【完結】犯人にされた落ちこぼれ令嬢ですが、イケメン騎士団長に四六時中監視(プロポーズ)されてます•••!!!

来海ありさ

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23. やっぱり魔力はなかった、、、けれど、、、

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「ちょ~~~っと待って~!!!」

「処分を下すのは、まだ待ってっ•••••下さい••••!」

シンッと静まり返った広間に、似つかわしくないドタドタッという複数の足音が突然響いた••••••。

広間に現れたのは、水色の髪をリボンでツインテールに可愛く結んだ少年、そして2名の騎士が運ぶ担架に乗せられた青白い顔をした痩せ型の中年の男性、、、




ーーーだが、何より人々の目を惹いたのは、ライラック色の髪を頭の高い位置で花飾りと共に束ね、真っ白で優美なドレスに身を包んだ美しい女性だった。

ウエストラインからふんわりと広がるドレススカートは、シルエットをロマンチックに浮かび上がらせ、格別の存在感で、豪華な会場によく映えていた。肩を出しながらも二の腕をさり気なく覆ったデザインには、透け感が上品なレースがたっぷりと使用されており、彼女の上品さと同時に艶やかさを見事に引き出している。清楚でありながらも華やかな姿に、会場中からため息が漏れた••••••。



突然、着飾って現れたかつての自分の妃候補に動揺し、「ア、アネラッ•••••?」と、呆然と立ち尽くすシャーロウとは対照的に、元々吊り目の青い目をさらに吊り上げ、「なっ、アネ••••、義姉様••••。と、捕らえてッ! 今すぐこの者たちを捕らえなさいッ!」と、ジェラリアは慌てた様子で声を荒げる。ブラウンの巻き毛が乱れるのも構わず、キッと眉を吊り上げ、「早くしなさいッ!」と兵を急かす。







ーーーアネラ••••?      ナイール•••••? 間に合ったのか••••? 

夢•••••じゃないよな•••••? 


愛しい人の姿を見つけ、落ち着けっ、と自らの沸騰する血を宥めながらも、同時に、まだ終わっていないぞっ••••! と、身を引き締める、、、、





「ジェラリア~っ、仮にも自分の義姉に向かって、そ~れはないんじゃな~い? ねっ、王様~!! 」
間の抜けた声音と、クリクリとした薄黄色の瞳はあまりにも無邪気で、先ほどまで大広間を覆っていた緊張感が嘘のように霧散していった。


ーーーその髪型をしてると、まるで少女のようだが、誰がこんな髪型にしたんだ••••???  オレはナイールに、『正装で来い』と言ったはずだが•••••???




「ヴィルヘルム王、お願いですっ•••!!! 私たちの話を聞いてください。その上で、もう一度処分を検討して下さいっ!」
扉の前に立ったアネラの鈴のような声に心臓が早鐘を打つ。息をするのも忘れるほど、どうしようもなく彼女に目が惹きつけられる。



ーーー幼いあの時から全然変わらない••••。可憐な外見に似合わず、どこまでも自分の心を信じ、行動に移す強さ••••。


急いで駆けてきたのだろう••••。一気に言葉を発した後、頬が蒸気し、呼吸が苦しいのか胸を大きく上下させている。肩から腕にかけ、レースからチラチラと白い肌が透け、しっとりと濡れたように煌めいていた。



ーーーこんなに艶めかしい姿は、あまり他の奴らに見せたくはないんだがな••••。


「誰だ•••?」「アネラ様じゃないか?」「あの少年は?」••••••。

人々がざわつき始めた。こんな時なのに、アネラをいやらしい目つきで見ている男どもがいる事が気になってしまう••••。特にこいつ、目の前のシャーロウが•••••。

ーーー自分からアネラを見捨てたくせに、現金な奴だ••••。


騎士たちは、もちろん誰一人、アネラを捕まえようとはしない。だが、シャーロウ王子の直轄下にある私兵は、ジェラリアの言葉で、再びアネラを捕らえようと剣を構えた。


ーーー父上ならこの馬鹿げた行為を止めるはず•••••。ジェラリアの越権行為をいつまでも黙って見ているようなお人好しではないしな•••••。


 王の猛々しいオレンジの瞳は、兵たちの動きをつぶさに観察していた。「待て! 」と、広間にいる全員へ響き渡る声を王が発すると、すぐさま、『は!』と、シャーロウの私兵たちは一斉に声を揃え、直立する。


ライオンのたてがみのような金茶色の髪は、その上にのるシンプルな王冠を引き立て、その言葉に威厳を感じさせた。

「アネラを捕まえるその理由について、私は未だ報告を受けてはおらぬ。先ほどのユオンの••••、こやつの証言でも、真犯人は特定できなかった。さすれば、今回の事件の中心人物が現れたのだ。ーーーーアネラ、話を聞かせなさい。」

ジェラリアは悔しそうに唇を噛み、アネラを睨みつけるが、王に逆らえるはずもない。



いつの間にか扉の前にいたエドゥが、アネラをまるでワルツに誘うかのように広間の真ん中までエスコートして歩く。
その時、エドゥの片耳を飾る金細工が、さり気なくかすかに光り、アネラまでをも包みこむのが見えた。

