魔性の女が、異世界に与えた多大なる影響について…。

第一章 ～ 調律の神 ～

《幸福の為に必要な事》

自分の幸福は、自分で手に入れるモノだ…。
だが、其れを手に入れる為に、どれ程の不幸を視るかによって、其の人の生き方が変わって来る…。


「彼の少女は、自らの幸福よりも他人の幸福を望んだか…私も、彼の少女を視て来たが…」


こんなにも、優し過ぎる人間は一兆万年振りか…。
自らの死後も、自らを思ってくれる信者が居るなんて…。


「だが、其処に、彼女の望みは無いのだろう？」

「あぁ、もどかしいモノだよ…彼の少女は、特別に歪んで居るからね…優しいのに、酷いんだよ…」


他人の為に自我を封印した少女…。
他人の為に自身を傷付ける少女…。
少女自身が永遠に不幸になるだけの残酷な運命…。
だが、私は…。
私達には、そんな少女を見守る事しか出来ない…。


「くそッ…何故、こんな残酷な結末しか彼女には無いのか…」

「だからこそ、オレ達が保護してしまった方が良いんだ…彼女が其れを望んで居なくてもな…」


何時だって、世界は彼女に残酷だ…。