーー」
「はぁあああああああああっ????」
エドワード様が椅子から立ち上がり、今にも前にとびだしそうなほど目を見開き、ユオンの方を見て唖然とする。
ユオンが言ってることは理解できるが、何をしようとしているかが分からない。今、この時になぜ??? まだ、凶器の消えた謎と密室の謎が残っている。真犯人の件はどうなったのだろう••••。
ーーいったい、何を考えているのっ??? そもそも誰と誰の???
ーーーフフッッハハハハッッッ•••••••••••••••••!!!
混乱する私たちを前に、レオ様が大柄な身体を揺らし楽しそうに笑ってるっ!!!
ーーいったい私たち、これからどうなってしまうの???
こっこの子、突然、何を言うのっ??
ーー実際に裸を見られているわけでもないのに、居た堪れなくなり、目が泳いでしまう。
突然、ソファから腰を浮かしかけてたユオンの耳や顔が、熱がこもったようにボワリッと赤く染まった。途端、ポスンッと、再びソファに深く腰が落ち、長く細い指先が不自然な動きのまま、空中で止まる。
「やだぁ~ユオン様ぁ、真っ赤になってかわいい~!!」
檸檬色の髪を揺らしてリベーリィが一人ではしゃぐ中、ユオンが私を凝視したまま固まっていた。
その隣に腰掛けていたエドワード様も、首まで赤くなった顔を、片腕で覆いながら、「鼻血出る•••••。」と、何やらぶつぶつ呟いてる。
銀の整えられた髪から覗く額に汗を滲ませたレオ様が、「アネラ嬢、すみません。悪気はないのですが•••••。」と、眉を垂らし、申し訳なさそうに謝ってきた。
ーーレオ様のせいじゃないのにっ!!
聞いた話だと、レオ様の奥さまはリベーリィが小さな頃に病で亡くなり、おもに乳母が彼女の面倒を見てきたらしい。レオ様は、騎士の仕事とユオンにかかりきりみたいだったから。
「い、いいえ、•••••大丈夫です。」
眉間に皺を寄せ「はぁ~~。」と大きなため息をついたレオ様は、「リベーリィ、大人しくしてるんだ。」と、剣呑な黒い瞳を彼女に向ける。彼女は、全く意に介さずに、ウキウキと嬉しそうに「は~い!!」と、当たり前のようにユオンの右隣に腰をかけた。さり気なくユオンの太ももに手を置き、またユオンに自然な動作で自分のところに手を戻されている。
ーー先ほどから似たようなやりとりを、この短い間に何回目撃しただろう。
騎士の白い服の袖から日焼けした手を私の方へ差し出したエドワード様が、急に立ち上がり、代わりにソファに座るようにエスコートしようとしてくれた。「椅子で構いませんわ。」と、断ると、今度はユオンが自分が椅子に座ると言い出し始める。結局、収拾がつかなくなり、ユオンを挟み、両隣に私とリベーリィがソファに座る形になり、エドワード様が椅子に座った。
ーーべつに1人で椅子で良かったのに••••。この2人、過保護すぎるわ。騎士の性分なのかしら••••。
レオ様は背筋のまっすぐ伸びた大柄な身体で、優雅な動きで正面の立派な椅子に座ると、穏やかな笑みを浮かべて私を見た。佇まいが綺麗で、とても紳士的な感じだ。
「ユオンが、あなたと結婚すると聞いた時は、リベーリィが泣き喚いて大変でした•••。私も驚きましたが、同時に長年の謎も解けました。」
そう言って、ふふふっと、楽しそうに黒目を細め笑っている。
エドワード様は私とユオンの結婚が初耳だったのか、私の方へグリンっと顔を向け、「ちょっ、ちょっ、待って! アネラ嬢とユオンが結婚!!? 抜け駆けはダメっすよ。ああああああああああああ!!!! 僕の女神~~~。」と、何やら一人で叫ぶその周囲で、パチンッパチンッと光が弾けている。
ーーー誰も慌てて消しにこないところを見ると、雷の能力ではこれぐらい弾けてても問題ないの???
「エドゥ、うるさい。」
ユオンがポソリッと呟くそばで、リベーリィが、足を組んでソファにもたれかかったまま、「エドワード、諦めなさい。リベーリィがいくら泣いてもダメぇだったんだから、今さら騒いでも無駄よ~。」と、頬を膨らませる。
「謎?」
それよりも私は、レオ様が言っていた事が気になる。何かしら??
「ええ、こう見えてユオンは女性から非常に人気があってね。手紙だけでなくかなりの色仕掛けも受けてるのに、誰にもなびかないから、一度聞いたことがあったんですよ。そうしたら、心の中にずっと想い続けてい•••••••。」
「レオ、余計なおしゃべりはそこまでだ。」
ボワリッとレオ様の口の前を塞ぐように、レオ様の鼻先で炎の塊が燃え、一瞬で消えた。
「ふふふっ、何だい?彼女にはまだ話してないのかい?」
レオ様が目尻に皺が刻まれるほど口元を綻ばせ、大柄な身体を起こす。布張りで手すりのついた立派な椅子に座ったレオ様は、黙っていると貫禄があるけれど、一たび、口を開くととても気さくな方だ。
「へぇ~団長って、意外と一途ですねぇ~。」
エドワード様が、緑の目でユオンを横目で見ながらニヤニヤと笑っている。馬車でこちらに来る時に寝ていたのだろうか。寝癖なんかつきようもないくらい短い赤髪に、変なうねりがついていた。
ーー騎士の仕事は大変ね。
「もう~つまんない~。ユオン様になら、リベーリィ、遊ばれてもいいのに~。」
同意を求めるように、顔をグイッと前にだしユオンの顔を下から覗き込むようにして、グレーの瞳で、ねっとりと熱い視線を送る。
ーー同じ屋敷の中でこんなに可愛いらしい子に、積極的に迫られて、ユオンは何とも思わないのかしら???