ーーー防御魔法をかけるのは良いが、実際に発動されるような事態にはならないでくれよっ•••••。

オレは祈るような気持ちで、アネラ達を見る。その後ろを、水色のツインテールの髪を揺らしながら、少年が軽やかについて歩く。
最後尾には、担架を担ぐ騎士2人。


エドゥにエスコートされたアネラは、オレの隣まで来て立ち止まる。
「ヴィルヘルム王、ありがとうございます。」と優雅な仕草で礼をし、担架の方へと振り返った。

アネラの視線の先へと誘われるように、客たちの視線が、担架の上の青白い顔の男へと集まる。先ほどまでピクリッともしなかった痩せ型のヒゲの男が、指先を僅かに上に上げた。「意識はあるのか••••?」と誰かの声がとぶが、殆どの者は息を詰めてなり行きを見守る中、男は、ゆっくりと瞼を開き、騎士に手伝われながら、担架の上に上半身を起こした。

「ジョン••••••、あンた、毒で意識不明の重体だったんじゃないの•••?」
ジェラリアが、驚きすぎたのか表情を取り繕うのを忘れ、眉間に皺を寄せ、マジマジと男を見ながら独り言のように呟く。



確かにこの痩せこけた男が屋敷に連れてこられた時、猛毒の影響で、息をしているのが不思議なほど、危険な状態だった••••。それが今は、顔色はまだ青ざめているとは言え、上体を起こすまでに回復している。






誰もが突然現れた珍客に注目し、会話を聞き漏らすまいと、ピンッと空気が張り詰めるなか、時折、誰かの喉を鳴らす音や窓の外の噴水がシャーと下へと落ちていく音が聞こえる以外は、静寂がこの大広間を支配した。





不意に、シンとした空間に、空のように軽やかで、よく通る声が響き渡った。





「私が”癒し”ました•••••。」




アネラが一歩前に出て、そのまま皆の注目する中、スッと伸びた背筋と凛とした眼差しで、胸の前で両手を組んだ。すると、白く細い指先から、水の精霊の青、風のグリーン、火の橙色、土の黄土色、そして石の精霊たちのクリスタル色、これらの色がアネラを包み込むように混じり合い、ジョンへと流れ込んでいく。


「なんだ、これはっ•••???」
「おーっ!!!」
「あれは魔力なのか•••?? 」
「あんな色は見たことがない!!!」


精霊たちの色は、アネラの身体を包み込むとき、水の青は頭の上で王冠を形作り、風のグリーンは耳元で花飾りの形を表し、火の橙色は胸元でネックレスとなり、土の黄土色はウエスト周りを巻き付けるレースの幻影を映し出していく。そしてそれらが混じり合う時に、人々の頭の中には美しい音楽が鳴り響いた。耳で聞こえる音とは全く異なる美しい音色が、アネラを取り巻く精霊たちの色から、オレたちの頭の中に直接奏でられているのだ••••。


初めての状況に、最初は騒々しかった客たちも、目の前のあまりにも神聖な光景に目を奪われ、やがて再び静かになっていく。



アネラから光を纏った色が消えるに従い、ジョンは呼吸も楽になったのだろう、顔色が相当良くなった。

オレは、ヴィルヘルム王に向け、姿勢を正し、片手を胸に当て、騎士の真実の言葉を王に届ける。

「今、アネラ嬢が見せた、精霊たちの色の混じり合う光景と、頭の中に直接奏でられる美しい音楽。これらが何を意味するのか、ーーーーヴィルヘルム王、あなたならご存知ではありませんか••••? 」

王が、黄金色の髪の隙間から真剣な目を覗かせ、手すりを握る手に力を込める。今、自分が体験したことが真実であるかどうか、言葉を発しあぐねた様子で口を僅かに開けた。返事を催促するような眼差しに、オレは応え•••••••





「アネラの魔力のなさは、見てて悲しくなるぐらいポンコツだったけどさ~~、ちゃ~~んとっ理由があったんだよね~!!。」
ナイールが、得意げに「へへんっ」と笑みを浮かべ、広間にいる客に聞かせるように、声を張り上げ胸を張る。



••••!?•••••••


ーーーほんっと、いつもマイペースだな••••。緊張感がなさすぎる••••。ポンコツって、他にもっと言い方があるだろ••••? 


その言い回しを完全には否定しきれないのが妙におかしくて、つられてクスッとなる。

はたから見てると、ナイールは、アネラにキャンキャンと子犬のようにまとわりつき、その好意があまりにもあけすけだ••••。


アネラは自分が、異性を惹きつけていることを自覚してるのか••••?? 


普段のアネラを思い起こす••••。さらっと告白めいた事を言われても、気づかずに流している姿が容易に思い浮かぶ。



ーーーまあ、無自覚だな•••••。








つい逸れる思考は、ジッとオレを見つめる視線により中断された。

ーーいっけねっ•••! オレも、ナイールを笑ってられない•••••。オレは一度口を固くしばり、その燃えるような視線に応えるように、アネラの能力の真実を明かす。





「アネラは、ーーー           。」
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