チラリとユオンの横顔を見ると、同じことを何度も言われ慣れてるのか、表情を全く変えず、リベーリィのことを見ることもなく、あっさりと断っている。
「オレは、リベーリィのこと、妹としか見れないと言ったろ?」
レオ様が苦笑し、「リベーリィ、お前の入る隙はないから諦めなさい。」と、諭した時、トントンッと音がし、ドアを開け、使用人がカートを押しながら「失礼します。」と入ってきた。
使用人の男性が、慣れた手つきで、温めた空のティーカップをテーブルの上にそっと置いた。カートの上の銀のポットから、熱々の紅茶を、ジョボジョボと注いでくれる。途端にラズベリーの甘酸っぱい香りがふわっと広がった。傍にミルクを添えながら、テキパキと、それこそ、あれよあれよと言う間に置いて去っていった。
「一息つきながら話しましょう。」と言うレオ様の言葉に促され、ミルクを足して、一口だけまずは口に含んでみる。ミルクを入れたことで、熱すぎずぬるすぎず、ちょうど良い温度で、喉にスルリと入っていった。「美味しいっ!」酸味と甘味のちょうど良いバランスで、疲れた身体に染み渡るようなホッとする味だ。湯気から漂ってくる香りも、慌ただしかった心を自然と鎮めてくれる。
ふと、視線を感じて顔を上げると、隣に座るユオンがその端正な顔をこちらに傾けて、優しい笑みを浮かべていた。
ーー何だろう? この懐かしさの正体は何? 私はこの瑠璃の瞳をずっと昔にも見た事がある?
でも、どんなに記憶の糸を辿っても、それらしい人は、名前も立場もぜんぜん違う、すでに亡くなってしまった人••••。
エドワード様が、半分ほど飲んだカップを、コトンッとテーブルに置いた。「んで、団長っ、これからどうします?」
ソファに座り直したユオンは、腕を組み、ジッと目の前の紅茶を睨み口を引き結んだ。真剣な顔をしたユオンに、私は気になっていたことを告げる。
「クレールたちがまだコテージに居るままだけど、もしかしたら私のせいで彼女たちも捕えられてしまうかも•••。」
私が指名手配されてるのなら、いつも一瞬に居た侍女のクレールだって、狙われるかもしれない!
レオ様が頷きながら、テーブルの傍に置いてあったサイドボードから一枚の地図を取り出した。紅茶の入ったティーカップを傍によけ、おもむろに地図を広げる。軍事顧問をしている方だからか、チラッと見ただけでも、サイドボードの上には、近隣諸国などさまざまな地域、タイプの地図がギッシリと積んであった。
「可能性は高いだろうね。ユオン、そのコテージの場所を教えてくれるかい? アネラの侍女のことは、僕が何とかしてみよう。」と、告げる。ユオンは、「頼む。」と一言返すと、身を乗り出し、
「コテージの場所はここだ。」
「エドゥ、お前が迎えにきた地点は、この辺りか?」
などと、次々と地図上で場所を特定していく。
騎士2人に、軍事顧問のレオ様の3人が、ああでもない、こうでもないと言い合う中で、突然ユオンが、「そう言えば、結局、工場長のジョンはどうなった?」と、エドワード様の方へその視線を向けた。
ーージョン••••名前だって、聞いて初めて知ったぐらいだ。それなのに私が、毒殺しようとしたことになってる人物••••。
「一命を取りとめ、今、騎士団の救護棟にいるンすけど、話せる状態ではないですね。」
「救護棟に••••?」
ユオンはエドワード様の言葉に、「なるほど。時間との勝負だな。」とその長い指で拳を握り締め呟く。
「あとは、騎士団への指示をどうするんすか?」
エドワード様は、テーブルの上を指でトントンッと叩き、日焼けした顔をユオンに向けた。そう言えば、確か騎士団は、ユオンが不在だったから、などと理由をつけて、本格的にはまだ動いていないと••••。
「•••••明日、騎士団を城内へ一同、集めよう。オレに考えがある。エドゥ、騎士団に招集をかけてくれるか?あと、ジョンをどうにかして救護塔からこの屋敷まで連れて来い。」
騎士団長としての凛々しい顔つきをしたユオンは、その眼差しに強い意志を宿した。
ーー騎士団を招集して、まさか私を一斉に捜索する指揮を取らないとは思うけど、、でも、どうするのかしら? それにこの屋敷にジョンを連れてきても、治療できないと思うのだけれど、何か考えがあるのだろうか。
「ほいよ!」
エドワード様は、ユオンの言葉に大きく頷き、残りのカップを飲み干し、すぐに指示を実行すべく出かける用意をする。
ユオンは、形の良い唇を少し綻ばせ、地図を広げたレオ様の方へ視線をやった。
「レオ、ーーー ーーー」
「はぁあああああああああっ????」
エドワード様が椅子から立ち上がり、今にも前にとびだしそうなほど目を見開き、ユオンの方を見て唖然とする。
ユオンが言ってることは理解できるが、何をしようとしているかが分からない。今、この時になぜ??? まだ、凶器の消えた謎と密室の謎が残っている。真犯人の件はどうなったのだろう••••。
ーーいったい、何を考えているのっ??? そもそも誰と誰の???
ーーーフフッッハハハハッッッ•••••••••••••••••!!!
混乱する私たちを前に、レオ様が大柄な身体を揺らし楽しそうに笑ってるっ!!!
ーーいったい私たち、これからどうなってしまうの???
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